死亡後の手続きで、死亡診断書のコピーを出す場面は多々あります。コピーを何枚しておくのが適切なのかわからない人も多いのではないでしょうか。もしもコピーを忘れてしまった場合は、どうすべきかについても詳しく説明します。
死亡診断書のコピーは必要?
死亡後の手続きに備え、死亡診断書のコピーを何枚程度取るべきか迷う人もいるでしょう。手続きでコピーを出さなければならないケースや、使い道について解説します。
一度提出すると返却してもえない
死亡診断書の発行は原則1枚限りです。死亡診断書を提出すると相応の事情がない限り、戻ってこない点に注意しましょう。
死亡診断書は市区町村役場に届け出ますが、故人が生前使っていた各種契約の解約時や、名義変更手続きをする際にも必要となります。
解約手続きがまだ残っているのに、死亡診断書が手元にないことで手続きが滞らないよう、事前に必要な枚数分のコピーを取っておくことが重要です。
死亡診断書のコピーの用途
死亡診断書を出すように求められるケースは、主に以下のような手続きです。
- 死亡により医療保険や雇用保険を止める手続き
- 生命保険会社への保険金請求の手続き
- 故人が契約していた携帯電話等の解約手続き
- 土地や不動産の名義変更手続き
- 所有している車の名義変更手続き
- 故人が契約していた銀行口座の解約(名義変更)手続き
- 各種公共料金支払いの名義人変更手続き
上記の手続きをする際には、事実確認のため、死亡診断書のコピーを提出するのが一般的です。使用するコピー枚数は状況によって変わるため、事前に故人の契約状況を書き起こして、整理しておきましょう。
コピーは何枚必要?
各種手続きで提出した死亡診断書のコピーは、提出後は戻ってこないのが一般的です。死亡後に行うべき各種手続きの種類を踏まえ、コピーは10枚程度用意しておくとよいでしょう。
もしも10枚程度では不安に感じる場合は、それ以上のコピーを取っておくのも1つの方法です。足りなくなって焦ってしまうよりも、不足なく準備しておく方が、各種手続きもスムーズに進められるでしょう。
またコピー作業は忘れないうちに、受け取ったらすぐに行うことも大切です。
死亡診断書のコピーを取り忘れた場合の対処法
死亡診断書のコピー作業をうっかり取り忘れることもあるでしょう。このようなときはどうしたらよいのか、具体的な対処法について紹介します。
市町村役場や法務局で再発行してもらう
死亡診断書の写しは、住まいがある市区町村役場、もしくは法務局で再発行の手続きが可能です。
死亡診断書は死亡届と同じ用紙内にあり、左右で記載欄が分かれている様式です。そのため再発行の際は、死亡届記載事項証明書を請求します。
また死亡届を届け出た日からの日数によって、請求場所が変わります。死亡届を役場に提出してから1カ月以内であれば、住まいがある市区町村役場で手続きが可能です。一方1カ月を過ぎている場合は、故人の本籍地にある法務局で手続きをします。
死亡届を提出してから再発行を依頼するまでの日数があいまいな場合は、該当の法務局に、死亡届がそちらに移っているかを確認するのが確実です。
再発行請求の申請ができる人は?
死亡診断書の再発行請求に関わる申請は、故人と利害関係のある人に限られます。一般的には死亡届の届出人や、故人の配偶者・3親等以内の親族です。
再発行を請求するには、遺族年金の請求や、保険金の受け取りなど、特別な事情がないと受け付けられません。死亡診断書を再発行できる人や、請求理由には条件があるので、理由もなく誰でも手続きが行えるわけではない点に注意しましょう。
再発行請求に必要な書類など
死亡診断書は再発行が可能ですが、手続きにはなぜ必要なのかを裏付ける書類や、証明書などを用意する必要があります。手続きする際に必要な書類は主に以下の通りです。
- 申請人の身分証明書:運転免許証やパスポートなど
- 故人との関係を証明可能な書類:戸籍謄本など
- 申請人が委任を受けている場合:委任状(委任者の署名や押印が必要)
- 再発行の目的となる書類:年金手帳や保険証書など
再発行には1通ごとに所定の手数料がかかります。上記の書類を漏れのないように準備し、速やかに再発行の手続きを進めましょう。
原本の再発行は病院への依頼が必要
死亡保険金の請求など、手続きによっては死亡診断書のコピーではなく、原本が要求される場合もあります。原本を誤って紛失してしまい、再発行しなくてはならない場合もあるでしょう。
原本の再発行は、死亡診断書が発行された病院、もしくは施設でのみ再発行が可能です。死亡診断書は死亡した事実を医学的に証明する公的な書類であり、発行は医師に限られています。
原本の再発行ができる人には、一定の条件があります。さらに再発行に相応する理由も必要です。原本の再発行が必要になった場合は、発行された病院へ依頼しましょう。
死亡届の写しに関しても把握しよう
死亡届と死亡診断書は、名称が似ているので違いがよくわからないという人もいるでしょう。これらの違いや、死亡届の写しの内容を解説します。
死亡届と死亡診断書の違い
死亡届と死亡診断書は名称が似ているため、意味を混同しがちですが、実際には異なる書類です。
大きな違いとして作成する人が異なる点が挙げられます。死亡届は市区町村役場に死亡の事実を登録するために提出する書類で、遺族が記入するものです。
一方死亡診断書は医師が死亡を確認し、死亡原因や日時などの詳細を記入して作成します。
死亡届の様式は死亡診断書と一体になっており、遺族などが死亡届の記入欄に必要事項を書いてから役所に届け出ます。
出典:死亡届|法務省 |
死亡届の写し(死亡届記載事項証明書)の請求には特別な理由が必要
死亡届の写しとは、死亡届記載事項証明書のことを指します。つまり保険請求などの手続きをする際に、保険会社から「死亡届記載事項証明書が必要です」といわれた場合は、死亡届の写しが必要です。
死亡届の写しが手元にない場合は、上述のように市区町村役場、もしくは法務局に出向き請求しますが、請求したからといって、簡単に再発行できるものではない点に注意しましょう。
死亡届の写しは非公開で、請求者は限定されています。ただし遺族年金や郵便局簡易保険の死亡保険金の請求・裁判の申し立てなど、手続き上で必要とされるものは、再発行が認められます。
死亡届の写しの請求先や必要なもの
死亡届の写しの請求先は、住まいがある市区町村役場、もしくは法務局です。死亡届の原本は役場に提出後、1カ月程度で、故人の本籍地がある法務局に移管されます。
各役場によって死亡届の保管方法や期間が違うので、事前に保管場所を確認しておく必要があります。
死亡届の写しの請求に必要な主なものは、本人確認が可能な身分証明書・故人との利害関係が証明できる戸籍謄本、そして請求の理由に当たる簡易保険証書・年金証書です。請求者が委任を受けた代理人の場合は、委任状も必要になります。
請求理由などによって必要なものは異なるため、不安な場合は事前に役場へ問い合わせて確認しましょう。
死亡診断書のコピーは必ず多めに取っておこう
死亡診断書の再発行は可能ですが、条件がありすぐには受け取れない場合もあります。
死亡後の手続きは、契約の解約・保険金などの請求とさまざまあります。やらなければならない手続きが多く、慌ただしさでコピーを取る作業を失念することもあるでしょう。そのため死亡診断書のコピーは、多めに取っておくと、後々提出が必要になった場合でも安心です。
煩雑な手続きをスムーズに進めるためにも、死亡診断書は受け取ったらすぐにコピーをし、手続きがスムーズに行えるよう備えておきましょう。