電気自動車を100Vで充電するには、何が必要なのでしょうか?一般的な200Vでの充電と比べて時間がかかるものの、さまざまなメリットがある100V充電について、自宅の環境や自動車の利用頻度に合う充電方法が分かるよう解説します。設置費用の相場や使える補助金、200Vとの違いもあわせて確認しましょう。
電気自動車は100Vで充電できる?
電気自動車を自宅で充電する場合、100Vのコンセントがあればできます。ただし室内にある普通のコンセントでは安全に充電できません。まずは電気自動車を100Vで充電するために必要なコンセントについて紹介します。
EV専用コンセントを設置すれば100Vでも充電可能
自宅でもEV専用コンセントを設置すれば、電気自動車の充電を安全に実施できます。日本国内の一般的な住宅に備え付けてあるコンセントは全て100Vのため、そのままでも電気自動車の充電に使えると考える人もいるでしょう。
しかしEV専用コンセント以外のコンセントで電気自動車を充電すると、異常発熱による火災や、ほかの電気機器の故障、ブレーカーの停止などのトラブルが発生する可能性があります。
自宅のコンセントをそのまま使用するのではなく、必ずEV専用コンセントを設置しなければなりません。設置するには第二種電気工事士以上の資格が必須です。感電事故や漏電による火災につながりかねないため、DIYで実施できる工事ではありません。
自宅に100VのEV専用コンセントを設置する際は、まず施工業者を選びましょう。2社以上から相見積もりを取ると、価格や対応を比較した上で業者を選べます。
工事前には現地調査が必要です。自宅の環境によって必要な工事や配線の長さなどが異なり、工事費用にも影響します。調査後に出される正式な見積もりに納得できたら、契約を結びましょう。
その後決まった工事日には、必ず立ち会うようにします。工事内容はブレーカーの増設・配線の敷設・充電用コンセントの設置などで、かかる時間は半日ほどです。
自宅の外壁に屋外用の防水コンセントが設置されている場合には、それをEVコンセントへ取り替えることもできます。一から設置するより、工事にかかる時間も費用も抑えられる方法です。
100Vの場合「普通充電」なら可能
電気自動車の充電方法は、普通充電と急速充電の2種類があります。日常的に自宅で充電する目的であれば、普通充電が一般的です。100VのEV専用コンセントを設置した場合に利用できるのも、普通充電です。
急速充電はガソリンスタンドや高速道路のSAなどに設置されている、急速充電器を用いる方法をいいます。普通充電と比べて短時間で充電できるため、長距離移動中に継ぎ足し充電をするとき便利です。
国内産電気自動車には普通充電用と急速充電用の充電口がついています。自宅ではEV専用コンセントで普通充電し、出先では急速充電器で継ぎ足し充電する、というような使い分けが可能です。
100Vで電気自動車を普通充電する方法
自宅へ設置した100VのEV専用コンセントで充電する方法も確認します。必要なものがそろっているか確認しておくと、充電がスムーズです。
100VのEV専用コンセントでの充電方法
100VのEV専用コンセントで電気自動車を充電するときには、充電ケーブルが必要です。充電ケーブルのコネクターを電気自動車の充電口へ差し込み、反対側のプラグをEV専用コンセントへ差し込みます。
充電ケーブルは電気自動車に必ず付属しているとは限りません。特に100V用の充電ケーブルはオプションとなっているメーカーが多く、約5万円で別途購入が必要な場合もあります。
100V用の充電ケーブルがない場合の充電方法
100V用の充電ケーブルがないときには、200V用の充電ケーブルへ接続し、100VのEV専用コンセントへつなげる変換ケーブルを使う方法もあります。
またメーカーが販売する純正品よりも、安価な充電ケーブルを購入するのも方法の1つです。ただし電気自動車を販売する各メーカーは、充電ケーブルは純正品の利用を推奨しています。
100Vでフル充電したときの電気代は?
電気自動車をフル充電したときの電気代は「1kWhあたりの電気代×バッテリー容量」で計算できます。ここでは全国家庭電気製品公正取引協議会が示す目安単価1kWhあたり約31円(2022年7月改定・2026年時点も同額)で、主要な車種の電気代を計算しました。
| 車種 | バッテリー容量 | フル充電1回の電気代(目安) |
|---|---|---|
| 日産サクラ | 20kWh | 約620円 |
| 日産リーフ(新型B5) | 55kWh | 約1,705円 |
| 日産リーフ(新型B7) | 78kWh | 約2,420円 |
| 三菱 eKクロス EV | 20kWh | 約620円 |
| ホンダ N-VAN e: | 29.6kWh | 約920円 |
| テスラ Model 3(RWD) | 約60kWh | 約1,860円 |
| テスラ Model Y(RWD) | 約60kWh | 約1,860円 |
※1kWhあたり31円で計算した目安です。テスラ Model 3 ロングレンジ(約78kWh)など大容量車は1回あたり2,400円前後になります。実際の電気代は電力会社や料金プランにより変動し、夜間割安プランならさらに抑えられます。
100Vでの充電がおすすめの人
100Vで電気自動車を充電するのは、どのような人に向いているのでしょうか?自宅に設置するEV専用コンセントの種類を決める際に、役立つ基準を紹介します。
工事費用を抑えたい人
EV専用コンセントの設置費用を安く抑えたいと考えている人には、100Vがおすすめです。外壁に屋外用の防水コンセントがあれば費用は2~3万円、屋外用の防水コンセントがなくても4~6万円で設置できます。
一方200VのEV専用コンセントを設置するには、10万円ほどの費用が必要です。200V専用の回線を敷設する工事が必要になるため、その分高額になります。
設置条件別のより詳しい費用感は、EVコンセント設置の費用相場ページで確認できます。
週末の利用がメインの人
100Vで充電すると、同じ量を充電するのに200Vの約2倍の時間が必要です。毎日長距離を走る人は帰宅後の充電時間が足りない場合があります。週末の外出や近距離利用が中心の人であれば、100Vでも充電時間を確保しやすくおすすめです。
出先でも充電する可能性がある人
旅行が多く宿泊先でも充電するなら、100V用の充電ケーブルを用意しておくのがおすすめです。宿泊施設には100VのEV専用コンセントしかないケースもあり、100V用ケーブルがあればどちらにも対応できて安心です。
早く充電したい人には200Vがおすすめ
自宅でよりスピーディーに充電するには、100Vより200VのEV専用コンセントがおすすめです。まずは違いを一覧で確認しましょう。
| 項目 | 100V | 200V |
|---|---|---|
| 出力(コンセント側) | 0.6~1.5kW | 3.2kW(6kW充電器なら約6kW) |
| 充電速度 | 遅い(200Vの約2倍) | 速い(100Vの1/2以下) |
| 設置費用の目安 | 2~6万円 | 約10万円~(状況により20万円超) |
| 充電ケーブル | 別売りの場合あり(約5万円) | 標準付属のケースが多い |
| 向いている人 | 週末・近距離中心/費用重視 | 毎日利用/長距離/時短重視 |
充電時間は「コンセント出力」と「車の受入上限」の低い方で決まる
充電にかかる時間は、おおよそ「バッテリー容量 ÷ 充電出力」で計算できます。ここで注意したいのが、実際の充電出力は「コンセントの出力」と「車に搭載された充電器(車載充電器)の受入上限」の低い方で決まるという点です。加えて充電ロスがあるため、実際の時間は計算値より1〜2割長くなります。
例として、日産サクラ(バッテリー容量20kWh・普通充電の受入上限は約2.9kW)でフル充電にかかる時間の目安を見てみましょう。
| 充電方法 | 実際の充電出力 | フル充電時間の目安 |
|---|---|---|
| 100V | 約1.0〜1.5kW | 約14〜20時間 |
| 200V(一般的なコンセント) | 2.9kW(車両上限) | 約7時間 |
| 200V(6kW充電器) | 2.9kW(車両上限で頭打ち) | 約7時間(時短効果なし) |
100Vと比べると、200Vでは充電時間を半分以下に短縮できます。
6kW充電器を活かせるかは車種次第
200Vの電源があれば6kW出力の普通充電器も設置できますが、その速さを活かせるかは車の受入上限しだいです。日産サクラのように受入上限が2.9kWの車種では、6kW充電器を設置しても充電速度は変わりません。
6kW充電器の恩恵を受けるには、6kW以上を受け入れられる車種(新型リーフ・テスラなど)が必要です。軽EVを中心に検討している場合は、6kW充電器はオーバースペックになりやすいため、まずは一般的な200Vコンセントで十分といえます。
設置費用は100Vより高い点に注意
200Vは設置費用が約10万円と100Vより高額です。分電盤への200V引き込み・ブレーカー増設・設置場所までの距離・電力会社との契約変更などで、状況によっては合計20万円を超えるケースもあります。
200Vコンセントの設置費用を抑える方法
100Vと比べ高額になりがちな200Vの設置費用は、①コンセントの機能をシンプルに絞る ②補助金を使う ③相見積もりを取るの3つで抑えられます。
- 機能を絞る:鍵・ケーブル収納などのオプションを外せば本体は数千円〜1万円台。本当に必要な機能だけを選ぶ
- 補助金を使う:2026年3月から(令和7年度補正予算)戸建ても国の補助(上限5万円)が対象に。自治体の上乗せがある地域も
- 相見積もりを取る:複数社を比較すると相場と対応の良し悪しが分かり、割高・低品質な業者を避けられる
100V、200Vそれぞれのメリットを知って判断を
自宅で電気自動車を充電する場合、通常であれば200VのEV専用コンセントを設置するとよいでしょう。専用コンセントがあれば100Vでも充電できますが、1回フル充電するのに大容量車では30時間以上かかる場合もあります。
「工事費用を抑えたい」「使うのは週末のみ」「出先でも充電する可能性がある」というような100Vを積極的に選ぶ理由がないのなら、200Vを選ぶのがおすすめです。
電気自動車に標準装備の充電ケーブルは200V用であるケースが多く、追加で充電ケーブルを用意する必要がない点も、200Vを選ぶメリットといえます。
新たに自宅に200VのEV専用コンセントを設置するには、施工業者への依頼が必要です。相見積もりを取り、信頼できる業者を見極めて依頼すれば、価格も対応も満足のいく業者へ依頼できます。
ミツモアでEVコンセント工事を依頼する流れ

EVコンセントの設置工事の大まかな流れを解説します。事前に流れを知っておけば、実際に工事を行うとなったときでも戸惑わずに済むでしょう。
- 質問に答えて依頼を出す
- 最大5件の見積もりから依頼したい業者を選ぶ
- チャットでのヒアリングや現地調査に対応する
- 工事に立ち会う
①質問に答えて依頼を出す
質問に答える形で、概算の見積もりに必要な情報を入力します。
- コンセント本体の手配を誰がするか
- 取り付けたいコンセントのタイプ
- おおまかな分電盤の位置
②最大5件の見積もりから依頼したい業者を選ぶ
依頼を出すと、条件に合う事業者から最大5件の見積もりが届きます。事業者のプロフィールや口コミ評価、見積もり金額などを確認し、依頼したい事業者を選んで予約しましょう。
- 見積もり内容と提案メッセージが分かりやすいか
- EVコンセント工事の実績があるか
- 過去の利用者からの口コミ評価が高いか
このような視点で事業者を絞ると良いでしょう。
③チャットでのヒアリングや現地調査に対応する
EVコンセントの設置に必要な作業や費用は、分電盤の空き状況や設置場所までの距離など、各住宅の環境によって異なります。工事をスムーズに進めるために、くわしい自宅の状況についてヒアリングをされることが多いです。
事業者によっては、工事日までに現地調査を行い、実際の環境を見た上でより正確な見積もりを出してくれることもあります。「なるべく配線が見えないようにしたい」などの仕上がりイメージがあれば、この時点で伝えておきましょう。
なお、条件が合わずにこの時点で工事依頼をキャンセルしても、費用は発生しません。
④工事に立ち会う
予約した日程になったら、事業者が自宅を訪問するので工事に立ち会いましょう。工事にかかる期間は、戸建て住宅で半日程度です。
EVコンセントの設置は外での作業が多いため、天候が崩れると工事が延期になることもあります。工事終了後は、EVコンセントが正しく機能するかを業者とともにチェックし、使い方や注意事項も共有してもらいましょう。
