不倫に対する慰謝料をきっちりと獲得したい場合は、示談書を作成しましょう。離婚問題に強い行政書士に依頼すれば、適切な示談書を作成してもらうことが可能です。示談書の書き方や注意点、行政書士を利用するメリットについて解説します。
不倫発覚時における示談書作成の重要性
配偶者の不倫が発覚して慰謝料を請求する際は、示談書を作成しておくことが重要です。示談書を作るメリットや、示談書の法的効力について解説します。
不倫問題で示談書を作成するメリット
不倫慰謝料の請求に関する示談書を作成しておけば、当事者間で合意に達した内容を、書面で確かめられます。取り決め内容の詳細を忘れてしまっても、示談書を見直せば、約束事の確認が可能です。
トラブル発生時に根拠資料となる点も、示談書の大きなメリットです。口約束だけでも契約は成立するものの、示談書がなければ「言った言わない」という問題が、後から発生しやすくなります。
不倫の示談書では、不倫や浮気の再発防止についても取り決められるため、不倫トラブルの再燃を防止する効果も期待できます。これらの理由から不倫慰謝料を請求する際は、示談書の作成が必須です。
示談書には法的効力がある
適切に作成された示談書は法的効力を有します。示談の内容に合意した当事者は、記載事項を守らなければなりません。
示談書の内容に違反した場合、条件次第では裁判で履行を求められます。例えば示談書で約束された慰謝料が、支払われない場合、訴訟を起こせば最終的に相手の財産を、差し押さえることも可能です。
ただし示談書に法的効力を付加するためには、正しい方法で作成しなければなりません。相手が内容に納得していない場合や、強制的にサインをさせた場合も、示談書が無効とみなされる恐れがあります。
慰謝料請求の示談書の書き方
慰謝料請求の示談書はどのように作成すればよいのでしょうか。示談書に盛り込むべき項目や、公正証書について、理解しておきましょう。
不倫の示談書の基本的な記載事項
不倫の示談書に記載すべき項目は、以下の通りです。
- 当事者の氏名や生年月日
- 不倫の事実
- 不倫慰謝料の金額・支払方法・支払期限
- 誓約事項(二度と不倫相手とは会わないなど)
- 求償権の放棄
- 違反した場合のペナルティ
- 守秘義務(他人に口外しない、ネットに書き込まないなど)
- 清算条項(慰謝料以外の債権債務が存在しないことを記載)
不倫相手と示談書を作る場合は、求償権を放棄してもらいましょう。求償権とは不倫相手が配偶者に慰謝料の一部返還を、求められる権利です。不倫は配偶者と不倫相手の共同不法行為とみなされるため、本来は2人で損害賠償の責任を負わなければなりません。
分割支払いなら公正証書にしよう
不倫慰謝料を分割で支払ってもらう場合は、合意した示談の条件を公正証書に記しておきましょう。公正証書とは公証役場で作成してもらえる、公文書のことです。
公正証書として示談書を作成すれば、示談した事実や内容を当事者間だけでなく、公正証書でも証明できます。公的な証明力を持つ書面になるのです。
強制執行力がある点も公正証書の大きなメリットでしょう。慰謝料の支払いが滞ったケースでも、公正証書として示談書を作成しておけば、裁判所を通さずに、強制執行手続きに移れます。
示談書の作成上の注意点
不倫慰謝料の示談書の作成には、いくつか注意すべき点があります。適切かつスムーズに問題を解決するためにも、示談書作成において気を付けるべき、ポイントを押さえておきましょう。
重要事項を安易に譲歩しない
示談書を一度作ってしまうと、基本的には内容の変更が困難になります。慰謝料の金額や支払期限など、重要事項は安易に譲歩しないことが大切です。
慰謝料問題を穏便に解決したい場合、相手との話し合いでは、険悪な雰囲気にならないよう、注意する必要があります。ただしあまりにも内容を譲歩しすぎると、自分にとって、不利な条件での契約になりかねません。
特に慰謝料の条件については相場もきちんとチェックし、双方が折り合えるラインで、話し合いがまとまるようにすることが重要です。
正確かつ簡潔な内容にまとめる
示談書を丁寧に作ろうとしすぎた場合、記載内容が長文になりがちです。示談書が長文になると、余計な記載や誤った条文が入りやすく、示談書が無効になる恐れもあります。
示談書が無効になると、慰謝料を請求できなくなる可能性も生じるため、取り決める内容は正確かつ、簡潔な文章でまとめることが重要です。
違約金が高すぎる場合も、民法上公序良俗に反するとされ、無効になる可能性があります。例えば慰謝料が2,000,000円で、接触禁止条項についての違約金を5,000,000円に設定した場合、バランスが悪いため、無効になる可能性が高くなるでしょう。
早期の決着を図る
示談書作成に時間をかけすぎると、相手が一度下した判断に迷いが生じ、最悪の場合は、破談になる可能性もあります。
不倫慰謝料問題の早期決着を図るためには、先の見通しを立てながら、対応することが大切です。前もって当事者間で条件のすり合わせができれば、相手と接触できる機会を生かして、一気に示談書を作れるでしょう。
不倫問題は自分だけでなく、相手も早く済ませたいと考えているものです。押し引きのバランスを考えながら、早期に解決できるように、話し合いを進めましょう。
示談書はどちら側が作成する?
示談書を自分で作成する場合は、時間や手間がかかるため面倒に思いがちです。示談書は自分と相手のどちらが作成した方がよいのか、解説します。
自分で作った方が有利
示談書をどちらが作成するのかについては、特にルールはありません。不倫が発覚して精神的なダメージを負った上に、書面作成の手間もかかるとなれば、相手に作成してもらいたいと考えがちです。
しかし示談書は相手に作らせるのではなく、自分で作成しましょう。話し合いの際に主導権を握れるので、自分にとって有利な条件で、契約しやすくなります。
一度示談書を作成しておけば、取り決めた内容の全体構成を確認できる点も、ポイントです。自分で示談書を作成することには、時間や手間がかかる点を、上回るメリットがあります。
作成費用負担の考え方
示談書の作成費用の負担割合に関してもルールはなく、当事者間の話し合いで決められます。
自分と相手の折半にしたり、全額相手に負担してもらったりすることも可能ですが、示談書作成の費用は自分で全額を負担するのがおすすめです。
費用を全額自己負担にすれば、話し合いを強気に進めやすくなるでしょう。主導権を握りながら交渉を進められるため、有利な条件で内容をまとめやすくなります。
慰謝料の示談書作成は専門家に依頼を
不倫慰謝料の示談書作成は、プロに頼むのがおすすめです。行政書士に依頼するメリットと、示談が成立しなかった場合の対処法を、確認しましょう。
示談書は行政書士への依頼がおすすめ
不倫問題における示談書の作成は、行政書士に依頼するのがおすすめです。示談書は弁護士でも作成できますが、行政書士なら弁護士に比べ、大幅に費用を抑えられます。
行政書士は書面作成のプロである点もポイントです。離婚問題に強い事務所も多いため、示談書の作成だけでなく問題解決の相談にも乗ってもらえます。
不倫慰謝料問題の穏便な解決を目指すなら、まずは行政書士に相談して、示談書作成のサポートを受けましょう。
示談が成立しない場合は弁護士へ
示談が成立しなかった場合は、弁護士に相談しましょう。行政書士は書面作成しかできませんが、弁護士なら調停や訴訟の代理人としても動いてもらえます。
ただし弁護士を利用して訴訟を起こす場合は、裁判費用や弁護士費用が発生する点に注意が必要です。慰謝料を獲得できても、費用が高額になれば、慰謝料がほとんど残らない事態にもなりかねません。
弁護士に依頼すれば必ず慰謝料を獲得できるとも限らないため、弁護士への相談は、慎重に検討する必要があります。
不倫が発覚したら示談書で慰謝料請求を
不倫慰謝料請求の示談書を作成すれば、トラブルが発生した際に根拠資料となります。分割払いなら公正証書としておくのも効果的です。書面を作成する場合は行政書士に依頼しましょう。
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