壁掛けテレビを購入するにあたって、「DIYでテレビの取り付け費用を安く済ませたい」「DIYできる安全な取り付け方と注意点を知りたい」と考える人も多いでしょう。簡単な取り付け方と、気を付けるべきリスクについて紹介します。
壁掛けテレビをDIYで取り付ける手順
DIYが得意な人であれば、壁掛けテレビも自分で取り付けようと考えるかもしれません。DIYに必要な道具や事前のチェックポイント、取り付け手順をそれぞれ解説します。適切な知識を把握して、確実に取り付けを行いましょう。
- 必要な道具を用意する
- 壁の材質・強度を確認する
- 取り付けたいテレビに合った金具を購入する
- テレビにブラケットを取り付ける
- 壁に受け金具を取り付ける
- テレビを掛ける
1.必要な道具を用意する
最初に自宅のテレビが壁掛けに対応しているか確認し、次に道具をそろえます。一般的な住宅でよく目にする普通の石膏ボード壁の場合、壁掛けテレビの設置に必要な道具は以下の通りです。
- 壁掛け用金具
- 下地探しセンサー(針タイプの下地探し器でも可)
- 磁石
- 電動ドリルドライバー
- 通常のドライバー
- 水平器
- メジャー
- マスキングテープ
このほかにも床や家具などに傷を付けないためのシートや毛布、軍手、長めのドライバーがあると便利です。
2.壁の材質・強度を確認する
壁掛けテレビを設置する前に、取り付ける壁の材質・強度を確認する必要があります。DIYでの設置に向いた壁は、多くの住宅で使われている石膏ボードです。
コンクリートやタイル製の壁だと、設置方法の判断が素人には難しいといえるでしょう。砂や土の壁の場合には強度が足りないので、補強工事をしないと取り付けられません。
ドアをノックするように壁をたたいて、コンコンと軽い音が響く場所を探しましょう。画びょうを壁に刺したとき、針が簡単に入って、抜くと白い粉が付いていたら石膏ボードだと分かります。
3.取り付けたいテレビに合った金具を購入する
壁掛け金具はテレビのサイズと重さ、VESA規格にあった製品を選びましょう。テレビの説明書・メーカー公式サイトなどを見れば、サイズを調べるのも簡単です。メーカーによっては、対応する金具が用意されている場合もあります。
VESA規格(FDMI)とは映像機器向けのモニターアームなどを取り付ける、ネジ穴の国際標準規格です。テレビ裏面に正方形を描くように空いている、4つの穴の幅を測りましょう。
またテレビ裏に取り付け金具を付ける際に邪魔になる、出っ張りやケーブル・コネクターがないかもチェックします。
4.テレビにブラケットを取り付ける
ブラケットは壁掛け用金具をテレビにつなぐための部品です。テレビの脚を外し、テレビ裏にあるネジ穴にブラケットを取り付けます。脚の外し方やネジ穴の場所がよく分からない場合は、説明書で確認しましょう。
取り付けたらブラケットに受け金具を合わせて、配線もセットしてみます。テレビの配線口を受け金具がふさいだり、配線が受け金具より出っ張って壁とぶつかったりしないか、再確認します。
5.壁に受け金具を取り付ける
前もって調べた下地の場所に合わせ、テレビの設置場所にマスキングテープで印を付けます。
壁に受け金具をビス止めする際には、下地が木なら製品説明書に従って下穴を空け、電動ドライバーでしっかり止めましょう。下地が軽量鉄骨なら、強く締めすぎないように手動でドライバーを使います。
6.テレビを掛ける
受け金具にテレビを掛ける前に、配線を差してセットします。先に配線をセットしておくと、テレビと壁の間の狭い隙間に手を入れて作業しなくて済むためです。
サイズや重量の大きなテレビは、2人で持ち上げた方が安全です。1人で無理して作業すると、テレビを落として破損したり、腰を傷めたりする危険があります。ブラケットを受け金具に取り付ければ、壁への取り付けは完了です。
壁掛けテレビをDIYで取り付けるときの注意点
壁掛けテレビをDIYで取り付ける際には、注意点についてもしっかり確認しましょう。DIYで付けられる壁はどんな種類なのか、壁裏の支えである下地が軽量鉄骨の場合にはどうすればよいのかなど、DIYでよく起こる問題について解説します。
- 壁掛けテレビをDIYで付けられるのは石膏ボードの壁のみ
- ネジ止めする柱が軽量鉄骨なら専用のネジが必要
壁掛けテレビをDIYで付けられるのは石膏ボードの壁のみ
石膏ボード以外の壁にDIYで取り付けるには、専用の道具や詳しい知識が必要です。無理に自分で取り付けようとせず、プロに頼んだ方が安心できるでしょう。
木製の壁の場合には、壁の厚さが12mm以上あることが条件です。重量のあるテレビや取り付け金具を使うなら、もっと厚い方がよいといえます。
コンクリート壁の場合には、ハンマードリルと刃(ビット)・コンクリート用ビスが必要です。取り付け場所に鉄筋が重ならないように調べておきましょう。タイル・塗り壁だと壁ごとの材質と形状によって取り付け方法が変わるので、DIYは難しいといえます。
ネジ止めする柱が軽量鉄骨なら専用のネジが必要
石膏ボード壁はそのままだと強度が足りないので、壁裏の下地に壁掛けテレビを取り付けることになるでしょう。下地の種類は主に木材か軽量鉄骨に分けられます。
取り付け用のビスは、下地の種類に合ったものを選ぶのが大事です。下地が木材なら、取り付け金具に付属したネジで止められます。
もし石膏ボード壁の下地を探したときに、下地全体に磁石が反応するなら軽量鉄骨(LGS)です。木材用のビスでは固定できないので、専用の止め具を別に購入する必要があります。
不安があるならプロに施工してもらおう
DIYが可能なのかプロに依頼した方がよいのか、判断するポイントは安全性です。迷ったら次の項目を自問してみましょう。
- テレビのサイズや重量に対して壁の強度は十分か
- 壁の材質や取り付け金具に適した止め具・工法を知っているか
- 木壁や下地のない石膏ボード壁を補強する場合、必要な強度を確保できるか
DIYで取り付けられたとしても、いつ落ちてくるか不安を覚えるようなら、プロに施工してもらった方が安心といえるでしょう。
配線を壁の中に隠すなら工事が必要
壁掛けテレビの配線を壁の中に隠すなら、工事が必要になります。代表的な配線隠しの方法は、以下の3通りです。
- テレビ裏に電源やアンテナのコンセントを設置する
- 壁裏に配線を隠す
- 配線カバーで覆う
コンセントの増設やきちんとした配線計画には電気工事士の資格が必要になり、素人が行うことはできません。
表から見えないようにテレビ裏にコンセントを設置したり、壁裏に配線を隠したりする場合は、プロに依頼しましょう。新築であれば、契約中の施工会社に早めに相談するのがおすすめです。
壁掛けテレビのDIYはリスクを知った上で実施しよう
壁掛けテレビを設置するには、費用の安さでDIYを選ぶか、安全性の高さでプロに頼むかという、2種類の方法があります。
前者を選ぶなら壁の材質や強度に対して、適切な方法を知らなければなりません。DIYで付けられるのは、通常の石膏ボード壁までだと思った方が安全です。
専門の業者に頼む場合は、取り付け費用はかかるものの、壁掛けテレビの落下事故や、配線に関するトラブルを未然に防げます。リスクも理解した上で、DIYで実施するか、業者に頼むかを判断しましょう。