「エアコンから水漏れしてきた」
「エアコンをつけると嫌な臭いがする」
そんなエアコンのトラブルに悩まされている場合、ドレンパンという部品の汚れが原因になっているかもしれません。
ドレンパンの役割や汚れの原因、掃除方法を解説します。
エアコンのドレンパンとは?役割と仕組み
エアコンのドレンパンとは、エアコン内部で発生した結露水を受け止めるトレイ状のパーツです。カバーを開けてフィルターを取り外しても見えない位置に付いています。
ドレンパンの役割は、冷房運転時にエアコン内部で発生する結露水が外に漏れていかないように受け止め、ドレンホースに流して屋外に排出することです。
エアコンは冷房運転や除湿運転をするとき、室内の暖かい空気を取り込み、フィン(熱交換器)というパーツで空気を冷やしてから再び室内に排出する仕組みです。
このとき、暖かい空気と冷やした空気の温度差によって、フィンに結露がつきます。窓ガラスの結露やコップに水滴がつく現象と原理は同じです。
冷房・除湿運転をしている間は結露が発生し続けるので、エアコンから結露水が漏れ出て水浸しにならないよう、フィンの下に設置されたドレンパンに溜めているのです。
ドレンパンには勾配がつけられていて、溜まった結露水が自然にドレンホースのほうへ流れ込む構造になっています。
ドレンパンの汚れはエアコン水漏れの原因になる
前述の通り、ドレンパンはフィンで発生した結露水の受け皿であり、屋外につながるドレンホースに向かって排水する通り道となるパーツです。
ドレンパンに汚れが溜まって水を受け止めるだけの容量がなくなってしまうと、あふれて室内機の吹き出し口から水漏れが起こることがあります。
ドレンパンが汚れる理由
ドレンパンはエアコンのパーツの中でも特に汚れやすく、カビや雑菌が繁殖しやすい部品です。ドレンパンが汚れる主な理由は以下の3点です。
- フィン(熱交換器)についた汚れが結露水と一緒に流れること
- ドレンパンに溜まった結露水がすべて排出されず残ること
- ドレンホースが詰まって結露水がうまく排出されないこと
フィンには、エアコンが取り込んだ空気に含まれるホコリや汚れが付着し、結露水と一緒にドレンパンに流れていきます。
ドレンパンに溜まった結露水はドレンホースに流れていきますが、一滴も残らず排出するのは難しく、どうしても少量の水が残ることが多いです。水が蒸発するまでには時間がかかるため、濡れている時間が長くなり、カビや雑菌が繁殖しやすい環境ができてしまいます。
また、屋外に排出するドレンホース側が詰まっていると、ドレンパンから結露水が流れていかず、汚れとともに蓄積していきます。この状態になると、水漏れが発生することがあります。
ドレンパンが水漏れの原因なのか確かめる方法
水漏れが起きたときに疑うのは「ドレンパンの汚れ」または「ドレンホースの詰まり」ですが、外側から見てもどちらが原因なのかは分かりません。
ドレンパンはエアコンを分解しないと直接確認できないので、ドレンホースが詰まっているかどうかを確認しましょう。手順は以下の通りです。
- ドレンホースの口に薄い布を巻きつけてゴムで止める
- 掃除機を当てて吸い込む
- 詰まったゴミと水が流れる「ズゴゴッ」という音がしたらすぐ掃除機を止める
- ゴミが出てくるのを待つ
この方法を実行してもドレンホースに何も詰まっておらず、水漏れが続くようであれば、ドレンパンの汚れが原因の可能性が高いです。
ドレンホースの詰まり確認について、詳しい手順は以下の記事でも解説しているので参考にしてください。
ドレンパンのカビ汚れは悪臭やアレルギーにもつながる
ドレンパンが汚れると、水漏れだけでなくカビや雑菌の繁殖によるトラブルが起きるかもしれません。
具体的には、エアコンをつけるとカビや雑菌が生み出す嫌な臭いがしたり、カビを吸い込んで咳やくしゃみなどのアレルギー症状が出たりする可能性があります。
ドレンパンを自分で掃除すると故障する可能性がある
エアコンのドレンパンは自分で掃除するのが非常に難しいです。
ドレンパンはエアコンの内部に付いている部品なので、掃除するには分解する必要があります。エアコンの専門知識や分解技術がない素人が分解すると、元に戻せなくなったり、エアコンの破損や不具合の原因になったりするので、おすすめできません。
自分で内部を掃除できる市販のエアコン洗浄スプレーもありますが、主にフィン(熱交換器)を対象にした商品であり、ドレンパンはそもそも対象になっていないことが多いです。
市販のスプレーによる掃除は、洗剤を十分に洗い流せず汚れが悪化してしまうケースもよく見られます。洗剤やすすぎ水の受け皿になるドレンパンは、特にそのリスクが高いでしょう。
エアコンの部品のうち、自分で掃除ができるのはフィルターと吹き出し口、外側カバーです。以下の記事では、自分でできるエアコン掃除方法を解説しています。
自分でドレンパンを取り外して掃除する場合の手順
もし自分でドレンパンを掃除するとしたら、以下の手順で行います。
- エアコンの外側カバー(フロントパネル)を取り外す
- フィルター、ルーバーを取り外す
- 部品を覆うカバーを取り外す
- ドレンパンを外して汚れを洗い流す
- 水分を拭き取って元の位置に取り付ける
- 取り外すときと逆の順番で各パーツを取り付ける
フィルター以外はネジで留められている部品がほとんどなので、ドライバーを使って1つずつ慎重に取り外す必要があります。
取り外したドレンパンは、浴室や洗面所などでシャワーを使って水洗いします。付着したカビやスライム状の汚れは、スポンジやブラシに中性洗剤をつけてこすると汚れが落ちやすいです。カビがこびりついて取れない場合は、塩素系漂白剤を吹きかけてしばらく置き、洗い流します。
とはいえ、自分でやるのは故障や不具合のリスクが高いのでおすすめできません。
特に製造から年数が経ったエアコンはプラスチックがもろくなっているので、取り外すタイミングで割れたりヒビが入ってしまうリスクが高いです。また、元に戻すときも正しく取り付けられず、不具合を起こしてしまうこともあります。
エアコンのドレンパン掃除はクリーニング業者に依頼しよう
エアコンのドレンパンは自分で掃除するのが難しいので、専門知識と技術を持ったプロのエアコンクリーニング業者に依頼しましょう。
事業者によるエアコンクリーニングでは、ドレンパンを含めたエアコン内部の部品を洗浄し、自分では手が届かない部分まできれいにしてくれます。
エアコンクリーニング業者によるドレンパン洗浄の方法
通常のエアコンクリーニングメニュー(料金目安:7,000~12,000円)では、ドレンパンをエアコン本体から取り外さず、取り付けたまま洗浄することが多いです。
通常メニューの範囲内でどこまでドレンパンを洗浄してくれるかは、業者によって異なるので、事前に確認しておくことをおすすめします。業者によってはドレンパンの分解洗浄をオプションとして提供している場合もあります。
事業者によっては、ほとんどの部品をエアコンから取り外して直接洗浄する完全分解洗浄メニュー(料金目安:20,000~35,000円)を提供していることもあります。この場合はドレンパンも外して徹底的に洗浄します。
完全分解洗浄の料金は通常のクリーニングよりも高くなりますが、内部部品の汚れを確実に取り除くことができます。
エアコンのドレンパンの掃除頻度
ドレンパン洗浄を含むエアコンクリーニングの頻度は、1~2年に1回が目安です。ただしエアコンの使用時間が長い場合は、ドレンパンにも汚れがたまりやすくなるため、部屋ごとに掃除の頻度を変えるのがおすすめです。例えば、リビングは1年に1回、寝室や子ども部屋は2年に1回など、使用状況に合わせて掃除の間隔を決めましょう。
また、水漏れや臭いなどのトラブルが発生した場合は、すぐにクリーニング業者に依頼することが大切です。
エアコンクリーニングの料金相場
プロによるエアコンクリーニングの料金相場は以下の通りです。基本的にドレンパンのみの洗浄メニューはなく、エアコン全体をクリーニングすることになります。
メニュー | 料金相場 |
---|---|
壁掛けエアコン(お掃除機能なし)・通常 | 7,000~12,000円 |
壁掛けエアコン(お掃除機能付き)・通常 | 16,000~20,000円 |
壁掛けエアコン(お掃除機能なし)・完全分解洗浄 | 20,000~35,000円 |
壁掛けエアコン(お掃除機能付き)・完全分解洗浄 | 25,000~40,000円 |
事業者によっては、通常のメニューにオプションでドレンパンの分解洗浄サービスを提供していることもあります。
ドレンパンの汚れが気になっている旨を伝えて、しっかり洗浄してもらうにはどのようなプラン・料金になるのか確認しておきましょう。
エアコンのドレンパン洗浄をしてくれる業者の選び方
ドレンパンの洗浄を依頼するエアコンクリーニング業者を選ぶときは、以下のチェックポイントを意識しましょう。
- ドレンパン洗浄が作業に含まれるか
- 見積もり料金が高すぎず安すぎないか
- 作業時間が短すぎないか
- 損害賠償保険に加入しているか
- 口コミが一定件数集まっており評価が高いか
- 担当者の対応が誠実で丁寧か
ドレンパンの汚れが気になってエアコンクリーニングを依頼するのに、ドレンパンをきちんとクリーニングしてくれないと意味がありません。取り外して手洗いしてくれるか、または高圧洗浄でもドレンパン部分をきちんと洗浄してくれるかを質問しましょう。
エアコンクリーニング業者選びは相見積もりで比較しよう
エアコンクリーニング業者を選ぶときは相見積もりを取りましょう。
1社の見積もりのみで決めてしまうと、見積もり料金が相場通りなのかそれとも高いのかなどが分かりません。
ミツモアは地域で活躍するエアコンクリーニング業者から無料で見積もりが取れます。
最大5社から見積もりが届き、見積もりの比較検討も簡単なので自分にあった業者が見つけやすいです。