車の不調時に確認したいものの1つに「オルタネーター」があります。故障したまま放っておくと、エンジンが勝手に止まってしまうこともあり危険。
そこでこの記事ではオルタネーターについて詳しく解説していきます。
まずはオルタネーターがどんな役割を担っているのかを理解し、その後故障の原因や症状などを確認していきましょう。
「故障しているかどうかの判断方法」や「故障していた場合の修理方法」なども解説するので、車の調子が悪いという方は特にチェックしてみてください。
オルタネーターとは?役割や仕組みを解説!
オルタネーターというのは車に付いている発電機のことです。
車には数多くの電装品が付いていますよね。ライトやオーディオ、エアコンや車を制御しているコンピューターに至るまで全て電気で動いています。これらの電気はバッテリーから供給しているわけですが、バッテリーはただの電池なので、使っているといずれ中身の電気がなくなってしまいます。一般的な乾電池と同じですね。
そのため電気がなくならないようにバッテリーを充電しなければいけませんが、その際に必要になるのがオルタネーターです。
オルタネーターが発電させて、バッテリーに電気を供給しているのです。
オルタネーターの仕組み
オルタネーターはエンジンに固定されており、エンジンの動力を使って発電をしています。
「ベルト」というゴムの帯状の部品を使って、プーリーという丸いローラー部分を回転させ、エンジンの動力をオルタネーターに伝えています。
プーリーが回転するとオルタネーター内部にある電磁石が同時に回転し、それに伴って生まれる磁束の変化を利用して発電をするのです。子供の時に理科の実験でやった、配線を巻いたコイルの中で棒磁石を動かすと電気が発生するのと同じ原理ですね。
エンジンが動いていない間は、オルタネーターも止まっているので発電はされません。
オルタネーターとダイナモの違い
オルタネーターを「ダイナモ」と呼ぶ人もいます。厳密にはこれらは別のものですが、ダイナモも発電機を指す言葉です。呼び方が違うだけで同じ意味合いと捉えて問題ないでしょう。
ダイナモは昔(1960年代まで)車に使われていた発電機です。オルタネーターの方が性能面で優れているため、現在はダイナモを使っている車はありません。しかし古い呼び名が定着してしまい、オルタネーターをいまだにダイナモと呼ぶ人もいるようです。
特に覚える必要はありませんが、ダイナモとオルタネーターの大きな違いは電流の種類です。ダイナモは発生している電流が直流なのに対し、オルタネーターは交流という点が異なります。
オルタネーターが故障するとどうなる?症状や前兆について
オルタネーターが故障すると、エンジンが動いていてもバッテリーが充電されなくなります。そのため車の電装品(スターターモーター・ウィンカー・エアコンなど)が正常に作動しなくなります。
オルタネーターが故障するとこんな症状が出る!
初期症状としてはランプ類の点灯がいつもより暗かったり、窓の上げ下げのスピードが遅くなったりするでしょう。そのまま使い続けていると、いずれバッテリーの電気が空になってしまいエンジンが止まります。
エンジンをかけるためのセルモーターも電気を動力としているので、一度止まると再度エンジンをかけることができません。仮にブースターケーブルなどを使って外部から電気を供給しつつエンジンをかけたとしても、充電されなければまた止まってしまい、走行ができないのです。
オルタネーターが故障する前兆と見分け方
前兆として一番気づきやすいのが、メーター内のチェックランプの点灯です。
オルタネーターの異常で充電量が少なくなると、メーター内に赤いバッテリーマークのチェックランプが点灯します。もし車の使用中にチェックランプが点灯したら、オーディオなどの不要な電装品は消して、安全なところに避難しましょう。そのまま走り続けているとエンジンが止まってしまう可能性が高いですよ。
オルタネーターが劣化してくると、異音が発生することもあります。「カラカラ」や「ウィーン」など聞き慣れない大きな音がしたら、オルタネーターが劣化しているかもしれません。
ただしエンジン内には、オルタネーターと同じように回転している部品があります。エアコンのガスを圧縮しているコンプレッサーや、エンジンの冷却水を循環させているウォーターポンプなどですね。これらの部品が故障した際にも似たような異音が発生することがあります。「エンジンから異音がする」=「オルタネーターの故障」とは限らないので注意してください。
オルタネーターが故障する原因はほとんどが寿命
オルタネーターが故障する原因の多くは「寿命」です。
約10万kmで壊れるケースが多いようですが、あくまで目安として捉えましょう。5万kmで壊れることもあれば、20万km以上使ってもしっかり発電していることもあります。
季節ごとに見ると、夏の暑い時期に故障するケースが多いでしょう。オルタネーターが作動して発生する熱と外気の熱が合わさって、負荷がかかりやすいためですね。
車の使い方が悪くてオルタネーターが故障したのかと心配する人も多いようです。しかし電装品の使いすぎなどで壊れることはないので安心してください。ただし車が冠水してオルタネーターも水に浸かったり、エンジンオイルの交換時にオイルをこぼしたりした場合は、故障につながることも。
ちなみにオルタネーターには、明確な交換時期(使用期間や走行距離)は決まっていません。
オルタネーターが故障しているかどうかの判断方法
車に不調が出た時に、オルタネーターが原因なのかどうかを見分ける方法を解説します。
判断方法①:バッテリーチェッカーを使う(自分でもできる)
自分で簡易的にチェックをするのであれば、バッテリーチェッカー(できれば数値が分かるタイプ)を使うのがおすすめです。オルタネーターが正常に作動している場合は、充電状態によってバッテリーの電圧が変化します。バッテリーチェッカーで測定して確かめてみましょう。
ボンネットを開けると、エンジンルーム内にバッテリーがあります。バッテリーチェッカーのコードを、バッテリーのプラスとマイナスそれぞれの端子に接続してください。電圧の数値がエンジン停止時は約12.5V、エンジン始動後は約14Vあれば問題ないでしょう。バッテリーの充電状態によって電圧値は変化するので、多少の誤差(0.5V以内)は気にしなくて大丈夫です。
バッテリーが満充電(しっかり充電されている状態)だと、オルタネーターは発電しません。その場合はエンジンがかかっていても12.5V付近になることがありますが、異常ではないので安心してくださいね。しばらく待つとオルタネーターが発電し始めて、14Vまで電圧が上がってきます。測り始めの電圧が低くてもすぐに異常とは判断せずに、落ち着いて待ってみましょう。
いくら待っても電圧が上がらず、ライトなどの電装品を付けた時に電圧がどんどん下がっていく場合は、オルタネーターが壊れている可能性が高いでしょう。
判断方法②:プロの整備士に見てもらう
点検料金はかかるものの、修理工場に出してプロの整備士に見てもらうと安心ですね。
プロの整備士はバッテリーの電圧の点検はもちろん、オルタネーターからどのくらいの電流が出力しているかを見ることができます。電気負荷をかけた時(ライトやエアコンを付けた状態)と、かけていない時の充電電流が基準値内にあるかを細かくチェックします。
またベルト(エンジンの動力をオルタネーターに伝えるための部品)の取り付け状態も点検してもらうと安心ですよ。ベルトは使っているうちに伸びてきて、取り付けの張りが緩んでしまいます。張りが緩んでいると、ベルトが滑ってエンジンの動力をオルタネーターに伝えにくくなることがあるのです。
オルタネーターが油脂類で汚れていないか、ベルトの取り付けは適切かをチェックしておけば、故障を未然に防ぐことができるでしょう。
オルタネーターの修理・交換方法や費用
オルタネーターが故障した場合、オルタネーターそのものを交換することが多いでしょう。
純正部品は高額で10万円近くすることも。費用を抑えたいのであればリビルト品という安価な部品もあるので、そちらを採用するのも良いでしょう。リビルト品は中古品を再利用して内部を修理したものです。
工賃 | 部品代(純正部品) | |
オルタネーター交換 | 約1万円 | ・純正品:5万~10万円
・リビルト:1万~2万円 |
※修理に出すとオルタネーターを交換するための工賃と、オルタネーター本体代の両方がかかります。場所や車種によって金額は変わりますが、目安として参考にしてください。
オルタネーターを用意する際は、オルタネーターの品番が車に適合しているのかを調べる必要があります。また車の名前が同じでも、年式や型式によって適合するオルタネーターは違います。ボルト穴の位置やコネクタの形状が違うので、間違った型を購入すると取り付けができないんです。
適合確認をきちんと行わずに購入すると返品できないケースもあるため、基本的には業者にお任せした方がいいでしょう。
オルタネーターの修理は「ミツモア」で複数社から見積もりを取ろう
オルタネーターの点検や修理を依頼したいという方は、ぜひミツモアを利用してみてください。
ミツモアは郵便番号や求める条件を入力するだけで、オルタネーターの修理を得意とする業者から大まかな見積もりがもらえるサービスです。最大5社から見積もりが届くので、それぞれのサービス内容・費用・口コミなどを比較して決めることが可能。
見積もりを比較すれば適正価格が分かるため、安すぎず高すぎない料金で依頼ができますよ。金額確認や見積もり比較は無料なので、ぜひ一度利用してみてください。
オルタネーターの交換方法・手順
オルタネーターは以下の手順で交換します。
- バッテリーのマイナス端子を外す
- オルタネーターにかかっているベルトを外す
- オルタネーターに付いている2つの配線を外す
- オルタネーターを固定しているボルトを抜いて本体を外す
- 逆の手順で組み付けていく
まずバッテリーのマイナス端子に接続されている配線を外します。バッテリーを接続したまま作業をすると、ショートしてケガをしたり別の箇所が壊れたりする危険性があるからです。必ず外しましょう。マイナス端子と配線をつないでいる「ターミナル」という部分のナットを、工具で緩めて上に引っ張ると配線が外れます。
次にベルトの外し方ですが、エンジンによってベルトの外し方が違います。次の2つの方法があるのでエンジンに合った方法で行ってください。
- 「アジャストボルト」という張力調整用のボルトを緩める
- 自動でベルトの張力を調整する「オートテンショナー」を回転させる
ベルトが外れたら、オルタネーターに付いている2つの配線を外していきます。
1つ目はバッテリーと直接つながっているB端子に付いている配線。B端子はゴムやプラスチックのカバーで覆われており、カバーをめくると配線との接続部分が出てきます。配線と端子はナットで固定されているので、配線も外すにはまずナットを工具で外しましょう。
もう1つの配線はコネクターでオルタネーター本体に直接刺さっています。コネクターのツメを指で押しながら引っ張ると簡単に外れるでしょう。
最後にオルタネーターを固定しているボルトを工具で外すと、オルタネーターを外すことができます。ボルトは2~3本付いているので、全て外せたことを確認してオルタネーターを引っ張ってください。
組み付けは逆の手順で行いましょう。