縦型洗濯機の乾燥運転を使っているのに衣類が乾いていないと悩んでいる人は多いです。
乾燥運転をしても衣類が乾かない・生乾きになる原因は9つあります。
使い方次第で衣類が乾くようになるので、原因と対処法を知って対策をしましょう。
縦型洗濯機の乾燥で衣類が乾かない9つの原因
縦型洗濯機で乾燥運転をしても衣類が乾かない原因と対処法を表にまとめました。
衣類が乾かない原因を大まかにジャンル分けすると、「使い方に原因がある」「縦型洗濯機の汚れに原因がある」「設置場所などの環境に原因がある」「洗濯機の故障に原因がある」の4つです。
このうち使い方や洗濯機の汚れ、設置場所の環境要因は使用者側が主体的に改善を図りやすい原因です。
さらにいうと洗濯物が乾かない原因のほとんどはこの3つのうちいずれかに該当するので、修理や買い替えを検討する前に原因を突き止めましょう。
洗濯機の性能以上の衣類を乾かそうとしている
乾燥機能付きの洗濯機には、洗濯容量のほかに乾燥容量が定められています。
洗濯容量以上の洗濯物を洗ってもきれいにならないように、乾燥容量より多い衣類を乾かそうとしても生乾きになってしまいます。
洗濯機の種類によらず、乾燥容量は洗濯容量よりも少ないです。
洗いから乾燥までをノンストップで行うのであれば、乾燥容量の確認が必須です。
デニムなど乾きにくい衣類を乾かそうとしている
コットンやデニムなど厚手の生地の衣類は乾燥しにくいです。
乾燥しやすい衣類と一緒に乾燥させてしまうと乾きムラや生乾きの原因になります。
吸湿性の高い素材は乾燥に時間がかかります。
特に冬場は気温が低く、さらに乾燥させづらくなるので、綿100%の肌着やデニムなどの乾きづらい服は乾燥時間を長くするなどの工夫が必要です。
洗濯ネットに入れたまま乾燥させている
デリケートな衣類は洗濯ネットに入れて洗う人が多いです。
おしゃれに敏感な人であれば、衣類の大きさに応じて洗濯ネットも使い分けていることでしょう。
洗濯ネットは水流や洗濯物同士のこすれから衣類を守るためのものですが、網目がつまったものであればあるほど水や空気などを通しにくくなるので洗濯効率も乾燥効率も下がってしまいます。
洗濯ネットに入れて洗濯した服の汚れ落ちがよくない、乾いていないというときは洗濯ネットを交換しても良いでしょう。
乾燥フィルターが汚れている
乾燥機能がついている製品には衣類が乾燥するときに発生する糸くずなどのゴミが乾燥経路に詰まらないよう乾燥フィルターが装着されています。
乾燥フィルターは定期的なお手入れが必要なパーツです。
一見フィルターそのものは汚れていないように見えても、乾燥フィルターの奥にホコリが溜まっていて空気の流れが阻害されることがあるので注意してください。
フィルターが目詰まりを起こしているとスムーズに給排気ができず、乾燥運転が長引きます。
すると生乾きのまま乾燥運転が終了してしまい、乾燥運転を使っているのに衣類が乾かなくなります。
「送風乾燥(風乾燥)」運転をしている
洗濯機の中には「送風乾燥」または「風乾燥」というモードを搭載している機種があります。
乾燥と書いてあるため間違えてしまう人も多いのですが、送風乾燥(風乾燥)のみではすぐに着られるほど衣類を乾燥させられません。
脱水後にさらに風を送って、外干しする時間を短くするために使われることがあります。
他には洗濯後に槽内を乾燥させるために使われます。
縦型洗濯機の給水栓を閉じている
洗濯機の乾燥方式はヒーター方式とヒートポンプ方式があり、縦型洗濯機の場合は多くの機種がヒーター方式を採用しています。
乾燥運転中に発生した温かく湿った空気を冷やすための方法は水を使う「水冷除湿タイプ」と空気で冷やす「排気タイプ」があります。
水冷除湿タイプの縦型洗濯機を使っている場合、乾燥運転時に水を使うので給水栓を閉じていると除湿ができません。槽内に温かい湿った空気が逆流してしまい、衣類が湿ってしまう原因になります。
乾燥運転時の設定温度が低い
乾燥運転時の設定温度が低いと衣類が乾燥しきらないまま運転が終了することがあります。
冬場など気温が低いときや乾きにくい厚手の洋服などを乾燥させるときに起こることが多いです。
熱に弱く縮みやすい衣類を乾燥させたあと、設定を変更しないまま別の衣類を乾燥させると乾きムラや乾燥不足を感じるケースが多いので設定を見直してみましょう。
縦型洗濯機を設置している場所の環境がよくない
縦型洗濯機の周囲に物を置いていたり、壁に密着するように設置していませんか?
換気が不十分な環境に縦型洗濯機を設置していると、運転効率が下がってしまうので注意が必要です。
除湿方式が排気タイプの縦型洗濯機を使っているのであれば、排気熱が原因で本体の寿命が縮まってしまったり、エラーを起こして停止したりする可能性があります。
縦型洗濯機が故障している
乾燥運転を使ったにも関わらず衣類が濡れたままなのであれば、洗濯機の故障が疑われます。
故障している場合は洗濯物が生乾きになるのではなく、洗濯後の状態のままであることが多いです。
縦型洗濯機の故障を疑ったら、ほかに故障を示す症状がないかチェックする必要があります。
代表的なものはエラーコードや運転時の異音、過剰な振動です。
エラーコードが表示されているのなら、取扱説明書を確認しどのような対処が必要か調べましょう。
修理が必要なエラーもありますが、ちょっとしたお手入れで直ることもあります。
関連記事では洗濯機の故障について詳しく解説しています。あわせてご確認ください。
縦型洗濯機の乾燥で衣類を乾かす11個の対処法
縦型洗濯機の乾燥運転で衣類を乾かすには以下11個の対処法を試してみましょう。
簡単なものから試していき、全てを試しても改善が見られない場合は最後の修理依頼を検討してください。
乾燥容量を守って衣類を乾かす
洗濯機の乾燥運転を使っても衣類が乾かないときはまず、1度に乾かす衣類の量を減らすことをおすすめします。
乾燥容量として記載されている数字はあくまで目安なので、実際に使用するときにそのスペック通りの運転ができるとは限りません。
乾燥容量が5kgの洗濯乾燥機であれば、3.5~4kgほどを目安に、おおよそ7~8割ほどの重さになるように衣類を分けて乾燥させましょう。
ドライヤーボールを入れて乾燥させる
ドライヤーボールはウールやプラスチックでできたボールのことで、乾燥運転時に衣類の上を転がって乾きやすくします。
何度でも使えて経済的であるうえ、ウール100%のドライヤーボールは環境負荷も低い点が特徴です。
縦型洗濯機でドライヤーボールを使うときはボールが一か所にまとまらないよう、ある程度ばらけさせる必要があります。
ドライヤーボールがない場合はよく乾いたバスタオルなどでも代用可能です。
乾きにくい衣類を分けて乾燥させる
吸湿性の高い乾きにくい衣類とそうでない衣類を一緒に乾燥させてしまうと乾燥ムラの原因となるので、乾きやすい衣類と乾きにくい衣類は分けて乾燥させましょう。
乾燥しやすい衣類であれば多少量が多くても乾燥させられますが、乾燥しにくい衣類を乾燥させる場合は乾燥容量の6~7割程度の量に抑えることをおすすめします。
以下は乾きにくい衣類と乾きやすい衣類の例です。服についているタグを確認して、乾きにくい服とそうでない服を分けましょう。
▽ 乾きにくい素材・衣類の例
- コットン(綿)
- 綿100%の肌着
- フランネルシャツ(ネルシャツ)
▽ 乾きやすい素材・衣類の例
- ポリエステル(化繊)
- リネン(麻)
- 綿・ポリ混合のシャツ
洗濯ネットから出して乾燥させる
洗濯ネットは衣類へのダメージを減らしながら洗濯するためのものですが、ネットがある分水や空気が通りづらくなります。
少なくとも乾燥運転をさせるときには洗濯ネットから取り出すようにしましょう。
ネットの目が細かいものほど、水や空気を通しづらくなるので目が粗いネットに取り替えることもひとつの手段です。
また使い続けることで洗濯ネットが目詰まりを起こすことがあります。
洗濯ネットは1年に1度を目安に買い替えると洗濯での悩み事が減る可能性があります。
乾燥フィルターのお手入れをする
乾燥フィルターは定期的にお手入れをして目詰まりを防止することで、乾燥運転時のトラブルを防いでくれます。
メーカーでは乾燥運転後は毎回お手入れをすることを推奨しています。
しかし頻繁に掃除をしすぎるとかえってフィルターの消耗を招いたり、掃除中にフィルターを破ったりするリスクがあるので、お手入れの頻度は多くても2~3回程度をおすすめします。
▽ 乾燥フィルターのお手入れ方法
- 乾燥フィルターを引き出す
- 表面のフィルターについているホコリを取る
- 内側フィルターのホコリ・ゴミを取る
- 元通りに乾燥フィルターを取り付ける
「送風乾燥(風乾燥)」モードの特徴を理解する
洗濯機にある「送風乾燥(風乾燥)」モードは衣類を乾かすためのものではなく、主に洗濯槽内を乾燥させるために使われます。
槽内に風を送り込む運転を行うので、送風乾燥運転だけで衣類を乾かすことはできません。
くもりなど天気の悪い日に衣類を乾燥させやすくするために、脱水後にさらに水分を除去するために使う人もいます。
「送風乾燥(風乾燥)」運転だけではすぐに着られるほどに衣類を乾燥させられないという点に注意してください。
縦型洗濯機の給水栓を開く
多くの縦型洗濯機では除湿方式に水冷方式を採用しています。水冷方式では冷却水を使用して除湿をするので、給水栓を開いていないと上手く除湿ができません。
節水の観点などからこまめに給水栓を閉めている家庭でも、乾燥運転を使うときは給水栓を開いておきましょう。
乾燥設定を「しっかり」などに変更する
乾燥運転中の温度を調節できるのであれば、温度を高くすることで乾きやすくなることがあります。
乾燥温度を上げるときは乾燥させたい衣類にあった温度であるか必ずチェックしましょう。
乾燥温度が高すぎると衣類が縮んでしまうことがあります。
乾燥モードの温度変化は「しっかり乾燥モード」などの名称になっていることもあります。
また一部の機種では温度変更はできず、乾燥運転の時間のみを変更可能としていることがあります。
このような機種を使っている場合は乾燥時間を長めに設定して運転しましょう。
縦型洗濯機の設置場所の風通しをよくする
縦型洗濯機が設置されている場所の風通しが悪いと排熱が上手くいかず、熱によるエラー停止などの原因にもなります。
縦型洗濯機の周りにはなるべく物を置かないようにし、棚などを設置する場合も十分な距離を開けましょう。
取扱説明書や据付説明書には壁などからどの程度距離を空けるべきか記載されているので、それを参考にしてレイアウトを考えることが大切です。
また乾燥させたい洗濯物に含まれる水分をなるべく減らすことも重要です。
特に気温が低い時期は脱水時間を長く設定して洗濯物を乾きやすくしましょう。
縦型洗濯機クリーニングを依頼する
縦型洗濯機内部にゴミが詰まっていることが故障の原因であれば、ゴミやつまりを取り除けば機能が回復する可能性が高いです。
縦型洗濯機クリーニングを依頼して分解清掃をしてもらいましょう。
縦型洗濯機クリーニングの料金相場は10,000~20,000円です。
修理に出すよりは安価に済むケースが多いのです。
基板やモーターなど部品交換以外が原因の故障であれば洗濯機クリーニングを依頼することをおすすめします。
縦型洗濯機の修理を依頼する
今まで紹介した対処法を試しても改善しなかったり、基板やモーターの故障が原因であったりするのなら、縦型洗濯機の修理を依頼しましょう。
メーカー保証の期間内であればメーカーに依頼し、保証期限外であれば修理業者を探して依頼しましょう。
縦型洗濯機は構造的に衣類が乾燥しにくい傾向がある
乾燥機能を搭載している縦型洗濯機は数多く販売されています。
消費者は乾燥機能を使えば、洗濯物を干す必要がないほど乾燥させられることを期待していますが、縦型洗濯機の構造を鑑みると洗濯物は乾燥しにくい傾向があります。
洗濯物を完全に乾燥させたいのであればドラム式洗濯機やガス式乾燥機の導入が推奨されます。
とはいえ設置スペースを確保できないなどの理由から縦型洗濯機を利用している人は少なくありません。
縦型洗濯機の構造的弱点や乾燥機能を重視する人向けに見分けるポイントを解説します。
槽が平面的にしか回転できないため風を当てづらい
縦型洗濯機は洗濯槽の構造上、平面的にしか回転させられません。
乾燥運転時は洗濯物が固まった状態のまま温風を当てることが多いので、乾燥ムラが発生しやすいです。
ドラム式洗濯機や衣類乾燥機であれば接地面に対して垂直に回転するので、洗濯物も立体的に動きます。そのため洗濯物がお互いに絡み合ったままになりにくく、温風を効率的に当てられます。
この弱点を克服するためには、乾燥運転が始まる前に衣類の絡みを直し、ドライヤーボールを使うなどの対策が有効的です。
乾燥機能を重視するなら「縦型洗濯乾燥機」か確認する
乾燥運転で洗濯物を乾かせる縦型洗濯機を探しているのであれば、「縦型洗濯乾燥機」と明記されている製品にターゲットを絞りましょう。
見た目のシルエットが似ている「全自動洗濯機」は洗濯と脱水に機能を絞っており、洗濯物を完全乾燥させる機能は搭載されていません。
全自動洗濯機に乾燥モードがあったとしても、それは洗濯物の乾燥をサポートするためのものです。
縦型洗濯乾燥機の乾燥モードと混同しないように注意してください。
衣類の完全乾燥ができる「縦型洗濯乾燥機」の例と見分け方
乾燥能力が高い縦型洗濯機を見分けるポイントは以下の通りです。
- 製品名が「縦型洗濯乾燥機」
- 容量に乾燥容量の記載がある
- 「ほぐし運転」機能がある
気になっている洗濯機が縦型洗濯乾燥機かどうか迷った時はまず「乾燥容量」の記載があるかをチェックしましょう。
全自動洗濯機は乾燥機能がないので、乾燥容量の記載がありません。
人気の高いメーカーでは以下の機種が縦型洗濯乾燥機です。
メーカー名 | 品番 | 洗濯容量/乾燥容量 |
---|---|---|
シャープ | ES-TX6G | 6.5kg/3.5kg |
日立 | BW-DX100K(ビートウォッシュ) | 10kg/5.5kg |
AQUA | AQW-TW10R | 10kg/5kg |
縦型洗濯機の乾燥運転の不調はクリーニングで解決することも!
縦型洗濯機の乾燥運転を使っても思うように洗濯物が乾かないときは、洗濯機クリーニングを依頼してみませんか?
乾燥フィルター奥の乾燥経路をはじめとした機械内部の汚れやホコリは、普段のお手入れではきれいにできないことが多いです。
洗濯機クリーニングには洗濯槽を取り外す完全分解洗浄と、洗濯槽は取り外さない部分分解洗浄があります。
洗濯物がカビ臭いなどの悩みもあるなら完全分解洗浄ですみずみまでキレイにしてもらいましょう。
縦型洗濯機クリーニングの費用相場は以下の表の通りです。
洗浄メニュー | 作業費用の目安 |
---|---|
部分分解洗浄 | 10,000~15,000円 |
完全分解洗浄 | 10,000~20,000円 |
日立「ビートウォッシュ」シリーズなど、構造が複雑な製品は追加料金がかかるケースもあります。