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石油給湯器とは?メリット・デメリットや選び方を解説

最終更新日: 2022年02月21日

石油給湯器の導入を検討している家庭や、すでに設置していて交換や修理の必要性が生じた家庭もあるでしょう。

新設や交換を考えている人に向けて、メリットやデメリットを紹介します。くわえてトラブルが発生した際の対処法についても解説しましょう。

石油給湯器とは?仕組みと特徴

屋外の灯油タンク

給湯器にはいくつかの種類があります。燃料としてガスや電気を使用する給湯器と並んで代表的なものが「石油給湯器」です。

燃料に灯油を使う給湯器

水をお湯に変えるためには、温めるための燃料が必要になります。石油給湯器はその名のとおり、お湯を沸かすために石油(灯油)を燃料として使用する給湯器のことです。

本体に灯油を供給し、燃焼させたときの熱で水をあたためます。これは一般的なガス給湯器と同じ仕組みです。

ただしガス給湯器の燃料であるガスはガス管から送られてくる(都市ガスの場合)のに対し、石油給湯器は灯油を溜めておくためのタンクが給湯器本体の近くに設置されます。

給湯器で使用する灯油以外の液体燃料には、石油と粘度が似ているA重油(軽油の1種)があります。しかし燃料としての共用は推奨されていません。そのため家庭用として製造される給湯器用の液体燃料は、灯油だけです。

業務用の給湯機器にはA重油やB重油、C重油を使用するものもありますが、これらは「油焚きボイラー」「重油ボイラー」と称され、石油給湯器とは製品区分が異なります。

石油給湯器のメリット・デメリット

屋外の給湯器

石油給湯器のメリットとデメリットは、ざっくり以下の通りです。

メリット
  • ランニングコストが安い
デメリット
  • 燃料である灯油の料金が原油価格の変動に左右される
  • 灯油の購入・補充の手間がある

石油給湯器のメリット

ランニングコストが安い

ランニングコストが安いことは、大きなメリットといえます。経済性を重視する家庭は多く、光熱費の削減につながる面はとても魅力的です。

同じ湯量の場合に電気やガスと比べると、灯油が最も低コストでお湯を沸かせます。部屋で使用する電気・ガス・灯油それぞれのストーブをイメージすると、分かりやすいでしょう。

寒冷地では暖をとるための燃料費が、生活費の中で大きな割り合いを占めます。灯油のコストパフォーマンスの高さは、最大の利点でしょう。

丈夫で壊れにくいことも、石油給湯器の特徴として挙げられます。高い耐久性があるからこそ、厳しい環境でも長く使用できるのです。

寒冷地での利用に向いている

石油給湯器はさまざまな動力源の種類がある給湯器の中で最もパワーが強いとされていて、大量のお湯を沸かす能力を備えています。

そのため、住宅のさまざまな箇所を暖める必要がある寒冷地で力を発揮するタイプといえるでしょう。プロパンガスの入れ替えが困難な豪雪地帯では、灯油タンクを戸外に設置することで、容易に燃料供給ができるようにしている住宅が多くあります。

お湯の利用範囲はお風呂やキッチンだけではありません。建物全体を暖めるセントラルヒーティングや屋外の融雪機にもつなぎ、冬季は24時間休みなく稼働させているケースも見られます。

このように寒冷地では、あらゆる場面でお湯が必要ですが、石油給湯器のパワーによって大量のお湯を供給できるのです。

石油給湯器のデメリット

原油価格の上昇でランニングコストが上がる可能性がある

相対的にコストが安い灯油ですが、電気やガスと比べて、価格が変動しやすい面があります。原油価格に左右されるため、そちらが上昇すれば自ずと灯油の価格も上がります。

その場合には灯油を燃料としている石油給湯器の利用コストも、高くなってしまうでしょう。その点は理解しておく必要があります。

ただしたとえ原油価格の上昇によって多少灯油の値段が上がっても、プロパンガスなどと比べると、まだ灯油の方が十分に安い水準といえるのです。中・長期的な視点でコストをとらえることも大切でしょう。

灯油の補充が手間

お湯を沸かしていく中で、燃料である灯油は消費されます。使い切ってしまうと燃料切れを起こしてしまうため、定期的な補充が必要です。

補充にかかる手間はデメリットといえるかもしれません。非力な人や高齢者にとっては、灯油タンクの扱いは重労働の一つです。とはいえ補充しなければ給湯器を稼働させられません。

灯油販売所によっては給油をサービスで行う事業所もありますが、必ずお願いできるとは限りません。灯油の補充についてはウィークポイントといえます。

石油給湯器の選び方

お風呂

給湯の方式【直圧式・貯湯式】

石油給湯器がお湯を出す仕組みは「直圧式」と「貯湯式」の2通りあります。一般的には「直圧式」のほうが高性能で設置費用も高額です。

設備によっては直圧式が適していないこともあるので、生活スタイルや自宅の配管設備に合わせて選びましょう。

直圧式

金属製の配管を加熱し、中を通る水を瞬間的にあたためてお湯を沸かす方式の給湯器です。

必要なときに必要な分だけあたためるので、お湯切れを起こすことがありません。水道圧をそのまま利用でき、お湯の勢いが強いのが特徴。

ただし配管が古いと水道圧に耐えられない可能性があること、貯湯式と比較すると導入費用がやや高いことがデメリットです。

貯湯式

貯湯タンク内の水を、灯油燃焼時の熱であたためてお湯にする方式の給湯器です。

お湯の状態でタンクに貯められているので、お湯の温度が安定した状態で使うことができ、出したり止めたりしても冷たさを感じにくいです。

ただしタンクの湯量には限りがあるので、たくさん使うと湯切れを起こしてしまい、再度お湯が出せるようになるまで一定の時間がかかります。

また、給湯器の電源を入れていると、タンク内のお湯の温度を保つためにお湯を出していなくても灯油を消費します。長時間お湯を使わないときは、電源を切っておきましょう。

サイズ(給湯能力)

石油給湯器のサイズはkW(キロワット)またはkcal(キロカロリー)という単位で表されます。数字が大きいほど、一度に作り出せるお湯の量が多いです。

サイズは大きく分けて2種類、45~47kWのハイパワー給湯器と、36~39kWのスタンダードな給湯器があります。家族の人数や生活スタイルによって選びましょう。

サイズ 世帯人数の目安
45~47kW
(約40,000kcal)
3~4人以上の家族
36~39kW
(約30,000kcal)
2人以下の家族

目安としては、45~47kWタイプであれば、シャワーを使いながらキッチンや洗面所など他の場所でもお湯が使えます。夏なら3か所、冬なら2か所で同時使用ができるくらいのパワーがあります。

36~39kWタイプは、夏であればシャワーと同時にもう1か所使えるでしょう。冬はシャワーを問題なく使うことはできますが、他の場所で使おうとするとややパワー不足かもしれません。

石油給湯器の設置費用・ランニングコストは?

電卓

設置費用の相場

16号(単身世帯向け)の最も安いタイプであれば、10万円を切る値段で入手できる機種もあります。ただし追い焚き機能はおろか、差し湯機能もない最も簡易なタイプです。

4人家族であれば最低でも20号が必要となりますが、リモコン付き・追い焚き機能なしのタイプであれば、20万円前後が相場といえます。追い焚き機能や各種の自動機能を備えている場合には、30万円前後の価格です。

さらに全自動タイプともなると、価格帯は30万~40万円になるでしょう。さらに浴室暖房機能なども備えたものは、50万円前後が相場です。

ランニングコストの目安

各給湯器の1年間のランニングコストの目安はおおむね以下の通りです。

  • 石油給湯器:約65,000円
  • ガス給湯器(都市ガス・省エネでない):約74,000円
  • ハイブリッド給湯器(都市ガス):約44,000円

ガスや灯油の価格によって上下しますが、一般的にはガス給湯器よりも10~15%安く済みます。

ハイブリッド給湯器よりは高いものの、一般的にハイブリッド給湯器の導入費用は50万円を超えることが多く、かなり初期費用が高いです。

バランスを考えると石油給湯器のコストパフォーマンスはかなり良いでしょう。

修理と交換の判断基準は?寿命で判断を

工事か買換えか?

石油給湯器の調子が悪くなったとき、修理すれば使えるようになるのか、本体ごと新しいものに交換したほうが良いのか悩むかもしれません。

一般的には、寿命が近づいた機械であれば直してもまたすぐ不具合が生じる可能性が高いので、交換してしまうのがおすすめです。

石油給湯器の寿命は8~10年程度

石油給湯器の寿命はだいたい8~10年程度といわれており、一般的なガス給湯器の寿命(10~15年)よりもやや短いです。結露などの外部環境により、オイルタンクの灯油が変質して給湯器にダメージを与えるのが

またメーカーにおいても標準使用期間を10年と定めており、修理用部品の保存期間もそれに合わせています。

新モデルの販売を開始した直後は、旧モデルの部品の在庫もまだ残っているでしょう。しかし年を追うごとに品薄になっていきます。そして次第に部品代が高くなり、自ずと修理費用も高額になっていくのです。

あまり長い期間使用している給湯器は、修理しようとしても部品が手に入らず、交換することになるでしょう。

修理・交換を検討すべき不調のサイン

石油給湯器に以下のような不調が見られたら、給湯器に何らかの異常が起こっています。修理や交換を検討しましょう。

  • お湯の温度が不安定、ぬるい
  • 給湯器本体から異音がする
  • 点火・消火時以外の使用中にも異臭がする
  • 給湯器本体から黒煙が出る
  • 給湯器本体からオイル漏れがみられる
  • ひんぱんにエラーコードが出る

特に異臭や黒煙が発生したときは、本体の経年劣化や送油管の破損、電磁ポンプ本体の故障、パッキンの劣化が原因となっている可能性があります。

そのまま使い続けると重大な事故につながる恐れもあるので、早めに点検してもらいましょう。

ただしお湯の温度が不安定なときは、石油給湯器以外の箇所が原因ということもあります。

キッチンや洗面台のお湯だけがぬるい場合は、止水栓を調整してみましょう。それで改善する場合もあるのです。浴室だけ調子が悪ければ、止水栓の調整と合わせて温度調整機能を担うサーモスタットにも目を向けます。壊れていれば水栓の交換が必要です。

全体的に不具合が見られるならば、本体のミキシングバルブが破損しているのかもしれません。メーカーに連絡し、修理を依頼しましょう。

修理費用の相場

石油給湯器の修理費用の相場は、故障した箇所によっても大きく異なりますが、おおむね以下の通りです。

修理箇所 費用の目安
安全装置の異常 7,000円~
電気系統の部品 10,000円~
燃焼系の部品 17,000円~
リモコンの不具合 15,000円~

故障の度合いによっては50,000円以上かかることも。使用年数を考えて、寿命が近づいているのであれば交換してしまったほうが経済的な可能性もあります。

故障かもと思ったら業者へ相談

機械に強くDIYが得意な人などは「自分で修理できそうだ」と考えるかもしれません。しかし石油給湯器の故障を素人が修理するのは非常に危険です。

灯油を用いて火を起こす構造のため、間違った作業によって火災などへと発展する可能性があります。また排気の状態が悪いと、悪臭の原因になったり、人体に悪影響を及ぼす危険性もあるのです。

業務として給湯器の設置や修理を行うには、さまざまな資格を取得している必要があります。それほど慎重さが求められる作業といえるのです。

くれぐれも専門外の人が安易に作業することは控えましょう。

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