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喪主の挨拶は何を話せばいい?言葉遣いやマナー、場面別の例文を確認

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最終更新日: 2023年03月15日

喪主は一般的に「お通夜」「通夜振る舞い」「葬儀・告別式」「精進落とし」の4回のタイミングで挨拶を行います。葬儀では使ってはいけない言葉もあるため、ルールを守りながら、参列者への感謝と故人への別れの言葉を伝えましょう。シーン別の例文と、挨拶をするときのポイントをとともに解説します。

この記事を監修した専門家

HIROKO MANNER Group 代表/一般社団法人 マナー&プロトコル・日本伝統文化普及協会 代表理事
西出ひろ子

シーンごとの喪主の挨拶例文

挨拶をする喪主

お通夜から葬儀・告別式、精進落としといったシーンごとの喪主の挨拶を、例文とともに解説します。宗教者への挨拶も紹介するので参考にしてみてください。

お通夜閉式時の挨拶

お通夜では、閉会時に喪主から挨拶をするのが一般的です。通夜への参列のお礼や、翌日の葬儀・告別式の参列案内、通夜振る舞いの案内を行います。

【お通夜閉式の挨拶例文】

本日はご多用の中、通夜へお越しくださり、ありがとうございました。私は長男の△△でございます。父○○の生前中は、格別のご厚情を賜り、心より感謝申し上げます。

 

明日の葬儀および告別式は△時から予定しております。なにとぞよろしくお願い申し上げます。

 

ささやかではございますが、別室にてお食事、お飲み物などをご用意いたしました。おくつろぎいただきながら、父のエピソードなど伺えましたらと思います。

 

本日は誠にありがとうございました。

通夜振る舞いでの挨拶

お通夜が終わった後に、参列者やご遺族にふるまう料理が「通夜振る舞い」です。通夜振る舞いでは改めて、参列のお礼や翌日の案内を述べましょう。

【通夜振る舞い開式の挨拶例文】

本日は突然のことにもかかわらず、お越しくださりありがとうございました。皆様にお集まりいただき、母もさぞかし喜んでいることと思います。

 

ささやかではございますが、お食事をご用意いたしました。どうぞお時間の許す限り、生前の思い出話などお聞かせいただければ幸いです。

 

【通夜振る舞い閉式の挨拶例文】
本日はご多用の中、皆さまにお集まりいただき心より感謝申し上げます。おかげさまで滞りなく通夜を執り行うことができました。

 

夜も更けてまいりました。思い出話はまだまだ尽きませんが、本日の通夜はこれにてお開きとさせていただきます。

 

明日の葬儀および告別式は○○会場にて、△時より行います。本日は誠にありがとうございました。

葬儀・告別式での挨拶

葬儀・告別式が終わり、出棺前のタイミングで喪主の挨拶を行います。

出棺前の挨拶は、故人のエピソードなどを含めるため長文です

【葬儀・告別式での挨拶例文】

私は故人○○の長男△△でございます。本日はお忙しいところ、父○○の葬儀・告別式にご参列くださり心より感謝申し上げます。

 

おかげさまで無事に葬儀を執り行うことができ、出棺の運びとなりました。皆様にお見送りいただき、父も喜んでいることと思います。

 

故人は昨年夏頃から体調を崩し気味になり闘病を続けておりました。最期は家族に見守られる中、眠るように息を引き取りました。享年××歳でした。

 

父は□□年に故郷の●●県から東京の大学へ進学し▲▲勤務などを経て地元へ戻り■■を営んでまいりました。「粉骨砕身」が父の口癖で仕事への情熱には…(など故人のエピソードを簡潔に)。

 

父が生前皆様より賜りましたご厚情に対し、厚く御礼申し上げます。今後も私ども遺族に、ご指導ご鞭撻を賜りますようお願いいたします。

 

簡単ではございますが、親族を代表いたしましてご挨拶申し上げます。本日は誠にありがとうございました。

精進落としでの挨拶

精進落としは火葬後にごく近しい人のみで集まる会食の席です。喪主は開会時と閉会時に挨拶をします

【精進落とし開式の挨拶例文】

本日はお付き合いいただき深く感謝申し上げます。皆様のおかげで葬儀をつつがなく終えられましたことを、改めて厚く御礼申し上げます。

 

心ばかりのお食事を用意いたしましたので、ごゆっくりお過ごしください。

【精進落とし閉式の挨拶例文】

本日は最後までおつきあいくださいまして、ありがとうございます。お名残惜しく存じますが皆様お疲れかと思いますので、このあたりでおひらきとさせていただきます。

 

今後とも故人の生前と変わらぬおつきあいをよろしくお願いいたします。明日の葬儀 告別式は○○会場にて△時より行います。

 

本日は誠にありがとうございました。

宗教者への挨拶

宗教者への心配りも忘れずに行いましょう。通夜と葬儀それぞれで、お布施を渡しながら挨拶します。

お布施を渡すタイミングは出迎え時が一般的ですが、見送りのタイミングでも問題ありません。

【通夜の出迎えの挨拶例文(お布施を渡しながら)】

ご多用の中ご足労くださりありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。ほんの気持ちでございますがお納めください。

 

【見送りの挨拶例文】

本日は故人のためにお勤めをいただき、ありがとうございました。おかげさまで通夜式を無事に執り行うことができました。

【葬儀の出迎えの挨拶例文(お布施を渡しながら)】

昨夜は遅くまでありがとうございました。心ばかりではございますが、どうぞお納めいただければと存じます。本日もよろしくお願いいたします。

どうぞ控室にてお休みください。お時間になりましたらお迎えに上がります。

 

【見送りの挨拶例文(お布施を渡しながら)】

本日はご丁寧なお勤めを賜りありがとうございました。おかげさまで葬儀を無事執り行うことができました。

喪主の挨拶文を決めるときのルール

メモ

喪主の挨拶文は決まった構成とルールを守れば、比較的簡単に作れます。また使用してはいけない「重ね言葉」「忌み言葉」についてもチェックしておきましょう。

基本的な構成で組み立てる

挨拶については難しく考える必要はありません。決まった形式があるので、構成に沿って、詳細を当てはめていくだけで作文できるでしょう。挨拶文は以下の七つの項目から構成されています

  1. 自己紹介:喪主から見た故人との関係性と故人の名前
  2. 参列者への挨拶:葬儀に参列してもらったことへの感謝の言葉
  3. 最期の様子:事故や苦しい闘病生活などは控える
  4. 逝去時の年齢:数え年もしくは満年齢
  5. 故人の人柄を伝える経歴やエピソード:楽しい家族との思い出や功績など、参列者が共感できるようなエピソード
  6. 遺族の今後について
  7. お礼の言葉:改めて参列してもらったことへの感謝の言葉で締める

自己紹介は故人との関係によって異なる

挨拶文の中で喪主の立場によって異なるのが、自己紹介の部分です。以下のように自己紹介しましょう。

【自己紹介例文】

遺族を代表いたしまして、皆様に一言ご挨拶を申し上げます。

  • 喪主が配偶者のとき:私は故人○○の夫(妻)△△でございます。
  • 喪主が子のとき:私は故人○○の長男(長女)△△でございます。

本日は夫(妻)/父(母)○○の葬儀にご参列くださり誠にありがとうございます。

重ね言葉や忌み言葉を使わない

葬儀におけるマナーの1つとして、使用を控えるべき「重ね言葉」や「忌み言葉」があります。うっかり使ってしまいそうな身近なものが多いので、注意が必要です。それらを使わない内容を考えるか、別の言葉に言い換えるようにしましょう。

  • 重ね言葉:不幸が重なる意味合いがある
    ますます・みるみる・まだまだ・だんだん・重ね重ね・くれぐれも・たびたび・しばしば・いろいろ・次々・つくづく・近々・わざわざ・皆々様・日々
  • 続き言葉:不幸が続く意味合いがある
    追って・再び・何度も・なお・次に・続いて・引き続き・さらに・加えて・繰り返し・重ねて・今一度
  • 忌み言葉:不幸を連想させる意味合いがある
    消える・落ちる・とんだことに・敗れる・終わりに・「4」「9」が入った言葉
  • 直接的な表現
    死亡・死ぬ・亡くなる・死去・急死・自殺・生存中・生存・生きている頃

喪主が挨拶するときのコツ

挨拶をする喪主

喪主の挨拶は暗記する必要はなく、原稿を見ながらでも構いません。原稿にはしるしを付けたり段落ごとにスペースを設けたりして、読み間違えないように工夫しましょう。

故人に代わり、参列者へ感謝のご挨拶をするという気持ちが大切です。

読む時間は短めに

葬儀や告別式は儀式に時間がかかるものなので、挨拶は短めのものが好ましいとされます。

3分間のスピーチで読めるのは約900文字、5分間のスピーチでは1500文字です。5分間じっと話を聞くのは長く感じられるため、参列者が退屈に感じてしまう可能性もあります。1~3分程度がちょうどよい長さと考えましょう。

文案を作ったら何度も読み返して時間を計測し、文字数を調整するのがおすすめです。

読むときの表情と姿勢に気を付ける

挨拶文は原稿やメモを見ながら読んでも問題ありません。ただしずっとメモを見ながらでは、顔が下向きになり猫背になりがちです。参列者へ伝えたいことを頭の中で整理し、丸暗記ではなく、自分の言葉で伝えるという意識で臨みましょう。

練習は大事です。事前に何度か練習して伝えたい内容をある程度覚えておき、原稿やメモはときどき見る程度にしましょう。

高齢の参列者は声を聞き取れないケースもあるので、参列者に聞こえるように姿勢を正し、堂々と話します力み過ぎず肩の力を抜き、声のトーンは少し低めにするのがポイントです。

宗教・宗派別の挨拶の注意点

手を合わせる人たち

忌み言葉や重ね言葉のほかにも、宗教や宗派ごとにふさわしくないと考えられている言葉があります。考え方についても併せて確認し、いざという時に失礼のないようにしましょう。

仏教

仏教式の葬儀でも宗派ごとの考え方によって、使われない言葉が存在するため注意が必要です。

仏教十三宗派の1つである浄土真宗では、人は亡くなると同時に、極楽浄土に迎えられるという考え方があります。「往生即成仏(おうじょうそくじょうぶつ)」といい、故人の霊が三途の川や地獄をさまようことはありません。

そのため浄土真宗では「冥福・霊前・草葉の陰から見守っている・天に召された」は使いません

神道

神道は日本古来の宗教であり、仏教とはまったく異なる宗教です。神道において故人は、一族を見守る守護神として祀られます。死は穢れ(けがれ)であるとの考えから、葬儀は穢れを清め、日常生活に戻るための儀式と捉えているのが特徴です。

「冥福・供養・成仏・引導・精進・お布施・仏」など、葬儀で使われるケースの多い仏教用語は多数あります。宗教を尊重するためにも、仏教用語は控えましょう

キリスト教

キリスト教は死を「終焉」ではなく「永遠の命の始まり」と考えます。キリストの手による審判が行われる復活の日に、死者はよみがえり、いずれ会えるという考え方です。

仏式のお悔やみの言葉である「お悔やみ申し上げます」とは表現せず、「安らかな眠りにつかれますように」と言い換えましょう

家族葬における喪主の挨拶

精進落としを振る舞われる人たち

家族葬の参列者は、数人から多くても30人程度です。直葬では10人以下である場合も、少なくありません。

小規模な葬儀では、喪主の挨拶を省略するケースが増えています。しかし、葬儀で行われる挨拶には「故人の冥福を祈り参列者に感謝の気持ちを表す」という意味があるため、小規模な葬儀でも本来は喪主による挨拶が必要です

挨拶のタイミングや内容は一般葬と変わりません。簡単な内容でも構わないので、難しく考え過ぎず、分かりやすい言葉で伝えましょう。

関連記事:家族葬でも喪主の挨拶は必要?挨拶のタイミングやポイントを紹介

適切な喪主の挨拶をして

遺影を持ち挨拶をする喪主

参列者の前で話さなければならず、失敗は許されないと思うと、喪主の挨拶についてなかなか筆が進まないこともあるでしょう。

ただし喪主の挨拶は、構成ルールが決まっており、例文も豊富です。ルールに沿って、故人とのエピソードを思い返しながら挨拶文を決めるとよいでしょう。

内容に困ったら、葬儀社のスタッフに相談するのもおすすめです。信頼できる葬儀社を選ぶには、一括で相見積もりができるミツモアの活用も検討してみてください。

ご遺族の代表者として適切な挨拶をし、1回きりの大切な葬儀をスムーズに進行しましょう。

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監修者:西出 ひろ子

HIROKO MANNER Group 代表
ウイズ株式会社 代表取締役会長
HIROKO ROSE株式会社 代表取締役社長
一般社団法人 マナー&プロトコル・日本伝統文化普及協会 代表理事

葬儀会社などの企業にて、お客様の心に寄り添う営業接客・接遇研修や、マナーコンサルティング、マナー研修を行う。「めざせ!会社の星」 (Eテレ)、「芸能人品格チェックスペシャル」 (ABC朝日)、「なないろ日和」(テレビ東京)などのテレビ番組にてお葬式や喪服のマナーについての出演、監修など多数。NHK大河ドラマや映画、CMなどでは超一流俳優や女優へのマナー所作指導実績数日本NO.1。

著書・監修
国内外でマナー本100冊以上。著者累計100万部以上のマナーの専門家。
  • 『お悔やみのマナー』 (アドレナライズ) 2013/9/24発行
  • 『知らないと恥をかく 50歳からのマナー』(ワニブックス) 2020/8/25発行
  • 『気くばりにいいこと超大全』(宝島社)2022/6/15発行

など多数

コメント
喪主の挨拶は、故人に成り代わって、参列くださっている皆様に感謝の気持ちをお伝えするものです。人前で挨拶と言われると緊張しがちですが、前述のように考えれば、力むこともなくなります。心を込めてご挨拶をいたしましょう。

また宗教や宗派に応じて、死に対する考え方が異なります。それに応じて使用する言葉も変わってまいります。宗旨に応じた失礼のない言葉遣いも求められますので、覚えておくと安心ですね。