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離婚問題で内容証明郵便を送るのはどんな場合?期待できる効力を紹介

最終更新日: 2024年06月28日

離婚問題が起きたとき、内容証明郵便の利用を検討する人は、少なくありません。内容証明郵便を利用するメリット・デメリットや、作成方法を知り、スムーズな問題解決を目指しましょう。自力での作成が難しいと感じた場合の対処法も紹介します。

内容証明郵便とは

書類を受け取る人

内容証明郵便は離婚問題をはじめとする重要なシーンで、広く利用されている郵便です。まずは内容証明郵便の効力や、具体的な利用シーンから確認しましょう。

内容証明郵便に期待できる効力

内容証明郵便の効力として、第一に挙げられるのが、相手側の言い逃れを防止できる点といえます

内容証明郵便とはその名の通り、「いつ誰がどんな内容の文書を誰に向けて送ったのか」を郵便局が証明してくれる郵便です。同内容の文書が郵便局に保管されることから、受け取った側は「そんな文書は知らない」との言い逃れができません。

これは離婚問題のようなトラブルの場面で非常に有効です。「言った言わない」を防ぎ、スムーズな問題解決を目指す上で、非常に役立つのが内容証明郵便なのです。

損害賠償・慰謝料請求にも利用される

内容証明郵便は損害賠償や、慰謝料請求にも利用されます。特に離婚問題で多く見られるのが、配偶者の浮気相手に対して、慰謝料を請求するケースです。相手の性格にもよりますが、慰謝料の支払いから逃れようと、電話や手紙の内容をすべて無視する人は、決して少なくありません。

そんな場合でも内容証明郵便を請求書として送付することで、慰謝料を請求した事実を、証拠として残せます。相手の言い逃れを防ぎ、早期の問題解決を図れるでしょう。

離婚問題で内容証明を利用する効果は?

法律家

実際に離婚問題で内容証明郵便を利用した場合、得られる効果には、どのようなものがあるでしょうか?メリット・デメリットそれぞれを詳しく紹介します。

メリット

離婚問題で内容証明を利用するメリットとして、まず挙げられるのが、内容証明だけで問題が解決する可能性がある点です

内容証明を受け取った相手は、改めて送り主の本気度を知ることになります。「逃げ切れない」と感じ、早期の話し合いや、慰謝料請求に応じる可能性があるのです。

また前述の通り内容証明を送ることで、配偶者に対する話し合いや離婚の要求、不倫相手に対する慰謝料請求を行った事実を証明できます。「聞いていない」「求められていない」という言い逃れを防げるでしょう。

加えて大きなメリットとなるのが、慰謝料請求の時効を伸ばせることです。不倫の慰謝料請求には時効があります。しかし内容証明郵便を通じて、慰謝料請求をすることで、時効を6カ月間延長できるのです

「行き詰まった状況を打破したい」と考える人にとって、内容証明郵便は、非常にメリットの大きい手段といえるでしょう。

デメリット

相手に届きさえすれば、書面の内容を相手が認知したことを証明できる内容証明ですが、実は内容証明自体に法的な強制力はありません

例えば内容証明を使って、配偶者の不倫相手に慰謝料請求をする場合、慰謝料請求をした事実こそ証明できるものの、相手が請求に応じるかどうかは、あくまで相手次第なのです。

また本来配偶者との関係の再構築を望んでいたにもかかわらず、不倫相手に内容証明を送ったことにより、夫婦関係に決定的な亀裂が入ってしまうというのも、よくある話です。

内容証明郵便は上記のデメリットを踏まえ、冷静な判断の上で利用する必要があるでしょう。

内容証明郵便の作成方法

郵便局

中には「内容証明郵便の利用を考えているけれど、どうすればよいか分からない」という人も、いるのではないでしょうか。内容証明郵便を送付するにあたっての、具体的な手順を紹介します。

請求書・書面の書き方

実際に慰謝料請求の文書を用意する際に、忘れずに記載しなければならないのが、「どういった理由で、何を求めるのか」についてです

相手が配偶者と不倫をしている事実(相手と配偶者との関係性や不倫期間など)に加え、その行為が違法であること、その事実によって自分がどれだけ苦しんだかを、明記しましょう。

なお内容証明郵便には「e内容証明」と呼ばれる、すべての手続きを、インターネット上で完結できるサービスもあります。24時間手続きが可能なので、日中忙しい人でも無理なく利用できるでしょう。

同じ内容の文書を3部作成する

内容証明郵便を利用するにあたって、まず同じ内容の文書を3部作成する必要があります。1通は相手方への送付用(内容文書)で、残り2通(謄本)はそれぞれ郵便局と自分自身の保管用です

内容文書に使用する用紙の大きさや種類に、制限はありません。ただし謄本については以下のように、1枚あたりの文字数に制限があるため、注意が必要です。

  • 縦書き:1行20字以内・1枚26行以内
  • 横書き:1行20字以内・1枚26行以内または1行13文字以内・1枚40行以内または1行26文字以内・1枚20行以内

使用できる文字についても、仮名・漢字・数字・英字(固有名詞のみ)・括弧・句読点・その他一般的な記号に限られているため、注意しましょう。

内容証明の出し方・必要な費用の金額

内容文書と謄本(2通)をすべて用意できたら、差出人・受取人の住所氏名を記載した封筒と一緒に、郵便局へ持参します。

郵便局に用意されている「書留・特定記録郵便物等差出票」に必要事項を記入し、持参した書面や封筒と併せて窓口へ提出しましょう。

内容証明郵便の送付に必要な費用は、基本料金84円(※25g以内)・書留の加算料金435円・内容証明の加算料金440円(※用紙が1枚増えるごとに+260円)の合計金額です

なお内容証明郵便は、すべての郵便局で取り扱っているわけではありません。基本的には地域の中央郵便局で受付可能ですが、念のため事前に調べておくのがおすすめです。

内容証明の送付先

配偶者の不倫相手に内容証明を送付する場合、宛先の候補として、自宅・職場・実家などが挙げられます。中には「どこへ送ってもよいだろう」と、職場や実家を選ぶ人もいますが、これはあまりおすすめできません。

というのも不倫はあくまでもプライベートの行為であるからです。仮に内容証明が原因で、相手の周囲の人に不倫の事実が知られてしまった場合、自分自身が名誉毀損で訴えられてしまう可能性が否定できません。

もし相手の自宅が分からず、勤務先や自宅へ送付するしか手段がない場合には、封筒に宛名の本人が開封することを求める「親展」を付けるなど、可能な限りの配慮をする必要があるでしょう。

内容証明を利用する際の注意点

パソコンで書類を作る人

内容証明郵便を最大限効果的に利用するには、あらかじめ覚えておきたい、いくつかの注意点があります。自分自身の身を守りつつ、権利を行使するためのヒントとして確認しましょう。

脅迫するような書き方をしない

配偶者の不倫相手への慰謝料請求で、内容証明を利用する場合、相手への怒りや恨みから、ついつい感情的な言葉を選びたくなってしまう人は多いものです。

しかし相手を脅迫するような内容は、自分自身の首を絞める可能性が高いので、おすすめできません。避けるべき具体的な内容としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 支払いに応じなければ、あなたの会社に不倫の事実を伝えます
  • 実家の住所も知っているので、無視するのなら、ご両親にお話させていただきます

このほか相手を過剰に侮辱したり、貶めたりするのもNGです。意図せず相手を利することのないよう、言葉選びは慎重に行いましょう。

慰謝料請求時の金額は?

慰謝料請求の内容証明郵便を送る場合、請求する金額と支払期限について、記載が必要です。

請求できる金額について、法的なルールはありません。どれだけ少額でも高額でも自由ですが、あまりにも高額な場合にはやはり支払われず、仮に裁判を起こしても、減額される可能性が高いでしょう。

なお慰謝料の相場は配偶者と離婚する場合で、1,500,000~3,000,000円が一般的です。離婚しない場合には離婚した場合より、精神的な苦痛が小さいと判断されるため、これより少額が目安となるでしょう。

配達証明も一緒に利用

内容証明郵便を送付する際は、オプションとして「配達証明」を付けておくのがおすすめです。

内容証明郵便は「いつ誰が誰にどんな内容の文書を送ったか」を、証明してくれるサービスです。一方で相手が受け取ったことの証明はできません。相手に「受け取っていない」と言い逃れをする余地を残してしまいます。

配達証明は「○月○日に配達が完了した」ことを、証明するサービスです。相手に内容証明が届いた後、受取人の氏名と配達日が記載された、「郵便物配達証明書」が差出人の元に届きます。これにより相手は「受け取っていない」と言い逃れができなくなるのです

配達証明のオプション料金は320円です。有利に交渉を進めるためにも、忘れずに利用しましょう。

効果が得られないケースもある

内容証明郵便は決して万能なものではありません。法的な強制力はなく、記載内容に応じるかどうかは、あくまでも相手の意思に委ねられています。「内容証明郵便さえ送れば解決」とはならない点を、心に留めておく必要があるでしょう

また相手によっては受け取りはしても、「読んでいない」と主張したり、受け取りを拒否したりという可能性も、考えられます。

この場合でも書面の内容や日付・通告の事実は残ります。仮に裁判になった場合、証拠として利用できる点も、覚えておきましょう。

作成が難しいと感じる場合の対処法

相談を受ける法律家
 

「内容証明が効果的なのは分かっているけれど、自分でミスなく作成する自信がない」という場合に、おすすめなのが、行政書士への依頼です。行政書士に依頼する主なメリットを紹介します。

内容証明を行政書士に依頼するメリット

行政書士は正しい法律知識に基づき、さまざまな書類の作成や申請代行などを行う、法律の専門家です。法律に詳しくまた書類作成のプロであることから、不備や法的なリスクのない文書を用意してもらえるでしょう

また行政書士名義で内容証明郵便を送ることにより、相手に「無視できない」とのプレッシャーを与える効果も、期待できます。相手の対応に誠実さが見られない場合、行政書士から内容証明郵便を送付してもらうことで、突破口が開けるかもしれません。

同じく法律の専門家には、弁護士や司法書士がいますが、行政書士の費用はより安価なのが一般的です。「必要な手続きを、スマートかつリーズナブルに済ませたい」と考えるなら、行政書士への依頼を検討するのがおすすめです。

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配偶者の浮気が原因で離婚問題が生じた場合、慰謝料を請求する手段として検討したいのが内容証明郵便です。

内容証明郵便に配達証明のオプションを付けて利用することで、いつ誰が誰にどんな内容の文書を送り、いつ受け取られたかの証明が可能となります。相手の言い逃れの余地をなくすという点で、非常に効果的な手段でしょう。

自力での作成が難しいと感じるようであれば、街の法律家として知られる行政書士への依頼を検討するのがおすすめです。相手に「知らない」と言わせない万全の策を講じ、すっきりとした気持ちで新たな一歩を踏み出しましょう。

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