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離婚後でも慰謝料請求できる?注意すべきポイントや請求方法を解説

最終更新日: 2024年06月28日

離婚時に慰謝料の取り決めをしていなかった場合、離婚後でも請求できるのか、後から悩みがちです。知識を身につけ、状況に合わせて適切な行動をとりましょう。離婚後に慰謝料請求するときの注意点や、離婚してから不倫が発覚した場合について解説します。

離婚後に慰謝料請求できるのか

離婚した夫婦

条件を満たせば離婚後でも、元配偶者に慰謝料を請求できます。まずは離婚後にも慰謝料の請求ができるケースを、覚えておきましょう。

離婚後でも慰謝料請求できる可能性はある

離婚慰謝料は離婚原因により、精神的苦痛を受けた配偶者が、もう片方の配偶者に請求できる損害賠償金です。損害賠償金は損害発生後でも請求できるため、離婚慰謝料も原因があれば離婚後に請求できます

離婚慰謝料を請求できる主な原因は、浮気・不倫・DV・モラハラなどです。夫婦の片方に明らかな責任がなければならないため、性格の不一致で離婚した場合は、慰謝料を請求できません。

離婚後の慰謝料請求は、離婚前と比べて交渉が難航しがちであることにも注意しましょう。相手側はすでに離婚の話が終わっていると考えていることが、多いためです。また離婚してから時間が経ちすぎていると、慰謝料を請求できなくなるケースもあります。

離婚後における慰謝料請求の注意点

ポイント

離婚した後に配偶者へ慰謝料請求する際は、そもそも請求できるかどうか確認しなければなりません。離婚後に慰謝料請求を請求するケースの、注意点を見ていきましょう。

慰謝料を請求できる離婚理由があるか

民法第770条1項では、離婚慰謝料を請求できる条件が定められています。以下に挙げる項目のうち、離婚原因としていずれかの理由がなけれは、離婚慰謝料を請求できません

  • 不貞行為(不倫・浮気)
  • 悪意の遺棄(生活費を渡さない・健康なのに働かないなど)
  • 婚姻を継続できない重大な理由がある(DV・モラハラなど)

上記の理由は全て、離婚の責任が相手にあると法律で認められるものです。これらの理由により自分が精神的苦痛を受けていれば、損害賠償金として慰謝料を請求できる可能性があります。

慰謝料請求が認められる離婚原因があったとしても、実際に請求する場合は、離婚原因を証明できなければなりません。不倫やDVがあった事実を証明できる証拠が、必要となります。

参考:民法第七百七十条 | e-Gov法令検索

消滅時効が成立していないか

不法行為に基づく損害賠償請求権の時効は3年です。離婚してから3年以上経過すると、時効が成立してしまうため、慰謝料を請求しても相手に時効成立を主張される恐れがあります

ただし消滅時効が成立していても、慰謝料を請求すること自体は可能です。相手が慰謝料の支払いに応じてくれれば、時効に関係なく慰謝料を受け取れます。

内容証明郵便で慰謝料を請求すれば、消滅時効を6カ月延長することが可能です。また相手が慰謝料の支払いに応じたことを書面に残すと、その時点から時効がカウントされます。

離婚時に金銭面の取り決めを行っていないか

離婚時に金銭面の取り決めを行っている場合、離婚慰謝料の請求は難しいでしょう。離婚後に金銭のやりとりを行わないことを決めているケースが、一般的であるためです。

例えば清算条項が明記された離婚協議書を作成している場合、通常は以下のような内容が記載されます。

  • 離婚後にはお互いに金銭を請求しない
  • 離婚について債権債務がないことを、お互いに認識している

これらの文言が盛り込まれている離婚協議書があるなら、原則として慰謝料の請求はできません。ただし強迫または詐欺による取り決めが行われた場合は、記載内容の取り消しが認められる可能性があります。

離婚後に不倫の事実が判明した場合

封筒を見る女性

不倫が原因で離婚した場合は、元配偶者に対し離婚慰謝料の請求が可能です。では不倫の事実を離婚後に知った場合は、慰謝料を請求できるのでしょうか。

中見消滅時効が成立前なら不倫相手にも請求可能

離婚後に不倫の事実が判明した場合、不倫が原因で離婚したわけではないことから、元配偶者に離婚慰謝料は請求できません。ただし不倫は不法行為に該当するため、不法行為により精神的苦痛を受けたことに対する、不倫慰謝料を請求できる可能性があります

不倫は元配偶者と不倫相手の共同不法行為とみなされることから、両者に対して慰謝料を請求することが可能です。元配偶者と金銭面の取り決めを行っている場合は、不倫相手のみに慰謝料を請求できます。

離婚慰謝料と同じく、不倫慰謝料にも消滅時効があることに注意しましょう。不倫慰謝料の消滅時効は、不倫の事実と不倫相手の住所を知ったときから、3年です。

元配偶者から受け取り済みなら請求不可

離婚慰謝料を元配偶者からすでに受け取っている場合、不倫相手からは不倫慰謝料を受け取れません。不倫慰謝料は元配偶者と不倫相手の共同不法行為であり、どちらかが支払っていれば全額支払い済みとして扱われます

離婚慰謝料と不倫慰謝料は、原則として二重取りできないこともポイントです。離婚後に不倫が発覚した場合も、元配偶者から受け取り済みの離婚慰謝料には、不倫慰謝料も含まれると解釈されます。

ただしすでに受け取った慰謝料額では、満額に満たないと判断された場合は、追加で不倫慰謝料を請求できるケースがあります。

不倫相手に法的責任があるかも確認

不倫相手に不倫慰謝料を請求できるのは、不倫相手に法的責任がある場合のみです。例えば不倫が始まる前から夫婦生活が破綻していた場合、不倫相手は法的責任を問われないため、慰謝料を支払う義務はありません。

元配偶者が既婚者だと知らなかった場合や、通常に注意しても既婚者であると気づけなかった場合も、元配偶者に法的責任はないとみなされます。

現在はアプリやSNSなどで、お互いの素性を知らないまま交際が始まることも多いため、相手が既婚者とは知らなかったと主張してくるケースも、十分に考えられるでしょう。

離婚後の慰謝料請求方法

書類

離婚後に元配偶者へ慰謝料を請求する、大まかな流れを解説します。離婚原因の証拠を押さえることや、内容証明郵便で請求書を送付することが、重要なポイントです。

離婚原因の証拠を押さえる

離婚後の慰謝料請求を行う際は、まず離婚原因の証拠を押さえておきましょう。訴訟を起こさない場合は必須ではないものの、証拠がなければ相手も強気に反抗する恐れがあります。

どうしても決定的な証拠がない場合は、離婚原因の事実を推定できるものでも構いません。メールのやりとりや写真・動画の中から、証拠として使えそうなものを探してみましょう。

DVが原因で離婚した場合は、第三者の証言も有力な証拠になることがあります。DVによるケガで病院を受診していたのなら、診断書も用意しておきましょう。

内容証明郵便で請求書を送付する

元配偶者に慰謝料を請求する場合は、内容証明郵便を使うのが一般的です。内容証明郵便で請求書を郵送すれば、郵便の発送日・受取日・内容を郵便局に証明してもらえます

とりあえず相手の出方をうかがえることが、内容証明郵便を利用するメリットです。郵便を受け取った相手が慰謝料を支払えば、問題が解決するため、元配偶者と会わずに、慰謝料を獲得できる可能性もあります。

相手にプレッシャーをかけられることや、時効完成を先延ばしにできることもポイントです。元配偶者と話し合いの場を持ちたくない場合は、最初の手段として、内容証明郵便を検討しましょう。

当事者間で話し合う

内容証明郵便の送付後に相手が話し合いを求めてきたら、当事者間の話し合いで解決を目指しましょう。和解内容は示談書として、書面化しておくのがおすすめです。

慰謝料の支払いが分割になる場合は、公正証書を利用して、示談契約が行われることもあります。公正証書による示談契約を行っておけば、支払いが滞った際に裁判所を通さなくても、相手の財産を差し押さえることが可能です。

離婚慰謝料について話し合う際は、やりとりの内容を録画・録音しておきましょう。後からトラブルが発生した際の有力な証拠になります。

話し合いで解決しない場合は訴訟も検討

相手との話し合いでも、慰謝料に関して決着がつかない場合は、家庭裁判所に調停を申し出ることも可能です。ただし当事者間の話し合いで合意に至らなかったのなら、調停で解決する可能性は低いでしょう。

慰謝料請求の最終的な方法が訴訟です。訴訟は自分で行うこともできますが、弁護士に依頼したほうがスムーズに手続きを進められます。

訴訟を起こす場合は、離婚原因を証明できる証拠の用意が必須です。裁判・弁護士にかかる費用や、相手の支払い能力も考慮し、どのくらい慰謝料をとれるのか見通しを立てた上で、訴訟を起こすかどうか、検討する必要があります。

慰謝料請求を行政書士に依頼するメリット

行政書士のバッジ
行政書士のバッジ

離婚後の慰謝料請求問題は、行政書士に相談しましょう。慰謝料請求を行政書士に依頼するメリットについて、解説します。

書類作成のサポートを受けられる

慰謝料問題を穏便に解決したいのなら、最初は弁護士ではなく、行政書士に相談するのがおすすめです。離婚問題に強い行政書士なら、実績を生かして適切なアドバイスをもらえるでしょう。

行政書士は書類作成の専門家であることもポイントです。請求書・示談書・公正証書を作成する場合、行政書士に依頼すればより適切な書類をスピーディーに作成してもらえます

それぞれの書類には、記載すべきことがある程度決まっており、誤った書き方をしてしまうと、書類の効力を十分に発揮できない恐れもあります。書類作成がメインとなる初期の慰謝料問題は、行政書士に相談しましょう。

弁護士より費用が安い

離婚問題について行政書士を利用すれば、弁護士より費用を安く抑えられます。できるだけコストをかけずに問題解決を図りたい人には、行政書士のほうがおすすめです。

弁護士も請求書や示談書を作成できますが、弁護士がより強みを発揮できるのは、交渉代理や訴訟代理のシーンです。とりあえず書類だけ作りたい場合、わざわざ弁護士に依頼する必要はないでしょう。

一方の行政書士は交渉代理や調停・訴訟代理を行えません。初期段階の話し合いで解決しない場合は、弁護士への相談を検討する必要があります。

慰謝料請求の条件は要確認

相談を受ける法律家

離婚後でも慰謝料は請求できますが、いくつかの条件を満たしておく必要があります。元配偶者へ慰謝料を請求したい場合は、条件を確認しておきましょう。

離婚問題をプロに相談したいのなら、一括で相見積もりをとれる「ミツモア」を活用するのがおすすめです。離婚に強い行政書士から最適な提案を受けられます。

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