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100Vで電気自動車を充電する方法は?よりスピーディーな方法も

最終更新日: 2024年06月28日

電気自動車を100Vで充電するには、何が必要なのでしょうか?一般的な200Vでの充電と比べて時間がかかるものの、さまざまなメリットがある100V充電について、自宅の環境や自動車の利用頻度に合う充電方法が分かるよう解説します。

電気自動車は100Vで充電できる?

電気自動車を自宅で充電する場合、100Vのコンセントがあればできます。ただし室内にある普通のコンセントでは安全に充電できません。まずは電気自動車を100Vで充電するために必要なコンセントについて紹介します。

EV専用コンセントを設置すれば100Vでも充電可能

自宅でもEV専用コンセントを設置すれば、電気自動車の充電を安全に実施できます。日本国内の一般的な住宅に備え付けてあるコンセントは全て100Vのため、そのままでも電気自動車の充電に使えると考える人もいるでしょう。

しかしEV専用コンセント以外のコンセントで電気自動車を充電すると、異常発熱による火災や、ほかの電気機器の故障、ブレーカーの停止などのトラブルが発生する可能性があります。

自宅のコンセントをそのまま使用するのではなく、必ずEV専用コンセントを設置しなければなりません。設置するには第二種電気工事士以上の資格が必須です。感電事故や漏電による火災につながりかねないため、DIYで実施できる工事ではありません。

自宅に100VのEV専用コンセントを設置する際は、まず施工業者を選びましょう。2社以上から相見積もりを取ると、価格や対応を比較した上で業者を選べます。

工事前には現地調査が必要です。自宅の環境によって必要な工事や配線の長さなどが異なり、工事費用にも影響します。調査後に出される正式な見積もりに納得できたら、契約を結びましょう。

その後決まった工事日には、必ず立ち会うようにします。工事内容はブレーカーの増設・配線の敷設・充電用コンセントの設置などで、かかる時間は半日ほどです。

自宅の外壁に外用の防水コンセントが設置されている場合には、それをEVコンセントへ取り替えることもできます。一から設置するより、工事にかかる時間も費用も抑えられる方法です。

100Vの場合「普通充電」なら可能

電気自動車の充電方法は、普通充電と急速充電の2種類があります。日常的に自宅で充電する目的であれば、普通充電が一般的です。100VのEV専用コンセントを設置した場合に利用できるのも、普通充電です

急速充電はガソリンスタンドや高速道路のSAなどに設置されている、急速充電器を用いる方法をいいます。普通充電と比べて短時間で充電できるため、長距離移動中に継ぎ足し充電をするとき便利です。

国内産電気自動車には普通充電用と急速充電用の充電口がついています。自宅ではEV専用コンセントで普通充電し、出先では急速充電器で継ぎ足し充電する、というような使い分けが可能です。

100Vで電気自動車を普通充電する方法

自宅へ設置した100VのEV専用コンセントで充電する方法も確認します。必要なものがそろっているか確認しておくと、充電がスムーズです。

100VのEV専用コンセントでの充電方法

100VのEV専用コンセントで電気自動車を充電するときには、充電ケーブルが必要です。充電ケーブルのコネクターを電気自動車の充電口へ差し込み、反対側のプラグをEV専用コンセントへ差し込みます。

充電ケーブルは電気自動車に必ず付属しているとは限りません。特に100V用の充電ケーブルはオプションとなっているメーカーが多く、約5万円で別途購入が必要な場合もあります。

100V用の充電ケーブルがない場合の充電方法

100V用の充電ケーブルがないときには、200V用の充電ケーブルへ接続し、100VのEV専用コンセントへつなげる変換ケーブルを使う方法もあります

またメーカーが販売する純正品よりも、安価な充電ケーブルを購入するのも方法の1つです。ただし電気自動車を販売する各メーカーは、充電ケーブルは純正品の利用を推奨しています。

100Vでフル充電したときの電気代は?

電気自動車をフル充電したときの電気代は、「1kWhあたりの電気代×バッテリー容量」で計算可能です。東京電力では1kWhあたりの電気代は30~40円に設定されています。

この計算式と電気代を用いて計算した、各メーカーの電気自動車を1回フル充電するのにかかる電気代を紹介します。

日産サクラ・日産リーフの電気代

日産サクラと日産リーフは、どちらも省電力暖房システムやエコモードで、充電の消費を抑えながら乗れる電気自動車です。それぞれの車種へ、「1kWhあたりの電気代×バッテリー容量」の計算式を当てはめて計算します。

日産サクラのバッテリー容量は20kWhです。フル充電する場合、1回の充電でかかる電気代は「30~40円×20kWh=600~800円」と分かります。

同じように、日産リーフの電気代も算出します。日産リーフはバッテリー容量のバリエーションが2種類あり、1回の充電にかかる電気代は以下の2通りです。

  • 40kWh:30~40円×40kWh=1,200~1,600円
  • 60kWh:30~40円×60kWh=1,800~2,400円

三菱アウトランダー・eKクロス EVの電気代

三菱アウトランダーのバッテリー容量は2タイプあります。それぞれの容量で、1回フル充電する場合の電気代を計算すると以下の通りです。

  • GG2W型:30~40円×12kWh=360~480円
  • GG3W型:30~40円×13.8kWh=414~552円

またeKクロス EVのバッテリー容量は20kWhです。フル充電1回の電気代は、「30~40円×20kWh=600~800円」と計算できます。

ホンダHonda eの電気代

Honda eのバッテリー容量は35.5kWhです。計算すると1回フル充電するのにかかる電気代は「30~40円×35.5kWh=1,065~1,420円」と分かります。

Honda eには電気料金の安い時間帯になるまで、充電を待機する機能があります。電気料金のプランによっては、計算した電気代よりも1回の充電にかかる費用を安くすることが可能です。最大充電量を設定する機能を生かし、必要な分のみ充電する使い方もできます。

100Vでの充電がおすすめの人

100Vで電気自動車を充電するのは、どのような人に向いているのでしょうか?自宅に設置するEV専用コンセントの種類を決める際に、役立つ基準を紹介します。

工事費用を抑えたい人

EV専用コンセントの設置費用を安く抑えたいと考えている人には、100Vがおすすめです。外壁に屋外用の防水コンセントがあれば費用は2~3万円、屋外用の防水コンセントがなくても4~6万円で設置できます。

一方200VのEV専用コンセントを設置するには、10万円ほどの費用が必要です。200V専用の回線を敷設する工事が必要になるため、その分高額になります。

週末の利用がメインの人

100VのEV専用コンセントで電気自動車を充電すると、同じだけ充電するのに200Vの約2倍の時間が必要です。毎日のように自動車を利用する人や、頻繁に長距離運転をする人は、帰宅後に100Vで充電しても十分な充電時間を確保できないかもしれません。

週末の外出に利用する人や、近距離での利用が多い人であれば、充電時間を確保しやすく100Vでの充電に向いています

出先でも充電する可能性がある人

頻繁に自動車で旅行をしており、宿泊先でも充電するようであれば、100Vで充電できるよう充電ケーブルを用意しておくのがおすすめです

日本のコンセントは100Vが一般的なため、「電気自動車の充電に対応」とサービスに記載している宿泊施設でも、設置してあるのが100VのEV専用コンセントのみというケースがあります。

このようなとき200V用のケーブルのみでは、充電が減ってきていても充電できません。100V用の充電ケーブルがあれば、どちらにも対応できて安心です。

早く充電したい人には200Vがおすすめ

自宅でよりスピーディーに充電するには、100Vより200VのEV専用コンセントがおすすめです。どのくらい早く充電できるのか、具体例とともに紹介します。

200Vは100Vよりも充電が早い

200Vと100Vでは、1回フル充電するのにかかる時間はどのくらい差があるのでしょうか?充電にかかる時間を計算するには、「バッテリー容量÷出力」の計算式を使います。出力は100Vなら0.6~1.2kW、200Vなら3.2kWです。

日産サクラを1回フル充電するとき、100Vと200Vでかかる時間を計算していきます。

  • 100V:20kWh÷0.6~1.2kW=約33.3~16.6時間
  • 200V:20kWh÷3.2kW=6.25時間

200Vで充電すれば、6.25時間でフル充電可能です。100Vで1.2kWの出力がある場合と比べても、充電時間を1/2以下に抑えられます

6kWの充電器ならさらに早い

200Vの電源があれば、6kWの普通充電器も設置可能です。一般的な200VのEV専用コンセントと比べ出力が倍近くあり、その分充電時間が短くなります

例えば日産サクラを1回フル充電するときにかかる時間は、「20kWh÷6kW=約3.3時間」です。短時間で充電できるため、頻繁に自動車ででかける人に向いています。

設置費用は100Vより高い点に注意

電気自動車を素早く充電できる200VのEV専用コンセントですが、設置費用は約10万円と100VのEV専用コンセントより高額です。自宅の分電盤まで引き込まれているのが100Vのみであれば、200Vの引き込みにも費用がかかります。

分電盤のブレーカーに空きがない状態であれば増設費用も必要です。分電盤からコンセントの設置場所までの距離も費用に影響します。

加えて電力会社との契約変更も、費用がかかる手続きです。状況によっては、合計で20万円を超えるケースもあります。

200Vコンセントの設置費用を抑える方法

100Vと比べ高額になりがちな200VのEV専用コンセントを設置するときに、費用を安く抑えるには、コンセントの機能と相見積もりがポイントです。具体的にどのようにコンセントや業者を選ぶとよいのでしょうか?

コンセントの機能を必要なもののみに絞る

設置費用を抑えるには、コンセントはできるだけシンプルな機能のタイプを選びます。シンプルなコンセントであれば、価格は3,000円ほどです。コンセントを使用しないときに鍵を閉めておけるタイプなら、1万円ほどで販売されています。

ケーブルを収納できるフック・タイムスイッチ・漏電ブレーカーなどのオプションがあるコンセントの中には、10万円を超えるものもあります。自宅で使用するときに本当に必要な機能はどれか、よく検討した上で決めるのがおすすめです。

例えば外から見えて簡単に出入りできる場所へ設置するなら、鍵付きの方が安心できます。しかしシャッターのある場所にコンセントを設置するなら、シンプルなタイプで問題ありません。

相見積もりを取る

施工業者を決めるときには、複数の業者へ相見積もりを取るのも設置費用を安く抑えるポイントです。相見積もりによって相場が分かるだけではなく、業者ごとの対応の良し悪しを比較できます。

相場を大きく上回る価格を提示する業者や、価格は安くても対応の悪い業者への依頼は避けましょう。相見積もりを取って比較することは、費用を抑えながら信頼できる業者へ依頼できる方法です。

100V、200Vそれぞれのメリットを知って判断を

自宅で電気自動車を充電する場合、通常であれば200VのEV専用コンセントを設置するとよいでしょう。専用コンセントがあれば100Vでも充電できますが、1回フル充電するのに30時間以上かかる場合もあります。

「工事費用を抑えたい」「使うのは週末のみ」「出先でも充電する可能性がある」というような100Vを積極的に選ぶ理由がないのなら、200Vを選ぶのがおすすめです。

電気自動車に標準装備の充電ケーブルは200V用であるケースが多く、追加で充電ケーブルを用意する必要がない点も、200Vを選ぶメリットといえます。

新たに自宅に200VのEV専用コンセントを設置するには、施工業者への依頼が必要です。相見積もりを取り、信頼できる業者を見極めて依頼すれば、価格も対応も満足のいく業者へ依頼できます。

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