縦ハゼ葺きとはどんな屋根？横葺きや瓦棒葺きとの違いを解説。

縦ハゼ葺き(たてはぜぶき)は屋根の施工方法の一つで、立平葺きとも呼ばれています。この記事では縦ハゼ葺きとは何か、横葺きや瓦棒葺きとの違いについて、縦ハゼ葺きのメリット・デメリットをご紹介します。

施工方法を選ぶ際の参考にしてみてください。

縦ハゼ葺きの基礎知識

縦ハゼ葺きは屋根の施工方法の一種です。ここでは縦ハゼ葺きの定義や特徴などの基本知識を解説します。瓦棒葺きとの違いについてもチェックしておきましょう。

縦ハゼ葺きとは

「縦ハゼ葺き」とは金属屋根の代表的な施工方法で、軒に対して垂直に板金を敷き、板金同士の接合部を折り曲げ処理したものです。縦葺きで接合部が折り曲げられたハゼであることから、「縦ハゼ葺き」あるいは「立平葺き」とも呼ばれます。

縦ハゼ葺きではガルバリウム鋼板を用いることが多く、木材と比べて軽量なため耐震性の向上につながります。また板金の部分が腐食する心配がなく、雨漏りに強い工法です。

ただし金属屋根であることから、雨音がうるさくなりやすく、室温が上がりやすいことが欠点です。

瓦棒葺き(かわらぼうぶき)との違い

縦葺きには縦ハゼ葺きのほかに、瓦棒葺きという施工方法もあります。瓦棒葺きはトタン葺きとも呼ばれ、軒に対して垂直に垂木を打ちつけ、その上に板金を取り付けたものです。

瓦棒葺きはかつて、縦葺きの中で主流の屋根の施工方法でした。施工が簡単で屋根が歪みにくいため便利ですが、軒の隙間から入り込んだ雨水が垂木を腐らせてしまうデメリットがありました。

一方で縦ハゼ葺きは木材をほとんど使用せず雨水が溜まる箇所を減らしているため、雨漏りや腐食に強い施工法といえます。

縦ハゼ葺きのメリット

縦ハゼ葺きの屋根にはさまざまなメリットがあることから、屋根の施工時に採用するケースが多くなってきています。縦ハゼ葺きの3つのメリットについて解説します。

防水性が高い

縦ハゼ葺きの屋根は横葺き屋根のように、途中で雨水がたまってしまう心配がありません。軒に対して垂直に板金が貼られているためで、屋根に打ちつけた雨水が軒先までスムーズに流れていきます。

さらに瓦棒葺きとは違い、木材をほとんど使っていないため、木材が腐食して雨水が侵入しやすくなる可能性も低くなります。雨漏りの心配がないため安心して快適な暮らしができるでしょう。

緩やかな勾配にも対応できる

雨水がスムーズに流れやすいことから、縦ハゼ葺きでは緩やかな勾配の屋根を取り付けることが可能です。横葺きでは2～3寸以上の勾配が必要ですが、縦ハゼ葺きでは0.5寸の勾配から屋根を施工できます。

緩勾配の屋根にすることで台風などの影響を受けにくくなるほか、日差しを遮られる心配もありません。

施工費用が安くてスピーディー

縦ハゼ葺き屋根の施工時は、勾配が緩やかなことから、足場の設置がいらないケースもあります。さらに屋根面積が狭いため、横葺き屋根と比べて施工費および材料費を抑えることが可能です。

縦ハゼ葺き屋根の施工では、カット済みの板金を貼ることが主な作業です。加工済みの板金を貼り付けるだけでいいため、横葺き屋根のときよりも時間をかけずに作業を完了させられます。シンプルな形状の屋根なら1～2日で作業が終わるでしょう。

縦ハゼ葺きのデメリット

縦ハゼ葺きの屋根にはさまざまなメリットがある一方で、いくつかのデメリットもあります。施工方法を決める際はデメリットも把握した上で、自分に合った方法を選ぶことが大切です。

シンプルなデザインにしか対応できない

縦ハゼ葺きでは複雑な形状の屋根に対応できず、シンプルなデザインにしか対応できません。色合いも制限されることから、デザイン性を重視する人には向きません。

縦ハゼ葺きとは異なり、横葺き屋根はさまざまな形状や色合いの屋根に対応可能です。縦ハゼ葺きではデザイン案によっては断られることもあるため、屋根のデザインにこだわりたい場合は横葺き屋根を採用するのがおすすめです。

屋根上げが大掛かりだと費用がかさむ

屋根を葺く際には、屋根材を上まで持ち上げる必要があり、高い建物や屋根を片流れにする場合は重機が必要となります。また人件費などの追加費用も必要です。結果的に横葺き屋根の方が安く済むケースも珍しくありません。

外壁にガルバリウム鋼板を貼り付けるときも、縦ハゼ葺きでは横葺きと比べて屋根材が長いため、運搬費が高額になりやすいです。単純に縦ハゼ葺きだから安いと考えるのではなく、実際の費用を見比べることが重要です。

縦ハゼ葺きの屋根の施工を依頼しよう

縦ハゼ葺きの屋根には防水性が高い・緩やかな勾配にも対応できる・費用を抑えられるなど、横葺きや瓦棒葺きよりも利点が多く、現在では金属屋根の主流な施工方法となっています。

縦ハゼ葺きの特徴と実現可能な屋根のデザインを把握した上で、施工してもらうことが大切です。希望通りの屋根を目指して、縦ハゼ葺きでの施工を依頼してみましょう。

複数業者の相見積もりを取ることが大切

縦ハゼ葺き屋根の施工を依頼する場合、屋根の形状を理由に施工費用が高額になると言われることがあります。なるべく費用をかけずに施工してもらうためには、複数業者の相見積もりを取ることが欠かせません。