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労働組合とは?会社側のメリットや要求への適切な対応を解説

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最終更新日: 2024年03月07日

労働者は、就業規則や就労状況に改善の要望があるとき、企業に対して団結して働きかける権利があります。労働組合は同じ目的を持った労働者が集まる組織です。会社側は労働者の訴えが適法であれば、法に則して誠実な対応が望まれます。

労働組合とは?

厚生労働省によると、労働組合とは「労働者が主体となって自主的に労働条件の維持、改善や経済的地位の向上を目的として組織する団体」のことです。

労働組合は「日本国憲法」第28条と「労働組合法」により、その存在と権利を保障されています。

参考:労働組合|厚生労働省

労働組合の目的を知ろう

労働者の働く環境の改善を雇用主に訴える場合、個人が自主的にそれらの要望を会社に対して行ったとしても、なかなか聞き届けてもらえないことがあります。

そんなとき、労働者が主体となり結成した組織である「労働組合」を通じてであれば、「従業員の代表」として会社側と労働条件の改善を目的としたさまざまな交渉を行うことが可能です。

なお、労働組合は、主に3種類の組織形態があります。

  • 単位組織組合:労働者が個人で加入。同一企業内の労働者で構成されており、支部などもない
  • 単一組織組合:労働者が個人で加入。同一社内だけでなく「社外組合」の場合もある。本部と支部があり、支部は上位から「連合扱組織」「単位扱組合」という
  • 連合体組織(協議体組織):組織ごと(単位組織組合または単一組織組合)で加盟。団体同士の連合体。組織内で決定したことに対して、連合体組織は順従の義務があるが協議体組織は拘束されない

近年、労働人口が減少してきたこともあり、労働者側の意識も大きく変わってきました。社内に労働組合が存在しない会社もある一方で、社内では労働組合を結成せず、社員が単身で加入できる労働組合も増えています。

労働者を守る権利と法律

日本国憲法第28条では、労働者の団結・団結交渉・団結行動が保障されていますまた、労働組合法においても「団結権」「団体交渉権」「団体行動権」が認められています。

この三つの権利が「労働三権」です。

  • 団結権:労働者が労働者と対等な立場で交渉するために、労働組合を作ったり、組合に加入できたりする権利
  • 団体交渉権:労働組合が労働者側と労働条件や労使関係などの改善を交渉できる権利
  • 団体行動権:争議権ともいい、団体交渉が行き詰まったときにストライキなどを行い要求受諾の圧力をかける権利
参考:日本国憲法|e-Gov法令検索
参考:労働組合法|e-Gov法令検索
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労働組合の現状

近年、労働組合の数は減少しています。しかし、労働組合へ参加する労働者や組合員の数は、少しずつ増加している傾向です。一見すると矛盾しているようですが、一つ一つの組合の規模が大きくなっていることが推察できます。

企業内組合は減少傾向へ

厚生労働省が発表した「2021度組合基礎調査の概況」によると、労働者全体数のうち、単一労働組合への加入率(推定組織率)は約16.9%です。

同年の全国の労働者数が約5,980万人であることから、全体的に見て労働者の約6人に1人が労働組合に加入していることになります。

しかし、この加入比率は2017年度から大きく変化していません。これに対して、単一労働組合数は2017年の2万4,465組合から、2021年には2万3,392組合と減少傾向にあることが分かります。


正規・非正規を合わせた労働者数は、2017年の5,848万人に比べて、2021年は5,980万人と増加しました。

組合員数は約10万人増えて1,007万8,000人となっており、企業内組合が減少傾向にあることに対して、組合員が増加していることが分かります

また組合員のうちパートタイム労働者は、2017年の120万8,000人に対して2021年では136万3,000人と増加傾向です。

このうち、組合員数に占める割合も2017年の12.2%から2021年には13.6%へと増加していることから、正社員以外の労働者が労働組合に参加するケースが増えていることがうかがえます。

参考:パートタイム労働者の状況|厚生労働省

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会社側の影響と向き合い方

労働組合を設置することにより、会社側にはどのような影響が及ぶと懸念されるでしょうか。同調査から、中小企業では労働組合が設置されていない会社が多いことも分かります。

会社側のメリット、デメリット

企業規模別に見ていくと、1,000人以上の企業では労働者数1,481万人に対して労働組合員数580万3,000人、それ以下の企業では労働者数約3,910万人に対して労働組合者数約295万9,000人と大企業の方が加入する人員が多くなっています。

労働組合を設置した場合、会社にどのような影響があるのでしょうか。労働組合を設置し、職場改善が行われれば、意見が通ることを実感して従業員の意欲の向上につながります

職場に対する不満の声などを、直接拾い上げられるようになるでしょう。労働現場で起こる問題をいち早く把握できるようになり、コンプライアンスの強化につながることで業績の促進にもつながります。情報の共有化が促進されることにより、個別労使紛争などを未然に防ぐことも可能です。

一方で、労働者との交渉の結果、保障や制約が増えるケースがある点はデメリットです。労働組合が交渉を要求した際、企業は法律により交渉に応じる必要性があります。

労働者の意見を押し切られると、会社の方針にはなかった制度や待遇を新たに取り入れる必要が出てくるかもしれません。

参考:企業規模別(民営企業)の状況|厚生労働省

不当労働行為は禁止されている

不当労働行為とは、使用者(会社・事業者)が労働組合や労働者に対して労働三権を侵害するような強硬な態度を取ることです。労働組合法第7条第1号から第4号までにおいて禁止されている行為を、不当労働行為と呼びます。

参考:不当労働行為とは|厚生労働省

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不当労働行為の具体例

労働組合法では不当労働行為は禁止されていますが、法的な罰則はありません。しかし、使用者が行ったことの中で「不当労働行為があった」と思われる場合には、「不当労働行為救済制度」を活用するのが良いです。

労働者や労働組合は「労働委員会」に対して申立てをすることで、その使用者の行為に対する救済を求められます。

参考:不当労働行為救済制度の概要|東京都労働委員会

不利益扱いと黄犬契約

労働組合に関係したことを理由とする労働者の解雇や降格、左遷などの冷遇を「不利益取扱い」といいます。労働組合法第7条第1号や労働基準法104条第2項で禁止されている行為です。

黄犬契約(おうけんけいやく)とは、労働者を雇用する際に労働組合に加入しないことや労働組合から脱退することを、使用者が雇用する条件として提示することです。

条件をのまなければ労働者は入社できないため、会社側が不当に圧力をかけていることになります。日本国憲法第28条を侵害する行為であり、こちらも労働組合法第7条1号に抵触します。

団体拒否と不誠実団交

労働組合が申し入れた団体交渉を、正当な理由がないにも関わらず拒否する行為を「団体拒否」といいますまた、拒否はしなかったものの、使用者が真摯に対応しない場合は「不誠実団交」に当たります

不誠実団交とみなされるのは、使用者が業務に追われているからと団体交渉の開催日を引き延ばし続けるケースや、賃上げが目的の団交に対し賃金の裁量権が無い労働者しか出席していないケースです。

労働組合法第7条第2号では、これらの行為を「正当な理由のない団体交渉拒否」として禁止しています。

支配介入と経費援助による組合間差別

社内に2つ以上の労働組合がある場合、特定の労働組合だけを優遇、もしくは特定の労働組合のみに不利な扱いをすると「組合間差別」として不当労働行為に問われます。別の組合員や組合員でない人と異なる不利な取扱いをした場合も同様です。

労働者が労働組合の結成や運営に対して、使用者が妨害する行為も「支配介入」とされます。よくあるのは、結成後に組合活動の中心人物を解雇や配置転換するケースです。

組合員に脱退を働きかけたり、組合活動を非難する発言をしたりすることも、立場上心理的な圧力をかけることになるため認められていません。これらは、労働組合法第7条第3号で禁止されています。

報復的不利益取扱い

労働組合法第7条第4号では「労働委員会に不当労働行為の救済申立てをしたこと」や「申し立てによって労働委員会の調査が入ったこと」を理由とする報復的な行為を、不利益取扱いとして禁止しています。

事例としては、配置転換や解雇、賃金や一時金などで差別的な扱いをしたり、ほかの社員とは明らかに異なる対応で業務に支障が出る場合などが挙げられます。

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労働組合から申し入れがあったときの対応は?

使用者が社外の労働組合に加入した場合や、社内の労働組合からなんらかの申し入れがあった場合、使用者はその要求に応じて適切に対処しなければなりません。
焦らず、提案内容に応じた対応が必要となります。

通知書や申請書は迅速に回答

労働組合からの団体交渉の申し入れに対して、使用者は誠実に応じる義務が法的に課されています

使用者が社内外の労働組合に加入した際に通知される「労働組合加入通知書」や「団体交渉申入書」には、必ず返信をしましょう。書面の内容を受領したとしても、労働者の要求をのんだということにはなりません。

単に話し合いを拒否したり、打ち切ったりするといった明確な拒否行為や団体交渉の拒否は労働組合法第7条第2号の不当労働行為に該当することがあり、違法となることもあります。

交渉は事前準備を徹底して臨む

使用者には話し合いに応じた後も「誠実交渉義務」が課せられています。交渉を受け入れる際にはまず、交渉内容の検討をする時間の確保が必要です。

労働組合が交渉を求める事項のうち、労働者の労働条件にかかわらない点や会社として関与しえない事柄については、法的に団体交渉に応じる義務はありません。

使用者は労働組合との交渉に際して「想定問答」などを策定するのが賢明です。使用者間で共有することで、労使紛争の争点となっている事実関係の再確認などを行う必要があります。

交渉は社外で冷静に

労使交渉に際しては「労働条件等に関して決定できる人の参加」が義務となっています。ただし、社長など経営層の参加は義務ではありません。

また、話し合いの場所を社内にするのは推奨できません。団体行動権の行使でストライキなどの争議行為を起こされると、業務に支障が出ることもあります。

交渉は「社外で労働組合側と同人数に近い数で行う」のが良いでしょう。また、冷静に対応するために、専門家の力を借りるのも一つの方法です。

関連記事:ストライキとは?経営者が知っておくべき対処法と防止策を紹介

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正当な要求は適切に対応を

労働組合は労働者の権利であり守る法律もある。会社側にもメリットデメリットがあります。会社側は不当な対応をとらず、申請や通知に対して返答しつつ専門家へ頼るのもおすすめです。

交渉自体は労働環境を改善するための行動であるため、不当な要求は受けなくて良いものの誠実に対応しましょう。

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