水槽内の環境を良好な状態に保つためには、適切なエアレーションが不可欠です。水中環境に合ったパーツを選ぶことで、清潔な水槽を維持できるでしょう。エアレーションの意味やパーツの選び方を解説し、水槽用のおすすめ商品を紹介します。
水槽で使用するエアレーションとは?
複数のパーツを使って水中に空気を送り込むことを、エアレーションといいます。水槽で使用するパーツの名称ではありません。
水中に空気を送ること
エアレーションとは空気を送る行為のことです。水槽でエアレーションを行うと、水中に空気が送り込まれ、酸素を供給できます。
水槽内では観賞魚だけでなく、水草やバクテリアにも酸素が必要です。エアレーションで発生する水流により、水槽中に酸素を充満させることができます。
水温を適温に保つために、クーラーやヒーターを使っているケースでも、水流を作ることで、水槽水全体を適温に保ちやすくなるでしょう。
水中に酸素を送り水流を作るエアレーションは、水槽内の環境を良好に保つために、重要な役割を果たしています。
複数のパーツを組み合わせて行う
水槽のエアレーションは、主にエアーポンプ・エアーストーン・ホース・逆流防止弁を、組み合わせて行うのが基本です。
水槽の外から酸素を送るエアーポンプと、水槽内に酸素を供給するエアーストーンを、逆流防止弁の付いたホースでつなぎます。
二又分岐などのパーツを使用すれば、一つのエアーポンプから二つの水槽に空気を送り込むことも可能です。
エアーポンプ以外のパーツは劣化が早いため、予備を複数用意しておくとよいでしょう。万が一に備えて、予備もあると安心です。
エアレーションを付ける意味
水槽で行うエアレーションには、酸素供給・水質維持・水の循環などの意味があります。いずれも生育環境の維持・向上に欠かせない要素です。
酸素を供給し成長を促す
魚が生命を維持するためには、酸素が必要です。魚は、口から取り入れた水の中の酸素を体内に取り込み、水はエラから外に出すエラ呼吸をしています。
エラ呼吸により十分な酸素を取り入れるためには、より多くの酸素を水中に溶解させなければなりません。
エアレーションを行うことで、水槽内に十分な酸素を送り込めるため、魚が酸欠状態に陥るのを防止できます。
エアーストーンから出る気泡が小さいほど、また水深が深いほど、より多くの酸素を溶解させることが可能です。
水槽が浅くても、エアレーションで水面が波立つことにより、多くの酸素を水面から補給できるでしょう。
バクテリアの働きで清潔な水槽を維持
水槽内の清潔な状態を維持する方法として、一般的には物理ろ過や生物ろ過といった対策が施されます。生物ろ過を行う際に必要な生物が、バクテリアです。
水中に残ったエサや排せつ物が、バクテリアの硝化作用により分解されることで、水槽の水を清潔な状態に保てます。
硝化作用をもつバクテリアは、酸素を好む好気性生物です。エアレーションで多くの酸素を水中に供給すれば、バクテリアの働きがより活発になるため、清潔な水槽を維持しやすくなります。
水を循環させて生育環境を保つ
水槽内の水は、動きがなくよどんでいると、雑菌が繁殖してしまいます。また、水の一部が無酸素状態になることがあるでしょう。
エアレーションを行うことで、水流が発生し水が循環します。結果、酸素が隅々まで行き渡り、良好な生育環境を保つことができるのです。
油が浮いているように見える「油膜」を防止できることも、エアレーションのメリットです。水槽の水は水面からも酸素を取り込みますが、油膜があると酸素の溶解量が減少してしまうため、油膜はなるべくない方がいいでしょう。
水が循環すれば水面が動くため、油膜が発生しにくくなります。そうすれば、水面からも酸素を取り込みやすくなります。
家庭用エアレーションパーツの選び方
エアーポンプやエアーストーンは、さまざまな種類の商品が販売されています。水槽のサイズ・静音性・エアー量に注意して選ぶのがポイントです。
水槽のサイズに適したもの
水槽の規格サイズには、30・45・60・90・120・180cmの6種類があります。エアーストーンを選ぶ際は、水槽のサイズに適したものを選ぶのがポイントです。
酸素の排出量が少ない丸型のエアーストーンは、30~45cmの小型水槽に向いています。小ぶりな商品が多いことから、水槽の景観も崩しにくいでしょう。
円柱型は、酸素をまんべんなく行き渡らせることができ、60cm以上の大型水槽におすすめです。直径や長さのバリエーションが豊富なため、水槽のサイズに合ったものを選びましょう。
音の大きさ
ほとんどのエアーポンプは振動を利用して空気を送るため、振動音が少なからず発生します。寝室で使用する場合は、特に注意が必要です。
音の大きさが気になる場合は、静音タイプのエアーポンプを選びましょう。消音タンクが付いたものや、振動を相殺して音を抑えるものがあります。
本体にゴム脚が付いているタイプもおすすめです。振動の伝達を抑えられるため、振動音の発生を抑制できます。
水面の泡がはじけるときにも、音が発生します。静かさを重視するなら、泡が細かいエアーストーンを選ぶとよいでしょう。
エアー量と調整の可否
エアーポンプを選ぶ際は、エアー量を確認することが重要です。水槽サイズに対しエアー量が足りなければ、十分な効果が得られないでしょう。
水槽が大型になるほど、必要なエアー量も大きくなります。底面に敷くタイプのろ過フィルターを使う場合は、目安よりエアー量が強めの商品を選ぶのがおすすめです。
ただし、エアー量が強すぎると水流も強くなるため、水流に弱い生き物にストレスを与えることもあります。また、水流を逃れて生き物が物陰に隠れてしまい、観賞が楽しめないといったこともあります。
エアー量を調整できるエアーポンプを選べば、状況に合わせて排出量を調整できるため、水槽の生育環境を良好に保ちやすくなるでしょう。
屋内水槽用おすすめのエアーポンプ3選
エアレーションの重要パーツである、エアーポンプのおすすめ商品を3点紹介します。静音性やエアー量調整機能をチェックし、水槽サイズに合わせて選びましょう。
日本製の手のひらサイズ 水作「水心 SSPP-3S」
手のひらに収まるほどの大きさで、扱いやすいエアーポンプです。日本国内で製造されており、安心して使用できるでしょう。
60cm以下の水槽用で、最大吐出量は2500cc/分です。エアー量をダイヤルで自由に調整できる機能が備わっています。
独自の振動吸収ゴム脚が付いているため、周囲に振動が伝わりにくく、高い静音効果が期待できることも魅力です。
本体にも、2個のダイヤフラムで振動を相殺する仕組みが搭載されています。そのためゴム脚の効果と併せて、静かな環境作りが期待できます。
特殊密閉構造の静音性 GEX「e~AIR 2000SB」
内部の音を逃がさない特殊密閉構造「サイレント構造」とゴム脚の効果により、振動の伝達を最小限に抑えたエアーポンプです。
本体裏側の吸気口には、水槽内に送り込む空気をきれいにするエアーフィルターがセットされています。エアーフィルターは別売りのパーツで、交換が可能です。
エアー量を調整できる機能が付いているため、稚魚や産卵水槽での使用にも向いています。適合サイズは幅120cm・水深50cm以下です。
エアー量の調整が可能 ニチドウ「ノンノイズW-300 2W」
サイレントボックスを内蔵した、低振動・静音タイプのエアーポンプです。適合水槽の目安は30~60cmに設計されています。
エアー吐出口が2個付いているため、商品を1個購入するだけで、1度に二つの水槽でエアレーションを行えます。
エアー量をダイヤルで調整できることも魅力でしょう。吐出口1個につき、約0.5~2.0L/分の間でエアー量を自由に調整できます。
屋内水槽用おすすめのエアーストーン3選
泡が細かいエアーストーンを選べば、静かな環境を保ちやすい上、小型魚の管理もしやすくなるでしょう。微細な泡を放出する、おすすめのエアーストーンを紹介します。
音の静かさに定評「いぶきエアストーン18φ丸」
耐久性の高い、セラミック製の円柱型エアーストーンです。長時間使用しても細かい泡を維持できます。
かなり細かい泡が出てくるため、泡がはじける音を最小限に抑えられることが特徴です。より静かな環境を求める人におすすめです。
細かくきれいな泡を出すためには、使用前にエアーストーンを水に浸け、エアーストーン内部の空気を抜く必要があります。
使用前にエアストーン側のみホースをつなぎ、水槽内に沈めましょう。ホースの中の水が水面の高さまで上がってきたら、エアーストーン内部の空気が完全になくなった状態だと判断できます。
バクテリア封入で汚れを分解 GEX「メダカ元気 バイオエアー 丸型 40」
バクテリアを放出する丸型エアーストーンです。適合水深は40cm未満、適合ポンプは1L/分以上に設定されています。
水中に残ったエサや排せつ物を分解するバクテリアが、生きたまま休眠状態でストーン内に封入されています。
バクテリアと酸素の接触効率が高まるため、バクテリアがより活性化しやすくなることが特徴です。ろ過フィルターの補助としても役立ちます。
高圧縮加工が施されており、微細な泡が均一に出やすいことも魅力です。良好な生育環境と高い静音性を保ちやすいでしょう。
小さな魚に スペクトラム ブランズ ジャパン「テトラ エアーストーン」
細かい泡を発生しやすい、円柱型エアーストーンです。水流の影響を受けやすい小型魚の飼育水槽に向いています。
酸素を供給することによりバクテリアの繁殖が促進され、水をきれいな状態に保ちやすくなります。
2個セットになっているため、水槽を二つ持っている人や、交換用の予備を用意しておきたい人にもおすすめです。
その他エアレーションに欠かせないアイテム3選
エアレーションを行う際は、エアーストーンとエアーポンプをつなぐホースや、逆流防止を防ぐバルブが必要です。複数の水槽を持っているなら、二又分岐を使えばポンプを増やさずに済みます。
ポンプとストーンをつなぐ ニッソー「超極細チューブ MUTEスリムチューブ&ストーンセット」
一般的なチューブに比べて、約半分の細さが特徴的なチューブです。スリムなチューブで、水槽内のレイアウトをスタイリッシュに演出できます。
超極細タイプでありながら、一般的なチューブと同等の吐出性能を発揮しやすいことも特徴です。
セットになっているストーンもおしゃれな角型なので、組み合わせて使用すればよりスタイリッシュな水槽になるでしょう。
エアレーションの性能だけでなく、水槽の見た目にもこだわりたい人に、おすすめのパーツです。
逆流防止に欠かせない スペクトラム ブランズ ジャパン「テトラ 逆流防止バルブ」
水槽内の水が、エアーポンプに逆流するのを防ぐバルブです。水が逆流すると、エアーポンプの水漏れや故障の原因となります。
エアーストーンとエアーポンプはホースで直結せず、間に逆流防止バルブを使用するようにしましょう。
逆流防止バルブをセットする際は、正しい方向で付けるように注意が必要です。逆流防止効果を高めるために、バルブは水面より高い位置に付けるのがポイントです。
1つのポンプから複数の水槽へ GEX「GX31 二又分岐」
エアー量を調整できるコックが付いているため、それぞれの水槽の環境に合わせて、エアー量を自由に決められることも魅力です。
金属でできているため、プラスチック製の二又分岐に比べ、丈夫で長持ちします。コックが比較的きつめで、エアー量を微調整しやすいことも特徴です。
適したエアレーションで水槽環境を整えよう
水槽のエアレーションとは、水中に空気を送り込む行為を意味する言葉です。エアーポンプ・エアーストーン・ホースなどのパーツを組み合わせて行います。
酸素供給・バクテリアの活性化・水の循環などが、エアレーションを行う主な目的です。水槽の生育環境を良好に保ちやすくなります。
家庭用エアレーションパーツを選ぶ際は、水槽サイズ・静音性・エアー量に着目するのがポイントです。自分の水槽に適したパーツを選び、よりよい環境で観賞を楽しみましょう。