混合水栓(混合栓)は取り付け方によって台付タイプと壁付タイプとに分かれ、交換する方法・注意すべきことは異なります。
また浴室の場合には「サーモスタット混合水栓」という特殊なものを使っていたり、洗面台ではまれに「コンビネーション式」の蛇口が使われていたり……。
この記事では、混合水栓の交換に必要な基礎知識と、具体的な交換方法、そしてその際の注意点を解説していきます。
交換したい混合水栓のタイプを確認
混合水栓(混合栓)とひとくちに言っても、いくつかの種類があります。
種類によって交換手順が異なるので、まず自宅の水栓のタイプを確認しましょう。
水栓の種類
水栓は主に4種類に分けられます。それぞれ交換方法が異なるので、まずは水栓の種類についてご紹介します。
壁付タイプ
壁に付いているタイプの蛇口を、壁付タイプと呼びます。主に浴室に取り付けられているタイプです。
「サーモスタット混合水栓」と呼ばれるタイプは、浴室に設置されています。ハンドルが2つあり、「水温用」と「カラン/シャワー切替」という役割を持っています。
台付タイプ
蛇口が台に直接付いているのが台付タイプです。洗面台やキッチンでよく使われており、「カウンターキッチン」は台付タイプに当てはまります。
デッキタイプ
デッキタイプは、浴室で使われる蛇口です。蛇口の台が、浴槽のふちの部分に直接付いています。温度調節がしやすいという特長があります。
コンビネーションタイプ
コンビネーションタイプは、よく公共の施設の洗面器などで見る蛇口です。蛇口とレバーが分離しています。
設置穴の数・レバーの種類
蛇口の設置部分が1つであれば「ワンホール」、2つであれば「ツーホール」です。これは給水用の穴の数を示しています。
ワンホールの蛇口
ツーホールの蛇口
また、レバーは温水/冷水それぞれにつまみが付いていれば「ツーハンドル」、1つのレバーだけで温水/冷水を切り替えるものは「シングルレバー」です。
混合水栓を購入する前のサイズの測り方
ご自身で混合水栓を購入する場合、前もってサイズを測っておきましょう。ここでは、測る箇所についてご説明します。
取り付け箇所にある「給水用の穴」のサイズ、そして「穴の中心同士の距離(穴心間)」を確認しておく必要があります。
取り付け穴サイズ
取り付け穴サイズは、穴の直径を測ります。
TOTO、LIXIL、KVK、SANEIなどの大手国内メーカーであれば、基本的にサイズが共通しているので問題なく取り付けできるはずです。33~39mmと、おおむね同じサイズになっています。
しかしオシャレな海外製の輸入品などの場合には、規格が違って取り付けられないことがあるので注意しましょう。
国内メーカーでも、製品によっては一部規格が異なるので、一応図っておくのが安全です。
取り付け穴心間
取り付け穴心間は、2つの給水穴の中心同士を測ります。
キッチンシンクなどの台付なら、各メーカー共通で203mmになっているので、ほとんどの場合は確認しなくても問題ありあません。また洗面台のツーホール混合水栓も102mmで共通の規格になっています。
壁付ツーホールの場合には、お湯と冷水それぞれの給水管は105~225mmの距離が目安。このあいだの長さであれば問題なく交換可能です。
問題は浴室のデッキタイプです。キッチン用のように共通の距離ではなく、85mm、105mm、120mmの3種類あるので注意しましょう。蛇口下に点検口があるので、下からのぞいて確認できます。
もし、蛇口のタイプそのものを変えたい場合は、DIYではなく業者に依頼しましょう。
特にコンビネーションタイプの混合栓は、ツーホール同士でもDIYで交換するのは難しいと言えます。
難しく感じたら無理せず業者に依頼がおすすめ
混合水栓やパッキンの交換は自分でも可能ですが、もし水漏れを確実に防ぎたいならプロの専門業者へ依頼するのがオススメです。
日頃からDIYで作業に慣れている人でも、水漏れの原因を正確に突き止めて対策するのは容易ではなく、失敗して怪我や破損によりトラブルを大きくするリスクもあるからです。
混合水栓の交換を業者に依頼する場合の費用相場
混合水栓の交換をプロの専門業者に依頼する費用の相場は、8,000~30,000円くらいが目安です。
費用相場の幅が大きいのは、交換する蛇口の条件に左右されるため。たとえば「今はツーホール水栓だけど、ワンホールにしたい」ときなどは、その分の工賃が上乗せになります。
一方で水漏れの修理だけのときや、同じメーカー・同じ設置方法の蛇口に交換するときには、比較的に費用が安く済むでしょう。
混合水栓の交換に必要な工具
混合水栓の交換で準備するアイテムは、DIYで使用するありふれた工具ばかりです。水回り部品であることから、交換用の工具だけでなく、水漏れ防止などのアイテムも用意することをおすすめします。
- モンキーレンチ、または水栓レンチ
- 六角レンチ
- シールテープ(壁付タイプのみ)
- マイナスドライバー
- 雑巾、ビニール
- バケツや洗面器
- 歯ブラシなど
混合水栓はナットなどで固定されているので、モンキーレンチや六角レンチは必須。モンキーレンチの代わりに「水栓レンチ」を使えば、力を入れずに作業できるのでオススメです。
また混合水栓の交換をするときは、止水栓を閉めて、水が出ない状態にする必要があります。そのときにマイナスドライバーを使うことがあるので、あらかじめ用意しておきましょう。
雑巾やビニール、バケツなどは床濡れを防ぐために使います。歯ブラシは、壁の給水管を掃除するときに必要です。
壁付タイプの混合水栓なら、シールテープも用意しておきましょう。壁と蛇口との接続部分から水が漏れないように、隙間を埋めてくれる必須アイテムです。
ちなみに混合水栓以外の交換方法については、以下の記事でも詳しく解説しています。
関連記事:蛇口を交換する方法 | ミツモア |
壁付タイプ混合水栓の交換方法
キッチンなどに多い、壁付タイプの混合水栓の交換方法を紹介します。浴室のサーモスタット混合栓も、壁付タイプであれば同じ方法で交換可能です。
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ポイントは、偏心菅をいったん仮設置するところ。それぞれの手順を詳しく解説していきます。
もしキッチンの混合水栓を交換したいなら、ぜひ以下の記事も参考にしてみてください。
止水栓を閉め、残留水を出しきる
まずは止水栓を閉めます。壁付の場合には配水管が壁のなかを通っているので、家全体の元栓を止めてしまいましょう。
また止水栓を閉めた状態で、レバー・ハンドルを開けて、残留水を出しきっておきましょう。
キッチンの混合栓や、浴室のサーモスタット混合栓はお湯も出てくるので、あらかじめ水を止めて残留水を抜かないと、火傷をする恐れがあります。
混合水栓と偏心菅(クランク)の固定ナットを外す
次に、まずは偏心菅(クランク)という壁と蛇口本体の接続部品を外しましょう。モンキーレンチで、蛇口本体側のナットを緩めます。
画像のように、蛇口本体だけを取り外すことができます。
クランクを半時計回りに回して外す
次に偏心菅(クランク)を壁の給水管から取り外しましょう。反時計回り(左向き)にひねります。
このときいきなり力を入れてしまうと、壁内の給水管も一緒に回ってしまったり、よじれてしまったりすることがあります。
その場合は壁を開けて大規模な修理をする必要があるので、慎重に力を入れましょう。
給水管の穴を掃除
偏心菅(クランク)を外すと、古いシールテープや水アカなどがボロボロと落ちてきます。給水管の穴を歯ブラシなどでキレイに掃除して、新しい混合水栓を取り付ける準備をしましょう。
このとき給水管の穴をのぞくと、サビやコブが見えるかもしれません。取り除きたいところですが、ドライバーなどでムリに力を加えると、給水管が破損してしまいます。
ツンツンと弱い力でつついてみて、慎重に取り除きましょう。
クランクを仮設置、回転数と高さを確認
新品のクランクを、まずは仮設置します。シールテープも何も巻いていない状態で、時計回り(右向き)に回しましょう。
このとき、2つのクランクの高さが水平になるまでの回転数を数えておきます。
本番で取り付ける際には、このときの回転数が基準です。左右で回転数が違うこともあるので、大事な確認作業です。
クランクにシールテープを巻く
仮設置したクランクをいったん取り外し、給水管と接続するネジ部分にシールテープを巻きましょう。
ネジ側から見たときに、時計回り(右向き)に8~13周ほど回します。
ネジの先端から3cmほどの位置でスタートし、根元に向かって軽く引っ張りながら巻くのがコツです。
クランクを取り付けていく※回しきらない
シールテープを巻き終わったクランクを、壁の給水管に取り付けます。時計回り(右向き)です。
先ほど数えた回転数から、それぞれ1周を差し引いた回数で取り付けます。ただしこのとき、右側のクランクを回しきらずに、少し手前でストップしてください。
このとき回しきらないのは、あとで調整するときにクランクを逆向きに回転させてしまうと、シールテープの密着がうまくいかなくなるからです。
もし誤って逆回転させてしまったら、もういちどシールテープを巻くところから再開する必要があります。
混合水栓とクランクとを接続
右のクランクが回りきっていない状態のままで、混合水栓の本体と接続します。モンキーレンチを使って、ナットで固定しましょう。
混合水栓の角度を調整
取り付けた混合水栓が水平になるように、右のクランクを時計回りに回転させていきます。
逆回転させてしまうと、シールテープを巻きなおすところからやり直す必要があるので注意しましょう。
元栓を開け、水が出ることを確認して完了
混合水栓本体が水平に整ったら、交換完了です。
元栓を開けて、水を出してみましょう。もし壁の付け根から水漏れしていたら、シールテープが機能していません。もういちど巻きなおして修理しましょう。
台付タイプ(カウンター)混合水栓の交換方法
壁付タイプと同様に、一般家庭のキッチンでよくみられる台付タイプの混合水栓。また、洗面台もこのタイプが多いですね。
交換方法は、以下の通りです。
ちなみに、ワンホールでもツーホールでも、取り付け方は一緒です。給水ホースを1つ穴から出すか、2つ穴から出すかというところだけ違います。
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シンクや洗面ボウルなどの台を挟んでの作業になるので、上下を行き来する必要があり、少し労力がかかる作業になります。
止水栓を閉めて、残留水を出す
まずは止水栓を閉めましょう。カウンタータイプのキッチンや、洗面ボウルの下の扉を開けると、給水ホースが伸びているはずです。マイナスドライバーまたはハンドルで、止水栓を閉めて水を止めます。
止水栓を閉めても、ホースの中にはそれまで流れていた水が溜まっています。蛇口のハンドル・レバーを開けて、残留水を出しましょう。
給水ホースの下に雑巾を敷き、ナットを外す
次に給水ホースを取り外します。先ほど残留水を出しましたが、まだ水が残っている可能性があるので、ホースがつながっている床部分に雑巾などを敷き詰めておきましょう。
その状態で、給水ホースの固定ナットを外し、止水栓から取り外します。混合栓は温水・冷水2つの給水管がありますが、どちらも取り外します。
混合水栓と土台との接続を解除
つぎに、混合水栓が露出している上部に戻りましょう。
混合水栓の根本を見てみてください。土台に固定するための六角レンチの穴があるはずです。
もしくはシンク台の下で、ナットによって固定されている場合も。その場合はモンキーレンチや水栓レンチを使って取り外しましょう。
この固定を解除できれば、台(カウンター)から混合水栓の取り外しができます。
混合水栓を引き抜いて取り外す
混合水栓を手でつかみ、上にひきあげて台(カウンター)から取り外しましょう。上画像のように、台座や給水ホースごと、穴から取り出すことができます。
止水栓の逆止弁を交換
ここでいったんカウンター下に戻り、止水栓の先端を見てみましょう。
上画像のような「逆止弁」という部品が付いているので、これを新品と交換しておきます。
台座、水栓を取り付け、固定
ふたたびカウンター上部に戻ります。まずは穴部分に台座を固定。その上から混合水栓を取り付けます。
ツーホールの場合には、給湯管と給水管を入れる穴を間違えないようにしましょう。
台座と混合水栓本体とが被さったら、六角レンチなどで固定します。
給水ホースを取り付け
新しい水栓のホースと止水栓とを、ナットで固定しましょう。
給湯管と給水管との2本あるので、どちらの止水栓につなぐか間違えないように注意する必要があります。
止水栓を開け、正常に水が出ることを確認して完了
これで取り付け完了です。あとは止水栓を開けて、問題なく混合水栓から水/お湯が出るか確認しましょう。
【浴室】デッキタイプ混合水栓の交換方法
浴槽のフチに付いている、台付タイプの混合水栓を、とくに「デッキタイプ」と言います。交換方法は以下です。
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デッキタイプは止水栓と蛇口本体とが一体化しているので、ある意味で取り外し・交換の難易度は低めかもしれません。
点検口を開けることさえできれば、あとは台付混合栓の交換方法と変わらないので、ここでは簡単に紹介していきます。
点検口を開け、止水栓を閉める
デッキタイプの混合水栓が付いている浴槽付近には、点検口があるはずです。そこを開けると、蛇口がつながっている給水ホースや止水栓が露出します。
温水/冷水それぞれ止水栓があるので、これをマイナスドライバーなどで閉めましょう。ちなみにデッキタイプの止水栓は、蛇口本体と一体型になっています。
止水栓の下にある固定ナットを外す
止水栓の下部分に、給水管と接続するための固定ナットがあります。これをモンキーレンチや水栓レンチで取り外しましょう。
混合水栓を取り外す
給水管との接続が外れれば、混合水栓を丸ごと取り外すことができます。浴槽の上から引っこ抜きましょう。
新しい止水栓を取り付け
新しい止水栓の部分だけ、先に取り付けます。点検口の内部から入れて、ナットで給水管と固定します。
新しい混合水栓を取り付け
次に、上から新しい混合水栓の本体部分を取り付けます。浴槽の上側から止水栓にくっつけて、接続用のナットを締めて固定しましょう。その上から、製品カバーを被せます。
正常に水が出ることを確認して完了
これで取り付け完了です。問題なく温水/冷水が出ることを確認したら、点検口をもとに戻しましょう。
【洗面台など】コンビネーション水栓の交換方法
洗面台などに多いコンビネーション水栓。レバーと蛇口本体が分離しているので、この2つを給水管でつなぐなど、すこし複雑な作業があります。手順は以下。
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レバーと蛇口と、2つの器具を取り外して交換する必要があります。しかし基本的な作業の流れ自体は、台付タイプの混合水栓と同じだと思っておいてよいでしょう。
止水栓を閉める
まずは、洗面台の下にある止水栓を閉めましょう。給水管からの水を止めることで、安全に取り外し作業をおこなうことができます。
蛇口の下に雑巾などを敷く
取り外し作業をする前に、雑巾やビニールなどを台の下に敷いておきましょう。水が漏れる可能性があるので、床を守るために必要です。
給水ホースを取り外す
給水管とつながっている部分の固定ナットを外しましょう。レバーと蛇口本体も給水ホースで接続されているので、どちらも外します。これで給水管から蛇口・レバーが独立した状態です。
台座の固定を解除
コンビネーション水栓は、台の下にある部品によって固定されています。これを、水栓レンチで取り外しましょう。
混合水栓とレバーを取り外す
台の下にある固定具を外し、給水管との接続も解除されているので、あとは上から引き抜くだけで取り外しできます。
レバー部分と蛇口部分、どちらも取り外しましょう。
止水栓の逆止弁を交換
給水管の止水栓のなかで、給水ホースとつながっていた先端部分には、「逆止弁」という部品が付いています。これをモンキーレンチなどで取り外し、新品の逆止弁と交換しましょう。
台上に混合水栓とレバーを取り付け、固定
あとは、これまでの取り外し作業と逆順に、新品のコンビネーション水栓を取り付けていくだけです。レバーと蛇口それぞれを台の上から取り付け、台の裏側から固定しましょう。
給水ホースをクリップとキャップで固定
次に、さきほど新しい逆止弁と、蛇口の給水ホースとを接続します。その上から、クリップとキャップを取り付けて、固定しておきましょう。
レバー側と蛇口側とをホースでつなぐ
最後に、レバーの動きに反応して水が流れるようにするために、レバーと蛇口とを給水ホースでつなぎます。
正常に水が出ることを確認して完了
止水栓を開けて、水が出るか確認しましょう。台の下から水漏れしていると後から気づきにくいので、入念にチェックしておくと安心です。
水漏れならパッキンの交換で解決することも
もしいま混合水栓を交換したい理由が「水漏れ」などであれば、場合によっては部品交換だけで直ることがあります。
たとえば蛇口のパイプ部分(スパウト)や壁との接地部分から水漏れしている時には、パッキンやシールテープの劣化が考えられます。
もうひとつの基準になるのは、蛇口の寿命です。一般的に蛇口は取り付けから10~15年程度は使用できます。もし取り付けから5年くらいの範囲内であれば、修理の方がお得になるでしょう。
もし自分で部品交換をするなら、いま使用している蛇口の「純正部品」を取り寄せるのがオススメです。メーカーのホームページなどから、蛇口の型番によって調べることができます。
もしどうしても正規品が見つからないときには、劣化しているパッキンを取り外し、サイズなどを計測してみましょう。代用できる汎用品を取り付けることで修理できます。
蛇口の水漏れが気になる方は、ぜひ以下の記事をもとに「修理がいいか、交換がいいか」を考えてみてください。
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