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ビジネスフレームワークのOODAとは?プロセスや活用事例を紹介

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最終更新日: 2024年06月28日

ビジネスフレームワークの一つOODA(ウーダ)は、どのようなシーンに役立つのでしょうか。OODAの特徴や実施するときの流れ、活用事例を紹介します。同じビジネスフレームワークの一種である、PDCAとの違いも解説します。

OODAとは

OODAは変化の多い状況で有用な、ビジネスフレームワークの一種です。ビジネスフレームワークにはさまざまな種類がありますが、中でもOODAはスピーディーな意思決定に重点を置いています。

ビジネスフレームワークの一種

仕事を遂行するとき、問題解決や意思決定の効率を高めるのに有効なのが、ビジネスフレームワークです。決まった型に沿って仕事を進めることで、スムーズに進めやすくなります。

OODAもビジネスフレームワークの一種です。さらにOODA以外にも、ビジネスフレームワークは以下をはじめ多数あります。

MECE 漏れやだぶりをなくし、精度の高い判断を下す
ロジックツリー 「なぜ?」を繰り返し、問題を洗い出す
SWOT分析 自社と自社の置かれた環境を、俯瞰して整理する
3C分析 自社・顧客・競合の関係性を整理し、課題や改善点を導き出す
AIDMA 商品や広告に対する、消費者の反応を表す

適切な活用シーンが異なるため、それぞれの特徴を把握し、効果的な場面で使用するとよいでしょう。

素早い意思決定に役立つ

OODAは、その時々の状況に合わせた意思決定を、迅速に行うためのビジネスフレームワークです。そのため変化が激しい環境下で役立ちます

ビジネスの現場は、以前とは比べ物にならないスピードで変化中です。例えばインターネットの急速な発展によって、これまでになかったビジネスモデルが、ごく短期間のうちにたくさん生まれています。

この変化に順応し、適切な判断を下すために、OODAを活用すると良いでしょう。

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OODAのプロセスは4段階

実際の仕事でOODAを運用するときには、「Observe(観察)」「Orient(状況判断)」「Decide(意思決定)」「Act(実行する)」の、4段階の工程で進めます。またこの4段階を繰り返し実行するのが、「OODAループ」です。

Observe(観察)

素早く的確な意思決定を行うには、まず現在の状況を正確に知る必要があります。そこで観察が必要です。市場・顧客・ビジネスモデルなど、仕事を取り巻く環境には、どのような変化が起こっているのか、注意深く観察します。

場合によっては状況ががらりと変わり、以前の経験が役立たないケースもあります。そのため先入観を持たず、今目の前で起こっている変化を、事実としてそのまま捉えることが重要です。

Orient(状況判断)

観察すると何か気付きがあるはずです。気付きを得たら次は状況判断をし、観察で把握した現状から戦略を立てます

例えば店舗展開についての、意思決定が必要なケースを考えてみましょう。観察の結果、競合他社の店舗は、都心に集中していることが分かりました。今なら競合の少ない郊外のエリアへ出店すれば、シェアを獲得できるかもしれません。

このように状況判断することで、方向性を定めます。

Decide(意思決定)

方向性を定めたら、次に意思決定を行います。ここで重要なのは、最初から最適解を探さないことです。最善を見つけるために、意思決定に長い時間をかけると、OODAの強みを活かせません。

変化のスピードが速い状況下で、効果を発揮するビジネスフレームワークのため、現時点で最適と思われる行動を素早く取り、最大の効果を目指します。店舗展開の例であれば、郊外のエリアのリサーチや出店を決定します。

Act(行動)

最後に決定した内容を、行動に移す段階です。行動すれば結果が出るため、結果を受けて再び観察も行います。例えば郊外のエリアAを出店後にリサーチした結果、利益がそれほど見込めないと、分かるかもしれません。

そこで「エリアBではどうか?」と、再びOODAのサイクルを実行します。そもそも郊外への出店という方向性が、違っていたのかもしれないという結果が出れば、ほかの方法を考えることができます。

4段階のループを素早く回していくことで、現時点での最適解に、近づいていくことができるでしょう。

OODAとPDCAの違い

よく使用されているビジネスフレームワークに、「PDCA」があります。仮説を立てて検証するプロセスを回し、質を高めていくPDCAは、OODAとどのように違うのでしょうか。両者の違いを把握することで、適切に使い分けられます。

PDCAはサイクル、OODAはループ

PDCAは「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の4段階を繰り返し、次第に精度を高めていく「サイクル」です。サイクルを実行するときには、常に4段階を同じ順番で繰り返します。

一方OODAは「ループ」状の施策です。PDCAと同じ4段階から成りますが、必ずしも同じ順番で実行するとは限りません。観察と状況判断に応じて意思決定し、行動に移した結果、状況判断に誤りがあったと判断すれば、状況判断からやり直します。

4段階のうちどこからでもやり直しできるのが、OODAです。

PDCAは改善、OODAは決定

同じビジネスフレームワークでも、PDCAとOODAは役割が異なります。PDCAは仮説・実行・評価・改善を繰り返し、長期的に「改善」を目指すのが目的です。

OODAは今の状況で、最適な行動をするための「決定」に役立ちます。そのため素早い対応が求められる状況下に適した、ビジネスフレームワークです。

関連記事:PDCAサイクルとは?今さら聞けない基本知識と成功事例をチェック

OODAのメリット、デメリット

4段階をループし、必要に応じてどの段階からでもやり直せるOODAは、素早い決定に役立つ、ビジネスフレームワークだと分かりました。臨機応変に対応できる点はメリットですが、十分に活用するには難易度が高い方法でもあります。

臨機応変に対応しやすい

スピーディーに決断し、行動することを重視するOODAを取り入れると、元々の計画に捉われることなく、現場に即した臨機応変な対応が可能です。

そのためトップの判断が下されるのを待つ必要がなく、自発的に判断・行動できる人材が育ちやすいでしょう。

ボトムアップで最善の判断を行い、現場を回せる充実感から、組織全体の活性化につながりやすい点もメリットです。このメリットを最大限に生かすには、個人の裁量を大きくするスタイルが向いています。

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活用の難易度が高いケースも

意思決定に役立つOODAですが、状況によっては、活用の難易度が高まるかもしれません。例えば環境が複雑な場合には、どこに焦点を当て、観察すべきかという点の見極めが、うまくいかないことも考えられます。

さまざまな要素が複雑に絡み合う状況の場合、情報をどのように活用するかの判断も、難しいでしょう。一見OODAループにのっとって行動しているように見えても、単なる思い付きになっている可能性があります。

OODAが向いている業界・業務

OODAループが向いているのは、特定の業界・業務というよりは、変化や競争が激しい業界、もしくは迅速な意思決定が求められるシチュエーションです。具体例としては、ベンチャー企業や新規事業の立ち上げ・起業などが上げられるでしょう。

即応性の高さが特徴のOODAループは、めまぐるしい状況変化の中でこそ進化を発揮する手法です。あらかじめ計画を立てることが難しかったり、立てた計画通りに進行することが難しいと予想されたりする場合に、適したフレームワークといえるでしょう。

OODAの活用事例

変化の速い、現在のビジネス環境に適したビジネスフレームワークとして、OODAはさまざまな企業で注目され、取り入れられています。ここで紹介するのは、OODAを活用している3社の取り組みです。OODA活用の具体例を知ることで、自社への生かし方の参考になるでしょう。

自律型の社員を目指す「JAL」

JALでは社員全員が自ら判断・行動することが、より質の高いサービスの提供へつながると考えました。そこで現場に即した判断に役立つよう、「JAL OODA」を取り入れています。

社員全員が共通して持つべき意識や、価値観の指針となる「JALフィロソフィ」と、大きな組織を、部門ごとの小集団に分け経営する「部門別採算制度」を土台とした、ビジネスフレームワークです。

社員が自分の能力を最大限に生かすために必要な、自律的に考え、それを素早く実行できる方法といえます。また自律型の人材を育成する仕組みも整え、JAL OODAが現場で適切に機能する体制作りを、行っています。

共創を実践する「富士通」

ユーザーのビジネスパートナーとして、事業革新や事業創出を共同で行う「共創」の実現に向け、OODAを活用しているのが富士通です。共創の現場では、状況が変化し続けます。

その時々で最適な意思決定行うOODAをベースに、以下の三つの段階をループするのが、富士通が取り組んでいる「共創のためのサービス体系」です。

  • 新しい技術の動向・先進事例などの情報を収集する
  • 収集した情報を元にアイデアを検討する
  • アイデアをスピーディーに実行する

アイデアの実現に向けては、内外のあらゆる技術や、環境を取り入れる姿勢も持ち合わせています。必要に応じて、他社が提供するクラウド環境も活用しているそうです。

常に先手を打つ「ユニ・チャーム」

ユニ・チャームでは元々、組織の生産性を高めることを目的としたSAPS手法を用いていました。そして技術も環境も、目まぐるしく変化する時代に合わせ、先手を打ち成長するために、OODAループを導入しています。

変化に対応するには、計画に縛られ過ぎないことも重要です。現場からの一次情報を得て、常にやり方を見直す体制を目指しています。

そのために重要な、従業員の自律的な行動が育まれるよう、小さなことから習慣化し、取り組み続けているのが特徴です。

OODAで素早い意思決定を

ビジネスフレームワークの一種であるOODAは、迅速な意思決定に役立ちます。現在のビジネスシーンは、技術も環境も素早く変化するため、当初の計画のままでは目標を達成できないこともしばしばです。

そこで繰り返し、「観察・状況判断・意思決定・行動」をループするOODAを活用すれば、状況に応じて臨機応変に、意思決定を変化させられます。現場で判断を行うため、従業員に大きな裁量を与えられ、自律的な人材を育みやすいのも特徴です。

ただし複雑な環境においては活用が難しく、OODAを実施しているつもりが、思い付きによる判断を行っていることもあるでしょう。注意点もありますが、うまく取り入れることで、成果を出している企業も多い手法です。

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