相続手続きを依頼できる専門家4選｜代行サービスの費用や選び方

大切な家族を亡くした悲しみの中、煩雑な相続手続きに直面すると、心身ともに大きな負担を感じることでしょう。相続人が複数いたり、遺産の内容が複雑な場合は、手続きが長期化し人間関係に亀裂が生じる可能性も懸念されます。

そういった状況を避けるためには、相続手続きに精通した専門家に依頼するのがおすすめです。専門家は法的な知識や手続きのノウハウを有しており、円滑かつ迅速に手続きを進めてくれます。

ただ、いざ依頼するとなると、どの専門家を選ぶべきか迷ってしまうでしょう。そこで本記事では、相続手続きを依頼できる4種類の専門家の特徴や、全ての手続きをまとめて依頼できる代行サービスについて解説します。

相続手続きを依頼できる専門家一覧

相続手続きを依頼できる専門家は、主に「税理士」「行政書士」「司法書士」「弁護士」の4種類です。それぞれ依頼できる内容や費用が異なります。

それぞれの詳しい情報について、次章から解説します。

相続手続きの依頼先①税理士

相続手続きで税理士に依頼できる内容や費用相場について解説します。

税理士に依頼できる内容

税理士は税務の専門家であり、税金に関する手続きを得意としています。具体的には、相続税の申告書の作成や相続税の納税についてなどです。

また税理士は、相続税の申告だけでなく相続全般に関する相談もできます。相続人の調査や遺産の評価、遺産分割の方法など、様々な疑問や悩みに対して専門家の視点からアドバイスをしてくれるでしょう。

さらに、税理士は税務調査にも対応してくれます。税務調査が入った場合、税理士が代理人として対応し、必要に応じて税務署との交渉も代行してもらうことが可能です。

税理士に依頼する際の費用相場

相続手続きを税理士に依頼する場合、費用相場は遺産総額の0.5%～1.0%が一般的です。例えば、遺産総額が1億円の場合、税理士への報酬は50万円から100万円程度となります。

ただし、遺産の内容や相続人の数、手続きの複雑さなどによって費用は大きく変動します。特に不動産の評価や海外資産の処理など専門的な知識が必要な場合は費用が上がる可能性があるので、依頼前に必ず確認しておきましょう。

相続手続きの依頼先②行政書士

相続手続きで行政書士に依頼できる内容や費用相場について解説します。

行政書士に依頼できる内容

行政書士は、書類作成や手続きの代行など、幅広い業務をサポートしてくれます。例えば、遺産分割協議書の作成や、相続財産の名義変更手続きなどです。特に相続人が複数いたり、遠方に住んでいたりする場合は、行政書士に依頼するメリットが大きくなります。

自分で手続きを進める場合、書類の不備や手続きの遅れが生じる可能性がありますが、行政書士は専門知識を持っているためトラブルのリスクを回避できます。また、必要書類の収集や役所への提出なども代行してくれるため、時間と手間を大幅に節約可能です。

行政書士に依頼する際の費用相場

相続手続きで行政書士に依頼する際の費用相場は、数万円から数十万円と幅があります。費用相場が大きく変動する理由は、依頼する書類の種類や手続きの内容によって行政書士の作業量が大きく異なるからです。

例えば、遺産分割協議書の作成のみであれば数万円程度で済む場合もありますが、相続人の調査や複数の書類作成、名義変更手続きなどをまとめて依頼すると、費用は数十万円になることもあります。

具体例を挙げると、シンプルな遺産分割協議書の作成であれば3万円程度、相続人の調査や戸籍収集などを含む場合は5万円以上、自動車や不動産の名義変更手続きなども依頼する場合はさらに費用が加算されます。

相続手続きの依頼先③司法書士

相続手続きで司法書士に依頼できる内容や費用相場について解説します。

司法書士に依頼できる内容

司法書士は、法律の専門家として相続に関する幅広い知識と経験を持っています。そのため、個々の状況に応じた適切なアドバイスや手続きの代行が可能です。また、面倒な書類作成や役所への提出なども任せられるため、時間や手間を大幅に削減できます。

具体的には、相続人の調査や遺産の調査、遺産分割協議書の作成、不動産の名義変更手続きなどです。また、税理士や弁護士と連携し、相続税の申告や遺産分割協議の交渉なども含めてサポートしてくれる場合もあります。

司法書士に依頼する際の費用相場

相続手続きを司法書士に依頼する場合、費用相場は数万円から数十万円と幅があります。これは、手続きの内容が不動産の数や相続人の人数などによって大きく異なるためです。

例えば、相続人が少なく不動産も1件のみであれば、手続きは比較的シンプルで費用も数万円程度に収まることが多いです。一方、相続人が複数いて、不動産も複数ある場合は、遺産分割協議や名義変更など複雑な手続きが必要になるため、費用も数十万円に上る可能性があります。

相続手続きの依頼先④弁護士

相続手続きで弁護士に依頼できる内容や費用相場について解説します。

弁護士に依頼できる内容

弁護士に依頼できるのは、主に相続人同士のトラブル対応です。遺産分割協議がまとまらない、特定の相続人が不当な要求をしてくる、故人の遺言に不満があるなど、様々なトラブルが考えられます。

弁護士は法律の専門家として中立的な立場で状況を整理し、冷静かつ客観的に解決策を提示してくれます。また、場合によっては調停や裁判といった法的手続きも視野に入れ、依頼者の権利を守ってくれる心強い存在です。

弁護士に依頼する際の費用相場

相続手続きを弁護士に依頼する場合、費用相場は数十万円となることが多いです。

しかし、相続人が多い、遺産の内容が複雑、相続争いが発生する可能性があるなどの場合は、さらに高額になる可能性があります。特に訴訟に移行する場合などは、弁護士費用が100万円を超えるケースも珍しくありません。

相続手続きを専門家に依頼するメリット

相続手続きを専門家に依頼すると費用がかかってしまいますが、その分多くのメリットがあります。その中でも特筆すべきなのは以下の点です。

相続手続きの時間や労力を削減できる

相続手続きを専門家に依頼するメリットは、相続手続きにかかる時間と労力を大幅に削減できることです。

相続手続きは、故人の出生から死亡までの戸籍謄本を集めたり、遺産分割協議書を作成したり、相続税の申告をしたりと複雑な手続きが多く、時間も手間もかかります。何度も役所に出向く必要があったり、書類作成に手間取ったりと大きな負担になります。

しかし、専門家に依頼すれば手続きを全て任せることが可能です。遠方に住んでいて頻繁に役所に行けない方や、仕事が忙しくて手続きに時間を割けない方などには、特に大きな利点となるでしょう。

ミスなく相続手続きを進められる

相続手続きを専門家に依頼すると、複雑な手続きをミスなく進めてもらえます。

相続手続きには、戸籍謄本や遺産分割協議書など、様々な書類の収集や作成が必要です。書類や手続きに不備があると、相続税の申告漏れなど後々ペナルティを受ける可能性があります。

しかし、相続手続きに詳しい専門家に依頼すれば心配は無用です。豊富な知識と経験に基づき、確実に手続きを進めてくれます。例えば相続税の申告では、税理士が申告漏れを防ぎつつ、控除制度を最大限に活用して節税対策を提案してくれるでしょう。

相続人同士のトラブルを避けられる

相続手続きは、時に家族間でも感情的になりやすいものです。 遺産分割や手続きの方法について、それぞれの思いや考えがぶつかり、トラブルに発展してしまうケースも少なくありません。

このような事態を避けるためにも、相続手続きは専門家に依頼するのがおすすめです。 専門家は法律や手続きに関する知識はもちろん、豊富な経験に基づいた客観的な視点を持っているため、中立な立場で相続人同士の話し合いをサポートしてくれます。

感情的な対立が生じそうな場面でも、専門家が間に入ることで冷静な話し合いを促し、円満な解決へと導いてくれるでしょう。

相続手続きをまとめて依頼したいなら「代行サービス」

相続が発生すると、様々な手続きが必要となります。戸籍収集や遺産分割協議、相続税申告など、どれも専門知識が求められ、それぞれの専門家に依頼しなければならないケースも少なくありません。

そこでおすすめなのが、相続手続き代行サービスです。具体的なサービス内容や費用相場について詳しく解説します。

相続手続き代行サービスとは

相続手続き代行サービスは、相続に関する手続きをまとめて代行してくれるサービスです。煩雑な手続きをまとめて依頼できるため、時間と労力を大幅に節約できます。サービスを提供しているのは、主に弁護士、司法書士、行政書士などの専門家です。

また、近年では銀行でも相続手続き代行サービスを取り扱っているところが増えており、より身近な存在となっています。銀行の場合は、その銀行の口座に関する手続きをスムーズに進められるのが利点です。

相続手続き代行サービスの費用相場

相続手続き代行サービスの費用相場は、一般的に20万円から200万円ほどです。遺産総額や手続き内容によって必要な作業量が大きく変わり、費用も変動します。

例えば、不動産が含まれる場合は名義変更や評価額算定など専門的な作業が必要となり、費用が高額になる傾向があります。また、相続人が複数いる場合や、遺産分割協議が難航する場合は、協議書の作成や調整などで費用が上乗せされることもあります。

相続手続き代行サービスを利用する際は、複数の業者から見積もりを取り、料金の内訳を確認することが大切です。

相続手続きを依頼する代行サービスの選び方

相続は初めての経験であることが多いでしょう。手続きに不安を感じている、時間的な余裕がない場合は、ぜひ相続手続き代行サービスの利用を検討してみてください。

利用する相続手続きを依頼する代行サービスを選ぶ際のポイントは以下のとおりです。

費用が妥当か

相続手続きの代行サービスを選ぶ際、最も重要なのは費用が妥当かどうかです。サービス内容が同じでも、業者によって料金設定は大きく異なります。そのため、複数の業者から見積もりを取り、相場と比較しながら慎重に検討することが大切です。

また、後から追加で費用が発生しないかどうかも確認しておきましょう。例えば、基本料金は安くても、手続きが複雑になるにつれて成果報酬が発生するケースがあります。

追加費用は最終的な負担を大きく左右するため、どのような場合に追加費用が発生するのか、具体的な金額はいくらかなどを明確にしておきましょう。

実績数が多いか

相続手続きの代行サービスを選ぶ際には、実績数が多いサービスを選ぶことが重要です。実績を積み重ねる中で様々なケースに対応してきたノウハウが蓄積されているため、質の高いサービスを提供してもらう可能性が高いからです。

相続手続きは、遺産分割協議や相続税申告など複雑な手続きが多く、個々のケースによって対応が異なります。例えば、相続人が遠方に住んでいる場合や遺産に不動産が含まれている場合などは、専門的な知識や経験が必要となります。

実績豊富なサービスであれば、過去の経験を活かしてスムーズかつ的確な手続きを進めることができるでしょう。また、手続きの途中で問題が発生した場合でも、迅速かつ適切に対応してくれる可能性が高いです。

安心して手続きを任せられるという点でも、実績数は重要な指標となります。

運営元の信頼度が高いか

代行サービスを選ぶ際は、運営元の信頼度の高さも大きなポイントです。相続手続きは故人の財産や個人情報を扱うため、信頼できる業者に依頼しなければ思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。

信頼できる業者を選ぶためには、いくつかのチェックポイントがあります。

まず、必要な資格を有した専門家が在籍しているか確認しましょう。相続手続きには、法律や税金など専門知識が必要となる場面が多くあります。資格を持った専門家が在籍していることで、安心して手続きを任せられます。

次に、住所が明記されているかを確認しましょう。実在する事務所であれば、何か問題が生じた場合でも直接連絡を取ることができます。

最後に、不審な点がないか総合的に確認しましょう。例えば、ホームページの内容が具体的でなく、実績や事例が曖昧な場合は注意が必要です。また、電話やメールでの対応が不誠実な場合も、信頼性に欠けると判断できます。

これらのポイントを踏まえて信頼できる運営元を見つけることで、安心して相続手続きを進められます。

利用者の口コミ評判が良いか

相続手続きの代行サービスを選ぶ際、利用者の口コミ評判も参考になります。口コミは実際にサービスを利用した人の生の声であり、サービスの質や信頼性を客観的に判断する材料となるからです。

例えば、ホームページや口コミサイトで、対応の丁寧さ、手続きのスピード、料金の透明性などについて具体的にどのような感想が書かれているかを確認することで、自分に合った代行サービスを見つけやすくなります。

無料相談の印象が良いか

相続手続きの代行サービスは、無料相談や問い合わせの機会を設けていることが多いです。サービスの質や担当者との相性を見極める絶好の機会なので、積極的に活用しましょう。

親身になって話を聞いてくれるか、疑問や不安に丁寧に答えてくれるかといった点を直接確認することで、安心して依頼できるサービスかどうかを判断できます。

例えば、無料相談で親身に寄り添って話を聞いてくれたり、専門用語を使わずにわかりやすく説明してくれたりするサービスであれば、その後もスムーズなコミュニケーションが期待できます。

相続手続きは専門家に依頼しよう

本記事では、相続を依頼できる専門家について解説しました。

相続手続きを依頼できる専門家は「税理士」「行政書士」「司法書士」「弁護士」の4種類です。それぞれ対応範囲や費用が異なるため、自分の状況にあった専門家を選択することが大切です。

特に税理士は、相続の中でも時間や手間がかかる相続税関連の手続きを任せられるためおすすめです。しかし、税理士事務所は数多く存在し、どこに依頼すべきか迷ってしまうでしょう。

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