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人気な遮熱塗料のデメリット|遮熱塗料の効果から他の塗料との違い、落とし穴まで解説

最終更新日: 2024年11月25日

遮熱塗料を屋根や屋上、外壁に塗装すると、日光などの熱をはねのけてくれます。夏場には日射から受ける熱の吸収を抑え、室内温度を低下させることができます。

ただ、人気の遮熱塗料ですが、費用が高かったり製品によっては遮熱性能が高くないというデメリットもあります。この記事では、人気な遮熱塗料のデメリットについて解説していきますので参考にしてみてください。

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遮熱塗料とは?効果を解説

遮熱塗料は、日射を反射する特性を持ち、建物の温度上昇を抑える効果を持つ塗料です。特殊な顔料が含まれているためこの顔料が太陽光の赤外線を反射し、表面温度を通常の塗料よりも大幅に低減します。

また、遮熱塗料は耐久性が高いものが多く塗り替えの頻度も少なくて済むため、メンテナンスコストの削減にも貢献します。住宅や商業施設、工場など幅広い用途で利用されており人気となっています。

遮熱塗料の効果

遮熱塗料の効果

「遮熱塗料」の正式名称は「高日射反射率塗料」といい、JIS規格によって品質が規定されています。

屋根や屋上、外壁などに遮熱塗料を塗装すると、赤外線を反射することができます。その結果、夏場など日射が多い日には熱を跳ね返し、室内の温度上昇をおさえることが可能です。

屋根の表面温度は夏場で最大15~20℃ほど低下、室内温度は1~3℃低下するという効果があります。エアコンの温度設定が1℃下がると消費電力が10~13%抑えられるので、省エネ効果も期待できるのです。

都心部を中心に問題となっている「ヒートアイランド現象」を防ぐ効果が期待できます。国や自治体からも、省エネ対策として遮熱塗料の塗装が推進されていて、助成金や補助金が出るケースもあります。

関連記事:【2021年7月更新】外壁塗装の助成金・補助金は誰でも貰える? | ミツモア

遮熱塗料と断熱塗料との違いは?

塗料

遮熱と断熱という言葉は似ているので、同じような意味として混同されがちです。しかし遮熱塗料と断熱塗料には、はっきりとした違いがあります。

熱を防ぐ仕組みの違い

遮熱塗料は、太陽光に含まれる赤外線の反射率を高めることで、屋根に熱が吸収されるのを防ぎます。その結果として屋根裏の気温が下がり、さらに室内温度も下げることができるのです。

一方で断熱塗料は、塗膜(塗装表面の塗料の膜)のなかに熱をため込み、屋根材や外壁材まで熱が伝導しないようにする仕組み。その結果として室内温度を保つ効果があり、冬の寒い外気を防ぐ効果があります。

室内温度の「上昇」を防ぐ遮熱塗料、室内温度の「変化」を防ぐ断熱塗料というふうに覚えておきましょう

遮熱塗料と断熱塗料の耐用年数・費用の違い

遮熱塗料 断熱塗料
耐用年数 8~12年 15~20年
費用相場 2,500~3,000円 3,500~4,500円
特徴
  • 夏の暑さを軽減
  • 冬も遮熱してしまう
  • 夏の暑さを軽減
  • 冬の寒さも軽減

遮熱塗料と断熱塗料の違いについて、費用や耐用年数に着目すると、上記の表のようになります。

遮熱塗料の場合には、赤外線・日射の反射率を高めるという仕組みによって、冬も熱の吸収を防いでしまいます。そのため、寒冷地などの場合は断熱塗料のほうがオススメです。

人気な遮熱塗料のデメリットを解説

遮熱塗料は人気の塗料ですが、デメリットもあります。遮熱塗料による塗装を検討している方は、デメリットも踏まえたうえで、施工に踏み切りましょう。

塗料の価格が高い

遮熱塗料は一般の塗料より機能性がある分、価格が高くなっています。

遮熱塗料の種類やメーカーにもよりますが、普通の塗料が2,000円/㎡ほどであるのに対して、遮熱塗料は4,000円/㎡以上かかることが多いです。

ただその分、安価な塗料と比較して耐用年数が2〜3倍と長くなっているため、費用が2倍であることを考えるとコストパフォーマンスは高くなっています。ある程度費用をかけて外壁塗装をする余裕がある場合は、遮熱塗料を検討してみても良いでしょう。

汚れると性能が低下する

遮熱塗料は、綺麗な状態でこそ赤外線の反射力を高めることが可能です。塗装から時間が経ち、塗膜が劣化してくるにつれて、十分に熱を反射することができなくなります。

遮熱効果を保つためには、メンテナンスをしっかりと行いましょう。メンテナンスは主に高圧洗浄による清掃がメインとなりますので、定期的な洗浄を見据えて、水に強い塗料を選ぶことで対策できます。

材料が扱いにくい

遮熱塗料は塗りにくくムラができやすいため、プロの間でも扱いづらい材料と言われています。

DIYに向かないのはもちろんですが、業者選びも慎重に。遮熱塗料の専門的な知識を持ち、取り扱い経験が豊富な業者を探しましょう。

冬場には寒くなる可能性

遮熱塗料を使用した屋根や外壁は、冬場でも遮熱効果を発揮します。

住んでいる地域にもよりますが、冬の寒さが厳しい地域では、室内に熱が入ってこないためにかえって寒さを感じてしまいます。

冬場だけ塗料を変えるというわけにもいかないので、地域柄をふまえて相談に乗ってくれる塗装業者を選ぶようにしましょう

遮熱塗料のメリット

室温を下げる効果や、電気料金を抑え省エネになる効果については前述しました。他には、どんなメリットがあるのでしょうか。

屋根や外壁の寿命を長くする

遮熱塗料を使用することで、熱損傷と呼ばれる現象を防ぐことができます。

屋根や外壁は熱が当たり続けると、劣化が早く進みひび割れや塗膜の割れが起こります。とくに金属製の材料は熱膨張などが起こるので、非常に効果的です。

熱を吸収しやすい黒色にも遮熱効果を発揮

黒系の色は熱を吸収しやすく、白系の色の方が熱を反射する力を持ちます。

黒系の建材でも高い遮熱効果が期待できるため、建材が受ける熱や、熱によるダメージを抑えることにつながるのです。

黒系の色で遮熱効果をより高めるためには、黒と白の中間色であるグレーの遮熱塗料がおすすめです。

ヒートアイランド現象の抑制

ヒートアイランド現象とは、郊外にくらべて都市の気温のほうが高くなることを言い、都市温暖化という意味を持ちます。

原因のひとつとなるのは、建物に蓄えられる熱です。

また室内の温度が上昇することで、冷房の使用量とエネルギー消費量が増え、更にヒートアイランド現象が悪化します

屋根や外壁を遮熱塗料に替えることで建物周辺の温度をさげることができ、また冷房の使用量を減らすことにつながります。

電気料金を抑えられる

遮熱塗料を使うと室内の温度を一定に保ちやすいため、エアコンなどの電気料金を抑えられるという特徴があります。

遮熱塗料の効果によってエアコンの温度設定を1℃下げることができ、消費電力を10%削減できるとすると、単純計算で700~1,300円ほどの節約になります

「夏季の節電メニュー」(経済産業省)によれば、7~9月の電気使用量は全体の5~6割を占めます。年間では1割程度なので、かなり差が生まれることに。そのため実際には、1,000~2,000円ほどの削減につながるケースが多いようです。

助成金制度を活用できる場合もある

自治体によっては、遮熱塗料による塗装を条件として助成金が交付される場合があります。省エネやヒートアイランド対策を目的とした遮熱塗料は利用が推奨されており、助成金を使えると数万円〜数十万円ほどの費用を抑えられる可能性があります。

自治体によって助成金の有無や使える塗料は制限がありますので、業者に相談する前にあらかじめ確認しておくようにしましょう。

遮熱塗料の価格

遮熱塗料の価格は、使う塗料やメーカーによって異なります。以下で紹介している人気の塗料の相場は1㎡あたり4,000円が相場なので、この価格をベースに計算してみましょう

遮熱塗料を外壁に用いた場合の価格

外壁に遮熱塗料を用いる際の価格は、塗料の平米単価 × 外壁面積をかけて計算します。

外壁の面積は、建物の延べ床面積に外壁の面積を求める係数(一般的には1.2倍)をかけて算出します。

⚪️外壁の面積の計算方法

延べ床坪数 × 3.3(1坪=3.3㎡) × 1.2 

一般的な30坪の戸建て住宅だと、外壁面積は30 × 3.3 × 1.2 = 約118㎡が外壁面積になります。遮熱塗料の相場は4,000円/㎡なので、遮熱塗料を用いて外壁塗装をする場合の費用は4,000円 × 118㎡= 約472,000円となります

なお、外壁塗装工事をする場合はここから工事費用や職人の施工費用、足場代などがかかってきますので、プラスで20〜50万円ほどを見積もっておくと良いでしょう。

遮熱塗料を屋根に用いた場合の価格

遮熱塗料を屋根に用いた場合も同様に屋根の面積に塗料代金をかけて計算します。屋根面積にはさまざまな計算方法がありますが、概算で求める際は床面積 × 1.1〜1.2をかけて計算します。

⚪屋根の面積の計算方法

床面積 × 1.1(緩勾配の屋根の場合)

床面積 × 1.2(急勾配の屋根の場合)

一般的に坪数を㎡に換算するためには3.3をかけて求めますので、30坪の家の屋根の面積を計算する場合は、30 × 3.3 × 1.1〜1.2 = 108〜118万円が費用相場となります。

なお、屋根塗装の費用も外壁の費用と同様、別途工事費用がかかりますのでプラスで20〜50万円ほどがかかると見積もっておきましょう

代表的な遮熱塗料

塗料

遮熱塗料のなかでも、とくに代表的なメーカーと製品は以下。

  • 日進産業「ガイナ」
  • 日本ペイント「サーモアイ」
  • エスケー化研「クールタイト」

それぞれ㎡あたりの施工単価は、4,000円前後ほどです。

日進産業「ガイナ」

ガイナは、平成29年度の省エネ大賞を受賞しています。

遮熱性だけでなく断熱性をあわせ持ち、厳密に言えば「断熱塗料」ですが、業者によっては遮熱塗料として扱われるのです。

宇宙開発で有名なJAXAの技術を応用し、ロケットに使用される断熱技術を使った遮熱塗料です。

耐用年数も15年以上と長く、「防カビ抗菌タイプ」の製品もあります。

日本ペイント「サーモアイ」

日本ペイントもまた、国内の外壁・屋根塗装において高いシェアを誇る会社。遮熱塗料は「サーモアイ Si」をはじめとするサーモアイシリーズが代表的です。

色の種類が豊富で、樹脂も5種類から選ぶことができます。また何と言っても、遮熱性能が抜群に高く、90%以上の日射反射率が特徴です。

エスケー化研「クールタイト」

こちらも塗料メーカーとして有名なエスケー化研。「クールタイト」という遮熱塗料を販売しています。

樹脂は5種類から選ぶことができ、防錆や防音の効果が高まる「クールタイトEL工法」も可能です。

カラーバリエーションは、類似製品のなかで最多となる41種類。自宅のデザインをこだわりたい方、金属屋根の方にとくにオススメです。

遮熱塗料をおすすめできるケース

青空 白い家

遮熱塗料を選ぶにはまず塗装する箇所とその建材に注意が必要です

たとえばコンクリート製の建材は、もともと熱抵抗が高いという特徴があります。また屋根裏に断熱材が十分に使用されている場合も、遮熱塗料による効果は感じにくいかもしれません。

外壁に遮熱塗料を塗装する場合、東西南北どの向きに面しているのかを考慮する必要があります。

たとえば西日を受けて暑くなりやすい西面、冬には温度上昇の恩恵を受けることが多い南面、など面ごとに特徴が分かれているのです。

遮熱塗料を選ぶときには、立地条件や目的を考慮に入れる必要があります。素人には判断が難しいところですので、まずは業者に相談することをおすすめします。

金属屋根や薄型スレート等の屋根

スレート屋根

遮熱塗料は、金属屋根や薄型スレートなどにおすすめです。

金属屋根は熱伝導率が高く、太陽光の影響を大きく受けます。そのため劣化しやすかったり、室内に熱がこもりやすい状態に。

そんな金属屋根には、遮熱塗料でしっかりと熱の吸収を防ぐ必要があるでしょう。

建物が3階建て以上、上階にリビングや吹き抜けがある

吹き抜け エアコン

2階にリビングがある場合は、日当たりは最高ですが、熱くなりやすいので遮熱対策が有効です。

また吹き抜けがある家は、広い空間から熱が差し込みやすいので、できる限り太陽光を反射させる遮熱塗料が向いています。

基本的に建物が高くなるほど、太陽光が当たりやすく室内の温度も上がってきます。平家よりも2階建・3階建と、高さがあるお家ほど遮熱塗料に適した環境です。

年間日射量が多い地域

年間日射量が多い地域なら、遮熱塗料の効果を最大限に活かせるはずです。

日差しが長時間差し込んでいる地域の建物は、室温が高くなるだけでなく、熱によって建材がダメージを受ける「熱損傷」の危険性も高まります。

年間の気温の変化が大きい地域に住んでいる

気温の変化が大きい地域にも、遮熱塗料がおすすめです。

建材は暑さで膨張したり、寒さで収縮したりするので、気温の変化が激しいと建物へのダメージが大きくなってしまいます。

なるべく気温差の影響を少なくするために、熱を跳ね返す遮熱塗料での対策が有効なのです。

1年ずっと空調を稼働する倉庫や工場、商店など

遮熱塗料によって室内温度が下がることで、冷房の節電につながります。そのため1年を通してずっと空調を使う必要がある倉庫・工場・商店などは、節電効果が大きくなるでしょう。

長期的なコストを考えて検討してみましょう。

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遮熱塗料の基本的な仕組みや効果、メリットとデメリットなどについて解説してきました。

夏の暑さを防いだりといった目的にはベストである一方で、「自宅の屋根にはどの塗料が合っているのか」「外壁全面に塗るべきか」など素人には判断がつきません。

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