庭に生えたどくだみは、どのような方法で除草するのが効果的なのでしょうか?
どんどん増えるどくだみの除草に有効な方法をチェックしましょう。
また除草した後に再び生えないようにする方法や、除草剤に頼らない方法も紹介します。
なぜどくだみは増えやすい?
どくだみの除草をするにあたり、まずはどくだみが増えやすい理由を見ていきましょう。
基本的な特徴について知ることで、効果的な除草や防除につなげられます。
どくだみの特徴
どくだみはドクダミ科ドクダミ属の植物で、半日陰の場所を好みます。庭・公園・道ばた・水田などさまざまな場所に生育している、ハート型の葉が特徴の雑草です。
6~7月には白い花が咲きます。4枚の白い花弁に見えるのは総苞(そうほう)という部位で、その中央の黄色い部分に小花が密集している作りです。
除草のために葉や茎を取り除くと独特の臭いがしますが、人体に害はありません。また民間療法では「十薬」と呼ばれ、薬として用いられてきた歴史もあります。
葉を煎じどくだみ茶として利用するほか、化粧水や入浴剤として用いられることもある植物です。
どくだみの繁殖力について
古くから薬として用いられてきた歴史のあるどくだみですが、1度生えるとどんどん増えていく繁殖力の強さを持っています。地下茎を横に伸ばして繁殖するため、葉や茎を取り除いただけでは除草しきれません。
完全に駆除する場合には、土の中に隠れている地下茎を掘り出し、取り除く必要があります。ただし少しでも残っていると、地下茎はそこから成長し始めます。
地面を耕し地下茎が小さく切断されたとしても、そこから再生することもあるほど、成長する力が強いのです。草むしりをするだけでは、徹底的に取り除くのは不可能といえるでしょう。
きれいに処理したつもりでも、気付くと同じ場所に生えていることもあります。
花の咲く時期は要注意
特に繁殖力が強くなるのは、花が咲きはじめる「5~7月」です。他の時期にもよく育ちますが、特にこの時期は勢いが強くなるため、花が咲くより早いタイミングで除草した方がよいでしょう。
また花後には種ができます。花が咲く前に取り除くことで、こぼれ種で株が増えていくのを防ぐことも期待できるでしょう。地下茎はもちろん種からも増えるため、その点でも花が咲く前に対処するのがおすすめです。
春先に葉が出てきたタイミングでできるだけ早く取り除きます。
家庭にあるものでできる、どくだみの除草方法
繁殖力が強く一筋縄では除草できないどくだみですが、家庭にあるアイテムで対処する方法もあります。薬剤よりも効き目はマイルドですが、人体に害のない駆除方法です。具体的にどのような方法で除草するのか見ていきましょう。
重曹でピンポイントに駆除
まず挙げられる方法は「重曹」を使う除草の仕方です。掃除や洗濯のために重曹を常備しているなら、試してみましょう。
重曹で除草する場合、まずはどくだみの茎を鎌で刈り取ります。その上でどくだみの切断面に触れるように、100mlの水に重曹8gの割合で溶かした水をかけるのです。
重曹水は切り口からどくだみの内部へ浸透していきます。重曹は水に溶かすと二酸化炭素を発生させますが、その二酸化炭素がどくだみ全体に回ることで酸素が行き届かなくなり、徐々に枯れていくというわけです。
どくだみを枯らすのに使える重曹は食品にも用いられる素材のため、安心して使えます。ただし、どくだみの茎を刈らずに重曹水をかけてしまうと、効果は弱いでしょう。必ずどくだみの茎を刈ることを忘れないようにします。
熱湯をかける
どくだみに「熱湯」をかける方法でも駆除できます。熱湯をかけることで野菜をゆでたのと同じような状態になり、どくだみを枯らせるのです。
ただし葉や茎にかけただけでは効果は一時的なものにとどまります。葉を避け根にかかるようにすることで、効果的などくだみ対策が可能です。
この方法であれば、コンクリートの隙間から生えていて、簡単に引き抜けないどくだみにも対処できます。ただし熱湯に弱いのはどの植物も同じです。どくだみの近くに育てている花木がある場合利用できません。
塩を使って脱水状態にする
「塩」を使い脱水状態を引き起こすことも可能です。どくだみに塩水をかけたり、生えている周辺の土に塩をまいたりするだけで、浸透圧の仕組みによりどくだみの細胞内から水分がにじみ出てきます。
この仕組みを除草に役立てられるのです。ただし塩も熱湯同様、どくだみ以外の他の植物に影響を及ぼすものです。
他の植物を植える予定がある場所で使用すると、土壌が塩害を受けたのと同じ状態になるため、どくだみ以外も育たなくなってしまいます。使用する際には注意が必要です。
徹底的に除草するなら除草剤を使う
自宅にある重曹・熱湯・塩による対処方法もありますが、徹底的にどくだみを取り除くなら除草剤の使用を検討しましょう。
どくだみの特徴を知った上で除草剤を選び、適切なタイミングで使用することで、効果的に除草できます。
除草剤を用いる時期とタイミングは?
除草剤を使うなら、どくだみの葉が15cmほどに成長し花が咲く直前の「5月ごろ」が向いています。この時期に除草剤を散布することで効果を発揮しやすいのです。
また「晴れの日」に使うのもポイントといえます。除草剤は光合成の働きを利用して葉の内部へ入り込んでいく薬剤です。そのため雨が降っておらず日光が当たる日に使います。
散布する当日はもちろん、その後2~3日も雨が降らないタイミングを見計らって利用すると効果的です。
地下茎まで届く除草剤を選ぶ
地下茎で増えていくどくだみを駆除するには、根まで枯らす除草剤を使いましょう。向いているのは根を枯らす性質のある「グリホサート系」の除草剤です。
グリホサート系の除草剤をどくだみに散布すると、葉や茎に含まれている緑色の成分である葉緑素を吸収し、どくだみの成長に欠かせないアミノ酸の生成を阻害します。この働きにより根から枯らしていくのです。
葉緑素を吸収することで効果を発揮する薬剤のため、根や土ではなく葉や茎に散布します。ただし周りの植物にも影響を及ぼす薬剤であることから、注意して使用しなければいけません。
どくだみだけを除草するには?
周りにも植物が植えられていて、どくだみだけを取り除きたい場合には「筆」や「はけ」を使いましょう。除草剤を筆やはけに取り、どくだみの葉だけに塗るのです。
1枚ずつ塗っていくのは手間がかかりますが、他の植物に影響を与えることなく駆除できます。ただし塗り忘れがあるとどくだみが生えてくることがあるため、繰り返し除草剤を塗布し根気強く対処しなければいけません。
小まめなお手入れにより、徐々にどくだみが生えてこなくなります。
どくだみの繁殖を防ぐ方法
除草剤や重曹などを用いどくだみの除草をしたら、再び繁殖することがないよう対策をすることが大切です。具体的にどのような方法で防除できるのか解説します。
予防用の除草剤を使用する
「土壌処理剤」という予防用の除草剤を用いると、どくだみが新しく生えてくるのを長期間防げます。地面に除草剤の膜を張ったような状態を作り、種子の発芽を抑制可能です。
地下茎や種が残っていたとしても、どくだみが生えてくるのを抑えられるのです。使用するタイミングはどくだみを取り除いた後の春先が向いています。まだ生えてきていないタイミングで使用しましょう。
どくだみの生えやすい場所全体に散布しておくと効果的です。
土壌を改良する
どくだみは酸性の土壌を好みます。そのため土壌が酸性に傾いている土地ではどくだみが成長しやすいのです。そこで「苦土石灰」を用い、どくだみが育ちにくいアルカリ性の土壌に調整します。
土壌は何もしていなくても酸性に傾いていきます。さらに日本は雨が多いため、土壌中のアルカリ成分が流れ出やすいといわれており、放置しているとどくだみが育ちやすい環境になることがほとんどです。
どくだみが生えてきた場所は、まず根ごとどくだみを引き抜き、苦土石灰を混ぜ込みましょう。土がアルカリ性に傾き、どくだみが生えにくくなります。
ただし苦土石灰をまいた場所には、酸性を好むブルーベリーやツツジが育ちにくい点に注意しましょう。
除草シートを張る
使用しない場所であれば「除草シート」を張るのもひとつの方法です。除草剤や重曹などでどくだみを取り除いた後、除草シートで地面を覆います。
除草シートは光を通しません。植物の成長に必要な光を遮断することで、さまざまな雑草の予防に役立てられます。ぐんぐん成長するどくだみであっても、光がなければ育つのは困難です。
除草シートの利用によって、本来の生育旺盛な特徴を発揮できなくなるため、どくだみが生えるのを予防するのに有効です。
繁殖力の高い植物を植えて防ぐ
どくだみの生えていた場所に、繁殖力の高い他の植物を植える方法もあります。例えばミントといったハーブであれば、肥料を与えなくても水やりだけで増えていくでしょう。旺盛な繁殖力で、どくだみが生える場所を埋められるかもしれません。
ただし既に地下茎が張り巡らされている場合には、ミントとどくだみが共存してしまう可能性もあるため注意が必要です。
根気よく除草して対処しよう
どくだみを除草するのは大変な作業です。地下茎や種でどんどん増える生育旺盛な植物のため、きれいに取り除いたつもりでもほんの少しの地下茎から再生することがあります。
安全性に配慮し、重曹・熱湯・塩で除草する方法もありますが、徹底的に除草するなら除草剤を利用しましょう。葉から内部へ入り込み根まで枯らす、グリホサート系の製品が有効です。
どくだみ周辺にまんべんなく散布する方法もありますが、周りの植物に影響を与えたくなければ筆やはけで塗布します。きれいに取り除けたら、新たに生えてこないよう予防を徹底しましょう。
土壌処理剤や苦土石灰による土壌改良、除草シート、他の繁殖力旺盛な植物などによる対策も効果が期待できます。