電気製品の製造などに欠かせないのが「絶縁体」です。感電の危険から身を守るために使用したり、電化製品のタッチパネルで人の体と反応させるために使用しています。そんな絶縁体について、生活の中でどのように役立っているのか見ていきましょう。
絶縁体とはどんな部品?
絶縁体は私達の日常生活の中でとても頻繁に使われているパーツです。生活の中に溶け込んでいるので意識して使うことはあまりないでしょう。絶縁体の性質について、まずは紹介します。
電気をほとんど通さない
電気を流すと金属や人間の体は流れますが、電気をほとんど通さない物質を絶縁体と呼びます。
例えば、家電の電気コードの中は電気が流れていますが、絶縁体で覆われているので触っても感電することはありません。
電気を通す物質には自由電子が多く含まれています。しかし、絶縁体にはほとんどありません。電気抵抗が強く高い電圧を流さない限り電子は動かないのです。
この特性を生かして、感電を防いだり、電気を通したくない場所に使用したりします。
静電気は防げない
一般的な電気は物質内を流れていますが、静電気は電気が留まっている状態です。絶縁体は電気を通しませんが電子をその場で帯電させやすい特徴があります。
そのため静電気を帯びやすくアースで電気を逃そうとしても、電子がなかなか流れないので静電気は除去できません。
絶縁体は電流を防ぐことには優れていますが、精密機械を組み立てたり引火しやすい物がある場所で作業したりする場合は、取り扱いに注意しなければならないのです。
身近にある絶縁体
「絶縁体」というのは、ある特定の物質のことを指す言葉ではありません。「電気を通しにくい性質を持つ物質全般のこと」を指します。
身近にある絶縁体として挙げられる物質は、ゴム・ガラスをはじめ、ビニール・プラスチックなど多種多様です。木や油なども絶縁体として使われる場合があります。
しかし、このような物質だからといって、全ての場合において絶縁体として、電気を通さない性質を発揮できるかといえば、そうではありません。耐えきれる電圧は物質により異なるため、場合によってどのような絶縁体を使用するか選択しなければなりません。
導体・半導体との違い
絶縁体と共によく聞く言葉に「導体」と「半導体」があります。それぞれの特徴や違いについて、ここからは見ていきましょう。
電気をよく通す物質が導体
導体は一言でいうと「電気をよく通す物質のこと」です。金や銀またはアルミなどの金属は導体に分類されます。また水や人体も導体のひとつです。
これらは絶縁体と違い、物質内の電子が簡単に移動できる特徴があります。主に電気を流したい場合に利用されています。
絶縁体と導体の中間が半導体
半導体は絶縁体と導体の中間に位置する物質です。通常ほとんど電気を通しませんが温めることで電気が流れやすくなります。
素材としてはシリコンやゲルマニウムが有名です。単体で半導体になるものもありますが、絶縁体に不純物を化合させて作る半導体もあります。
半導体はその特徴を活かし、コンピューターなどの電子回路によく使用される部品です。PCの心臓パーツであるCPUや発光ダイオードがそれにあたります。
どんなところで絶縁体は使われる?
絶縁体は生活の中で使用されています。よく目にするものから意外なものまでさまざまです。私達がよく使用している絶縁体を紹介します。
電気機器のコードやケーブル
電気を通す「電線」を絶縁体でカバーしたものを「絶縁電線」と呼びます。これらを合わせて外皮を付けたものがケーブルです。
ケーブルは私たちの生活の中で欠かせないアイテムといっても過言ではないでしょう。家電製品のコードや、PCに挿すLANケーブル、スマホの充電に使うケーブルなども電線と絶縁体でできているのです。
家電製品のコードは絶縁体にほとんどゴムが使用されていますが、ビニール素材を使用した絶縁体もあります。
ビニール素材の絶縁体は高温の熱に弱いため、電熱器具などのコードには使用できません。その反面水には強いので電源タップや通常の電気器具コードに利用されています。
スマホなどのタッチパネル
絶縁体はスマホやタブレット端末のタッチパネルにも使用されています。このパネルはガラスでできた絶縁フィルムが貼られているのです。
タッチパネル操作に使われる仕組みにはいくつの種類がありますが、代表的なものに「抵抗膜方式」があります。
これは指やタッチペンで画面をタップすることで、電圧の変化をスマホに伝える技術です。スマホは電圧変化の信号を受け取り処理しています。
この技術には絶縁体でできたフィルムが使われており、絶縁体がなければ画面にタッチするだけで感電してしまうところをガードしてくれているのです。
絶縁体は身近で活用されている
絶縁体は電気を通さない、または電気を通しにくくする性質を持つ物質を指す言葉です。ゴムやガラスが代表的ですが、そのほかにもビニールや木材などが使用されることもあります。
性質を利用して家電製品のケーブルやスマホのタッチパネルに利用され、私達の生活になくてはならない存在といえるでしょう。
同じ絶縁体でも物質の種類によって、耐久できる電圧には違いがあります。また、静電気には弱い性質を持っているため、使用するには状況に合わせた見極めが必要です。
そのため、絶縁体を使用する際には、どのような用途で絶縁体を使いたいのかをしっかりプランニングすることが重要といえます。安全に使用して、生活に役立てましょう。