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労働条件通知書がないのは違法?書類がないときのリスクや対処法も

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最終更新日: 2024年03月07日

転職活動した結果、晴れて希望の会社から内定が出ることもあります。ただ口頭で労働条件の説明があっても、労働条件通知書の形で明示されないかもしれません。労働条件通知書がないのは違法なのか、もらえない場合の対処法を解説します。

労働条件通知書とは

労働条件a労働条件通知書は、雇用主側が内定者に渡す書類の一つです。雇用契約書とは異なるものなのでしょうか。労働条件通知書は通知する対象者や渡すタイミング、明示事項が決められています。

労働条件を提示するための書類

労働条件通知書とは、事業主が労働者に対して「労働条件を通知する」ために必要な書類のことです。提示する対象者は、正社員・アルバイトなどを問わず全ての労働者に適用されます。

労働条件通知書をもらうタイミングは、主に「内定後から入社までの期間」や「入社当日」など、会社によって異なります。入社するまでに労働条件を確認したい場合は、会社に問い合わせましょう。

明示事項が決められている

労働条件通知書には、法律によって明示しなければならない項目が定められています。労働基準法第5条第15項により、労働者を採用する際には、以下の表にある労働条件を明示しなければなりません。

必ず明示しなければならないこと 定めをした場合に明示しなければならないこと
1.契約期間に関すること 1 .退職手当に関すること
2.期間の定めがある契約を更新する場合の基準に関すること 2.賞与などに関すること
3.就業場所、従事する業務に関すること 3.食費、作業用品などの負担に関すること
4.始業・終業時刻、休憩、休日などに関すること 4.安全衛生に関すること
5.賃金の決定方法、支払時期などに関すること 5.職業訓練に関すること
6.退職に関すること(解雇の事由を含む) 6.災害補償などに関すること
7.昇給に関すること 7.表彰や制裁に関すること
  8.休職に関すること

「必ず明示しなければならないこと」の1~6は、原則「書面」(2019年からメールや社員専用コミュニケーションツールのメッセージ機能でも可)で、交付しなければなりません。交付方法として労働条件通知書が用いられ、通知する必要があるのです。

出典: 以下の労働条件を明示しなければなりません – 厚生労働省

雇用契約書との違い

雇用契約書とは「雇用主と労働者が労働条件について、互いに合意したことを証明する書類」です。内容は労働条件通知書とほとんど同じで、労働契約の期間や就業場所、賃金などに関する項目が記載されています。

労働条件通知書と雇用契約書の違いは「根拠となる法律」です。

  • 労働条件通知書:労働基準法
  • 雇用契約書:民法と労働契約法

そのほか「双方の合意があるかどうか」の点でも、大きく異なります。労働条件通知書は通知書で、会社側が労働者側に通知したら完了です。一方で雇用契約書は、双方向の合意があって初めて成立します。

ただし注意したいのは「雇用契約書は書面で交付する義務はない」点です。双方の合意があっても、口頭のみの締結では証拠が残せないことになります。

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労働条件通知書を発行しないのは違法か

疑問c労働条件通知書を発行しないことは法律違反です。なぜ法律違反になるのか見ていきましょう。

労働条件を明示する義務があるため違法

雇用主は労働者に、労働条件を明示する義務があります。そのため、労働条件通知を発行しないことは違法です。労働基準法第15条によると、以下のように記載があります。

使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。


労働条件通知書を発行することは、強行法規です。強行法規とは法律で必ず行わなければならず、違反すると罰則があります。

強行法規に該当することから、労働条件通知書に記載された内容は、就業規則・労働協約・労働契約よりも優先度が高くなります。

出典:昭和二十二年法律第四十九号 労働基準法 | e-Gov 法令検索

雇用形態の違いに合わせて個別に発行する必要がある

労働条件通知書は労働者の雇用形態に合わせて、労働者ごとに必要になります。正社員やパートなどの就業形態や部署による違いなど、労働者ごとに働き方が異なるからです。

例えば短時間労働のパートと正社員の勤務時間を比較すると、勤務時間に差があるのが分かります。会社によっては、部署ごとに始業時間や就業場所が変わることもあるでしょう。

就業規則に労働条件が見やすく提示されている(周知義務を満たしている)場合は、コピーしたものを渡すことで、労働基準法の基準を満たしていることになります。

ただ就業規則は、全労働者向けに共通の内容が書かれていることも珍しくありません。「個人に合わせた労働条件を通知する」目的を考えると、労働条件通知書としての発行が望ましいでしょう。

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労働条件通知書がない場合のリスク

リスク労働条件通知書がもらえない場合、さまざまなリスクがあります。リスクを回避するためにも、どのようなリスクがあるのか確認しておきましょう。

求人情報と実際の労働条件が異なる

労働条件通知書がもらえない場合、求人情報と実際の労働条件に差があるかもしれません。求人情報に載っている条件は、あくまでも概要に過ぎないからです。

労働条件の提示が口頭である場合、実際の労働条件と提示された条件が違っていたとしても証明できません。

例えば労働者側が期間に定めのない雇用だと思っていても、実は雇用期間が設定されていることがあります。ある日突然、一方的に契約終了を言い渡される事態も起こり得るでしょう。

不当解雇と訴えても、労働条件通知書がなければ「採用内定時に口頭による同意があった」と、言い逃れをされてしまうかもしれません。

転職をするときは求人情報の内容は鵜呑みにせず、労働条件通知書をもらったうえで、必ず労働条件を確認しましょう。

試用期間に認識のずれが起こる

労働条件通知書には、試用期間の有無や期間も記載されます。労働条件通知書がないと、雇用主と労働者の間で試用期間の認識に、ずれが生じるかもしれません。

例えば労働者側が、試用期間を3カ月と認識していたケースで考えてみましょう。試用期間の間は、給与が通常よりも低く設定されているとします。

労働者側は試用期間が終わる4カ月後から、本来の給与がもらえると思っています。しかし、4カ月経った後も給与は増えませんでした。

会社側に確認してみると、実は試用期間が6カ月だと判明したのです。この場合、雇用主が不当に試用期間を長くしている可能性があるため、労働条件通知書をもらう必要があります。

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労働条件通知書がないときの対処法

労働

労働条件通知書の請求を会社側に行っても、会社側が応じないケースがあります。そこで、労働条件通知書がもらえないときの対処法を説明します。

内定先に請求する

労働条件通知書がない場合の対処法として、まずは内定先に労働条件通知書の提示を依頼します。労働条件通知書が提示されないのは違法であるため、通常は発行されるはずです。

伝え方は「労働契約書にサインをしたいので、具体的な労働条件を知りたい」と言うと、角が立たずに自然です。

万が一依頼を断られた場合は、断られた証拠を集めておきます。メールでのやり取りなら、一連のやり取りを全て残すのが基本です。

口頭なら録音データや、日時・担当者を記載したメモを残しておきましょう。証拠を残しておくことで、専門家に相談するときに役に立ちます。

内定辞退や即日退職も検討

内定先に依頼しても労働条件通知書をもらえない際は、入社前なら「内定辞退」を検討します。職業選択の自由の観点から、内定辞退は認められています。

内定辞退は民法第627条1項に従って「2週間前」までには辞退することが可能です。

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

出典:民法 | e-Gov法令検索

すでに入社しているなら「即日退職」を検討します。労働基準法第15条により、明示された労働条件と異なる場合は即時退職が可能です。

しかし労働条件通知書がないケースでは「明示された労働条件そのものがない」ことになります。そのため、即時退職の条件には当てはまりません。

ただ労働条件通知書がないことは「雇用期間の定めもない」と言い換えられます。結果として、内定辞退と同様に民法第627条1項に従って、14日前に申し出ることで退職は可能です。

労働基準監督署に相談する

内定辞退や即日退職をすることに対して抵抗を感じる人は「労働基準監督署」に相談する方法が有効です。各都道府県にある労働基準監督署に相談すれば、対処してもらえる可能性があります。

労働基準監察署とは事業所が、労働関係の法律の範囲内で正常に活動しているかを監督する機関です。不当な行為を見つけたときは、調査をしたうえで「是正勧告」を行います。

労働基準監督署に相談する際は「労働条件通知書の発行を拒否された証拠」を提示しましょう。スムーズに対応してもらいやすくなります。

出典記事:是正勧告とは?罰則や未然に防ぐポイント、対処法をわかりやすく解説|ミツモア

専門家への相談を検討

自分自身で対応することに不安を覚える場合や労働基準監督署の動きが鈍いなら、専門家に相談することを考えましょう。助言やトラブルへの対処を依頼できます。

相談相手としては、社会保険労務士・弁護士・公認会計士・税理士・弁理士・司法書士・行政書士・中小企業診断士などの、士業者が対応できます。

特定の事務所へ相談を持ち掛けるのは、慣れない人にとっては抵抗を感じるかもしれません。「まずは相談だけ」と考えるなら、専門業者とのマッチングサービスの活用がおすすめです。

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関連:ミツモア – くらべて選んで明朗会計

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労働条件通知書がないことは違法だと知ろう

違法労働条件通知書とは、雇用主が労働者に対して労働条件を提示するための書類です。雇用形態を問わず、全ての労働者に通知することが義務づけられています。

労働条件通知書を発行しないのは違法です。発行してもらえない場合は、内定先の企業に発行の依頼をしてみましょう。もしも発行してもらえない場合は、労働基準監督署や専門家に相談するのが有効です。

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