庭の手入れをしていると、しつこく生えてくる雑草に悩まされることは少なくありません。この記事では特に根絶が難しいとされる庭の雑草30種類を紹介し、それぞれの見た目の特徴や効果的な除草方法について詳しく解説します。
それぞれの雑草に合わせて効果の高い方法で除草をすると庭がきれいに保ちやすくなるので、ぜひ参考にしてみてください。
根絶が難しくしつこい雑草30種類
数ある雑草の中でも、特にしつこいといわれる雑草は以下の30種類です。
1. スギナ
- スギナ(つくし):トクサ科多年生草本
- 特徴:栄養茎と胞子茎に分かれている
スギナは、地下まで茎が深く広がるため完全に除去するには手間がかかる雑草です。見た目は竹を思わせる形状で、春になるとあちこちに姿を現します。この雑草は、地表に見える部分を刈り取っても地下で再生する力が強いので、根を掘り起こすなど根本的な対策が必要です。定期的な草刈りや、地下部まで届くピンポイントの除草剤が効果的です。
2. ドクダミ
- ドクダミ:ドクダミ科多年生草本
- 特徴:独特な臭気を持ち、繁殖力が強い
ドクダミは、心形の葉と独特の強い香りが特徴の雑草で、湿気の多い場所に群生する傾向があります。この雑草は、地下茎が繁殖し続けるため、しっかりと根まで掘り起こすことが重要です。ただし、一部の根が残存するとすぐに再生するので、しつこく取り除くことが必要です。除草剤を活用する際は、周囲の植物に影響を及ぼさないものを選ぶと安心です。
3. カヤツリグサ
- カヤツリグサ(ハマスゲ):カヤツリグサ科多年生草本
- 特徴: 茎の先端から穂をつけていて、細長い葉を持つ
湿地や水辺によく生えるカヤツリグサは、三角形の茎と細長い葉が特徴の雑草です。地下茎によって広がり、過酷な環境でも繁殖力が高いのも特徴のひとつ。この雑草を根絶するためには物理的に根を取り除くのが良いですが、途方もなく手間がかかってしまいます。除草剤を使う場合は展着剤と一緒に使用するのがおすすめです。
4. オヒシバ
- オヒシバ:イネ科多年生草本
- 特徴: 芝生や道端に多く、地面に這うように広がる。
オヒシバは、地表を這うように広がり、芝に似た見た目で景観を損なうことがあります。人や車の往来で踏みつけがある場所でも生育するほど生命力が強く、一度根を張ると手ごわい雑草の一つです。効率的に除草するには、根元をしっかりと掘り返し、その後除草剤で処理することが効果的です。
5. コニシキソウ
- コニシキソウ(アカクサ):トウダイグサ科多年生草本
- 特徴: 赤紫色の茎を持ち、地面を這うように広がる
コニシキソウは、地をはうように広がる雑草で、小さな葉が密集し、見た目は控えめですが繁殖力は強いです。この植物は乾燥した環境を好み、硬い地面でもしぶとく生えます。地面に密着しているため取り除くのが難しいですが、根を丁寧に掘り返すと除草しやすくなります。発芽を抑えたい場合、発芽抑制タイプの除草剤を土壌に散布するのが有効です。
6. カタバミ
- カタバミ:カタバミ科多年生草本
- 特徴: 小さな黄色い花を咲かせ、独特な形の葉を持つ
カタバミは、三枚のハート型葉と黄色の小さな花が特徴の雑草で、可愛らしく見える一方で、厄介な存在です。この雑草は群生しやすく地下茎で広がるため、手作業での駆除には忍耐が必要です。根を切らさないようにしっかりと抜き取ることが重要です。少しでも残すとすぐに再生してしまいます。根ごと抜くことが難しければ、成長が進む5月前に作業したり多年生に対応している除草剤を使用すると効果的です。
参考:野田市|カタバミ
7. エノコログサ
- エノコログサ:イネ科多年生草本
- 特徴: 猫の尻尾のような穂を持つ。夏に多く見られる。
エノコログサは、穂状の花をつけることから猫の尻尾に似ており、景観を損ないにくいですが放置すると厄介な雑草です。乾燥した環境でも繁殖力が強く、しっかり抜かなければ何度も再生します。草丈が高くなる前に早めに刈り取り、種がこぼれるのを防ぐことが重要です。また、根っこまで完全に引き抜くことで、効果的な根絶が可能です。
8. スズメノカタビラ
- スズメノカタビラ:イネ科多年生草本(一年草・越年草)
- 特徴: 冬から春にかけて生えて、冬にも花の穂を出すこともある
スズメノカタビラは本来、水田や湿地などに生息する雑草です。ただし道端などで見かけるものは「アオスズメノカタビラ」と呼ばれるヨーロッパ―原産の系統です。いずれも小さな花穂が特徴的で、成長速度が非常に速いです。根が小さく手で抜きやすいため、こまめに引き抜くことが有効です。育成初期にあたる晩秋に除草剤などで取り除くと根絶しやすくなります。
9. オオアレチノギク
- オオアレチノギク:キク科多年生草本(二年草)
- 特徴: 背が高く、白い花を咲かせる
オオアレチノギクは、60cm以上の高さに達することもあり、多数の黄色い小花が特徴です。繁殖力が強く、放置すると庭全体を覆い尽くす可能性があります。早期に駆除し、茎がまだ柔らかいうちに除草しましょう。繁殖期である8月前に根元からしっかり刈り取ったり、除草剤を使用したりするのが有効です。
10. ゼニゴケ
- ゼニゴケ:ゼニゴケ科苔類
- 特徴: 湿った場所を好む苔状の植物
- 除草方法: 水はけを改善し、除ゴケ剤を使用
ゼニゴケは、湿った土地によく生える雑草で、円形の小さな葉で地面を覆うように広がります。除去するには湿度管理や風通しが重要で、日当たりや水はけを良くしつつゼニゴケ専用の駆除剤を併用するとより良い結果が得られます。
参考:岡山理科大学|ゼニゴケ
11. アカツメクサ
- アカツメクサ:マメ科多年生草本
- 特徴: 小さなピンクの花を咲かせる
赤紫色の花が特徴のアカツメクサはシロツメクサの仲間で、地下茎で広がる性質を持っています。また、さまざまな蝶々(モンキチョウ・ベニシジミなど)が花の蜜や花粉を求めて集まるので、繁殖力もなかなかのものです。根をしっかりと張り巡らすため、群れになって定着する前に根元から全体的に掘り上げることが求められます。
12. オオバコ
- オオバコ:オオバコ科多年生草本
- 特徴: 平らで独特な形の葉。種子を多く作る
オオバコは、楕円形の葉と踏まれても復活する特性を持つ雑草です。繁殖力が強く、庭や歩道の縁などに出没しやすいです。刈り取りだけでは根絶は難しく、根をしっかり掘り起こしたり除草剤を併用するのが良いでしょう。こまめに葉を引き抜くと拡大を防げるので、根付く前に対処を心がけましょう。
13. カキドオシ
- カキドオシ(連銭草):シソ科多年生蔓性草本
- 特徴: 青紫色の花を咲かせ、横に広がる
カキドオシは紫の小花を咲かせる雑草で、地を這って広がるのが特徴。強靭であり、定期的に手入れをしないと庭全体に生い茂ることから早期の対策が必要です。引き抜く際は、根が残らないよう徹底的に行うことがポイントです。除去した後も、時々様子を見て、再成長を防止しましょう。
14. クズ
- クズ:マメ科多年生蔓性草本
- 特徴: 大型のつる性植物で、繁殖力が非常に強い
クズはツル性で他の植物に巻き付きます。過去にはクズの繁殖力が北アメリカの植生を乱したことで社会問題になったほど。放置すると瞬く間に一面を覆ってしまいます。除去するには、根からしっかり引き抜いたり除草剤をしたりするほか、小規模であれば熱湯をかけて成長を抑制できる場合もあります。特に、ツルが広がる前に作業することが肝心です。また、抜いた後は、防草シートを利用するなど、再発を防ぐ工夫が必要です。
15. スミレ
- スミレ:スミレ科多年生草本
- 特徴: 紫の花を咲かせ、春に多く見られる
スミレは、ハート型の葉と紫色の花が美しいものですが、放置すると増え続ける雑草にもなりえるため侮れません。庭に長く生息すると他の植物を圧倒し、土の養分を吸収することもあります。このため、開花時期にあたる3月前頃から早めに根から掘り起こすことが理想的です。掘り起こしてからは、地面を覆う防草マルチングの使用も再生防止の一助となります。
参考:国立科学博物館|スミレ
16. チカラシバ
- チカラシバ:イネ科多年生草本
- 特徴: 丈が高く、背の部分が非常に強靭
チカラシバは、硬い葉を持ち、地面を膨らませながら伸びる強靭な雑草です。夏の終わりから秋にかけて特に成長し、ブラシのような形状の穂が次から次へと出てきます。除去するには、春から夏にかけて根を丁寧に掘り起こし、土の中までしっかり取り除くことが必要です。
17. チヂミザサ
- チヂミザサ:イネ科多年生草本
- 特徴: 小さな笹のような形で、枝分かれしながら地表に広がる
チヂミザサは湿った環境によく適応し、葉にしわが寄っている珍しい形状の雑草です。なお、花が咲いて果実ができると実が外れ、他の植物や動物・人間の衣服などに張り付きやすくなるのも特徴です(いわゆるひっつき虫のひとつ)。8月から11月にかけて開花・種子ができるので、除草や駆除は夏頃に行うのが良いでしょう。
18. チドメグサ
- チドメグサ:ウコギ科多年生草本
- 特徴: 水辺や湿った場所を好む、丸い葉を持つ
チドメグサは、地面に這いつくばるように広がり、丸い葉が特徴的です。収斂作用による止血成分により外傷の止血に使われていた名残からこの名前で呼ばれています。なお、外来種のチドメグサはより丈夫で根強く、切れ端を下流に流すだけでも根を張り成長しやすいです。管理には定期的に地面をならし、風通しを改善することが効果的です。手で抜く際には、根がしっかり残らないよう注意することが肝心です。
参考:
19. ハルジオン
- ハルジオン:キク科多年生草本
- 特徴: 背が高く、ピンクまたは白い花を咲かせる
ハルジオンは最大80cm程度の背丈で直立に生えて、デイジー風の白やピンクの花が目立つ雑草です。観賞用として人気があるものの、繁殖力が強く増えやすいです。定期的に刈り込み、種ができる前に処理することが大切です。根をしっかりと抜き、残さないよう注意しましょう。
20. ヨモギ
- ヨモギ:キク科多年生草本
- 特徴: 匂いが強く、地下茎で増える
ヨモギは、食用や民間療法に用いられるなどポピュラーな植物ですが、繁殖力の強さで困る雑草にも挙げられがちです。地下茎が広がるため、一度繁殖すると除去が難しいです。除草には掘り起こしや刈り取りが有効ですが、栄養を蓄える秋冬に行ってもあまり意味がありません。夏頃から、遅くても10月中旬頃にかけて複数回刈り取ったり根を掘り起こしたりして除草作業を行いましょう。
参考:
21. アレチウリ
- アレチウリ:ウリ科一年生草本
- 特徴: つる性で広がる。果実にはトゲがある
アレチウリは、ウリ科のツル性雑草で、ノコギリ状の葉と蔓が特徴です。繁殖力が非常に強く、他の植物を覆い隠してしまうことが多いです。除草には開花期にあたる8月になる前に根元から抜き取り、ツルを広がる前に除去することがポイントです。また、刈り取った後は防草シートを利用するのが良いでしょう。
参考:
22. オオブタクサ
- オオブタクサ:キク科一年生草本
- 特徴: 3メートルを超えることもあるほど高く、細長い穂をつける
オオブタクサは、背が高く茂り、アレルゲンとして知られる雑草です。日当たりの良い場所で成長が活発になるため早期に根元から取り除き引き抜くことで拡大を防ぎましょう。種は靴の裏に刺さって運ばれる場合もあるため、発芽する4月前に抜き取ったり刈り取ったりするなどして処理することが大切です。
23. カラスノエンドウ
- カラスノエンドウ:マメ科つる性(一年草・越年草)
- 特徴: 春に紫色の花を咲かせる
カラスノエンドウは豆の形をした種が実り、蔓で成長していくのが特徴の雑草です。軽くて扱いやすいですが、放っておくと他の植物を囲い込むことがあります。繁殖が本格化する4月頃までに駆除することが重要で、元を絶つことが抑制につながります。雑草にのみ効果を発揮する選択制の土壌処理剤を使用することも有効です。
24. スズメノテッポウ
- スズメノテッポウ:イネ科多年生草本
- 特徴: 早春に伸びる、細くて高い草
スズメノテッポウは筒状の葉を持つ花が特徴的な雑草で、水田型と畑地型の2種類があります。水田型の場合は水田から水を引いた直後の除草が有効ですが、畑地型の場合は秋ごろから定期的に除草剤を散布する必要があります。
25. ナズナ
- ナズナ:アブラナ科多年生草本(一年草・二年草)
- 特徴: 春の七草のひとつ。小さな白い花を咲かせる
ナズナは別名ペンペングサとして親しまれるほか、春の七草のひとつとしても知られる可憐な花です。同時に繁殖力も抜群で厄介な雑草のひとつとしても知られています。各部に種を形成し、どこでも発芽する力が強いです。よって花が咲き、種ができる3月前頃の段階で除草作業を行うのが有効です。
26. ハコベ
- ハコベ:ナデシコ科多年生草本(一年草・越年草)
- 特徴: 白い小花を多数咲かせる
小さな白い花を咲かせるハコベは、庭の土壌を覆い尽くす様に広がる雑草です。成長が速く、湿ったところでは特に繁殖力が高いのも特徴の一つです。3月から9月と長期にわたり花が咲くので、極力冬の間に除草をすることで、効果的に根絶が目指せます。
参考:国立科学博物館|ハコベ
27. ブタナ
- ブタナ(タンポポモドキ):キク科多年生草本
- 特徴: 黄色い花を咲かせ、タンポポに似た形状
タンポポに似ており、黄色い花をつけるブタナは見た目に反して強い繁殖力を持つ雑草です。堅い根が張り巡らされ、刈り取りだけでは再発します。本格的に開花が始まる4月~5月前に根を丁寧に掘り返し、根ごと引き抜くことが有効です。難しい場合は多年生用の除草剤を使用しましょう。
28. ホトケノザ
- ホトケノザ:シソ科一年草(越年草)
- 特徴: ピンクの花を段状に咲かせる。
紫の花で春の訪れを告げるホトケノザは、寒さに強く繁殖力の強い雑草です。見た目ほど簡単に除去できず、初春には手早く取り除くことが必要です。ただし、ホトケノザが生える土壌は質がとても良いともいわれているので、畑作業が伴う場所の場合は除草剤の使用を避けることをおすすめします。
参考:
29. メヒシバ
- メヒシバ:イネ科一年生草本
- 特徴: 密度の高い芝のように地面を覆う。
メヒシバは、元気よく広がる雑草で、狭い隙間でもよく繁殖します。強く踏まれた後でも元気に再生するので、早期に引き抜くことが重要です。刈り取る場合は根元からしっかりと、成長点の箇所から下を取り除くようにしましょう。なお、草刈り機はその勢いで種を飛ばしてしまうリスクがあります。手作業で刈り取るのがおすすめですが、手間であればイネ科に有効な除草剤を使用しましょう。
30. ススキ
- ススキ(芒、振袖草):イネ科多年生草本
- 特徴: 秋に穂をつける高い多年草
ススキは秋の七草のひとつに数えられて風情のある草ですが、雑草としての繁殖力も強力です。とくに日当たりのよい乾燥した場所を好み、時には1~2mほどに成長することもあります。7月上旬~8月上旬ころを目安に刈り取りや除草剤散布を実施すると翌年の成長が抑制されます。繁殖しすぎると、根絶に多大な時間がかかってしまうので注意しましょう。
参考:
しつこい雑草を除草する方法
庭の美観を取り戻すためには、しつこい雑草を的確に除去する方法を知っておくことが重要です。
ここでは、手作業での草刈りや草取り、化学的アプローチである除草剤、さらには家庭用の代用品である重曹などを使った方法について詳しく説明します。
草刈りや草取りをする
草刈り(草取り)は、物理的に雑草を除去する基本的な方法です。この方法は、雑草の根をしっかりと取り除くことで再発を防ぐ効果を持ちます。特に、雑草が小さいうちに除去を行うと、根が深くなる前に駆除できるため、手間が減ります。
季節ごとに計画的に実施し、新たな芽を狙って除去することがポイントです。道具としては、鎌や草取りフォークが便利です。
除草剤を使う
除草剤を使用することで、広範囲にわたる雑草を短時間で駆除することができます。ただし、使用する際には、他の植物に被害を与えないように注意することが不可欠です。選定時には、雑草専用の選択性除草剤を選ぶことで、庭の他の植物に悪影響を出さずに駆除が可能です。
また、使用する日程や天候条件も効果に影響しますので、説明書をよく読んで適切に使用してください。
除草剤の代用品を使う(重曹など)
化学物質を控えたい場合、重曹や酢などの家庭用製品も雑草対策に利用できます。これらの代用品は、市販の除草剤ほどの強力な効果はありませんが、短期間で制御できる環境に優しい手法として人気があります。重曹や酢を水で薄め、雑草にスプレーすることで、次第に抑制することが期待できます。ただし、環境への優しさを確保する代わりに、定期的な散布が必要となることもあります。
雑草が増える前に予防する方法はある?
雑草の増殖を防ぐためには、予防策を講じることも必要です。土の状態を整えることや、風通しを良くすることが、水はけの改善につながり、雑草防止に役立ちます。
さらに、防草シートやマルチングを活用することで、太陽の光を遮断し、雑草の発芽を物理的に抑える効果があります。また、適切な植物を密に植えることで雑草の生育スペースを狭めることも、効果的な防止策となります。予防策を組み合わせて実施することで、美しい庭づくりを維持できます。
しつこい雑草の特徴を知って効率よく除草しよう
雑草の種類や特性を理解することで、効果的な駆除方法を選択できます。しぶとく根付きやすい雑草や、繁殖が早い雑草には、それぞれの特性に合った除去方法を試してみましょう。地道な駆除作業や予防メンテナンスを行うことで、庭を美しく保つことが可能です。
適切な情報をもとに効率よく除草を行い、理想の庭を楽しみましょう。