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企業向けEV充電スタンドの設置方法!費用や製品比較でお得に電気自動車を充電

最終更新日: 2024年02月07日

社用車のEV化を検討する上で見逃せないのが、充電スタンドの存在です。企業向けの充電スタンドを設置する際に知っておきたい、基礎知識や選び方を紹介します。EV車のポテンシャルを存分に引き出せる充電スタンドを選べるように、特徴を把握しましょう。

企業向けEV充電スタンドと家庭向けの違い

家庭向け充電スタンドと企業向け充電スタンドの違いは、たくさんの車を充電する際に便利な機能が搭載されているか否かにあります

企業向けの製品に搭載されている代表的な機能が『車両管理機能』です。車両管理機能とは充電スタンドと専用アプリを連携させ、EV車の予約をしたり充電スタンドの使用状況をチェックしたりできる機能です。

EV車の導入初期は、ガソリン車とEV車との併用で管理が難しくなる可能性があります。車両管理機能が充実している充電スタンドなら、従業員にかかる負担を最小限に抑えられるでしょう。

企業向けEV充電スタンドを設置する手順

企業向けの充電スタンドを設置するまでの流れを解説します。現地調査からスタンド完成までのおおまかな流れを知っておけば、各過程で求められる行動をイメージできるようになるでしょう。

  1. 見積もり・現地調査
  2. 補助金申請
  3. 電源工事・配線工事・基礎工事

見積もり・現地調査

EVの充電スタンドを設置するには、まず設置業者による現地調査を受ける必要があります。現地調査とは設置希望場所・駐車場の形態・電気設備の状況などを調べる作業です。

具体的には下記のような項目をチェックします。

  • 駐車場と分電盤との距離はどれくらいか
  • 固定の駐車スペースが個人に割り当てられているか
  • 充電スタンドを設置できる共有スペースがあるか

現地調査を終えたら、クライアントの希望と現地調査の結果を加味して、理想に最も近づける工事方法をプランニングします。プランが完成したら、工事に必要な費用に関する見積もりが出されるという流れです。

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補助金申請

次は補助金の申請を行います。EV充電スタンドの設置で利用できる補助金は、『クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金(充電インフラ補助金)』です

充電インフラ補助金は個人宅以外に設置される充電スタンドが対象です。補助率と補助上限は、どのような充電スタンドを設置するかで決まります。

例えば普通充電のスタンドの場合、機器費用は補助率50%で最大35万円、工事費用は補助率100%で最大135万円が補助されます。

2023年度の補正予算では、約400億円の充電インフラ補助金が盛り込まれました。利用を検討している人は、後日発表される補助要件をチェックしましょう。

電源工事・配線工事・基礎工事

次に充電スタンドの設置会社と契約し、工事に移ります。充電スタンドの工事は、電源工事・配線工事・基礎工事の3つに分けられます

電源工事は充電スタンドに電気を流すための電源設備を設置する工事です。キュービクル式高圧受電設備(発電所から送られてくる電気を変圧して各種施設で使える電気にする機械)を設置するかどうかにより、かかる費用や工事期間が変動します。

配線工事は設置した電源設備と充電スタンドを接続する工事です。分電盤から充電スタンドまでをケーブルでつなぎます。キュービクル式高圧受電設備を設置する場合は、キュービクルと分電盤の接続も必要です。

基礎工事は充電スタンドの土台を整備する工事です。アスファルトを切り出して掘削し、充電スタンドを設置するための土台を作ります。

企業向けEV充電スタンドの設置費用

充電スタンドの設置費用は、充電スタンドの本体価格+設置に必要な工事費用です。本体価格は『普通充電器』と『急速充電器』のどちらを選択するかで決まります。設置費用の大まかな相場は以下の通りです。

本体価格 工事費用 設置費用の合計
普通充電器 70万円前後/台 130万円前後/台 200万円前後/台
急速充電器 230万円以上/台 500万円前後/台 730万円以上/台

6kWの普通充電器を選んだ場合、かかる費用の相場は1台70万円前後です。

急速充電器を選んだ場合は、1台230万円以上の購入費用がかかります。急速充電器は普通充電器よりも性能が高いため、価格も高額になるでしょう。

工事費用の相場は普通充電器の場合は1台130万円前後、急速充電器の場合は1台500万円前後です。工事費用は充電スタンドと分電盤の距離にも左右されます。距離が長くなるほど工事費用は高くなる点に注意が必要です。

企業向けEV充電スタンドの選び方

世の中にはさまざまな充電スタンドが販売されているため、どのような充電スタンドを選んだらいいのか、分からなくなってしまう人も多いでしょう。企業として充電スタンドを設置する場合の、製品の選び方を解説します。

  • 普通充電器と急速充電器の規格の違い
  • 社用車向けと商業施設向け充電スタンド
  • 設置台数
  • 決済方法

普通充電器と急速充電器の規格の違い

企業に設置する充電スタンドを選ぶときに最初に考えたいのが、普通充電器と急速充電器のどちらを選ぶかという点です

普通充電器は家庭用の充電スタンドに採用されている規格です。充電が完了するまでに約7~8時間かかる規格で、まとまった時間駐車して充電できる場所に向いています。

急速充電器はサービスエリアやガソリンスタンドなどに設置されている規格です。約60分でフル充電が可能なため、目的地までの道中で立ち寄って充電するような場所に適しています。

規格を選ぶ際には、充電スタンドを設置する目的に着目しましょう。目的に合った規格を選ばないと、イメージ通りの充電が実現できません。

社用車向けと商業施設向け充電スタンド

企業向けの充電スタンドを選ぶ際は、社用車の充電用として設置したいのか、商業施設において不特定多数が充電するために設置したいのかを、決める必要があります

社用車向けの充電スタンドに適しているのは、車両管理機能や電力制御機能を備えている製品です。社用車を快適に使用するための機能が充実しているものを選びましょう。

また自然災害が発生したときにEV車から給電できる機能を搭載している製品も、社用車用の充電スタンドとしておすすめです。

商業施設向けの充電スタンドに向いているのは、多様な決済方法に対応している製品といえます。多くのEVユーザーが使用できるものが好ましいでしょう。またユーザー向けのアプリを提供している製品なら、EVユーザーの利便性向上にも一役買ってくれます。

設置台数

設置可能台数や同時接続可能台数は充電スタンドによって異なるため、企業用の充電スタンドを設置する際は、設置を検討している台数に合わせた製品選びが大切です

設置台数を決めるときは、『EV車1台につき充電スタンド1台』が基本です。導入車両数に対してスタンド数が少ないと、社用車の稼働効率が落ちてしまいます。

しかし設置台数はむやみに増やせばいいというわけではありません。複数のスタンドを設置して使用電力量が50kW以上になると『高圧契約』が必要になり、電気代が高くなる可能性があります。高圧契約にならない範囲で台数を決めるという視点も必要です。

商業施設向けの充電スタンドの場合は、施設の利用者数や公共性を考慮して、設置台数を決めるのがおすすめです。

決済方法

商業施設向けの充電スタンドを選ぶ場合には、対応している決済方法もチェックしましょう。

決済方法が充実している充電スタンドの方が、ユーザーの利便性の向上が期待できます。充電スタンドに用意されている決済方法として最もベーシックなのは、クレジットカード決済です。

しかし中には新たな取り組みとして、バーコード決済や電子マネー決済を採用している企業もあります。より幅広いユーザーに充電スタンドを使ってもらいたい場合には、多彩な決済方法を提供している充電スタンドを選びましょう。

おすすめの企業向けEV充電スタンド

社用車用や商業施設用としておすすめのEV充電スタンドを、5種類紹介します。それぞれの特徴や強みを比較して製品を選べば、イメージに最も近い充電スタンドが見つかるでしょう。

EnneEV(R)(エネーブ)

『EnneEV(R)(エネーブ)』は、NTTアノードエナジー・東京ガス・大阪ガスの3社が出資する新電力『エネット』が提供する充電スタンドです。企業向けのスマート充電サービスを、180施設640台設置している実績が魅力です。

EnneEV(R)最大の特徴は、初期費用なしで充電スタンドの設置を実現できる点にあります。設置費用の高さに尻込みしていた企業でも、気軽にEV導入に踏み切れるでしょう。

EnneEV(R)はエネットが供給する二酸化炭素排出量の少ない電気を使用することで、企業の脱炭素化を支援しています。SDGs対策を強力に推し進めたい企業におすすめです。

WeCharge for Business

『WeCharge for Business』は法人向けにEV充電環境を提供するサービスです。先行して展開していた個人向けサービスである、『WeCharge』の機能を拡張して生まれました。

WeCharge for Businessでは充電スタンドの設置から設置後の運用管理まで、総合的なサービスを提供します。社用車の走行データをベースにした導入コンサルティングも提供しているので、自社にぴったりな充電スタンドの設置を実現できるでしょう。

事業所の負担となる電力コストを抑えてくれるのも、重要なポイントです。契約した電力量の中で適切に充電をコントロールし、充電コストの上昇を抑えます。

REXEV(レクシヴ)

『REXEV』はEVの運用をアップデートしてくれるスマート充電器を展開する、充電スタンドです

REXEVではエネルギーマネジメントシステム『eMMS』との連携により、EV車のポテンシャルを上限まで引き出します。EV車の予約状況に合わせて必要な量だけ充電するので、無駄な充電を最小限に抑えられます。

またREXEVでは電気代や電気の使用状況に合わせた、スマートな充電が可能です。電気料金が安い時間帯に優先的に充電する電力制御で、電気代の上昇を自動的に回避します。EV車導入による電気料金の上昇を抑えてくれるでしょう。

ENEOS Charge Plus

『ENEOS Charge Plus』は石油製品の精製や販売を行う、ENEOSが展開する充電サービスです。最大の特徴は基本料金がかからない点にあります。

EVの充電には毎月数千円の基本料金がかかるものが多いですが、従量課金制を採用したENEOS Charge Plusなら、充電した分だけの料金負担でEVをチャージできます。

月95分までなら他社よりも低価格で充電できるので、限られたシーンでのみEV車を使用する人が多く集まる施設におすすめです。

操作の簡単さも魅力の1つです。指示に従ってタッチパネルを操作するだけで、簡単にEV車を充電できるため、幅広いEVユーザーに受け入れてもらえるでしょう。

エネチェンジ

『エネチェンジ』はEV充電導入台数とアプリ利用者数で、業界トップを走る充電サービスです。商業施設や宿泊施設などを中心に、累計受注台数7,000台を突破しています。

エネチェンジでは施設にぴったりの工事内容の決定から、設置後のメンテナンスまで、トータルサポートを提供しています。アフターサポートは365日いつでも対応してくれるので、もしトラブルが発生しても安心です。

設置費用がかからない『ゼロプラン』を用意しているのも、特徴の1つです。国の補助金にプラスする形でエネチェンジが導入支援金を出してくれるため、本体価格と工事費用が無料になります。

理想の充電スタンド設置を実現しよう

充電スタンドの設置は社用車のEV化を進める上で、重要な要素です。必要な機能がもれなく搭載されている製品を選ばないと、EV車のポテンシャルを十分に引き出せません。

商業施設向けの充電スタンドを選ぶ場合も、機能をしっかり吟味した上で製品を選択する姿勢が重要です。EVユーザーにとって有益な機能が付いた製品を設置しないと、EVユーザーに選ばれない充電スタンドという結果になってしまいます

充電スタンドの設置にはまとまった費用が必要です。もしイメージ通りの設備を実現できなければ、多大な損失を被る可能性があります。複数の充電スタンドを比較・検討して、理想的な1台を見つけましょう。

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