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【税理士監修】法人格とは?種類や略称、取得のメリットを解説!

最終更新日: 2024年06月28日

「長年の夢だったNPOの立ち上げ。支援者やスタッフはなんとか確保できそうだけど、肝心の法人設立の手続がよく分からない……」

今回は、そんな悩みを抱えている方にぜひ読んでいただきたい情報を紹介します。

あらゆる法人には「株式会社」や「NPO法人」といった法人格があります。法人格には様々な種類があり、それぞれ固有の特徴、設立に必要な要件・手続があるので、法人を新たに立ち上げようと考えている人はぜひ理解しておきたいところです。

法人設立を滞りなく完了させたいという方は、法人格の重要ポイントをもれなく解説したこの記事をぜひ参考にしてみてください。

この記事を監修した税理士

竹田健司税理士事務所 - 東京都豊島区南池袋

 

法人格とは

法人格とは
法人格とは

まずは基本となる法人格の定義を確認しましょう。あわせて法人格を考える際の重要論点である「法人格否認の法理」についても触れるので、ざっとチェックしてみてください。

法人格とは

会社やNPOなどの団体に与えられる法律上の人格のことを「法人格」と言います。「人格」という言葉からは人柄や人間性などを連想するかもしれませんが、法人格という言葉にそのような意味はありません。法人格とは、法人が権利義務や取引の主体となれるよう法律が特別に与えた資格のようなものです。

団体が法人格を取得することで、構成員や代表者の名義ではなく、団体自身の名義で売買をしたり、銀行口座を開設したり、不動産の登記をしたり、保険に加入したり、税金を納めたりすることができるようになります。

法人格否認の法理

法人格制度が認められた趣旨は、団体自体を権利義務や取引の主体としたほうが、契約や課税など国家経済全般の見地からも有用だと言えるからです。この制度趣旨から逸脱するようなケースでは、団体に法人格を認めるべき意義はありませんので、問題解決のために一時的に法人格を否定する必要があります。

このような考え方を法人格否認の法理と言います。法律の明文で認められたものではなく、判例の蓄積によって認められた判例法理です。法人格否認の法理が適用されるのは、たとえば次のようなケースです。

〈法人格が形骸化したケース〉

法人としての活動実態が希薄な場合や、法人が実質的に個人企業である場合など。

(例)

  • HPで虚偽の事業活動報告をしている
  • 会社と代表者の財産が区別されていない
  • 株主総会や取締役会などがまったく開催されていない

〈法人格を濫用したケース〉

法律上の義務を免れるために法人化した場合や、脱税などの違法目的のために法人格を悪用した場合など。

(例)

  • 強制執行を免れるために、別の法人を設立して財産を移した
  • 個人事業主がペーパー会社を設立し、脱税する目的で当該会社と架空の取引をしたり、経費の水増しをしたりした

法人格否認の法理が適用されると、対外的な取引などにおいて、会社の代表者や実質的な経営者個人が当事者として扱われることになります。会社が当事者であれば、会社の財産で支払いをしたり、債務を負担したりできたはずが、法人格が否認されたことで、個人の財産がターゲットになるわけです。

このような処理は、あくまで相手方を保護するための例外的な解決法です。したがって、法人格否認の法理の適用は慎重に判断する必要があります。

法人格の種類

法人格の種類
法人格の種類

ここでは、法人格の種類と特徴、日常使う機会の多い法人格の略語、そして誰もがよく知っていながら法のルールからは外れた存在である権利能力なき社団について紹介していきます。

法人格一覧|営利法人

営利法人は、株式会社持分会社(合同会社・合名会社・合資会社)に大別できます。

持分会社の「持分」とは会社の所有権のことです。「会社の所有者と経営者が一致している」というのが持分会社の大きな特徴です。したがって出資をした社員は会社の持分を持つと共に、会社の経営権も有することになります。

株式会社の場合、株主は出資することで株式を取得します。株式も持分=所有権である点では持分会社と同じですが、株式会社の場合は「会社の所有者と経営者は一致しない」というのが原則です。オーナー会社のように、会社の所有者と経営者が一致しているケースはあくまで例外です。

営利法人の法人格の種類と特徴を一覧表にしたので参考にしてください。

〈営利法人の特徴〉

株式会社 合同会社 合名会社 合資会社
できる業務 法に触れる内容でなければ制限なし 同左 同左 同左
設立時に必要な最低社員数 有限責任社員1人以上 有限責任社員1人以上 無限責任社員1人以上 有限責任社員1人および無限責任社員1人(合計2人)以上
出資者の責任範囲 有限責任のみ 有限責任のみ 有限責任のみ 有限責任・無限責任の2種類
議決権の行使 株主が行使する。1株1議決権 出資者=社員が行使する。1人1議決権が原則だが、定款で変えてもOK 同左 同左
設立登記 必要 必要 必要 必要
役員の選任 必ず「取締役1人以上」を選任する 出資者全員に会社の経営権があるので、役員選任は不要。必要に応じて「代表社員」や「業務執行社員」を選任することは可能 出資者全員に会社の経営権があるので、役員選任は不要。必要に応じて「代表社員」を選任することは可能 同左
設立方法 公証人による定款認証+設立登記 設立登記 設立登記 設立登記
設立費用 24万円

・公証人による定款認証の費用5万円
・定款に貼る印紙代4万円(電子定款にする場合は不要)
・登録免許税15万円

10万円

・定款に貼る印紙代4万円(電子定款にする場合は不要)
・登録免許税6万円

同左 同左
設立時資本金  金銭で1円以上 同左 金銭の代わりに信用・労務・現物出資でも可 同左
余剰金の分配 出資金額に比例する 出資金額のほか事業への貢献度なども考慮して分配できる 同左 同左
登録免許税 15万円 6万円 同左 同左

営利法人の場合、「出資者の責任範囲」が大きく異なるのがポイントです。営利法人は事業の規模も大きくなるので、いざ債務や損害が発生した場合に、社員が背負うことになる責任も馬鹿になりません。社員に過度な負担をかけたくないような場合には、有限責任形態の法人格を選択するのが良いでしょう。

法人格一覧|非営利法人

非営利法人の法人格の種類および特徴は次のとおりです。公益社団/財団法人は、一般社団/財団法人の延長線上にある団体なので、特徴がほぼ共通していることに注意してください。

一般社団法人 一般財団法人 NPO法人 公益社団/財団法人
できる業務 制限なし。収益事業を行って利益を活動資金に充ててもOK。ただし剰余金の分配は不可 同左 「保健、医療または福祉の増進を図る活動」や「社会教育の推進を図る活動」など、NPO法第2条別表が掲げる17の分野に該当する活動(=特定非営利活動)および特定非営利活動のための資金を得るための収益事業 「学術および科学技術の振興を目的とする事業」や「文化および芸術の振興を目的とする事業」など、公益法人認定法別表が掲げる22の公益目的事業および公益目的事業のための資金を得るための収益事業
設立時に必要な最低社員数 2人以上 1人以上。財団法人には社員が存在しないので、代わりに「設立者」が必要となる 10人以上 一般社団/財団法人と同じ
出資者の責任範囲 有限責任。法人が解散したことで第三者に損害を与えたとしても、社員は責任を負わない 有限責任。なお、財団法人は「財産の集合体」であるため、出資者(社員)という概念は存在しないことに注意 一般社団法人と同じ 一般社団法人と同じ
議決権の行使 社員1人につき1議決権が原則だが、定款で変更してもOK 評議員1人につき1議決権。定款で変更するのはNG 社員(正会員)1人につき1議決権。定款で変更するのはNG 一般社団/財団法人と同じ
設立登記 必要 必要 必要 一般社団/財団法人と同じ
役員 理事および監事 理事および監事 理事および監事 一般社団/財団法人と同じ
設立方法 公証人による定款認証+設立登記 同左 所轄官庁の認証+設立登記 一般社団/財団法人と同じ
設立費用 15万円

・公証人による定款認証の費用5万円
・定款に貼る印紙代4万円(電子定款にする場合は不要)
・登録免許税6万円

同左 0円 一般社団/財団法人と同じ
設立時資本金 不要。設立後の活動資金は「社員の自腹」か「基金」によって賄う 300万円以上 不要。設立後の活動資金は「会費」「補助金や助成金」「寄付金」「事業収入」によって賄う 一般社団/財団法人と同じ
余剰金の分配 非営利なので余剰金の分配は不可 同左 同左 同左
登録免許税 6万円 同左 0円 一般社団/財団法人と同じ
決算公告 事業年度ごと貸借対照表を公告する義務あり 同左 同左 同左
課税 すべての所得が課税対象(法人税や消費税、法人住民税、法人事業税など)。ただし、法人税法が定める「非営利型法人」に当たる場合は公益社団/財団法人と同様に扱われる。 同左 原則非課税だが、「物品販売」や「金銭貸付」など、政令が定める33事業を行った場合は課税される。 公益目的事業は非課税だが、収益目的事業は課税される。

財団法人の特徴に注意しましょう。「社団は人の集まり」ですが「財団は財産の集まり」です。そのため財団法人には、出資者兼経営者となるべき社員が存在しません。社員の代わりとして、設立手続を担当する設立者、日常の運営を担う理事、そして理事の選任など重要な意思決定を行う評議員という3種類の当事者によって運営されます。

またNPO法人は、設立費用がかからないこともチェックしてください。NPO法人は、設立登記の登録免許税が免除されているほか、公証人による定款認証も不要のため、手数料や印紙代などの法定費用は一切かかりません。

法人格の略称一覧

法人格には固有の「略称」があるのでチェックしておきましょう。

法人の種類 漢字の略語 カタカナの略語
先頭に使う場合 途中に使う場合 末尾に使う場合
株式会社 (株) カ) (カ) (カ
合同会社 (同) ド) (ド) (ド
合名会社 (名) メ) (メ) (メ
合資会社 (資) シ) (シ) (シ
一般社団法人 (一社) シヤ) 途中には使えない 末尾には使えない
公益社団法人 (公社)
一般財団法人 (一財) ザイ) 途中には使えない 末尾には使えない
公益財団法人 (公財)
NPO(特定非営利活動)法人 (特非) トクヒ) (トクヒ) (トクヒ

権利能力なき社団

ここまで、法人格を持つ様々な団体について説明してきましたが、同窓会やサークル、町内会、マンション管理組合などのように、「一定の構成員が所属していて、定款や運営機関(理事会など)があり、しかも実際に団体活動を行っているなど、法人に近い組織を有しているにもかかわらず、設立登記などの法人格取得要件を満たしていないために法人格を取得できていない団体」が多数存在しています。このような団体のことを、「権利能力なき社団」と呼んでいます。

権利能力とは、私法(民法や会社法など)が定める権利関係の主体となれる法的地位のことです。したがって、権利能力は法人格とほぼイコールと考えて差し支えありません。

権利能力なき社団には次のようなデメリットがあります。

名義管理が煩雑

法人格がないため、取引などをする場合には、代表者や構成員の名義を使う必要があり、とても面倒です。

社会的信頼が低い

法人格を取得している団体には、社会から一定の信頼が寄せられます。権利能力なき社団は、世間的には「単なる人の集団」に過ぎないため、社会的信頼は低くなります。

公正な運営ができなくなる

法人格を持つ団体は、会社法や一般社団・財団法人法、NPO法などの根拠法にしばられるため、ある程度公正な団体運営が可能となります。他方、権利能力なき社団には根拠法がありません。そのため「構成員の多数決」や「発言力のある特定人物の決定」といった曖昧なルールに従わざるを得ず、公正な団体運営ができなくなるおそれがあります。

権利能力なき社団には以上のようなデメリットがあるので、組織が大きくなりすぎてスムーズな運営ができなくなっている団体は、頃合いを見計らい法人格を取得すると良いでしょう。

法人格を取得するメリット

法人格を取得するメリット
法人格を取得するメリット

法人格を取得することにはメリットがあります。「法人格を取得しようかどうか迷っている……」という個人事業主の方はぜひ参考にしてみてください。

節税効果が期待できる

売上が大幅に増えた個人事業主は、節税目的で「法人成り」を選択することがあります。これは、役員報酬や退職金などを活用することで、個人事業主の所得税よりも、節税できるからです。

信頼が得られる

権利能力なき社団の説明でも触れたように、法人格を取得することで一定の社会的信頼を得ることができます。たとえばデザイナーとして素晴らしい業績を持っている人でも、会社代表者という資格が加われば、「個人の仕事能力だけでなく、組織を動かす能力もあるのだな」と良い印象を相手に与えることができます。

事業承継が円滑になる

個人事業主が亡くなってしまうと、事業を引き継ぐ人がいないかぎり事業は終了となります。他方、法人化していれば、たとえ代表者が亡くなっても、他の代表者を選任すれば事業を続けることが可能です。個人事業の規模が非常に大きくなり、もし事業がストップしてしまうと多くの利害関係者に影響を及ぼすことが予測できる場合は、事業承継を円滑にするためにも、早めに法人格を取得し、会社組織にするのがおすすめです。

経費計上の可能な範囲が広い

次に挙げる例のように、個人事業主よりも会社組織のほうが幅広い経費を計上できます

・出張手当や慶弔金
法人の場合、内規に明文化することで出張手当や慶弔金を経費にできます。個人事業主の場合、これらの手当は「プライベートな支出」とみなされるので経費と認められない可能性が高いです。

・自宅アパートやマンションの家賃
個人事業主が自宅アパートやマンションを「自宅兼事務所」にしている場合、家賃は事務所として実際に使用している割合でしか経費にできません。そこで、法人化したうえでアパート等を会社名義で契約し、代表者である居住者に又貸しするという形を取れば、「会社が家主に支払う家賃」から「居住者が会社に支払う家賃」を差し引いた差額を会社の経費に計上できます。

・生命保険の掛け金
個人事業主のままだと、生命保険の掛け金は生命保険料控除の対象になるだけです。他方、会社を設立すれば、被保険者を代表者、契約者・保険金受取人を会社にすることで、保険料を全額経費にできる場合があります(ただし保険商品による)。

赤字繰り越し年数が10年になる

1年間の所得が赤字になった場合、その赤字額を「欠損金」と言います。欠損金は翌年以降に一定期間繰り越すことができます。繰越欠損金を黒字と相殺すれば所得を減らせるので、節税には欠かせない手法です。

この繰越欠損金が認められる期間は、個人事業主の場合3年かぎりですが、法人の場合は原則9年、平成30年4月1日以後に始まった事業の赤字については10年まで認められます。

法人格の取得・変更方法

法人格の取得・変更方法
法人格の取得・変更方法

法人格は、法律が定めた要件を満たし、必要な手続をふむことで取得できます。ここでは営利法人と非営利法人それぞれについて、法人格の取得要件と取得手続、そしてイレギュラーな法人格取得ルートである組織変更についても解説していきます。

法人格の取得要件

法人格の取得要件は、法人の種類によって異なります。

〈営利法人の法人格取得要件〉

営利法人(株式会社・合同会社・合名会社・合資会社)は、設立登記をした時点で法人格を取得します。ただし、上掲の「法人格一覧」で挙げたように、各法人ごとに設立の必要条件が異なるのは当然です(たとえば、株式会社では設立登記のほか定款認証が必要だが、合同会社等では定款認証不要である等)。

〈非営利法人の法人格取得要件〉

非営利法人のうち、一般社団/財団法人と公益社団/財団法人は、設立登記をした時点で法人格を取得します。NPO法人も設立登記をした時に法人格を取得する点では同じですが、登記の前に所轄官庁による審査・認証が必要となります。NPO法人は一般社団/財団法人よりも税制上優遇されるため、より厳しい要件が求められているわけです。

法人格の取得手続

法人格の取得手続も法人の種類ごとに異なります。

〈営利法人が法人格を取得するまでの手続〉

◎株式会社の場合

  1. 会社の基本事項を決める。商号(「株式会社」という文字列を必ず含める)、事業目的、本店所在地、事業年度(決算月)、設立時の出資金額、役員(発起人、取締役)など
  2. 本店所在地を管轄する法務局で似たような商号がないか調べる
  3. 法人の印鑑(代表印、銀行印、角印)、役員の実印を作成後、法人代表印と役員実印の印鑑証明書を取得する
  4. 公証人に定款を認証してもらう(この時点で定款の効力が発生)
  5. 発起人が出資金を払い込む
  6. 創立総会を開催し、設立時取締役等を選任する
  7. 設立時取締役が設立登記を申請。登記申請日が会社の設立日=法人格を取得した日となる(合同会社等も同じ)

◎合同会社の場合

  1. 会社の基本事項を決める。商号(「合同会社」という文字列を必ず含める)、事業目的、本店所在地、事業年度(決算月)、社員(出資者)、設立時に出資金額、役員(代表社員や業務執行社員)など
  2. 本店所在地を管轄する法務局で似たような商号がないか調べる
  3. 法人の印鑑と役員の実印を作成し、印鑑証明書を取得する
  4. 定款を作成する(公証人による認証は不要)
  5. 役員が出資金を払い込む
  6. 設立登記をする

◎合名会社の場合

合同会社とほぼ同じですが、定款を作成する際に、「社員全員が無限責任社員であること」と「出資者全員の氏名・住所・出資金額」を明記する必要があります。

◎合資会社の場合

合同会社とほぼ同じですが、社員(出資者)は有限責任社員と無限責任社員が各1名以上必要であること、定款に有限責任社員と無限責任社員全員の「氏名・住所・出資金額・有限責任(無限責任)であること」を明記する必要があることに注意してください。

〈非営利法人が法人格を取得するまでの手続〉

非営利法人には「出資」という段階がないため、営利法人よりもシンプルな手続になります。

◎一般社団/財団法人の場合

  1. 2名以上の社員と設立時役員(理事)1名以上を選任する
  2. 定款を作成し、公証人の認証を受ける
  3. 定款に役員(理事や監事)を記載していない場合は、定款認証の完了後、設立時役員を選任する
  4. 設立登記をする

◎公益社団/財団法人の場合

一般社団/財団法人と同じです。公益社団/財団法人として税制上の優遇措置を受けるには、第三者委員会による審査と所轄官庁による公益認定を受ける必要がありますが、これは一般社団/財団法人として設立した後の手続であり、法人格の取得とは無関係です。

◎NPO法人の場合

  1. 定款、役員名簿、事業計画書を作成する
  2. 設立総会を開催する
  3. 所轄官庁に設立認証を申請する
  4. 所轄官庁からの認証を受けた後、設立登記をする

法人格の変更について

「今まで公益法人として公益目的の事業を行ってきたが、営利事業を行う法人に転換したい。スタッフや財産はそのまま流用したいので、できれば組織は解散せずに、書類上の簡単な手続だけで営利法人に組織を変えたいのだが……」

このように、何らかの事情により一度取得した法人格を別の種類の法人格に変更したい場合があるかもしれません。一度取得した法人格を別の法人格に変更することを「組織変更」と言います。組織変更はできない場合とできる場合があるのでチェックしましょう。

〈法人の組織変更ができない場合〉

・非営利法人と営利法人の間では、組織変更NG
これは当然と言えば当然です。一般社団・財団法人法やNPO法がわざわざ特別な設立手続を用意したことが無意味になってしまうからです。

・同じ非営利法人であっても、NPO法人とそれ以外の法人(一般社団/財団法人、公益社団/財団法人)の間では、組織変更NG
これも上記と同様の理由です。NPO法人はそれだけ特別な法人だということです。組織変更できないケースでは、あらかじめ別法人を設立した上で、既存組織の社員や財産、事業などを引き継がせるしか方法はありません

〈法人の組織変更ができる場合〉

・株式会社と持分会社(合同会社・合名会社・合資会社)の間では、組織変更OK
株式会社と持分会社は同じ営利法人であり、事業内容の範囲にも違いはありません。そのため、会社法が定める組織変更手続(組織変更計画の作成、総社員の同意、官報公告など)をふむことで、既存組織の社員や財産などは何も変えることなく別の法人格になることができます

・合同・合名・合資会社の間でも、組織変更OK
これらの持分会社も同じ営利法人同士なので、組織変更が可能です。ただし、各会社の法人格取得要件を満たす必要があります。たとえば合同会社から合資会社に組織変更する場合は、まず商号を「〜合資会社」に変更します。社員も有限責任社員しかいませんので、一部を無限責任社員に変更します。これらの変更内容にしたがって定款も変更する必要があります。

監修税理士からのコメント

竹田健司税理士事務所 - 東京都豊島区南池袋

法人を立ち上げる場合、また個人事業主から法人成りする場合には、様々な選択肢があります。これから行う事業性や出口戦略を含めて最良の選択をすることが必要です。また、法人格の種類によって設立費用が異なりますし、資本金や出資金の額によって税務上の取り扱いが大きく異なりますので、必ず専門家に相談することをオススメします。

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この記事の監修税理士

竹田健司税理士事務所 - 東京都豊島区南池袋

税理士の竹田と申します。東京都池袋にてtake会計事務所を経営しております。 特徴としてはMBAを首席で卒業しておりますので、 通常の税理士とは違い、マーケティングや売上アップのお手伝いを 顧問料の範囲内で行わせて頂くのが特徴となります。