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【税理士監修】法人税の中間納付とは? 2種類の申告方法まとめ

最終更新日: 2019年08月28日

法人税の納付は、通常確定申告1回の納付ですが、前年度の法人税額が20万円を超えると中間納付が必要になります。中間納付の方法は2種類あり、それぞれにメリットとデメリットがあります。

今回は法人税の中間納付についてご紹介します。2種類の方法や還付金についても確認しましょう。

この記事を監修した税理士

アテンド会計事務所 - 神奈川県横浜市西区

こんにちは、税理士の藤井です。2019年7月にアテンド会計事務所として開業いたしました。 横浜で地元密着型のなんでも相談できる税理士をコンセプトに、会社設立される方々のサポートをいたします。 これまでの実績としては会社設立の経営者様に対する創業融資のサポートやベンチャーキャピタルなどからの出資など、資金調達のアドバイスをさせていただきました。 また、従業員雇用に関する課題やバックオフィスの仕組みづくりなど税務プラスアルファのサポートをしてまいりました。 主に会社設立で必要な借入などの資金繰りサポートのほか、総務・経理などのバックオフィスを一緒に組み立て、または事務代行を行なっております。

法人税の中間納付とは

法人税の中間納付を納付する会社
法人税の中間納付とは

法人税の中間納付はなぜあるのでしょうか?確定申告とは別に中間納付をすると年2回の納付になり、納税負担が増えるように感じます。実際は中間納付はあくまで前払いであり、確定申告時には中間納付分を引いた残りを納付するか、もしくは確定した税金が少なければ還付されることになります。また、中間納付は全ての法人が対象ではなく、中間納付の必要がない法人も存在します。中間納付の必要な法人、納付時期について確認しましょう。

中間納付の定義

中間納付とは、中間に納付する法人税のことです。中間は事業年度の中間を表しているので、事業年度開始から6ヶ月経過時点の法人税を事前に納付します。法人の中には「中間納付をしたことがない」といった法人があります。それは、中間納付は全ての法人が対象ではないからです。

中間納付の必要な法人

中間納付の必要な法人は、事業年度が6ヶ月を超えており、かつ前年度の地方税を除く法人税額が20万円を超えている法人です。国税には法人税と似た名称の地方法人税がありますが、地方法人税ではなく法人税額で判定するので間違えないようにしましょう。

中間納付の必要な法人とは違い、中間納付の必要がない法人は以下の法人です。

・設立初年度の法人

・前年度の法人税額が20万円以下の法人

・NPO法人

・事業年度が6ヶ月以下の法人

納付の時期

中間納付の納付時期は、事業年度開始の日から6ヶ月経過した日から2ヶ月以内です。例えば3月決算法人の場合、事業年度開始から6ヵ月経過した日から2ヶ月以内は11月30日です。申告期限も納付期限と同じです。覚えにくい方は、事業年度開始から8ヶ月以内に中間の申告期限と納付期限があると覚えておきましょう。

中間納付の時期が近づくと、中間納付の必要な法人には税務署から前年度実績に応じ通知書が届きます。通知書が届いたら「中間納付の時期が近づいてきた」と思ってもいいです。

2回に分けて納付する目的

法人税の納付と確定と中間で2回に分けて納付する大きな目的は、納税負担を少なくするためです。中間納付がなければ、確定申告の時に1回で納付しなければなりません。確定申告の時に納付する税金は法人税以外にも、地方法人税などがあり、それらを合計すると、まとまった資金が必要になります。

中間納付がなく確定申告1回で納付すると、確定申告時期によって納税負担が集中してしまいます。中間納付で年2回に分けて納付することで、納税負担が軽減されます。

中間納付の申告方法

2種類の申告方法のメリットとデメリット
中間納付の申告方法

法人税の確定申告の申告方法は1つですが、中間納付の申告方法は2種類あります。申告方法は「予定申告」と「仮決算に基づいた申告」の2種類ですが、それぞれにメリットとデメリットがあります。2種類の申告方法のメリットやデメリットを比較し、自社にあった申告方法を選択しましょう。

予定申告

予定申告とは、法人税の中間納付の金額を前年度の法人税額をもとに計算する方法です。中間納付は、前年度の確定法人税額を、前事業年度の月数で除して、6ヶ月を乗じた金額です。計算式にすると以下のようになります。

予定申告による中間納付額 = 前年度の確定法人税額 ÷ 前事業年度の月数 × 6

計算途中の端数は切り捨てされます。

例えば前年度の確定法人税額が100万円、前事業年度の月数が12ヶ月だったとします。上記の計算式にあてはめると、100万円(前年度の確定法人税額)÷12(前事業年度の月数)×6=50万円になります。

しかし、実際は100万円÷12=83,333.333… → 83,333となって、83,333×6=499,998円です。計算結果後、100円未満は切り捨てなので、499,998→499,900円が予定申告による中間納付額です。

仮決算に基づいた申告

仮決算に基づいた申告とは、事業年度開始から6ヶ月経過する日までの6ヶ月分を1つの事業年度とみなして仮決算し申告する方法です。仮決算と言っても、通常通りの決算とあまり違いがありません。決算書・申告書・勘定科目内訳書などの書類を作成し、申告が必要です。

仮決算は6ヶ月分ですが、決算書・申告書・勘定科目内訳書などの書類の作成が必要なので、手間がかかります。

予定申告と仮決算の比較

予定申告と仮決算に基づいた申告は、それぞれメリットとデメリットがあります。それぞれのメリットとデメリットをまとめると以下のようになります。

予定申告 仮決算に基づいた申告
メリット ・納付するだけで申告しなくてよい
・中間納付額が事前にわかる
・今期が中間時点で赤字などの場合、中間納付額が少なくなる
デメリット ・今期が中間時点で赤字などでも、納付しなければならない ・手間がかかる
・前期の決算確定時点では、中間納付額がわからない
・税理士に依頼する場合、コストが増える

メリットとデメリットを踏まえると、予定申告は「手間をかけたくない」「資金に余裕があり、還付加算金がほしい」などの状態で選択されます。

一方、仮決算に基づいた申告は「前期に比べて今期の利益が大幅に減少している」などの状態で選択されます。

中間申告をしなかった場合は予定申告扱い

法人がついうっかり中間申告をしなかった場合は、「予定申告」の提出があったものとみなされます。確定申告を忘れると「延滞税」や「無申告加算税」などが課せられますが、中間申告は申告をしなくても予定申告の提出があったものとみなされるので「無申告加算税」はありません。

無申告加算税はありませんが、中間納付をしなかった場合は延滞税などが課せられることがあるので注意しましょう。

法人税の還付金について

中間納付が還付される
法人税の還付金について

法人税は納付することが多いですが、中間納付が還付されることもあります。中間納付が還付される時や還付金額、還付された時の仕訳方法について詳しく確認しましょう。

中間納付に関する還付金

法人税の還付金は、中間納付で払いすぎた税金が還付されます。中間納付は予定申告、仮決算に基づいた申告のどちらを選択しても、確定した金額を納付しているのではなく、あくまでも前払いをしています。確定申告で最終的に確定した法人税が、前払いした中間納付額よりも少なければ還付されます。

中間納付による還付金が発生するのは、主に2つの場面です。1つ目は「確定申告で赤字になった場合」です。中間納付はしたものの、確定申告の時に赤字になってしまうことがあります。その場合は中間納付した税金が全額還付されます。

2つ目は、「中間納付した税額よりも確定した税額の方が少ない場合」です。中間納付した税額が確定した税額の方が少ない場合は差額が還付されます。

還付金の計算

法人税の還付金について計算をしてみましょう。「確定申告で赤字になった場合」と「中間納付した税額よりも確定した税額の方が少ない場合」で別々に計算してみます。

確定申告で赤字になった場合
中間納付した法人税等 100万円
中間納付した地方税均等割 21万円
確定した法人税等 0円
確定した地方税均等割 42万円
還付される税金 100万円

中間納付した金額は100万円と21万円の合計121万円、確定した金額は0円と42万円なので、差し引きした79万円が還付されると思ってしまいますが違います。地方税均等割は年額で42万円、前払いした地方税均等割は21万円なので21万円の納付です。まとめると100万円が還付されて、21万円の均等割は納付です。

中間納付した税額よりも確定した税額の方が少ない場合
中間納付した法人税等 100万円
中間納付した均等割 21万円
確定した法人税等 80万円
確定した均等割 42万円
還付される税金 20万円

先ほどと同様に均等割があるので、還付される金額は中間納付した法人税等の100万円から確定した法人税等の80万円を引いた20万円です。まとめると20万円が還付されて、21万円の均等割は納付です。赤字でも一定の金額を納付する地方税均等割りと利益により計算する法人税はそれぞれ分けて考えます。

法人税の還付金の仕訳方法

法人税の還付金が還付された場合の仕訳を具体的にみていきましょう。使用する科目名は以下の通りで、金額については先ほどの金額を利用します。

・中間納付した法人税等・中間納付した均等割=仮払法人税等

・確定した法人税等・確定した均等割=法人税等

・還付される税金=未収還付法人税等

・納付する均等割=未払法人税等

仕訳例、単位:万円

確定申告で赤字になった場合
借方 金額 貸方 金額
決算時 法人税等

未収還付法人税等

42

100

仮払法人税等

未払法人税等

121

21

納付時 未払法人税等 21 現金預金 21
還付時(還付加算金なし) 現金預金 100 未収還付法人税等 100
還付時(還付加算金あり) 現金預金 103 未収還付法人税等

雑収入

100

3

仕訳例、単位:万円

中間納付した税額よりも確定した税額の方が少ない場合
借方 金額 貸方 金額
決算時 法人税等

未収還付法人税等

122

20

仮払法人税等

未払法人税等

121

21

納付時 未払法人税等 21 現金預金 21
還付時(還付加算金なし) 現金預金 20 未収還付法人税等 20
還付時(還付加算金あり) 現金預金 21 未収還付法人税等

雑収入

20

1

まとめ

法人税の中間納付のポイント
まとめ

法人税の中間納付は「予定申告」と「仮決算に基づいた申告」の2種類あり、それぞれのメリットとデメリットが違います。メリットとデメリットを理解し、状況にあった申告をすることをオススメします。

状況にあった申告をしましょう

法人税の中間納付について簡単にまとめると以下のようになります。

予定申告
メリット ・申告が簡単
・中間納付額が事前にわかる
・確定申告時期に納付しすぎた税金があれば還付される
・還付される金額によっては還付加算金(利息)がつく
デメリット ・今期が中間時点で赤字などでも、納付しなければならない
選択する場合の目安 ・手間をかけたくない
・資金に余裕があり還付加算金がほしい
仮決算に基づいた申告
メリット ・今期が中間時点で赤字などの場合、中間納付額が少なくなる
・確定申告時期に納付しすぎた税金があれば還付される
・還付される金額によっては還付加算金(利息)がつく
デメリット ・手間がかかる
・前期の決算確定時点では、中間納付額がわからない
・税理士に依頼する場合、コストが増える
選択する場合の目安 ・前期に比べて今期の利益が大幅に減少しており、資金繰りが厳しい

今期と前期の利益が同じくらいなのに、仮決算に基づいた申告をしても、予定申告と比べて中間納付額にあまり差がありません。「ただ手間がかかってしまっただけ」とならないように、状況にあった申告をしましょう。

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