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ガルバリウム鋼板とは?外壁材のメリットデメリット大解剖

最終更新日: 2024年11月25日

ガルバリウム鋼板とは、亜鉛・アルミ・シリコンを組み合わせた合金(ガルバリウム)で鋼板にメッキ加工した建材のことです。

トタンなど他の金属屋根に比べてもコストパフォーマンスがよい建材とされ、耐久性や錆びにくいというメリットから、屋根にも外壁にも使用されることが増えています。

ただし自然環境に弱い、凹みがつきやすいなどのデメリットも。

この記事では、ガルバリウム鋼板の基本的な特徴からメリット・デメリット、メンテナンス方法まで詳しく解説します。

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ガルバリウム鋼板とは?

ガルバリウム鋼板の基礎知識

ガルバリウム鋼板とは、「ガルバリウム」でメッキされた鉄(金属板)のことを指します。

ガルバリウムは亜鉛・アルミ・シリコンが組み合わさったものです。

亜鉛には溶けて穴あき拡大を防ぐ「防食作用」、アルミには亜鉛が溶けた部分の穴を埋める「保護作用」があるため、自己修復して錆を防ぐという特徴があります。

またガルバリウム鋼板は、屋根・外壁のどちらの場合でも耐用年数は20~30年と長く、ほかの金属素材に比べても長持ちです。

日本では1990年代から注目されはじめ、2024年現在に至ってはもっとも一般的な外壁・屋根材と言っても過言ではありません。

加工のしやすさが特徴で、屋根や外壁だけなく雨どい、物置やポストなどにも使われています。

ガルバリウム鋼板のメリット

ガルバリウム鋼板を使う屋根・外壁のメリットは以下の通りです。

  1. 耐用年数が長い
  2. 耐震性に優れている
  3. ひび割れ・汚れが生じにくい
  4. シンプルなデザイン性
  5. 改修にかかる時間と選択肢
  6. メーカー保証がもらえる(リフォーム時)

1.耐用年数が長い

屋根材 耐用年数
ガルバリウム鋼板 約20年〜30年
トタン 約10年〜20年
スレート屋根 約10年〜20年

ガルバリウム鋼板の耐用年数は他の屋根材や外壁材と比べても長いのが特徴です。

鉛とアルミニウムのコーティングにより、非常に耐久性があります。適切なメンテナンスを行えば、20年から30年以上の寿命が期待でき、長期的なコスト削減につながります

2.耐震性に優れている

ガルバリウム鋼板はとても軽い屋根材です。外壁の主流であるサイディングと比べると4分の1の重量。また屋根材の中でも軽いとされるアスファルトシングルと比べても半分くらいの重量しかありません。

家の一番上にある屋根が重厚だと地震のときに家に大きな負担をかけてしまいますが、屋根が軽量なら建物の揺れが大幅に減少してくれます。

また外壁材にも同じことが言えるので、地震大国の日本では、重宝される性能です。

3.ひび割れ・汚れが生じにくい

ガルバリウム鋼板はよく、「メンテナンスフリー」と言われます

もちろん実際には定期的なメンテナンスをしたほうが長持ちしますが、ひび割れが生じにくく汚れが付きづらいという特徴があるのです。

瓦やスレートといった屋根材、またサイディングやモルタルといった外壁材とは違い、ガルバリウム鋼板は金属なので経年劣化によるひび割れが起こりません。

また、湿気や雨水を吸収することもないので、汚れも付きにくい点が特徴です。隙間が少ないためにカビの発生率も小さくなります。

とくに屋根材で採用する場合、フッ素塗膜のものを使うとより汚れにくくなります。

4.シンプルなデザイン性

ガルバリウム鋼板は薄く瓦のように凹凸がないので、すっきりした印象の家にできるのが魅力です。

金属ならではのシックでシンプルなたたずまいは、都会の街並みにも、自然豊かな風景にもマッチします。

一部、和瓦のように作られたガルバリウム鋼板もあり、耐震性と耐久性の高さから浅草寺などの神社仏閣でも採用されているそうです。

5.改修にかかる時間と選択肢

ガルバリウム鋼板を張り替えるときには、他の建材よりも工期が短いという特徴があります。軽い素材で加工もしやすいためです。

補修も比較的簡単なので、もし台風や地震などの有事に家が破損したときには、短い時間と少ない費用で済む可能性があるのです。

また、軽いという特徴によって「カバー工法」というリフォームという選択肢があるのも魅力のひとつ。

カバー工法とは、劣化した屋根や外壁などを補修する際、既存の建材の上から新しい屋根材を被せることです。

あとからリフォームするときにカバー工法ができる建材かどうかは、家を建てるときにも重要な指標になります。

6.メーカー保証がもらえる(リフォーム時)

屋根材として人気のスレートなどは、葺き替え(ふきかえ/張り替え)の際にメーカーの製品保証を受けることができません。

そのため、もし想像していたよりも早く修理・補修が必要となったときには費用がかさんでしまいます。

その点、ガルバリウム鋼板はリフォーム時にメーカー保証をつけることができるのです。

標準的な保証内容は、穴あき10年保証など。保証がついているのとついていないのでは、長期的にみてコストパフォーマンスを大きく左右します。

ただし、金属建材加工メーカー以外の製品には保証がつかないので注意しましょう

ガルバリウム鋼板のデメリット

メリットが多く、コストパフォーマンスに優れているガルバリウム鋼板ですが、もちろんデメリットもあります。

  1. 施工費用が高め
  2. 凹みやすい
  3. 塩害など自然環境の影響を受けやすい
  4. 専門業者が見つかりづらい
  5. 見切縁(みきりぶち)が生じる
  6. 遮音性・耐音性が低い

1.施工費用が高め

ガルバリウム鋼板は、スレート屋根やセメント系の屋根材に比べて価格が高めのため、おもに初期費用にあたる施工費用が高くなります。

屋根材の施工費用

屋根材の種類 施工費用(㎡)
スレート 4,500円/㎡
ガルバリウム鋼板(断熱材無し) 5,500円/㎡
ガルバリウム鋼板(断熱材入り) 6,500円/㎡

外壁材の施工費用

外壁材の種類 施工費用(㎡)
サイディング 5,000円/㎡
ガルバリウム鋼板(断熱材無し) 5,500円/㎡
ガルバリウム鋼板(断熱材入り) 7,000円/㎡

このように他の建材と比べても割高ではあります。

しかし耐用年数が長いこと、またリフォームの際には費用の少ないカバー工法を選択できることなどを考えると、費用対効果の高さは揺るぎません。

新築で家を建てるときには初期費用だけでなく、後のリフォームなども見据えておくとよいでしょう。

2.凹みやすい

軽くて地震に強いガルバリウム鋼板ですが、その反面、外部の衝撃には弱いという特徴があります。

台風の飛来物などに注意が必要です。また、近所に公園や広場がある場合は、ボールなどが飛んでくる可能性もあります。

凹みを和らげる手段としては、比較的厚みがあるガルバリウム鋼板を選ぶ、また断熱材一体型を選ぶなどしましょう。

3.塩害など自然環境の影響を受けやすい

ガルバリウム鋼板は金属の建材のなかでは錆に強いという特徴があります。

しかし潮風(塩害)に弱いという一面があり、海に面した地域などでは錆が発生してしまうことがあります。

ほかにも、異種金属との接触で起こる「電食」という腐食や、工場の排気ガスや落ち葉などがガルバリウム鋼板に触れることが原因で錆になってしまうことも。

ただし、沿岸部にそびえる工業地域ではほとんどの工場や倉庫は金属で作られています。それを考えると、しっかり定期メンテナンスさえしていれば、そこまで心配する必要はないかもしれません。

4.専門業者が見つかりづらい

ガルバリウム鋼板は、板金工事業者が取り扱う屋根材です。

専門的な知識と技術が必要なため、瓦の張り替えやリフォーム塗装を行う業者では取り扱えないことがほとんどです。

また板金業者自体も少ないので、質の高い工事は順番待ちになってしまうこともしばしば。

5.見切縁(みきりぶち)が生じる

屋根や外壁において、板などのような建材を貼り合わせて施工するものは釘やボルトで固定したり、シーリング材で隙間を埋めるのが普通です。

ガルバリウム鋼板も、板と板の継ぎ目にシーリング材を打つことになりますが、多くの場合は「見切縁(みきりぶち)」というものを上から覆いかぶせます。

見切縁が被さることでシーリング材の劣化が進みにくいというメリットはありますが、若干の段差がデメリットと考えられることも

しかしあまりに細部のデザインなので気にする必要はほとんどありません。むしろ見切縁がもたらす防水性などのメリットに目を向けましょう。

6.遮音性・体温性が低い

ガルバリウム鋼板は特性上、雨音や風の音が響くことがあります。雨が降ると雨音が強く響き、風が吹くと風の音も感じやすくなります。このため、特に静かな環境を求める方や、住宅街に住む方には不向きな場合があります。

また、屋根や外壁に使用した場合、内部に音が伝わりやすく、騒音が気になることもあります。音の反響が苦手な方は、ガルバリウム鋼板の使用を検討する際に、断熱材や吸音材を併用することを考慮すると良いでしょう。

近年は遮音性の高いガルバリウム鋼板が開発されていたり、施工方法で音の反響をカバーする方法もありますので、ガルバリウム鋼板にしたいけれど音が気になるという方でもある程度カバーすることが可能です。

ガルバリウム鋼板はどんな方におすすめ?

続いて、ガルバリウム鋼板はどんな方におすすめなのか、おすすめのケースを紹介します。

デザイン性の高い家にしたい方

ガルバリウム鋼板はカラーが豊富ですっきりした印象なので、スタイリッシュで都会的な外見の家にできます。また、住宅や商業施設など、多様な用途に対応できるため、デザイン性を重視する方には魅力的な外壁・屋根材となっています。また、シンプルなラインやシャープな印象を与えることができるため、トレンドを意識した建物の外装としても人気があります。

コストパフォーマンス重視の方

屋根や外壁にはたくさんの種類と性能がありますが、費用対効果を求めるならガルバリウム鋼板がおすすめです。初期の設置コストは他の外壁材よりも高めですが、ガルバリウム鋼板は長寿命でメンテナンスが少ないため、数十年単位のトータルコストで見ると非常にコストパフォーマンスが良い外壁材となっています。

また、カバー工法でリフォームすることまで長期的に見据えると、コストパフォーマンスは抜群です。

耐久性を重視したい方

ガルバリウム鋼板は、亜鉛とアルミニウムのコーティングにより、非常に耐久性があります。特に湿気や腐食に強く、海辺の地域でも問題なく使用できます。自然災害が多い地域や、厳しい気象条件にさらされる場所でも、しっかりとした保護性能を発揮します。

また、ガルバリウム鋼板自体が軽量なので建物の揺れを大幅に減少させることができ、地震による被害を最小限に抑えることができます。そのため、長期的に安心して住むための外壁材を探している方に最適です。

メンテナンスの手間を減らしたい方

ガルバリウム鋼板は耐久性能に優れているので、長期間にわたって美しい外観を保つことができます。特に従来の鋼板や木材に比べてメンテナンスの頻度が少ないため、忙しいライフスタイルを送る方や、外壁の手入れに時間をかけたくない方には最適です。

また、錆の心配が少なく、定期的な塗装や修理が不要なため、長期的なコスト削減にもつながります。経済的でありながら、見た目にも気を使いたい方におすすめです。

雪が多い地域にお住まいの方

雪の多い地域では、吸水率が低く雨漏りしづらいことが屋根・外壁の条件なので、メジャーな屋根材となっています。

金属板のガルバリウム鋼板は、気密性が高く、水が入り込みにくいのでおすすめです。

ガルバリウム鋼板と他の外壁材の違い

続いて、これから外壁・屋根修繕をしようとしている方に向けて、他の外壁材との違いについて解説していきます。

モルタル外壁との違い

モルタル外壁は耐火性に優れ、外的な衝撃に対しても強いですが、ひび割れや剥がれが生じやすく、定期的なメンテナンスが必要な外壁材となっています。

一方、ガルバリウム鋼板はその軽さと耐久性に優れ、特に湿気に強いという特性があります。

外観に関しては、モルタルは温かみのある質感を持ち、伝統的な建物に適していますが、ガルバリウム鋼板は洗練された現代的なデザインを実現できます。また、モルタルは施工時に時間がかかることがありますが、ガルバリウム鋼板は比較的簡単に施工できるため、工期の短縮にもつながります

耐久性やメンテナンスの手間を考慮すると、ガルバリウム鋼板は長期的な選択肢として魅力的です。モルタルはその外観や外壁・屋根の強度を重視する方におすすめで、ガルバリウム鋼板は効率性や耐久性を求める方に向いています。

サイディング外壁との違い

ガルバリウム鋼板とサイディングはどちらも人気のある外壁材です。多くの方がこのどちらかで施工される方が多くなっています。

サイディングは一般的に木材や樹脂製でできており、温かみのある外観が特徴です。中には金属系のサイディングもあります。サイディング外壁はデザインの自由度が高く、様々な色や質感が選べるため、住宅デザインに幅広く対応できます。ただ、サイディングは経年劣化が進みやすく、特に木製サイディングは虫害や腐食の影響を受けやすいです。

一方、ガルバリウム鋼板は耐久性に優れ、メンテナンスが少なく済むため、長期的なコストパフォーマンスが高いです。また、サイディングに比べて軽量で施工が容易なため、工期の短縮が可能です。ただ、音の反響や断熱性の面ではサイディングに軍配が上がるでしょう。

サイディングは外観のバリエーションを重視する方に向いており、ガルバリウム鋼板は効率性と耐久性を求める方におすすめです。

ガルバリウム鋼板のメンテナンスについて

ガルバリウム鋼板のメンテナンスについて

ガルバリウム鋼板はメンテナンスフリーと言われることがありますが、他の屋根材とおなじく定期的なメンテナンスは必須です。

一般的にガルバリウム鋼板の耐用年数は約20年〜30年。同じ金属のトタンが約10年〜20年なのに比べて長持ちする屋根材です。

しっかりメンテナンスをして、寿命まで長持ちさせましょう。

ガルバリウム鋼板のメンテナンス方法は?

一番のメンテナンス方法は、専門業者に定期的に点検の依頼をすることです。

ガルバリウム鋼板を扱っているほとんどのメーカーでは、年1回の点検を推奨していますが、実際には新築から10年、その後は5年ごとに点検している方が多いようです。

  • 汚れに対しては、水洗いや中性洗剤で対応
  • 錆や塗膜の剥げには、塗装で対応
  • 劣化が激しい場合はカバー工法
  • 穴あき箇所が多い場合などは葺き替え

主なメンテナンスは上記。

それ以外には、「大きな台風の後」「地震の後」「大雪の後」などもできるだけ点検をしてもらいましょう。

だいたいの汚れを雨が流してくれるガルバリウム鋼板ですが、雨水がかかりにくい部分は水洗いで十分対応できます。

しかし屋根の上に登らなければならない箇所は、危険なので絶対に自分で登らないようにしましょう。

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今回は、屋根や外壁につかわれるガルバリウム鋼板について、基本的な特徴からメリット・デメリット、メンテナンス方法まで詳しく紹介してきました。

シンプルでシックなデザイン性はもちろん、耐久性や耐震性など高機能なので、自宅のリフォームや建築における大きな選択肢となります。

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