ハナムグリはコガネムシ科に属する昆虫です。仲間にはカナブンやコガネムシがいますが、生態はかなり異なります。また、ハナムグリ自体にもいくつかの種類があり、見分け方を紹介するとともに、益虫か害虫かについても解説していきます。
ハナムグリはどんな昆虫?
ハナムグリと耳にしても、似たような昆虫が多い中で混同していることもあるかもしれません。そこで、まずは基本的な知識について確認してみましょう。
ハナムグリの基本情報
カブトムシはとても人気のある昆虫ですが、ハナムグリも同じ「コガネムシ科」に分類されています。
世界中に分布しており、国内だけでも約360種類もの数が生息しているといわれています。また、体を守るために前バネが硬い点が特徴で、鎧(よろい)のような役割を果たしているのです。
分布する範囲はとても広く、北海道から沖縄、各地の離島に至るまで広がっています。4~7月にかけて成虫として活動を始め、その体長は16~20mmです。
前頭部や腹面は赤銅(あかがね)色をしており、胸の部分や前翅(まえばね)は緑色か黄緑色をしています。頭部や腹側を覆う腹板に長めの毛が生えていることも特徴のひとつです。
カナブン・コガネムシとの見分け方
同じコガネムシ科であるカナブンやコガネムシですが、見分け方がわからないと混同してしまいます。しかしポイントを掴むと、簡単に見分けられるのです。
カナブンは、ハナムグリと比べて体全体がやや細身で角ばっています。背中の羽の付け根に大きめの逆三角形が付いており、着目すると見分けるのに便利です。また頭の形が小さな四角形をしています。
コガネムシは、体全体が丸みを帯びており、ハナムグリやカナブンのように角ばっていない点が大きな特徴です。また腹面だけでなく、手足にも細かい産毛が生えている点にも違いが見られます。
カナブンやコガネムシはつやつやとしており、模様のない緑色や茶色をしていることが多いでしょう。対してハナムグリは全体に白い斑点と細かい毛に覆われており、光沢はない種類もあります。またハナムグリは木の幹より、花などの近くで見ることが多いことも特徴です。
幼虫の生態
ハナムグリの幼虫は土の中で育ちますが、蛹(さなぎ)になるまでは「蛹室(ようしつ)」の中にいるのです。少しずつ体を動かしながら身の回りに空間をつくり、糞などを内側に付着させて壁を築いて「土繭(つちまゆ)」と呼ばれる蛹室を形成し、蛹になります。
幼虫の形状はカブトムシやカナブンととても似ていて、ほとんど同じ形にみえます。
ハナムグリの幼虫は動きに特徴があります。それは、動くときにお腹側の面を地に着けるのではなく、仰向けの状態になり、背中で這って動くというものです。
頭部の大きさや色でも判別するポイントがありますが、慣れた人でないと区別することは難しいでしょう。
ハナムグリの主な種類
数多くの仲間がいるハナムグリですが、その中から、代表的な種類について紹介しましょう。
シロテンハナムグリ
白い斑点が体に広がっていることから名付けられた名称です。腹部側は長方形のような形をしていて、羽のある背側は平坦になっています。成虫は25mmほどの大きさになり、とても硬い前バネを持つ種類です。
同じシロテンハナムグリでも固体によってその色はさまざまで、赤銅色のものや緑がかったものなどがあります。共通している特徴としては、光沢があり、輝くように発色する美しさがある点です。
樹液を好むため、木の幹で活動します。越冬する成虫が多く生命力が強いことも特徴で、条件が合えば全国どのエリアでも繁殖します。
ナミハナムグリ
北海道から九州にかけて生息し、活動場所は平地から山地にまで広がっています。成虫は4~7月頃まで活発に行動し、昼行性であるため夜が明けると行動を開始する種類です。
緑色に白い斑点が広がった体をしていて、表面には黄褐色をした毛が生え広がっています。名称の始めにある「ナミ」は「並み」に由来しており、一般的でよく見かける種類であることを表しているのです。
成虫の体長は16~19mm程度で、体全体に毛が生えておりふわふわとした外見をしています。色は鮮やかな黄緑色から深緑色をしており、光沢はあまりありません。
シラホシハナムグリ
17〜22mmと、ハナムグリの中では比較的大きな体長である点が特徴です。太く短めな体型で、前脚も他の種類よりも短い特徴があります。
多様な環境でも活動するハナムグリですが、シラホシハナムグリは、北海道や東北地方といった寒冷地での生息が少なく、比較的暖かい本州南に生息しています。
金属に似た暗いあかがね色(暗銅色)のような光沢を放つ外羽を持ち、その表面にある白い斑点が一定部分に集まっていることから、帯のように見えることが独特です。
ハナムグリは害虫?益虫?
木の幹や花に寄って来る昆虫には、害虫もいれば益虫もいます。ハナムグリはどちらなのでしょうか。
植物の葉や根は食べない
コガネムシ科の中で、ハナムグリととてもよく似ている昆虫はカナブンとコガネムシですが、害虫として位置付くのはコガネムシだけです。植物の葉や根を食い荒らしてしまうこともあるコガネムシには、注意が必要です。
ハナムグリやカナブンが、葉や根を食べることはありません。幼虫は、腐葉土から栄養を得て育つことから、腐葉土の分解を促進し、土壌を豊かにするため益虫といえるでしょう。
花粉を運ぶ役割がある益虫
ハナムグリはたいてい、花の蜜や樹液を好んで食します。そのため、いろいろな植物を次々と飛び渡る習性があるのです。
花の蜜を求める種類では、蜜を吸う際に体毛や脚などに花粉が付着します。そして、別の花へと花粉を運んでいくことで、授粉を助ける働きを担っているのです。
花の受粉を助け、幼虫期には腐葉土を食べることで分解を促すため、コガネムシと間違えてむやみに処分しないようにしましょう。
ハナムグリは放っておいても大丈夫!
大切に育てている植物に虫が寄ってきていると、悪影響を及ぼさないかと警戒してしまうものです。しかし、ハナムグリに関しては、特に問題はありません。
腐葉土を食べる幼虫は土壌を肥やし、成虫も葉や幹、根を食べることがありません。ハナムグリを見つけても、心配は無用です。
虫の特徴をよく見極めて、ハナムグリなら放っておいてあげましょう。
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