自宅の新築で外壁を検討しているなら、機能性やデザイン性に優れた金属サイディングがおすすめです。
金属サイディングの種類とメリット・デメリットを紹介し、外壁材を長持ちさせるために重要なメンテナンスの時期や費用の相場についても解説します。
金属サイディングの種類と特徴
「金属サイディング」とはパネル状の外壁材であるサイディングの一種で、金属板に断熱効果のある板材が裏打ちされています。同じくサイディングの一種である窯業サイディングに次ぐ人気があり、年々シェア率が高まっている注目の外壁材です。
金属サイディングに使われる代表的な金属は、「ガルバリウム鋼板」と「アルミニウム合金塗装板」の2種類です。それぞれの特徴を解説します。
金属サイディングの特徴
そもそもサイディングとは外壁に使われるパネル材のことを指します。このサイディングの中に断熱材などが差し込まれて外壁となります。
この金属サイディングの多くに採用されているのが、鋼板の表面にアルミニウムや亜鉛・シリコンの合金をメッキした「ガルバリウム鋼板」です。日本では建築基準法の耐火基準の認可を受けた外壁材で、単体で使用できるため普及しました。
耐久性に優れ、腐食を防止する効果のある亜鉛が含まれている上に、メッキが層になっていてサビにも強い金属サイディングです。耐用年数は40〜50年ほどと長く、メンテナンスの手間もそれほど必要ありません。
さらに比較的リーズナブルに導入できるのも、うれしいポイントといえるでしょう。
金属サイディングの種類
金属サイディングの外壁を作る際には、ガルバリウム鋼板以外にもさまざまな金属が用いられます。ここではそれぞれの金属の特徴について解説していきます。
ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板は、亜鉛とアルミニウムの合金によってコーティングされた鋼板で、非常に高い耐腐食性を誇ります。湿気の多い地域や海岸近くでも錆びにくく、高い耐久性を誇ります。
さらに、軽量で施工が容易なため、地震などの災害にも強く、また工期も短く済ませることが可能です。デザイン性も優れ、多彩なカラーや仕上げが用意されているため、現代的な住宅や商業施設に幅広く使用されています。デメリットとしては、音の反響が気になる点です。材質の性質上遮音性が低い点がデメリットとして挙げられます。
トタン
トタンは、亜鉛メッキされた鋼板でコストパフォーマンスに優れた外壁材です。
施工が容易で初期投資を抑えられるため、住宅や小規模な建物に広く利用されており、費用を抑えつつ金属サイディングを使いたい方におすすめです。
ただ、ガルバリウム鋼板と比較して防腐性といった耐久性には劣るため、湿気の多い環境では早期に錆が発生することがあります。また、音の反響が強く、雨音や風の音が響きやすいというデメリットもあります。デザインの自由度は限られていますので、費用を抑えつつシンプルな外観で金属サイディングをしたいという方には適しています。
アルミニウム合金塗装板
ガルバリウム鋼板に次いで人気なのが鋼板にアルミニウムを使った「アルミニウム合金塗装板」です。ガルバリウム鋼板が普及するまでは主流の金属サイディングでした。
軽量な外壁材のため加工やメンテナンスがしやすく、また電流を用いたコーティングによって表面の汚れも水で簡単に落とせます。さらにメッキ加工が防錆性や耐候性・耐久性を高めてくれるため、耐用年数は40〜50年ほどと長持ちします。
ただし導入コストはガルバリウム鋼板と比べると高めな点がデメリットとして挙げられます。
ステンレス鋼板
ステンレス鋼板は耐腐食性に優れた金属素材で、主に高級感を求める建物や特別な用途に使用されます。酸や塩分に強く、厳しい環境でも劣化しにくいため、長寿命が期待できます。
ステンレス鋼板の最大の特徴はその美しい光沢感です。現代的で洗練されたデザインを演出しますが、価格は他の金属サイディングに比べて高価です。また、施工には専門的な技術が必要となる場合があり、対応している施工会社が少なかったり、初期投資を抑えたい方には向いていないというデメリットもあるので注意しておきましょう。
金属サイディングの価格
続いて、金属サイディングでリフォームをする際の価格を紹介します。どういうリフォーム工事をするかによっても変わりますので、それぞれ見ていきましょう。
工事種類 | 平米単価 | 費用相場 |
---|---|---|
カバー工法 | 2,500〜3,250円/㎡ | 120〜250万円 |
張り替え | 3,600〜5,500円/㎡ | 180〜350万円 |
- カバー工法:既存の外壁材の上から新しい外壁材を設置する工事
- 張り替え:既存の外壁材を撤去して、新しい外壁材を設置する工事
金属サイディングのメリット
金属サイディングには、ほかのサイディング外壁と比べてどのようなメリットがあるのでしょうか。ひとつずつ順番に解説します。
断熱性、耐凍害性が高い
金属サイディングのメリットのひとつは断熱性です。裏打ちされた断熱材に加えて、金属サイディングと室内との間にできる隙間が断熱効果を高めます。
また外気の影響を受けにくいため、室内の温度が保たれやすく快適です。寒い冬場には暖房効率が高まることで、電気代の節約にもつながるでしょう。
加えて優れた耐凍害性も金属サイディングの特徴のひとつです。外壁内部に水が入り込みにくい構造によって、水分の凍結による壁のダメージを抑えます。そのため寒冷地での使用に特におすすめの外壁材なのです。
耐震性にも優れている
地震による揺れが繰り返されると、外壁の重みによって振動が増幅していき、建物に深刻なダメージを与えます。
しかし金属サイディングの重量は窯業サイディングの1/4ほど、モルタル外壁の1/10ほどのため、大きな地震が発生しても振動を増幅させる心配がありません。また片側の嵌合部が揺れに合わせてスライドする構造のため、外壁の損傷・脱落も防げます。
重さや構造の両面から、高い耐震性を実現している外壁材です。
施工しやすくトータルコストが安い
金属サイディングは加工・施工がしやすく、工期が短いため、工事費用がリーズナブルなのも大きなメリットです。本体価格も1㎡あたり約4,300〜5,300円ほどと、樹脂系サイディングや木質系サイディングに比べて安く、初期費用を抑えられます。
また浸水やひび割れが生じない分、ほかのサイディングと違って頻繁なメンテナンスが不要なのもうれしいポイントです。メンテナンスの費用も少なくて済みます。
長期的なランニングコストを考えれば、かなりコストパフォーマンスに優れた外壁材といえるでしょう。
デザイン性が高い
シンプルでモダンな外観も金属サイディングの魅力のひとつです。特に人気の高い縦ラインのデザインは、無駄がなく洗練されていて、いつまでも飽きずに楽しめるでしょう。もちろんナチュラルな風合いのデザインも選択できます。
さらにカラーバリエーションも豊富で、都会的なメタリックカラーから、落ち着いたモノトーンカラーまで、好みに合わせて自由に選択が可能です。
金属サイディングは外観にこだわりたい人にぴったりな外壁材といえるでしょう。
環境への配慮
金属サイディングは、環境への配慮に優れた素材でもあります。特にアルミニウム合金やガルバリウム鋼板は、リサイクル可能な素材であり、使用後も再利用が可能です。このため、廃棄物の削減や資源の循環利用に貢献することができます。
また、金属サイディングは、製造過程でのエネルギー消費が比較的少ないため、環境負荷が低いという利点もあります。さらに、金属の反射率が高いため、夏季には熱を反射し、エネルギー消費を抑えることができるため、温暖化対策としても効果的です。環境を意識する方にとって、金属サイディングは魅力的な選択肢となります。
金属サイディングのデメリット
メリットの多い金属サイディングには、逆にどのようなデメリットがあるのでしょうか。金属サイディングの主なデメリットを3点紹介します。
窯業系よりトータルの材料費が高い
金属サイディングはコストパフォーマンスに優れているとはいえ、シェア率の高い窯業サイディングに比べると、トータルコストがどうしても高額になります。
金属サイディングを導入する場合には、パネル本体に加えて、施工用のサブパーツが4〜5種類ほど必要です。このサブパーツの価格が上乗せされることも、導入費用が高くなる要因のひとつといえます。
また窯業サイディングは塗装メンテナンスの費用が安価なのも特徴的です。メンテナンスをすべき回数は多いものの、塗装費用だけで考えれば、金属サイディングよりも安く済む場合が多いでしょう。
傷やサビが付きやすい
金属サイディングは表面の金属にものが擦れると、傷が付いてしまう場合があります。さらに放置していた傷が雨水にさらされるなどして、サビが発生する場合も少なくありません。またサビは近くに金属を置いておくことでも発生します。
ほかの金属と比べて防錆性の高いガルバリウム鋼板であっても、サビが付く可能性はゼロではないため注意が必要です。
外壁を長持ちさせるためにも、傷やサビを発見した際には、できるだけ早めに補修する必要があります。また金属サイディングを傷から守るために、外壁の周りにはものを置かないようにしましょう。
施工できる業者が限られる
金属サイディングの施工には、金属部品を加工する高度な技術が必要で、専門性が問われます。ほかのサイディング外壁と違って、技術や実績・知識の豊富な板金工事業者による施工が必須のため、業者探しには苦労するかもしれません。
そのため住宅を新築する際に、金属サイディングの施工を依頼すると、工務店から相場よりも高い見積もりが提出されたり、そもそも施工を断られるケースもあります。自力で業者を探す場合にも、工事日の予約が取りにくい可能性があるでしょう。
しかし専門性の低い業者に依頼をしてしまうと、施工ミスなどの原因になりうるため、信頼できる業者を慎重に選ぶことが重要です。
耐音性が低い
金属サイディングは、その素材特性上、音の反響が強くなりやすいというデメリットがあります。
特に雨音や風の音が響きやすく建物内部に音が伝わりやすいため、生活環境に影響を及ぼすことがあります。このため、特に静かな環境を求める方や、音に敏感な方にとっては居住空間の快適性が損なわれる可能性があります。
音の問題を軽減するためには、施工時に吸音材や断熱材を併用することが推奨されますが、その分コストが増加してしまいます。
他のサイディング材との違い
続いて、金属サイディングと他のサイディング材の違いについて解説していきます。サイディングには金属以外にも、木質系サイディング、窯業系サイディング、樹脂系サイディングの合計4種類のサイディング剤がありますので、それぞれの違いを見ていきましょう。
種類 | 耐用年数 | 費用相場 |
---|---|---|
金属サイディング | 10〜15年 | 4,000円〜6,500円/㎡ |
木質系サイディング | 7〜10年 | 6,000円〜8,500円/㎡ |
窯業系サイディング | 8〜12年 | 3,500円〜5,000円/㎡ |
樹脂系サイディング | 10〜20年 | 6,000円〜8,000円/㎡ |
木質系サイディングとの違い
木質系サイディングは、合成木材や天然木を使用した外壁材で、温かみのある見た目が特徴です。断熱性が高く自然な風合いを持つため、住宅に柔らかな印象を与えられる点が金属サイディングとの違いです。
施工が比較的容易でデザインの自由度が高い点も魅力ですが、定期的なメンテナンスが必要で塗装や防腐処理が欠かせません。
また、湿気や虫害に弱いことがあるため、使用環境に応じた選択が重要です。耐久性の面では、金属や窯業系に比べると劣るため、適切な対策を講じる必要があります。
窯業系サイディングとの違い
窯業系サイディングは、セメントと繊維を主成分とした外壁材で、耐火性や耐候性に優れています。さまざまなデザインや色の選択肢があり、木材やレンガ調の模様を再現できるため、見た目の美しさが魅力です。
施工が比較的簡単で、軽量なため、建物への負担が少なく、耐久性も高い点が特徴的ですが、表面が傷つきやすいことや、長時間の直射日光により色褪せが生じることがあるため注意が必要です。
樹脂系サイディングとの違い
樹脂サイディングは軽量かつ施工が簡単で、メンテナンスがほとんど不要です。防水性や耐腐食性に優れており、長期間にわたって美しさを保つことができます。多様なデザインや色が選べるため、外観のバリエーションも豊富です。さらに、断熱性能も良好で、エネルギー効率を向上させる効果があります。
ただし、高温になると変形する可能性があり、紫外線による劣化が懸念されるため、品質の良い製品を選ぶことが重要です。
金属サイディングがおすすめな人は?
続いて、金属サイディングがおすすめなケースを紹介していきます。
長期的なコストパフォーマンスを重視する
金属サイディングは耐腐食性や耐久性に優れた素材であり、特に長期間の使用を考えている方におすすめです。
雨や湿気、虫害に強いため、メンテナンスが少なく、長寿命が期待できます。一般的に、金属サイディングは20年以上の耐用年数があり、手間のかかる定期的なメンテナンスが不要です。初期費用こそ高いですが、その分耐用年数が長いので長い目で見てコストパフォーマンスの高い外壁材となっています。
現代的なデザインを重視する方
金属サイディングは、さまざまな色や仕上げが選べるため、現代的でスタイリッシュなデザインを重視する方にぴったりです。
住宅だけでなく商業施設や店舗にも適しています。また、シンプルでクリーンなラインが特徴で、他の素材と組み合わせることで、独自のデザイン性を持つ建物を実現できます。
特に、トレンドに敏感な方や、新築やリフォームを検討している方にとって、金属サイディングはデザインの自由度が高く、個性的な外観を追求できる点が特徴的です。
防火対策を重視する方
金属サイディングは優れた耐火性を持つため、防火対策を重視する方におすすめです。特に、火災の危険がある地域や周囲に可燃物が多い場合には、金属サイディングが非常に効果的です。
金属素材は、火が直接当たった際にも燃えにくく、火災から建物を守る役割を果たします。また、火災による損傷を受けにくいため、長期的に見ても安全性の高い選択肢です。火災リスクを考慮している方や、特に安心して住まうことができる住宅を求める方には、金属サイディングが理想的です。
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