車のバッテリーを充電する手段はいくつかあり、状況に応じた対応が必要です。適切なタイミングで充電すれば、バッテリー上がりを防げるでしょう。
バッテリーの充電が必要なサインと充電方法のほか、充電ができない場合の原因についても解説します。
車のバッテリーとは
そもそも車に内蔵されているバッテリーとは、どういったパーツなのでしょうか。バッテリーが果たしている役割と特徴について説明します。
バッテリーは車に不可欠
バッテリーはボンネットの中にあり、車の運転や搭載されたさまざまな機器に必要な電気を供給する役割を担っています。
車を作動させるには燃料だけでなく電気も必要なので、電気が蓄えられているバッテリーの存在は不可欠です。電気が使われる例をいくつか紹介します。
|
バッテリーの充電は必要ない?
エンジンの停止中にバッテリーの電気を使用するためには、あらかじめバッテリーを充電しておく必要があります。バッテリーが充電されるのは、エンジンが動いている間です。
エンジンがかかると「オルタネーター」と呼ばれる発電機が電気を生み出し、必要な箇所に供給します。余った電気はバッテリーに供給され、エンジンの始動などに費やした分の電気が補充されるという仕組みです。
車を定期的に走行させていれば、オルタネーターが生み出した電気を利用してバッテリーが充電されるので、自分でボンネットを開けてバッテリーを充電しなくても問題ありません。
しばらく車を走行させていないと、バッテリー内の電気は放電されてしまうので注意が必要です。
バッテリーを充電するタイミング
普段から車を走行させている場合、頻繁にバッテリーを充電しなくても問題ありません。しかし、状況によっては、バッテリーの充電が必須のケースもあります。
車のバッテリー電圧が低下しているサインと充電する時期について解説します。
バッテリーの電圧が低下しているとき
バッテリーの正常な電圧は12.5〜13Vです。バッテリーの電圧を測定してみて12.5Vを下回る場合は、すぐに充電しましょう。12Vを下回るとエンジンを始動できなくなります。バッテリーの電圧低下のサインを感じ取り、電圧を測定して確かめてみましょう。
エンジンがかかりにくくなったり、アイドリングストップが作動しなかったりしたら注意が必要です。セルモーターの音が小さくなったり、パワーウインドウの動きが遅くなったりする場合もあります。
バッテリーが上がったとき
バッテリーが上がったときには充電が必要です。エンジンをかけられないため、外部から電気を供給しなければなりません。
一度バッテリーが上がってしまうと、バッテリーの性能は著しく低下します。頻繁にバッテリー上がりが起こる場合は、バッテリーの交換を検討しましょう。
自分でできるバッテリーの充電方法
バッテリーの電圧が低下したとき、どうやってバッテリーを充電すればいいのでしょうか。まずは自力でできるバッテリーの充電方法について解説します。
車を走行させる
バッテリーが完全に上がっておらずエンジンがかかる場合は、通常どおり車を運転するだけでバッテリーの充電が可能です。
車を走行させればエンジンが回転する動力を利用してオルタネーターが発電を行い、バッテリーが充電されます。
もともとバッテリーは自動的に充電される仕様なので、バッテリー自体に問題がなければ、車を2〜3時間走行させるだけで充電を満タンにできます。
車の走行中はなるべく電力を消費しないように、カーナビやエアコンの使用は控えましょう。電力の消費量がオルタネーターの発電量を超えてしまうと、途中でバッテリーが上がってしまう恐れがあります。
夜はヘッドライトやテールランプを点けるため電力の消費量が大きいように感じますが、走行させる時間帯によって大きな差はありません。
空ぶかしやアイドリングをする
車を走行させるのが難しい場合は、空ぶかしやアイドリングでバッテリーを充電しましょう。走行していなくてもエンジンがかかっているため、オルタネーターで発電を行い、バッテリーを充電することが可能です。
空ぶかしの流れは以下の通りです。
|
アイドリングではエンジンの回転数が1000rpm以下になるため、充電に時間がかかります。
回転数が2000rpm以上になるようにアクセルを踏み込み、空ぶかしをすれば、早めの充電が可能です。所要時間は1時間程度と考えましょう。
空ぶかしやアイドリングをするときは、エアコンやラジオを切り、電力の消費量を抑えましょう。騒音も発生するため、近所迷惑にならない時間と場所で行う点も大切です。
充電器で充電する
充電器を使えば手軽にバッテリーの充電ができます。車のバッテリーと電圧が合致している充電器の用意と、コンセントの近くに駐車できることが必須です。
バッテリーを充電する手順は以下の通りです。
|
バッテリーを100%まで充電できない仕組みなので、90%を超えた時点で電源を切ってください。
充電器を使う際の注意点
充電器を使った充電方法は手軽で便利ですが、注意点を知らずに使うと事故に発展する恐れがあり非常に危険です。
まずは充電器がバッテリーに対応したものか、確認が大切です。充電器の電圧がバッテリーに対応している点に加えて、充電するバッテリーがバッテリー液の補充が必要な開放型のバッテリーか、補充が不要な密閉型のバッテリーなのか確認しましょう。
バッテリーを充電する際は、車内の電子機器を保護するために、事前にバッテリーを外します。バッテリーを車から下ろして、「液口栓」と呼ばれるバッテリーのキャップを外して充電しないと危険です。
液口栓がなかったり外せなかったりするモデルもあるので、どう対応したらいいか事前にメーカーに問い合わせましょう。
開放型バッテリーの充電に際して、水素ガスがわずかに発生します。事故を防ぐために充電中および充電前後は火気厳禁です。密閉型バッテリーも操作を誤ると爆発する恐れがあります。
充電器の設定を間違えると、過充電が起こり怪我をしてしまいます。十分に注意したうえでバッテリーの充電を行いましょう。
自分で充電できない場合の対処方法
バッテリーの充電を自力でできない場合は、ほかの車やサービスを利用してバッテリーを充電できます。自分だけでは対処が難しい場合は、無理せず救援を求めましょう。
ジャンピングスタートをする
道端でバッテリーが上がってしまった場合、ブースターケーブルをトランクに積んでいれば、充電器がなくても「ジャンピングスタート」によってバッテリーを充電できます。
ジャンピングスタートとは、「バッテリーの上がった車のバッテリー」と「バッテリーが上がっていない他の車のバッテリー」をブースターケーブルでつないで、エンジンを始動させる方法です。
ブースターケーブルをつなぐ順番を間違えると、車両火災が発生する恐れがあるので注意が必要です。ブースターケーブルは以下の順番でつなぎます。
|
最後のブースターケーブルは故障車のバッテリーの「+極」ではなく、エンジンブロックと呼ばれるエンジンの金属部分につなげます。間違えないように確認してください。
ケーブルをつないだら救援車がATならギアを「P」に、MTなら「N」に入れて、サイドブレーキをかけた状態でエンジンをかけます。
エンジンの回転数が1500〜2000rpm程度になるようにして10分程度待てば、エンジンをかけるのに十分な電気が充電されます。故障車のエンジンが無事にかかったら、救援車のエンジンを停止させれば完了です。
ブースターケーブルはつなげたときと反対の順番で外します。
ガソリンスタンドで充電してもらう
ガソリンスタンドまで車で走行できるなら、バッテリーを充電してもらうことも可能です。2000円ほどで30分もあれば、十分に走行できるだけの電気がたまります。カー用品店でも店舗によっては充電が可能です。
ガソリンスタンドでは急速充電が行われます。急速充電はバッテリーにかかる負荷が大きいため、寿命が短くなる恐れがある点に注意しましょう。
車を走行させるのが難しいときも、ガソリンスタンドの出張サービスを利用してジャンピングスタートをしてもらえる場合があります。
高額のサービスになるケースが多いため、まずはなるべく別の方法を試した方がよいでしょう。
ロードサービスを呼ぶ
周りに車がいない場合や急を要する場合は、ロードサービスを呼びましょう。ロードサービスは自動車保険に付帯していたり、カーディーラーが提供していたりするケースが多いです。
保険期間中1回までなら無料という契約の場合もあるので、頻繁にサービスを利用すると費用を請求される可能性もあります。
出先でなく自宅の駐車場でバッテリーが上がった際にも対応してくれるのか確認が必要です。
万が一が起きた場合、焦らないように事前にロードサービスの条件をチェックしておきましょう。
ロードサービスで有名なJAFは、会員であれば手厚いサービスが24時間いつでも無料で受けられます。非会員でも、お金を払えば駆けつけてもらえますよ。
バッテリーの充電ができない原因
バッテリーの充電ができなかったり、頻繁に充電する必要があったりする場合、どこに原因があるのでしょうか。バッテリーの充電が正常にできない原因と対処法について解説します。
バッテリーが故障している
バッテリーが充電できない場合、バッテリーの故障が原因のケースが多いでしょう。過充電や充電時の配線ミスによって、ショートしてしまっている可能性が疑われます。
過去に交通事故を起こしている場合は、物理的な衝撃によってバッテリーが破損している恐れもあります。
経年劣化によりバッテリーが寿命を迎えているケースもあるでしょう。車の使用頻度が低かったり、アイドリングストップ車に乗っていたりすると、バッテリーへの負荷が大きくなります。
バッテリーの寿命は2〜5年なので、エンジンの始動が鈍いなどの違和感が出てきたら要注意です。劣化したバッテリーを復活させるのは不可能なので、新しいバッテリーに交換しましょう。
オルタネーターが故障している
バッテリー本体ではなく、オルタネーターが故障しているケースもあります。電気を生み出すオルタネーターが正常に作動しなければ、バッテリーが正常でも充電できません。
一時的にバッテリーに残っている電気でエンジンがかかっても、すぐに立ち往生してしまう恐れがあります。
バッテリーとオルタネーターのどちらが故障しているか分からないときは、業者に原因の特定から依頼するとよいでしょう。
車の修理業者を選ぶ際は、ミツモアを利用すると便利です。ミツモアなら簡単な質問にいくつか答えるだけで、最大5社の相見積もりが無料でできます。
気になる業者にはチャットで詳細を相談できるので、安心して取引することが可能です。
こまめな点検でバッテリー上がりを防ごう
こまめな点検を欠かさないことで、車のバッテリー上がりは事前に防げます。万が一バッテリーが上がった場合に備えて、充電器やブースターケーブルを準備しておくといいでしょう。
エンジンの始動やパワーウインドウの動きなど、電気を使う箇所の挙動に普段からよく注意して、バッテリー上がりに備えましょう。
車のバッテリー交換のプロに見積もりを依頼しよう!
ミツモアでは豊富な経験と知識を持ったプロに車のバッテリー交換の見積もりの依頼ができます。まずはプロに相談をしてみてはいかがでしょうか?