洗濯機から漂う嫌な臭いは、洗濯機に取り付けられた「排水トラップ」が原因かもしれません。排水トラップの詰まりを放置すると、臭い以外にも影響を及ぼします。
排水トラップの掃除方法や嫌な臭いを引き起こす他の原因を知り、すぐに対処しましょう。
排水トラップとは?構造と役割
洗濯機の排水トラップとは、どこにある、どのような部品なのでしょうか。排水トラップの概要や設置目的を理解しましょう。
排水溝の水をためておく構造
洗濯機の排水ホースや床下の排水管をつなぐ装置が、洗濯機の排水トラップです。L字型のパイプが付いていて、筒状の形をしています。
排水トラップの内部は、排水溝の水をためておく構造です。内部にためた水によって、洗濯機のある室内と下水につながる排水管をシャットアウトできるでしょう。
多くの場合、排水トラップを設置する排水管は、洗濯パン(洗濯機の下にあるプラスチック製の部品)の下や床の端に設置されています。洗濯パンは「洗濯機パン」「防水パン」とも呼ばれます。
臭いや害虫を防ぐ役割
洗濯機の排水トラップには、ふたつの設置目的があります。悪臭防止と下水道からの害虫などの侵入防止です。
床下の排水管は下水道につながっています。排水管を通じて下水の臭いが室内に漂わないのは、排水トラップのおかげといえるでしょう。
逆にいえば、嫌な臭いのするときは排水トラップが機能していない可能性があります。
ゴキブリやハエ、ネズミといった生物は下水道に生息しています。これらの生物が室内に侵入するのを防ぐのも、排水トラップの役割のひとつです。
以下の記事では、もっと詳しく排水トラップについて解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
排水トラップの選び方
排水トラップの構造や役割を理解し、いざ取り付けようとしても、どの排水トラップを選べばいいのか分からない!という方も多いのではないでしょうか。
ここでは、排水トラップの選び方について説明します。
寸法を行いサイズに合った排水トラップを選ぶ
排水トラップを選ぶ際に寸法を行うべき場所は以下の3つです。
- 排水口パイプの外径・内径
- 排水口中心から壁までの距離
- 排水口の深さ
まず外径・内径においては、パイプの厚みによって変わってくるため、しっかりと寸法しましょう。
排水口中心から壁までの距離は、ツバがある排水トラップを取り付ける際に重要になってきます。
また、排水口の深さによって排水トラップの種類が異なるため、しっかりと寸法しましょう。
排水トラップの設置方法
ここでは、寸法を行いサイズの合った排水トラップの設置方法について説明します。
排水トラップは接着剤で簡単に取り付け可能
排水トラップは接着剤を使って簡単に取り付けることができます。手順は以下の通りです。
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排水トラップを掃除をしよう
洗濯機の悪臭を放置すると、洗濯物に臭いが移ってしまう恐れもあります。洗濯機の排水トラップを掃除し、できるだけ早く、嫌な臭いを解消しましょう。
頻度は月に1回
洗濯機の排水トラップに汚れがたまると、臭いや害虫の原因になります。ドラム式洗濯機の場合、特にゴミがたまりやすくなっています。1回の洗濯で使う水量が少なく、排水時に流れる水の勢いが弱いためです。
洗濯機の排水トラップの掃除は、月に約1回のペースが理想です。前回の掃除から2カ月以上の間隔が空くと汚れが蓄積するため、古い汚れが落ちにくくなります。
汚れが落としづらくなる前に、先回りして洗濯機の排水トラップを掃除しましょう。このとき、併せて排水溝も掃除しましょう。
掃除をしないと水漏れの原因に
洗濯機の排水トラップを掃除しないと起こるのは、臭いや害虫だけではありません。掃除をしないと、水漏れの原因にもなるでしょう。
洗濯機から排出される水とともに、小さなホコリや髪の毛、糸くずなどが排水溝に流れます。排水トラップの内部にそれらのゴミが蓄積すると、排水溝が詰まります。
排水溝が詰まると水が逆流するため、水漏れが発生する仕組みです。
水漏れが発生すると、洗濯機周辺が水浸しになってしまいます。床が水浸しになるだけで済めばよいものの、洗濯機や他の家電の故障にもつながるでしょう。
小まめに洗濯機の排水トラップを掃除し、水漏れを防ぎましょう。
排水トラップの外し方
洗濯機の排水トラップを掃除するときは、洗濯機の排水ホースや床下の排水管から排水トラップを外します。
洗面器やバケツ・雑巾を用意し、汚れたところに触れてもよいようにゴム手袋をはめて作業しましょう。マイナスドライバーもあると便利です。
外す前に電源を抜こう
排水トラップを外す前に、下準備が必要です。下準備の一環として、洗濯機の電源がオフになっているのを確認し、コンセントから電源プラグを抜きましょう。このとき一緒にアース線も外しましょう。
電源プラグの横から飛び出ている、緑色や黄色、白色などの端子がアース線です。アース線は漏れた電流を地面に流す役割を担います。
うまくアース線が外れないときは、マイナスドライバーを使うと外しやすくなります。
アース線を外したら、洗濯機の蛇口を閉めましょう。蛇口が開いたままの状態で排水ホースを外すと、水が流れ出てしまいます。これで下準備は完了です。
上から順に外していく
下準備が終わったら、上から順に外していきます。手順としては以下の通りです。
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蛇口のそばまでバケツを持っていき、排水ホースを外しましょう。排水ホースの中に水がたまっているため、バケツに排水ホースの先端を入れて水の受け皿にします。
排水ホースの次に外すのは、格子状のフタです。排水ホースにはフタと一体化したタイプもあります。外したパーツをバケツに入れると、掃除中にパーツの紛失を防げます。
フタを外したら、防臭パイプと呼ばれる筒状のパーツを外しましょう。溝に引っかかるように設置されています。左右どちらかに回しながら持ち上げると外しやすいでしょう。
最後に、排水トラップを外せば終了です。掃除が終わったら、下から順にパーツを取り付けましょう。
うまく外せない要因は「汚れ」
洗濯機の排水トラップや、その周辺のパーツをうまく外せない場合もあります。そのときは、一度外すのをやめて周りを掃除しましょう。
外しにくさの原因として考えられるのが、排水トラップにこびりついた汚れです。この場合は、汚れを落とせば外しやすくなるでしょう。
排水トラップや周辺のパーツにツメがあれば、掴みながら回すと外れやすくなります。それでも外れない場合は、工具を使うのも手段のひとつです。
洗濯機の排水トラップには外せないタイプもあるため、無理に外すのはやめましょう。パーツが破損すると臭いが悪化する原因になります。どうしても外れないときは、できる範囲で掃除しましょう。
排水トラップの掃除の仕方
洗濯機の排水ホースや床下の排水管から排水トラップを外したら、いよいよ排水トラップの掃除に入りましょう。
バケツや洗面器に入れた排水トラップやパーツは、水に浸けておくと汚れが落ちやすくなります。
歯ブラシやスポンジで掃除
洗濯機の排水トラップの掃除に必要な道具は、歯ブラシやスポンジです。新品をおろす必要はありません。
家にある使い古しなら、ブラシの毛先やスポンジが柔らかくなっています。むしろ使い古しの方が細かい部分を掃除しやすく、パーツを傷つけずに済むでしょう。
取り外した排水トラップ本体やパーツを、歯ブラシやスポンジでこすって汚れを落とします。汚れが落ちたら水でよくすすぎ、風通しのよいところで乾かしてから取り付けましょう。
歯ブラシやスポンジでうまく汚れが落ちない場合、メラミンスポンジを使うのがおすすめです。
メラミンスポンジはメラミン樹脂を発泡させたスポンジで、軽く水を含ませれば頑固な汚れも落ちやすくなります。
洗剤を使うときの注意点
メラミンスポンジでも落ちない場合は、洗剤を使いましょう
。排水パイプ用の洗剤や、詰まり・臭いに効く洗剤がおすすめです。洗剤の量や放置の時間は、洗剤の説明書に従いましょう。
アルカリ性の洗剤と酸性の洗剤が混ざると、人体に有毒なガスを発生します。「混ぜるな危険」と書かれた洗剤には、特に注意が必要です。
複数の洗剤を使う場合、空気中に残った成分だけでもガスの生じる可能性があります。特にアルカリ性・酸性両方の洗剤を使いたいときは、別の日に掃除するなど成分が混ざらないようにしましょう。
洗濯機を置いている脱衣所や洗面所は、窓がない場合も多いです。家中をよく換気した状態で、排水トラップの掃除を始めましょう。
重曹やクエン酸を使う
洗剤を使いたくないときは、「重曹」や「クエン酸」といった自然由来の素材で掃除しましょう。クエン酸は酢で代用可能です。
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重曹やクエン酸以外に、「セスキ炭酸ソーダ」も排水トラップの掃除に使えます。セスキ炭酸ソーダは天然鉱石由来のアルカリ性成分です。
セスキ炭酸ソーダは水に溶かして使います。スプレーまたは雑巾にセスキ炭酸ソーダ水を含ませて汚れに付着させ、あとで拭き取りましょう。
排水トラップの気になる疑問
洗濯機の排水トラップの掃除を機に、初めて排水トラップについて知る人もいるでしょう。実際に掃除を始める前に、排水トラップの気になる疑問を解決していきます。
排水トラップがないときは
排水トラップを目視で確認できなければ、一度洗濯機を動かして、排水トラップの有無を確かめましょう。洗濯パンに排水トラップが付いている場合もあります。
賃貸の場合、入居時点で排水トラップが設置されていない住宅もあります。
もし洗濯機の下や洗濯パンに排水トラップを確認できなければ、管理会社や大家に連絡しましょう。管理会社や大家側で排水トラップを用意してもらえる可能性があります。
排水トラップを用意してもらえなければ、自分で購入しましょう。ホームセンターやインターネットで購入可能です。サイズや形状を確かめてから買いましょう。
また賃貸の場合は無断で設置すると、退去時のトラブルになり得るため、設置前に管理会社や大家に確認しましょう。
排水トラップがないことのメリット
洗濯機に排水トラップがないと、臭いや害虫の原因になります。しかし排水トラップがないことには、メリットもあります。
洗濯機の排水トラップがないことのメリットは、水量の増加です。排水トラップを取り付けると、水量が少なくなります。排水トラップがなければ水量は減らないため、詰まりづらくなるでしょう。
排水トラップがなければ排水ホースや排水管は詰まりづらくなるので、水漏れのリスクも軽減可能です。
臭いや害虫のデメリットがあっても、これらのメリットからあえて洗濯機の排水トラップを取り付けていない賃貸住宅もあります。
水を入れる方法
たとえ排水トラップが洗濯機に設置されていても、排水トラップの内部に水がたまっていなければ意味はありません。
下水につながる排水管と室内が遮断されないため、水がなければ臭いも害虫も発生しやすくなります。
排水トラップに水がなければ、手動で水を入れましょう。
排水トラップを外すと、コップ状のパーツが入っています。通常はこのパーツに水が入っているため、水を足しましょう。排水トラップにパーツをしまえば終了です。
排水トラップの種類
洗濯機の排水トラップには、2種類があります。「縦引き」と「横引き」です。下水につながる排水管と縦に取り付ける場合は縦引き、横に取り付ける場合は横引きです。
ドラム式・縦型といった洗濯機の種類は、排水トラップの種類に影響しません。戸建てや集合住宅といった住宅の種類による決まりもなく、縦引きか横引きかは住居ごとに確かめる必要があります。
自分で購入する場合は、購入前に排水トラップの種類を確認しましょう。
臭いを発生しにくくするには?
洗濯機を使う以上、排水トラップに汚れがたまるのは防げません。排水トラップに汚れがたまれば詰まりを引き起こし、臭いの原因になります。洗
濯機を使うなら、できるだけ臭いの発生しにくい使い方を心がけましょう。
お風呂の残り湯を使うのは避ける
節水のために、お風呂の残り湯を洗濯に使う人もいるでしょう。しかし洗濯機の排水トラップの臭いを発生しにくくするなら、お風呂の残り湯を使うことを避けなければいけません。
入浴後の湯船には、雑菌や皮脂などが浮いています。残り湯を洗濯に使うと、洗濯機の排水ホースや床下の排水管の詰まりを促進することにつながるでしょう。
どうしてもお風呂の残り湯を無駄にしたくなければ、残り湯を使うのは「洗い」だけにとどめることが大切です。「すすぎ」でお風呂の残り湯を使うのは、洗濯物のためにもおすすめできません。
洗濯槽の掃除をする
洗濯機の排水トラップの臭いを発生しにくくするには、洗濯槽の掃除も有効です。洗濯機の嫌な臭いの大敵であるカビを防ぐためにも、洗濯槽クリーナーで洗濯槽を掃除しましょう。
洗濯槽クリーナーには、3種類があります。洗浄力の強い順に、塩素系・酸素系・重曹です。
洗濯槽クリーナーにも臭いのある塩素系は、酸性洗剤と混ぜると危険です。使用には十分注意しましょう。
カビを剥がす酸素系は、洗濯槽の掃除後のゴミ取りに手間がかかります。洗浄力は弱いものの、自然由来の素材の重曹は安心して使えます。
梅雨や夏など湿度の高い季節は、月に約1回は洗濯槽を掃除しましょう。その他の季節は、約2~3カ月に1回で構いません。
以下の記事では、洗濯槽の掃除方法について詳しく説明しているので参考にしてみてください。
洗剤を使い過ぎない
洗剤を使い過ぎないのも、洗濯機の排水トラップの臭いを発生しにくくする方法のひとつです。洗濯時に洗剤をたくさん入れても、洗浄力は上がりません。
むしろ洗濯槽や洗濯物に溶け残った洗剤が、嫌な臭いの原因になります。説明書に従い、洗剤の使用量を守りましょう。
洗剤や柔軟剤のよい香りも、嫌な臭いの原因になり得ます。すすぎ残された洗剤や柔軟剤の香りと、細菌やカビの臭いが混ざるためです。
香りの強い洗剤や柔軟剤を使う場合は、使用量を減らすか無香料に変えるとよいでしょう。
どうしても取れない臭いは業者に依頼
どんなに手を尽くしても、家庭でできる掃除で臭いを取るには限界があります。どうしても洗濯機の嫌な臭いが取れない場合は、思い切って業者に依頼しましょう。
洗濯機の臭いが衣類に移ったり水漏れを起こしたり、2次被害発生の可能性もあるため早めの対処が重要です。
業者に依頼するメリット
洗濯機や排水トラップの掃除を業者に依頼するメリットは、徹底的に掃除できることです。業者ならではの道具を使い、残らず汚れやカビを掃除してくれます。
またプロならではの掃除技術も、業者に依頼するメリットといえるでしょう。ただ汚れやカビを落とすだけでなく、掃除後に汚れやカビが付きにくくなる処理を施してくれる場合もあります。
汚れやカビが付きにくくなれば、嫌な臭いの原因となる雑菌の繁殖も防げるでしょう。セルフクリーニングで臭いが取れなくなる前に、約3年に1回のペースで、洗濯機のクリーニングを業者に依頼するのがおすすめです。
クリーニング方法は大きく分けて2種類
業者のクリーニング方法には、大きく分けて2種類があります。洗濯槽を完全に取り外す「完全分解」と、洗濯槽のフレーム部分だけを外す「部分分解」です。
洗濯槽を取り外す完全分解は、分解しないと落としづらい汚れもしっかり落とせます。所要時間は約2~3時間と、部分分解に比べて倍近く長いです。
長期間洗濯機をクリーニングしていない場合は、完全分解がよいでしょう。
完全分解に比べて汚れの落ち方は劣るものの、最近は部分分解が主流です。分解できない洗濯機もあるため、どんな洗濯機でも掃除できる部分分解の需要が高まっています。所要時間は約1~2時間です。
料金相場もチェック
洗濯機クリーニングの料金相場もチェックしましょう。縦型洗濯機に比べ、ドラム式洗濯機はクリーニング代が高額な傾向にあります。
縦型洗濯機のクリーニング料金の相場は、約10,000~15,000円です。ドラム式洗濯機のクリーニング料金の相場は縦型洗濯機より少し高額で、約15,000~20,000円です。
ドラム式洗濯機や洗濯機の完全分解は、すべての業者が引き受けてくれるわけではありません。乾燥機能の付いた洗濯乾燥機の場合も、クリーニングを拒否されたり、オプション料金が発生したりする場合もあります。業者に依頼する前に確認しましょう。
プロの業者を探すならミツモアがおすすめ
洗濯機から嫌な臭いがするとき、原因として考えられるのが排水トラップの詰まりです。必ずしも排水トラップが原因とは限らないものの、排水トラップの詰まりを放置すると水漏れを起こす可能性があります。
臭いがひどくなったり水漏れが起きたりする前に、詰まりを感じたらすぐに排水トラップを掃除し、洗濯機の嫌な臭いをなくしましょう。
自力でできない場合は、地域のプロに掃除を依頼しましょう。「ミツモア」なら無料で簡単にクリーニング業者の見積もりを依頼することができます。