サザンカはツバキ科ツバキ属の中高木です。冬に開花する植物で、昔から庭木として親しまれています。植え込みの「玉つくり」という仕立て方や、刈り込んで生垣にするのも人気があります。
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サザンカは成長が遅いため剪定のやりすぎには注意が必要な植物です。
サザンカの剪定時期は3~4月と5~6月
サザンカは冬に花を咲かせる常緑広葉樹です。花が咲き終わってから、次の冬に咲く花芽が分化するまでの3月下旬~4月上旬、5月下旬~6月ごろに剪定をしましょう。花が咲いた後なるべく早く剪定をするのが望ましいですが、常緑樹は寒さに弱く、切り口が傷みやすいので、気温が上がってくるまで待ちます。暖かくなったら、強く刈り込む剪定をしてもよく芽吹いてくれます。
あいだの4月中旬~5月上旬は、新芽が活発に伸びる時期であり、養分を新芽の生長に回して消耗しているので、剪定を避けます。
サザンカの剪定方法
サザンカを剪定する流れは以下の通りです。
①花が咲いた枝を切り戻す
花が咲いた枝は、付け根から3~5枚葉を残して切り取ります。この切り戻しを行うことで、残した葉の脇から新梢が伸びて花芽ができます。
②古い枝・不要な枝をつけ根から切る
数年が経過した太くて古い枝には花芽はつかないので、飛び出していたら切り落とします。また花芽を付ける枝を増やすために、樹冠(樹木の上部、枝や葉の集まった部分)の中の枝をつけ根から切りましょう。
他に切り落とす枝の見分け方は以下の通りです。
不要枝の種類 | 不要枝の特徴 |
---|---|
ふところ枝 | 樹冠の内部で生えた細かく小さな枝。 |
かんぬき枝 | 左右の枝が主幹を貫いて一直線になるように生えたもの。 |
逆さ枝 | 幹に向かって伸びた枝。 |
立ち枝 | 真上に向かって伸びた枝。 |
下り枝 | 下に向かって伸びた枝。 |
絡み枝 | まっすぐ伸びず、他の枝に絡むように伸びた枝。 |
徒長枝 | 極端に勢いよく伸びた枝。上に向かって伸びることが多く、ほとんど花芽をつけない。 |
車枝 | 幹の同じ高さから4本以上の枝が水平に伸びたもの。 |
平行枝 | 同じ方向に伸びる上下2本の枝。 |
胴吹き枝 | 幹から新たに直接伸び出した枝。 |
ひこばえ | 地際から主幹の隣に新しく伸びてくる枝。 |
不要枝の中での剪定の優先順位は以下の通りです。
- 徒長枝・絡み枝
- 樹形を乱す可能性が高いので、優先して切り落とす
- 平行枝・胴吹き枝
- 樹形を乱す可能性が比較的低いので、他の枝とのバランスを見て切るか決める
③必要に応じて刈り込みをする
サザンカは刈り込みをしても芽吹きやすい部類の木です。
生垣などで刈り込んで仕立てている場合は、刈り込みも併せて行いましょう。
サザンカの剪定に必要な道具
サザンカの剪定に必要な道具を紹介します。
道具 | 用途 |
---|---|
剪定バサミ![]()
|
枝を切るときにメインで使用する(直径1.5cm程度までの枝が目安) |
植木バサミ |
特に細かい枝の切断に使用する |
刈り込みバサミ
![]() |
植木を刈り込みし、丸や四角に整える際に使用する |
剪定ノコギリ![]() |
剪定バサミでは切りづらい太い枝の切断に使用する |
園芸用の脚立![]() |
高い位置の枝を切るときに使用する 屋外の凸凹がある地面でも安定する三脚のものを選ぶ |
園芸用の手袋![]() |
作業中の手を守る 軍手だと枝やトゲが貫通するので、樹脂コーティングされたものがおすすめ |
癒合剤![]() |
剪定後の切り口の回復を促し、病原菌の侵入を防ぐために塗る |
他にも、切った枝を集める熊手やホウキがあると便利です。
サザンカを剪定するときのポイント
サザンカを剪定するときには絶対に気を付けなければいけない点は2つあります。
日当たりと風通しを良くする
全ての枝葉にまんべんなく日が当たるように剪定を行いましょう。先述した手順に従って剪定すれば問題ありません。迷うようであれば、日当たりと風通しが良くなるかどうかを基準に剪定する枝を見極めてください。
冷え込む日の剪定は避ける
サザンカの剪定は、花後なるべく早めに行う必要があります。ただし、寒さで切り口が傷んでしまうことがあるため作業する日を見極めることも大切です。
冷えている日の剪定は避けて、なるべく暖かい日の日中に行うと良いでしょう。
サザンカの剪定以外に必要な日ごろのお手入れ方法
サザンカのキレイな花を咲かせるためには剪定以外の日々のお手入れも重要になってきます。
水やり
サザンカは基本的には水やりは必要ありませんが、以下のポイントに注意してください。
- 空梅雨や日照りが続いた時期は水やりを行う
- 夏場は特に注意深く水分管理を行う
- 土の中まで十分に水が届くようたっぷりと与える
- 過剰な水やりは根腐れの原因となるため注意する
- 水やりは午前中に行う
肥料
サザンカの健康的な成長のためには、適切な肥料が必要です。
- 春と秋の年2回、緩効性の肥料を施す
- 窒素、リン酸、カリウムをバランス良く含む肥料を選ぶ
- 肥料は根元に均等に与え、土に軽く混ぜる
花がらを摘む
サザンカの花びらが落ちた直後から数週間の間に花がらを優しく摘み取りましょう。
花が終わった後、花びらや花がらをそのままにしておくと、植物は種子の生産や古い花の維持に不必要なエネルギーを費やしてしまいます。
花がらを適切に摘むことで栄養と光合成で得たエネルギーを、新しい枝の成長や次年度の花芽形成に集中させることができます。
花がら摘みのポイント
- 花びらが完全に落ちた後、花柄を根元から優しく摘み取る
- 摘み取るときは周囲の新芽や枝を傷つけないようにする
- 剪定ばさみを使用する場合は、清潔で鋭利な道具を選ぶ
- 花柄は根元から垂直に切り取るか、軽くねじって取り除く
サザンカに発生しやすい害虫と病気の対策が必須
サザンカは病害虫にかかる可能性があるほか、病気にも注意が必要です。
発生しやすい害虫
サザンカに発生しやすい害虫は以下の3種類です。
チャドクガ
チャドクガは、サザンカにとって最も脅威となる害虫の1つで、年に2回発生します。
この毛虫は、独特の生態と有毒な毛を持つことで知られています。
外観と生態
- 体長は約3〜4cm
- 黒や茶色の体に、白や黄色の斑点がある
- 群れをなして活動し、集団で葉を食べる
危険性
- 体に毒毛が生えている
- 毛は人間や動物の皮膚に触れると、深刻なかゆみや炎症を引き起こす
- 植物の葉を大量に食べ、短期間で樹木を枯らす
予防策
- 毛虫専用の薬剤を撒いておく
- 定期的に観察し、早期発見する
- 卵のうちに発見する
駆除方法
- 発見したら、専用の防護服と手袋を着用する
- 可能な限り、毛虫を手作業で取り除く(十分な注意が必要)
- プロに駆除してもらう
カイガラムシ
5月下旬~9月下旬に発生しやすい害虫です。
外観と生体
- 体長は1〜5mm程度
- 固い殻(カイガラ)に覆われている
- 茶色、白、灰色など、様々な色彩がある
- 主に枝や葉の表面に付着して生活している
カイガラムシによる被害
- 樹液を吸収し、植物を栄養不足にする
- 葉の黄変や枝の枯れを引き起こす
- 植物の成長を著しく阻害する
- すす病の発生を誘発する可能性がある
予防と対策
- 定期的に植物の点検を行う
- 健康的な植物環境を維持する
- 過度の窒素肥料の使用を避ける
- 適切な剪定で通気性を確保する
駆除方法
- 軽い感染の場合アルコールを含ませた綿棒で直接拭き取る
- 感染した枝の剪定と適切な処分をする
- 成虫を見つけたら「カイガラムシエアゾール」を使う
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ゾウムシ
葉や枝に穴を開ける害虫で年に3~4回発生します。
外観と生態
- 体長は3〜10mm程度
- 黒や茶色の体色
- 特徴的な長い吻を持つ
- 主に夜間に活動する
ゾウムシによる被害
- 葉に不規則な穴を開ける
- 枝や幹に食害を与える
- 植物の成長を著しく阻害する
- 植物を枯らす可能性がある
予防と対策
- 定期的な植物の点検を行う
- 健康的な植物環境を維持する
- フェロモントラップを設置する
- 被害のある部分は剪定する
発生しやすい病気
サザンカに発生しやすい病気は以下の2種類です。
すす病
春から秋にかけて発生する病気でアブラムシの分泌物が原因。
黒いすす状の病斑が葉の表面を中心に発生し、光合成を阻害することで、見た目の悪化と共に生長を阻害します。
アブラムシを駆除すること、殺菌剤をかけておくことで予防ができます。
サザンカがすす病にかかってしまった場合は、早めにすす病の症状が出ている葉を取り除きましょう。
もち病
もち病は深刻な真菌性の病気で、葉に白い粉状のカビを発生して葉の変形や変色を起こし光合成を阻害します。
高湿度の環境や風通しの悪い場所で発生しやすいので、木々の内部の風通しを良くするのが大事です。
サザンカがもち病にかかってしまった場合は、早めにもち病の症状が出ている葉を取り除きましょう。
サザンカの剪定はプロに依頼するのもおすすめ
「自分でうまく剪定する自信がない」「忙しくて定期的に剪定する時間がとれない」という方は、植木屋や庭師と呼ばれる剪定のプロに依頼するのもおすすめです。
庭木の剪定料金相場
単価制で依頼した場合、一般的な庭木の剪定料金の相場は以下の通りです。
庭木の高さ | 1本あたりの料金相場 | 剪定ゴミの回収料金 |
---|---|---|
1m以下 | 950~1,200円 | 950~1,200円 |
1~2m以下 | 1,900~2,400円 | 950~1,200円 |
2~3m以下 | 2,900~3,600円 | 950~1,200円 |
3~4m以下 | 4,200~5,400円 | 1,400~1,800円 |
4~5m以下 | 5,700~7,200円 | 1,900~2,400円 |
5~6m以下 | 8,600~10,800円 | 2,900~3,600円 |
6~7m以下 | 12,400~15,600円 | 3,800~4,800円 |
7~8m以下 | 16,200~20,400円 | 5,000~6,000円 |
※ミツモアの過去3年間(2022年1月1日~2024年12月31日)の見積もり依頼データから算出
庭木の剪定をプロに依頼する流れ
庭木の剪定をプロに依頼するには、まず自宅に訪問してくれる近くの庭師を探す必要があります。
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見積もりの料金や口コミ評価を比較して、気になる庭師に剪定を依頼してみましょう。正式な依頼前に、チャットで疑問点を相談することもできます。
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