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ビルトイン食洗機は後付けできる?設置の条件や費用相場を解説

最終更新日: 2023年10月12日

キッチンのキャビネットを部分的に撤去して設置するビルトイン食洗機は、作業スペースを保ったまま食洗機を設置したい人におすすめです。ビルトイン食洗機の後付けを検討する際のポイントを知り、理想のキッチンを実現させましょう。

ビルトイン食洗機を後付けできる条件

ビルトイン食洗機は全てのキッチンに無条件で設置できるわけではありません。ビルトイン食洗機の後付けを検討するときに確認しておきたい、設置の条件を紹介します。自宅のキッチンにビルトイン食洗機を後付けできるかどうか、確かめましょう。

ビルトイン食洗機を後付けできる条件は、以下の通りです。

  • キッチン下に十分なスペースがある
  • セクショナルキッチンではない
  • 自宅が持ち家である

以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてください。

キッチン下に十分なスペースがある

ビルトイン食洗機を後付けするには、キッチン下のキャビネットに一定以上のスペースが求められます。必要なスペースの目安は以下の通りです。

  • キャビネットの幅:45cmもしくは60cm
  • キッチン自体の奥行:65cm以上
  • キャビネットの奥行:60cm以上
  • カウンターを除くキャビネットの高さ:75cm以上

近年に建築された住宅であれば、上記の条件をクリアしている物件が多いでしょう。ただし、築年数が経っている住宅の場合、設置に十分なスペースがない可能性があります。

スペースが足りないにもかかわらずビルトイン食洗機を設置したいなら、キッチン全体のリフォームが必要です。

セクショナルキッチンではない

ビルトイン食洗機は設置スペースを確保するのが難しい、セクショナルキッチンには後付けできませんセクショナルキッチンとは、シンク・コンロ・キャビネットが独立しているキッチンを指します。

現在のキッチンのスタンダードはシステムキッチンです。しかし、古い戸建てやマンションの場合、セクショナルキッチンが採用されている物件もあります。

セクショナルキッチンに食洗機を設置したい場合には、キッチン全体をシステムキッチンにリフォームするか、据え置き型の食洗機を選ぶ必要があります。

自宅が持ち家である

ビルトイン食洗機を設置するには、自宅が持ち家であることも重要です。自宅が賃貸の場合、退去時に原状復帰が必要となるので、ビルトイン食洗機の設置が困難になります。完全に元に戻すのが難しい場合には、退去時に原状回復のための費用を請求されるでしょう。

賃貸物件であっても、大家や管理会社の許可が下りれば取り付け可能です。しかしビルトイン食洗機の後付けには工事が必要なため、許可が下りないケースも多いでしょう。賃貸物件に食洗機を導入するなら、据え置き型を選ぶのが無難です。

ビルトイン食洗機を後付けする際の注意点

ビルトイン食洗機の後付けを検討する際に、注意しておきたいことを解説します。確認事項をスルーして後付けの検討や、商品の選定・購入を進めてしまうと、後悔する事態になりかねないため、注意が必要です。

ビルトイン食洗機を後付けする際の注意点は、以下の通りです。

  • 設置したい位置に合う食洗機を選ぶ
  • 本体購入前に設置が可能か確認する

以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてください。

設置したい位置に合う食洗機を選ぶ

ビルトイン食洗機の後付けを検討するなら、食洗機を設置したい位置を事前に決めておきましょう。設置場所によって、導入できるビルトイン食洗機の種類は変わってきます。

ビルトイン食洗機の設置場所の定番はシンク横です。シンク横は広いスペースを確保できるので、さまざまなタイプのビルトイン食洗機を後付けできます。

ただし家庭によっては、ビルトイン食洗機の設置位置として、シンク下を選ばざるを得ないケースもあるでしょう。シンク下にビルトイン食洗機を後付けする場合に選べる食洗機は、スペースの関係上、スライドオープンタイプのミドル(浅型)1択となるので注意が必要です。

本体購入前に設置が可能か確認する

自宅のキッチンにビルトイン食洗機を後付けできるか、確認するプロセスも重要です。キッチンの構造や給排水管の水栓の種類によっては、ビルトイン食洗機を設置できない可能性があります。

例えば排水管の分岐工事が難しい物件の場合、ビルトイン食洗機の後付けは困難です。住宅が建てられた年代によっては、ビルトイン食洗機と排水管を接続するために必要な、分岐水栓を設置できないケースがあります。

ビルトイン食洗機の後付けが可能かどうかは、業者による下見で判断してもらいましょう。下見前に食洗機本体を購入することは、控えた方が賢明です。

ビルトイン食洗機の後付けにかかる費用相場

ビルトイン食洗機の後付けにかかる費用について解説します。大まかな相場を知っておくことは、後付け工事をしてくれる業者を探すときに役立つでしょう。依頼先が適正価格で工事を請け負ってくれる業者かどうか判断できます。

本体価格と工事費用を合わせて10万~25万円

ビルトイン食洗機の後付けにかかる費用は、10万~25万円といわれています。食洗機本体の購入費用として5万~15万円、取り付け工事費用として5万~10万円がかかる計算です。

ビルトイン食洗機は本体と工事のセット売りで販売されるパターンがあります。

セット売りは食洗機本体を自分で購入してから工事する業者を探すよりも、合計費用が安く済む傾向があります。費用を少しでも抑えたい人は、本体と工事をセットで提供してくれる業者を探しましょう。

ビルトイン食洗機の追加工事が必要なケース

キッチンの状態によっては、基本の取り付け工事以外に追加工事が必要な場合があります。

  • 給湯管・給水管に分岐水栓がない
  • 排水設備が整っていない

以下の記事でビルトイン食洗機の後付け工事に追加される工事の詳細と、費用相場を解説します。

給湯管・給水管に分岐水栓がない

ビルトイン食洗機の後付けを検討する際は、キッチンのシンク下にある給水管と給湯管をチェックしましょう。向かって左側にある給湯管に、分岐金具と接続管が付いていない場合には、給湯管への分岐水栓の設置工事が必要です。

給水管の方に分岐金具が付いている場合には、ビルトイン食洗機を給水管に接続することも可能です。

ただし給水管に食洗機を接続すると、食洗機内でお湯を作るときに時間がかかってしまいます。利便性を追求するなら、食洗機は給湯管に接続するのが正解です。よって給湯管に分岐金具と接続管が付いているかが重要となります。

分岐金具を取り付ける工事の相場は、8,000~1万円です。

排水設備が整っていない

ビルトイン食洗機に接続できる排水管が整っていない場合、排水管の分岐工事が欠かせません。排水管の分岐工事が必要かどうかは、設置を予定しているキャビネットの裏に排水管があるかチェックすることで確かめられます。

排水管の状況確認は、素人には難しい作業です。排水管が整備されているか確かめられなかった場合には、施工業者に確認してもらい、分岐工事が必要かどうか判断してもらいましょう。

排水管の分岐工事にかかる費用の相場は、8,000~1万円です。

食洗機専用の電気回路がない

ビルトイン食洗機を動かすには、専用の電気回路が必要です。分電盤に「食洗機用」「キッチン予備」などの名称が付いた回路がない場合、電気回路の増設工事が不可欠となります。

ビルトイン食洗機は消費電力が高い家電です。電子レンジやオーブンなど消費電力の高い家電と同じ回路を使用すると、これらの家電を同時に使用したときに、ブレーカーが落ちる可能性が高まります。

ビルトイン食洗機を安定して使用するには、食洗機専用の回路を設ける必要があります。専用電気回路の増設にかかる費用の相場は、3万円前後です。

設置場所にコンセントがない

家電であるビルトイン食洗機を稼働させるためには、コンセントが必要です。キャビネット裏やシンク下など、ビルトイン食洗機の設置予定場所の近くにコンセントがない場合、コンセントの増設工事をしなければなりません。

コンセントを増設する方法には、専用の配線を引く方法と付近にあるコンセントを延長する方法があります。

ビルトイン食洗機用のコンセント増設におすすめなのは、専用の配線を引く方法です。専用の配線を使用すれば、消費電力の大きな家電でもブレーカーが落ちることなく使えます。専用の配線設置工事にかかる費用の相場は、1万6,000~2万円です。

ビルトイン食洗器の選び方

ビルトイン食洗機を選ぶときのポイントを解説します。ポイントを押さえて商品を選んでいけば、きっとお気に入りの1台に巡り合えるはずです。希望に合うビルトイン食洗機を見つけて、家事を一気に時短しましょう。

扉のタイプで選ぶ

ビルトイン食洗機は扉の開き方によって、「スライドオープンタイプ」と「フロントオープンタイプ」に分けられます

スライドオープンタイプは引き出しのようにかごを前に引き出す食洗機です。国産メーカーから数多く販売されているタイプで、食器を入れるときの姿勢が楽だったり、節水性能が高かったりする特徴があります。

フロントオープンタイプは扉を90度前に倒し、中身のかごのみを前に引き出す食洗機です。海外メーカーのものが多く、容量が大きい点や、上段と下段を使い分けやすい点などで人気があります。

スライドオープンタイプは2種類に分かれる

スライドオープンタイプはさらに、ディープタイプ(深型)とミドルタイプ(浅型)に分けられます。ディープタイプとミドルタイプの違いは容量です。ディープタイプの容量が60L前後なのに対し、ミドルタイプの容量はやや控えめな40L前後にとどまります。

ディープタイプとミドルタイプのどちらを選ぶか悩んだときは、家族の人数で選ぶのがおすすめです。ディープタイプは3~4人家族向け、ミドルタイプは1~3人家族向けといわれています。

本体の幅で選ぶ

ビルトイン食洗機は本体の幅に注目して機種を選ぶことも可能です。ビルトイン食洗機の幅は「45cm」と「60cm」の2種類に分かれ、両者にはさまざまな違いがあります

幅の差による違いの筆頭は価格です。45cmタイプの方が安価な製品が多いので、コストパフォーマンスを重視するなら、45cmタイプを選ぶのが正解です。

商品ラインナップにも大きな違いがあります。45cmタイプの方が種類が豊富なため、さまざまな機種の中から納得の1台を選びたい人にぴったりです。

洗える食器の数は60cmタイプに軍配が上がります。家族が多い場合は60cmタイプを選ぶと、食器洗いにかかる手間を大幅に短縮できるでしょう。

メーカーで選ぶ

ビルトイン食洗機を販売するメーカーにはそれぞれに特徴があるので、機種選びに迷ったときは、メーカーで選ぶのも1つの手です

例えばパナソニックは洗浄力の高さをうたっているメーカーです。繊細な噴射で食器にこびりついた汚れをくまなく落としてくれるため、予洗いの手間を最小限に抑えたい人に適しています。

リンナイはフロントオープンタイプのビルトイン食洗機を取り扱う、数少ない国産メーカーです。フロントオープンタイプの食洗機が欲しいなら、リンナイは最有力のメーカーとなるでしょう。

三菱電機のビルトイン食洗機は、静音性能の高さに特徴があります。機種によっては図書館と同じくらいの静かさなので、生活音に敏感な子供のいる家庭におすすめです。

おすすめのビルトイン食洗機3選

主要な国産メーカーの中から、おすすめのビルトイン食洗機を3台紹介します。それぞれ異なる魅力を持っているため、おすすめの3台を中心に商品を吟味すれば、きっとお気に入りの1台が見つかるでしょう。

パナソニック「ビルトイン食器洗い乾燥機 NP-45MD9S」

48点の食器を同時に洗える、大容量のビルトイン食洗機です。50℃以上の高温の湯で食器を洗う、「ストリーム除菌洗浄」を搭載しているのが大きな特徴です。

除菌試験では99%の除菌効果があるという結果が出ました。食器を清潔に保ちたいユーザーのニーズに応える1台です。

節水と省エネを実現する「AIエコナビ」を搭載しているのも、見逃せない特徴の1つです。食器の数や汚れ具合をセンサーで検知し、乾燥時間やすすぎの回数などを最適化してくれます。高い洗浄力とエコを両立する機能性の高さが自慢です。

その他にも、小さな食器をしっかり洗える「ちょこっとホルダー」や、上かごを動かして大きな鍋をセットしやすくする「ムービングラックプラス」などを搭載しています。

パナソニック ビルトイン食器洗い乾燥機 NP-45MD9S|Amazon

三菱電機「ビルトイン食器洗い乾燥機 EW-45R2S」

強力な洗浄力を持ちながらも、運転音が静かなビルトイン食洗機です。強力な水圧で食器を洗浄する「ターボ噴射」を搭載していて、2種類の水流で汚れを落とします。

皿にこびりついたカレーや米粒もしっかり落としてくれるので、「食洗機は魅力的だけど、ちゃんと汚れが落ちるか不安」という人でも安心して使えるでしょう。

また大きな音の原因となる冷却ファンのないモーターを採用することにより、高度な静音性を実現しました。食洗機の大きな運転音が家族の団らんを邪魔することはありません。

その他にも、食器の置き場所を示してくれる「カラーナビ食器かご」や、ダブル除菌で食器を清潔に仕上げる除菌洗浄・除菌乾燥機能などを搭載しています。

三菱電機 ビルトイン食器洗い乾燥機 EW-45R2S|Amazon

リンナイ「ビルトイン食器洗い乾燥機 RSW-F402CA-SV」

国内メーカーでは珍しい、フロントオープンタイプのビルトイン食洗機です。約8人分の食器(約56点)を収納できる大容量が魅力で、鍋やフライパンなどの大きな調理器具も、らくらくセットできます。食事後の後片付けは、ほぼ食洗機に任せられるでしょう。

標準コース1回で使用する水量は約12Lと、節水性に優れているのもうれしいポイントです。年間で約1万8,900円の節約になるため、「食洗機を導入したいけど水道代が上がらないか心配」という家庭でも気兼ねなく使えるでしょう。

節水性に長けた食洗機でありながら、少ない水でもしっかり食器を洗い上げるパワーを兼ね備えています。上下のダブルノズルで強力に洗い上げるので、洗い残しを作りません。

リンナイ ビルトイン食器洗い乾燥機 RSW-F402CA-SV|Amazon

ビルトイン食洗機を後付けして時短を実現

ビルトイン食洗機は忙しい主婦・主夫の強い味方です。面倒な洗い物にかかる手間を軽減してくれるので、1日の中で自由に使える時間がぐっと増えるでしょう。

ビルトイン食洗機の後付けを検討する際は、自宅にビルトイン食洗機を設置できるかどうかを必ず確かめましょう。このプロセスを飛ばして設置する食洗機の選定に進んでしまうと、いざ工事をするときに「取り付け不可」となる可能性があります。

後付けの可不可を判断するには、専門家である取り付け業者に見積もりを依頼し、キッチンの状態を下見してもらうのが確実です。複数業者に見積もりを依頼して、適正価格で工事を請け負ってくれる業者を探し、ビルトイン食洗機取り付けの1歩を踏み出しましょう。

ビルトイン食洗機の設置を業者に依頼する