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スレート屋根を選ぶメリット・デメリットは?耐用年数やメンテナンス、施工費用など徹底紹介

最終更新日: 2022年07月30日

瓦やガルバリウム鋼板など多種多様な屋根材があるなかでも、「スレート屋根」は日本で主流の屋根材のひとつです。

この記事ではスレート屋根の基本的な特徴をおさえつつ、メリット・デメリットやリフォーム方法について詳しく紹介していきます。

スレート屋根とは?

スレート屋根

スレート屋根は、セメントを固めて薄い板状に加工した屋根材です。「スレート」や「カラーベスト」「コロニアル」と呼ぶこともあります。

スレート屋根は、軽量で耐震性に優れているのが特徴です。日本の一軒家の屋根材の中で最も普及されている屋根材ですが、最近ではガルバリウム鋼板という屋根材を取り付ける住宅が多くなってきています。

スレート屋根の種類

スレート屋根には大きく分けて、天然スレートと化粧スレートの2種類があります。一般の住宅に使用されるスレート屋根の多くは化粧スレート屋根です。

化粧スレート

化粧スレートとは、セメントと繊維素材を混ぜた物です。天然スレートに比べて安価で、品質も安定しています。

また、化粧スレートのなかにも「石綿スレート」と「無石綿スレート」の2種類があります。

石綿スレートは、化粧スレートの素材に加え、石綿(アスベスト)を混ぜたものです。肺がんや悪性中皮腫などの健康被害を引き起こす可能性があることから、2006年(平成18年)から使用が禁止されています。

石綿スレートが禁止されて以降、主流となっているのが無石綿スレートです。アスベストに代わり、パルプなどの繊維が混ぜられています。カラーバリエーションが豊富で外壁の色に合わせやすく、平板や厚型、波型などの種類もあるためデザイン性が高いのが特徴です。

自宅に使われている屋根が石綿(アスベスト)スレートか無石綿スレートかわからない方は記事内で「スレート屋根がアスベストかどうか見分ける方法」を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

天然スレート

天然スレートは、材料に天然モノの粘板岩(ねんばんがん)を使用しているものを指します。

ヨーロッパのお城や寺院などに使われることが多く、高級感とおしゃれなデザイン性から高い人気を集めています。日本では東京駅の屋根が天然スレートを使った屋根として有名です。

天然素材を使っていて高品質なので値が張り、一般の住宅ではあまり使われることがありません。

スレート屋根の構造

スレート屋根の構造

スレート屋根は3層の構造からできています。表面の「屋根材(屋根本体)」、雨水の侵入を防ぐ「防水シート」、屋根の下地となる「野地板」です。

屋根を構成する部材には耐用年数があります。耐用年数を過ぎたら定期的にメンテナンスを行うようにしましょう。メンテナンスを行うタイミングは「スレート屋根の塗装や葺き替えを行うタイミング」の見出しで詳しく紹介しています。

スレート屋根の構造 耐用年数
ケラバ板金 20年~30年
棟板金 10~15年
破風板 20年~20年
防水シート 10年~20年
野地板 35年~40年

スレート屋根とガルバリウム鋼板の違い

スレート屋根 ガルバリウム鋼板
価格 安い スレート屋根と比べると高い
耐久性 低い 高い
耐震性 高い 高い
メンテナンス頻度 多い 少ない

スレート屋根は、価格が安い反面、耐久性が低いため、メンテンナンス頻度が多くなってしまいます。一方ガルバリウム鋼板は、スレート屋根と比べると価格は高いですが、耐久性が高く、メンテンナンス頻度も少ないです。

屋根材を設置する初期費用を抑えたいという方は、「スレート屋根」がおすすめです。初期費用は多少高くてもいいから屋根の耐久性を強くしたいという方は、「ガルバリウム鋼板」を選びましょう。

スレート屋根がどんな人におすすめか知りたいという方は、以下で紹介する「スレート屋根はどんな人におすすめ?」を参考にしてみてください。

スレート屋根はどんな人におすすめ?

スレート屋根がおすすめな人
  • 屋根材にかかる費用を安く抑えたい方
  • 幅広い選択肢の中から屋根材を選びたい方
スレート屋根をおすすめできない人
  • 初期費用を高くても耐久性を重視する方
  • 耐久年数が長い屋根材を選びたい方

スレート屋根を選ぶと、屋根材にかかる費用は安くなりますが、耐久性が弱いため、15~20年ほどで葺き替えを検討する必要が出てきます。初期費用よりも、長期的にみて耐久性や耐久年数を重視するなら、ガルバリウム鋼板を選ぶようにしましょう。

スレート屋根のメリット 

スレート屋根

  • 耐震性に優れている
  • 費用を抑えられる
  • 施工できる業者が多い
  • デザイン性が高く、どんな家にも合う

 耐震性に優れている

スレート屋根は非常に軽いのが特徴です。軽い屋根材を使用することにより、建物にかかる負担が抑えられ、耐震性が強化されます。また、重い屋根材が屋根から落ちてしまうと被害が大きくなってしまいます。

住宅の耐震性を上げたいという方はスレート屋根を選ぶようにしましょう。

 屋根材の中で最も安い

スレート屋根は、他の屋根材と比べると最も安く設置することができます。施工に使用する部材がスレート屋根本体以外ほとんど必要ないため、安く施工することができるのです。

ガルバリウム鋼板(金属屋根)などと単価相場を比べると以下の通りです。

屋根材 費用相場(㎡)
スレート屋根 5,000円〜8,000円
ガルバリウム鋼板 6,000円〜10,000円
瓦屋根 8,000円〜15,000円

 施工してくれる業者が多い

スレート屋根は日本の戸建ての屋根材の中で最も普及しています。そのため、施工を依頼できる業者が多いです。

屋根市場の9割を占めていると言われ、専門性の高い業者を探す必要がある瓦やガルバリウム鋼板よりも業者選びがしやすいでしょう。

新築でもリフォームでも、メンテナンスを見据えて長い目で見ると、業者に依頼しやすいことは大きな安心材料です。

カラーバリエーションが豊富

スレート屋根は、カラーバリエーションが豊富な屋根材です。

平板や波型などいくつかの形状があるため、洋風・和風を問わず、どんな家にもマッチしやすいデザイン性を備えています。

スレート屋根のデメリット 

スレート屋根の塗装

  • 寿命(耐用年数)が短い
  • ひび割れしやすい
  • 塗装などの小まめなメンテナンスが必要

スレート屋根は施工費用が安い反面、上記のようなデメリットがあります。

 耐用年数が短い

スレート屋根は他の屋根材に比べ、寿命が短いというデメリットがあります。

屋根材 耐用年数
スレート屋根 15年〜20年
ガルバリウム鋼板 20年〜30年
瓦屋根 50年以上

スレート屋根は費用が安く済むので、新築の家などで初期費用を抑えたいときには重宝されます。しかし、耐用年数が短いため、他の屋根材より早く新しい屋根材への交換が必要になってしまいます。

 自然災害による影響を受けやすい

軽くて薄いスレート屋根は耐震性に優れている一方で、台風や強風による飛来物で割れやすい、紫外線の影響から劣化して割れやすい、といったデメリットがあります。

防水性も高くないため、定期的に塗装するなどのメンテナンスが必要になります。

メンテナンス費がかさみがち

スレート屋根が劣化すると、ひび割れを起こしたり、塗装がはげたりして、雨漏りにつながってしまいます。

耐用年数は15年〜20年くらいとされていますが、劣化が早いため、定期的にメンテナンスを行いましょう。スレート屋根の定期メンテナンスとしては塗装が一般的で、目安となる時期は5〜10年です。

ひび割れや反りなどの分かりやすい症状のときだけ塗装するのではなく、色あせやコケの繁殖などにも気を付けましょう。

 結露を起こしやすい

スレート屋根は三層構造で、表面から順に「スレート屋根」「ルーフィング(防水シート)」「野地板」が張られています。防水シートのすぐ上にスレート屋根を敷くため蒸れてしまい、結露が起こりやすいのです。結露を放置していると下地を劣化させてしまいます。

蒸れや結露が気になるようであれば「換気棟(かんきむね)を設置する」という選択肢があります。

換気棟には、換気用の穴がついているため、屋根の頂部などで継ぎ目を保護する「棟(むね)」部分に設置することで、屋根や屋根裏に湿気が溜まるのを防ぎます。

また縁切りやタスペーサーでしっかり空気の逃げ道を作ることが大切です。縁切り・タスペーサーについて詳しく知りたいというかたは、以下の関連記事を参考にしてみてください。

関連記事:屋根塗装のタスペーサーとは?縁切りとの違いやメリット・デメリット、費用相場など徹底解説| ミツモア

太陽光パネルがつけられない

スレート屋根への太陽光パネルの設置は、スキマができやすく雨漏りの可能性が高くなることから推奨されていません。

また太陽光パネルを設置することで、塗装などの定期メンテナンスができなくなります。スレート屋根や屋根への設置は難しいと考えておきましょう。

スレート屋根の塗装や葺き替えを行うタイミング

スレート屋根

屋根の状況 対処法
  • 塗装が剥がれている
  • チョーキング
  • 塗装してから5~10年経った
  • 塗装
  • スレート屋根が反っている
  • ひび割れ
  • 部分交換
  • カバー工法
  • 築20年を超えた
  • 葺き替え

主な劣化症状は上記。これらの症状が起きているときにはスレート屋根に限らず補修する必要があります。

塗装の剥がれやチョーキングの症状が見られたら、塗装で修繕しましょう。チョーキングとは、雨風や紫外線により塗装の成分が粉上になって現れる現象です。

スレート屋根の反りやひび割れは、部分交換やカバー工法などのメンテナンスが必要になります。塗膜が剥がれたスレート屋根が雨水などの水分を吸ってしまうと反りが起こり、少しの力で割れるくらいまでもろくなってしまいます。

屋根は日ごろから近くで目視する機会がないので、これらの劣化症状が進行していても気づきにくいものです。症状が目に見えなくても、5~10年程度の目安時期がきたら業者に点検してもらうことが大切です。

スレート屋根の寿命(耐用年数)は?

スレート屋根の耐用年数は一般的に15~20年程度が目安とされています。築20年を超えたら、スレート屋根が寿命を迎えるため、葺き替え(ふきかえ/屋根の張り替えのこと)を行う必要があります。

ガルバリウム鋼板やアスファルトシングルなど他の屋根材が耐用年数20~30年ほどなので、比較するとやや短めの寿命です。

定期的なメンテナンスを怠らず、劣化症状が起きたらすぐに補修をするようにしましょう。

関連記事:屋根塗装の寿命は?耐用年数の長い塗料を選ぶコツ | ミツモア

スレート屋根のメンテナンス方法3つ!費用相場も紹介

スレート

スレート屋根のメンテナンス方法
  1. 屋根の塗装を行う
  2. 屋根のカバー工法を行う
  3. 屋根の葺き替えを行う

どの工法を取るのが正しいかわからないという方は、「スレート屋根の塗装や葺き替えを行うタイミング」の見出しで、状況に合わせたメンテナンス方法を紹介しているので参考にしてみてください。

屋根の塗装を行う

メリット デメリット
  • 費用が安い
    (費用相場:約25万円
  • 工事期間が短い
  • 屋根自体の劣化は変わらない
  • 定期的に塗装する必要がある

塗膜の色あせやチョーキングが目立ちはじめたとき、または症状がなくても前回のメンテナンスから5~10年たったときには屋根の塗装を依頼しましょう。

塗料は見かけをきれいにするだけではなく、保護材として屋根の耐久性を強化し、劣化を防ぎます。

関連記事:屋根のメンテナンス方法、費用相場などまるっと解説!屋根材別の特徴にあわせて、塗装や葺き替えを| ミツモア

また、塗装メンテナンスの場合は必ず「縁切り(えんぎり)」をしましょう。縁切りとは、スレート屋根同士の重ね目にあたる部分を切ることです。

スレート屋根同士が重なっている部分の隙間から雨や湿気を逃がすはずが、塗装によって隙間が埋まり、水分を逃せなくなってしまいます。その隙間を開けるために縁切りが必要です。

最近では、「タスペーサー」と呼ばれる部材スレート屋根同士の間に挟む施工方法もあります。

見積書や作業工程などを確認する際には、縁切りという項目がきちんと記載されているかどうかを確認しましょう。

塗装費用が高額になるケース

使用する屋根材だけでなく、屋根の形状や面積によっても塗装費用は異なります。屋根の形状が特殊であったり、塗装面積が広かったりすると費用も高額になりやすいのです。

また、使用する塗料によっても塗装費用が異なります。塗料にはシリコン系、ウレタン系、フッ素系の塗料があります。塗料の選び方についてもっと詳しく知りたいという方は以下の関連記事を参考にしてみてください。

30坪 40坪
ウレタン塗料 21万~28万円 28万~37万円
シリコン塗料 25万~35万円 33万~46万円
フッ素塗料 46万~63万円 61万~83万円
関連記事:屋根塗装の費用相場!単価の目安や面積ごとの費用例も!安く塗装するコツも紹介|ミツモア

屋根のカバー工法を行う

メリット デメリット
  • 屋根の見た目が新品のようになる
  • 遮音性や断熱性が高まる
  • 処分するゴミが出ない
  • 葺き替えよりも費用を安く抑えられる
    (費用相場:50万円)
  • 若干耐久性が下がる
  • 屋根の状態によっては下地部分の補修が必要

スレート屋根が反っていたり、ひび割れを起こしている場合には、屋根を塗装しても修繕しきれないことがあります。その場合は、「カバー工法(重ね葺き)」を行うのがおすすめです。

「カバー工法」とは既存の屋根はそのままに、上から新しい屋根材を被せる工法です。新しく上から被せる屋根材にガルバリウム鋼板を使うと、より丈夫で耐久性が高い屋根にすることができます。

参考:屋根のカバー工法(重ね葺き)の費用相場は?メリット・デメリットをおさえてお得に見積もりしよう|ミツモア

屋根の葺き替えを行う

メリット デメリット
  • 下地ごと変えるため耐久性が高まる
  • 耐震性が高まる
  • 屋根の見た目が新品のようになる
  • 費用が高い
    (費用相場:約100万円)
  • 廃材が出る

屋根塗装では修繕しきれない屋根や、スレート屋根の耐用年数である15~20年を経過した場合には屋根の葺き替えを検討するようにしましょう。

葺き替え(ふきかえ)とは、既存の屋根を剥がしてまるごと新しい屋根に交換する工法です。

塗装やカバー工法の工事よりも大規模であるため、費用は高額になってしまいます。

葺き替えをするときには、スレート屋根以外の屋根材に変更することができるタイミングなので、より耐久性の高い屋根材なども視野に入れておきましょう。

スレート屋根がアスベストかどうか見分ける方法

虫眼鏡

日本では、アスベスト入りのスレート屋根が主流でしたが2006年に肺線維症などを引き起こすリスクがあることからアスベスト入りのスレート屋根が禁止になりました。

石綿(アスベスト)スレート屋根と無石綿スレート屋根の違いは目で見ても判断できないため以下で紹介する方法で判断するようにしましょう。

2006年以降に建てられた家はアスベストを含まない

「2006年以降に建てた家」であればアスベストを含みません。逆に2005年以前に建てた家はアスベストを使用している可能性が非常に高いです。しかし、2005年以前に建てられた家でもアスベストを含まない家であることもあります。不安な場合は業者に確認してもらうのが手っ取り早い方法です。

アスベスト入りの屋根だった場合の対処法

アスベスト入りの屋根だからと言って、特別な工法をとる必要はありません。他の屋根材と変わらず「塗装」・「カバー工法」・「葺き替え」の工事を行うことができます。

しかし、葺き替え工事を行う場合には処分費が高くなる点に注意しましょう。アスベストの飛散防止対策を取る必要があるため、通常の葺き替え工事より1.2倍ほど高額になってしまいます。

スレート屋根の工事にかかる費用を安くする方法

人差し指を指す男性スレート屋根のメンテナンスにかかる費用を安くするには以下の3つの方法があります。

  • 火災保険を利用する
  • 自治体の補助金を活用する
  • 屋根塗装と外壁塗装を一緒に依頼する

火災保険を利用する

火災保険の適用範囲
  • 火災
  • 落雷
  • 風災(台風などの強風・風による飛来物による損害)
  • 雹災
  • 水災

火災保険の適用範囲は広いため、自然災害で屋根が破損してしまった際の多くの場合、適用することができます。屋根の破損は、台風や雹・雪による被害が多いですが、それらも火災保険の適用範囲であるため補償を受けることができます。

しかし、地震によって屋根が破損した場合には火災保険の適用外です。もし、地震が起きた際の保険がほしい場合には、火災保険とは別で契約する必要があります。

自治体の補助金を活用する

「耐震性向上のための工事」は自治体から補助金を受けられる可能性が高いです。例えば、劣化した部分をし修理したり、屋根材を新しく葺き替える場合などです。

他にも、断熱塗料を使った工事を行う場合には、自治体から補助金を受けることができます。自治体によっては補助金の内容や条件は異なるため、住んでいる自治体のHPを確認しておきましょう。

屋根塗装と外壁塗装を一緒に依頼する

スレート屋根に限らず、屋根や外壁などのメンテナンスには足場を組む必要があります。

業者に見積もりをもらうと分かりますが、足場の設置にかかる費用は、メンテナンス費用全体の10~20%を占めています。そのため屋根塗装と外壁塗装を別々で行うと、足場代が2回分もかかってしまいます。

メンテナンス費用自体を安くすることはできなくても、足場を使用する外壁塗装と一緒に屋根塗装を依頼することで、足場代を1回分に抑えましょう。

以下の関連記事では足場にかかる費用や注意点について解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

関連記事:外壁塗装の「足場」費用、単価や相場は?トラブルを避けるための注意点まで徹底解説|ミツモア

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今回は、スレート屋根の基本的な特徴からメリット・デメリット、メンテナンス方法まで詳しく紹介してきました。

初期費用が抑えられるうえに高いデザイン性が人気のスレート屋根。一方で耐久性は比較的低く、定期的なメンテナンスが必要になります。

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