ミツモアメディア

ハマキムシの幼虫を駆除!有効な農薬や発生時期・卵の予防方法を紹介

最終更新日: 2022年04月15日

お庭の葉っぱがくるりと丸まっていたり、2枚合わせにつづられていたりする不思議な光景を見たことはないでしょうか。もしそのような葉っぱを見かけたら、既にお庭の中に大量のハマキムシが潜んでいるかもしれません。

今回は葉っぱを巻いてしまう困りもの「ハマキムシ」の対策についてご紹介していきます。知っておくべき特徴や発生時期・駆除方法についても解説。ぜひ参考にしてみてください。

ハマキムシはどんな虫?

ハマキムシはその名の通り、葉を丸めてしまう虫です。植物の見た目を悪くするだけでなく、光合成が正常に行われない状態にしてしまいます。またつぼみや果物を食べる食害ももたらします。

ハマキムシを駆除する方法は?

被害が広範囲の場合は、農薬や殺虫剤を用いて駆除しましょう。薬剤を使用する場合は、オルトランやスミチオンがおすすめです。ハマキムシが葉の中に隠れている場合は、一匹ずつ捕殺するしかありません。ハマキムシがいる葉をハサミで切って処分しましょう。

ハマキムシとは?知っておくべき生態や特徴

ビロードハマキガ

ハマキムシとはハマキガ科に属している蛾の幼虫の総称です。名前を漢字で書くと「葉巻虫」となり、読んで字の如く葉っぱを巻く虫ですね。体のサイズはあまり大きくありません。種類にもよりますが体長は2㎝前後、成虫であるハマキガとなっても1.5㎝ほどです。

ハマキムシの一番の特徴は、葉っぱをくるりと丸めてしまう生態でしょう。葉を丸めることで景観を悪くしてしまいます。また、食害を起こして植物に深刻なダメージを与える点にも要注意です。

ハマキムシの発生時期や成長サイクル

特に気温の上がる7月から9月はより活発に活動します。11月から3月までの時期(幼虫の時期)は活動的な姿こそ見せませんが、巻いた葉の中にひっそりと隠れています。しかし暖かければ普通に活動するので、地域によっては1年を通して姿を見られるでしょう。ハマキムシは卵から2週間ほどで孵化。1ヵ月ほどの幼虫期間を経てサナギになり、その後成虫へと成長します。比較的成長サイクルが早い虫なので、春から秋の長い期間に何度も「卵→幼虫→成虫」のサイクルを繰り返します。そのため駆除したあとに再発する可能性もあり、継続的な対策が必要なのです。

ハマキムシの種類

一口にハマキムシと言っても細かく分けると種類は非常にたくさんおり、日本国内だけでも何と500種類以上もいます。中でも特によく見かけるハマキムシは以下の2種類です。

  • チャハマキ:頭が茶褐色、体がやや小さめ
  • チャノコカクモンハマキ:頭が黄みがかかった茶色、チャハマキに比べると大きめ

他にも「カクモンハマキ」や「リンゴコカクモンハマキ」など色々な種類のハマキムシがおり、有識者でも正確に判別をつけるのが難しいほど。とはいえ「ハマキムシの種類によって対策が違う」というようなことはありません。違いは主に食べ物のみ。そのため、特に種類については気にしなくても良いでしょう 。

ハマキムシが発生しやすい(好む)植物

先ほどお伝えした通り、ハマキムシには非常にたくさんの種類がおり、種類によって好んで食べる植物も様々です。ここではチャハマキとチャノコカクモンハマキ(代表的な2種)が発生しやすい植物をご紹介します。

・チャハマキ:サクラ・ツツジ・キンモクセイ・ツバキ・ウメ・柑橘類など

・チャノコカクモンハマキ:ブドウ・柿・柑橘類・バラなど

ガーデニングでハマキムシの被害が特に多いのがバラやオリーブなど。柿やリンゴなどの果樹にもよく見られます。また花や果実だけでなく、野菜の葉にもハマキムシは発生するので、畑で野菜を育てている方も十分な注意が必要です。

成虫ハマキガの生態

ハマキムシが成虫となったハマキガ。種類にもよりますが、見た目は一般的なガのイメージ通りで、やや茶褐色の地味目な色合いをしています。体長は1㎝~2㎝程度で、主に夜行性の種類が多いです。

植物に深刻な食害を与えてくるハマキムシですが、成虫となったハマキガは無害。ドクガのように毒を持っている訳でもないので、虫が苦手な人にとって少々不快なぐらいでしょうか。

ただ直接的な悪影響はないと言っても、成虫は卵を産んでハマキムシを増やしてしまいます。極力お庭には近づけないようにした方が良いでしょう。

ハマキムシの被害!葉や果実の食害に注意

ところどころ虫に食われた葉

ハマキムシは植物の葉っぱを食べます。被害にあった葉は表面が白く透明になり、正常に光合成を行えなくなってしまいます。その結果、植物の生育が遅れてしまうことがあるのです。また小さく弱い株だと、最悪の場合絶えてしまう可能性もあります。

植物の見た目が悪くなってしまうのも、ハマキムシの深刻な被害の1つです。ガーデニングを楽しんでいる方にとっては、むしろ美観を損なう被害の方がより重大な悩みですよね。葉を食べられ色が悪くなってしまうだけでなく、糸で葉をくるりと巻かれてしまうのも見た目を損なう要因ですね。

ハマキムシは葉だけでなく、つぼみも好んで食べるのでお花を育てている方は特に注意が必要です。つぼみを食べられることで綺麗な花が咲かなくなったり、せっかく咲いても花を台無しにされたりする場合があるのです。

さらにハマキムシは果実も食べるため、落果の原因になり収穫量が減ってしまうことも。放っておくと大きな被害に繋がるので、ハマキムシの存在に気づいたら早めの対策を取るようにしましょう。

ハマキムシ被害の確認方法・見つけ方

ハマキムシの被害の確認方法はいくつかあります。

まず、葉っぱがくるりと巻かれていたら確実にハマキムシの被害を受けていると断定して良いでしょう。また植物に蜘蛛の糸のようなものが付いている場合も、分かりやすいハマキムシ被害のサインですね。他にも葉っぱが傷ついて斑状に白くなっていたり、葉の表面にハマキムシの糞である黒いぷつぷつが付いていたりしたら警戒をしておきましょう。

ハマキムシの駆除方法!葉の中に隠れている場合はどうする?

害虫駆除業者

もしもハマキムシによる被害を受けているのが分かったら、早急に対策を行う必要があります。以下の方法がおすすめです。

  1. 農薬や殺虫剤を使う
  2. 一匹ずつ捕殺する

ご家庭でも簡単に出来る方法をご紹介するので、ぜひ活用してみてくださいね。

駆除方法1:農薬や殺虫剤を使う

被害が既に広範囲に渡っている場合は、農薬や殺虫剤を用いて駆除するのが手っ取り早いでしょう。薬剤を使用する場合はオルトランやスミチオンなどの商品がおすすめですよ。

オルトラン剤は成分を植物の根から吸収させ、その植物を食べた虫を駆除する薬剤。広範囲の駆除に特におすすめです。吸収タイプなので効果が出るまでに時間がかかりますが、その分持続力も高いです。

スミチオン剤は直接薬剤を吹きかけるタイプで、ご家庭での害虫対策の定番商品。ただししっかりと葉に散布しないと効果を十分に発揮できないので、丁寧に吹きかけてあげましょう。

駆除方法2:一匹ずつ捕殺する(無農薬)

以下のような場合には、一匹ずつ捕殺する方法を試してみてはいかがでしょうか。

  • 薬剤を使用するのに抵抗がある
  • ハマキムシが葉の中に隠れている

ハマキムシが葉の中に隠れている場合は、殺虫剤が届かず効かない場合があります。そのようなときには葉ごと切り落として捕殺するのがおすすめ。

やり方はとても簡単で、ハマキムシがいる葉をハサミで切ったり引っ張ったりして取り除くだけです。直接触るのに抵抗がある方が多いと思うので、手袋の着用をおすすめします。

ハマキムシの予防方法!寄せ付けないための対策とは?

テントウムシ

いくら一生懸命駆除をしても、年に何度も産卵をして発生するハマキムシ相手では、イタチごっこになってしまうことも……。そんな場合はそもそもハマキムシが発生しないように、予防を行うようにしましょう。

以下のような方法がおすすめです。

  1. 防虫ネットを使う
  2. 卵の時点で駆除する
  3. 木酢液を撒く
  4. 天敵に任せる

予防方法1:防虫ネットを使い成虫に産卵させない

ハマキムシが近づけないように、物理的にシャットアウトしてしまう防虫ネット。これによって

成虫が産卵するのを防ぐことができます。ハマキムシは小さい虫なので、出来るだけ網目の細かいネットが良いでしょう。

ただ防虫ネットをかけると景観を損ねてしまい、ガーデニングを楽しんでいる方にとっては本末転倒と思うかもしれません……。そういった場合は夜間だけでも防虫ネットをかけるのはいかがでしょうか。

ハマキムシの成虫であるハマキガは夜行性なので、卵を産みにくる夜の間に防虫ネットを掛けるのはとても効果的です。夜間なら防虫ネットが掛かっていても景観への影響は少ないですよね。また、そもそもハマキガが寄ってこないように、夜間は植物の近くにある明かりを消しておくのもおすすめですよ。

予防方法2:卵の時点で駆除する

卵から孵化して幼虫になる前に、卵の時点で駆除する方法です。ハマキムシの卵は黄色い楕円形をしており、葉の表面に数十個単位で産みつけられます。注意深く観察すれば、よく見ると葉の表面に黄色いぷつぷつがあるのが分かるはずです。

ハマキムシの卵は4月から10月の間は常に発生する可能性があり、特に気温の高い夏場は成虫も活動的になります。卵から孵化するまでに2週間はかかるので、週に1度ほど卵が産みつけられていないかチェックをしておくと良いでしょう。

予防方法3:木酢液を撒く

木酢液をご存知でしょうか。木酢液とは炭を作るときに出る煙を冷やした液体で、虫を近づかせない効果があると共に、植物を元気にしてくれる効果もあります。殺虫能力こそありませんが植物由来の無農薬なので、薬剤を使用したくない方にもおすすめです。

木酢液は自宅でも作ることが可能です。木炭を作る際に出る煙をパイプに通して集め、そのパイプの先にバケツやガラス瓶などを置いておきます。溜まった液体を3ヶ月ほど冷暗所で動かさずに保管すると、油分・木酢液・タールの3層に分かれるので、木酢液だけを抽出して使用します。

ただし、自作の労力を考えると購入した方が断然おすすめですよ。

木酢液は強力な酸性です。保管する容器がプラスチックだと溶けてしまう可能性があることに注意してください。また使用の際は原液のままだと強すぎるので、500倍ほどに希釈して使用するようにしましょう。

予防方法4:天敵に任せる

自然界には何にでも天敵という存在がいるもの。小さな虫であるハマキムシは天敵だらけです。具体的には以下のような生き物が天敵になります。

  • クモ
  • カマキリ
  • アリ
  • ハチ
  • テントウムシ
  • カエル

お庭にカマキリやクモがいる場合、見逃してあげればハマキムシ退治に一役買ってくれるかもしれませんね。