サザンカはツバキ科ツバキ属の常緑小低木で冬に開花する植物で、昔から庭木として親しまれています。
庭木としてはもちろん、植え込みの「玉つくり」という仕立て方や生垣風にする刈り込みなどでも人気があります。
サザンカは成長が遅いため剪定のやりすぎに注意が必要な植物ですので、剪定方法に加え剪定時期等を知っておきましょう。
サザンカの剪定時期は3~4月
サザンカの剪定に最適な時期は花が咲き終わったあとの3月~4月です。
この時期はサザンカの成長期にあたるので、刈り込みなどの強剪定のダメージも回復が早いです。
冬に花を咲かせるサザンカは4月を過ぎるくらいから、新しい枝を伸ばして花芽を形成する時期に入ります。
6月以降ですと花芽を落とす可能性があるので剪定はおすすめできませんが、不要な枝が多い場合は、9月以降の花芽が膨らみ始めた時期に花芽の場所を目視しながら間引きを行いましょう。
サザンカの剪定に必要な道具
サザンカの剪定に必要な道具を紹介します。
剪定用手袋
サザンカには「チャドクガ」という触ると強いかゆみや発疹を引き起こす害虫が付きやすいので、必ず準備しましょう。
手のひら側が樹脂コーティングになっているものがおすすめです。
剪定バサミ
枝や植物の枝を切断するための専用ハサミで、片刃が鋭利な刃物、もう片方の刃は平らな受け刃になっています。
植物の枝を傷つけることなく、きれいに切断することができ、高炭素鋼やステンレス鋼などで作られているので長期間、切れ味を保つことができます。
サイズは色々あるので手の大きさ、左手用など自分にあったものを選びましょう。
植木バサミ
普通のハサミと同じような形をしています。
刃先が細く、小回りが利くため、込み入ったところにも入りやすいです。
細かい枝や最後の仕上げに使用します。
刈り込みバサミ
植木を丸や四角に整えるための柄の長いハサミです。
枝を一本一本切るのではなく、まとめて葉を切り刻むことができます。 主に生垣を作るときに使用されることが多いでしょう。
剪定ノコギリ
剪定バサミでは切れないような直径2cm以上の太さの枝を切るのに使います。
通常の木工用ノコギリとは異なり、刃が引く方向にのみ鋭利に切れる一方向切断刃が特徴です。
脚立
脚立は背が高くなった樹木を剪定するときに使用します。
剪定では幹や枝の隙間に足をねじ込んで脚立を立てることが多いので、三脚を使いましょう。
脚立を使う際には、以下の注意点を守って使用してください。
- 登る前に調節器具がロックされていることを確認する
- 一番上の段に載って作業しない
- 上を向いて作業しない
- 悪天候下では使わない
癒合剤
太い枝の剪定後の切り口に塗ることで病気や菌から守ることができます。
保護剤を塗ることを忘れると病気や菌が侵入し、多大なダメージを受ける可能性があるので、清潔なハケ等で塗りましょう。
サザンカの剪定方法
サザンカは成長が遅い木なので基本的には年に一度の透かし剪定を行いましょう。
ただ、樹高を低くしたい場合は芯止めを行うと良いです。
基本は「透かし剪定」
透かし剪定は、密生している枝や傷がついている枝、伸び過ぎて見ためを悪くしている枝などの不要枝を切り落としつつ樹形を整える剪定方法です。
不要な枝を切り落とすことで、内部の光や風通しを良くし、病害虫の予防に加え健康的な生長を促進させます。
不要な枝に葉がついていた場合、3枚だけ残して葉のすぐ上から切り落としましょう。
樹形を整える際には最終的な形をイメージし、3本枝があるところの真ん中だけを切り落としてください。
サザンカの木がまだ小さいときは上から下へと剪定していく方が失敗が少なく、おすすめです。
低くしたいときは「芯止め」
サザンカは放置していても樹木が整いやすい木ですが、高さを抑えたい場合や今よりも小さくしたい場合は芯止め(強剪定)を行いましょう。
最も高い部分にある枝を筋の少し上で切る方法です。
植物は最も高い部分に成長点があるので、この成長点を切ることで上に伸びていく成長を止めることができます。
切り口は新芽が出る位置や目の向きを考慮しながら斜めに切りましょう。
強剪定は太い枝木を切り詰めることで切り口が大きなるため、回復が遅いです。
強剪定後はしっかり木の状態を確認しながら、ケアを行ってくださいね。
サザンカを剪定するときの注意点
サザンカを剪定するときには絶対に気を付けなければいけないポイントが2つあります。
剪定のやりすぎに注意
サザンカは剪定のやりすぎに注意が必要です。
サザンカを小さくする強剪定は株に大きな負担を与えるので、剪定しすぎると次の年にキレイな花を咲かせることができないどころか、最悪の場合は枯れてしまう可能性があります。
剪定後はダメージを受けているため回復までに時間がかかりますし、葉数が減ることで直射日光による乾燥などのダメージも受けやすくなるのです。
サザンカを剪定する時は、必要以上に切り落とさないように不要な枝を見極めて行いましょう。
また強剪定は年に一度ではなく、数年に一度程度に抑えましょう。
花が咲き終わったすぐ後に剪定をしない
サザンカは11月から3月にかけて美しい花を咲かせる常緑樹ですが、花が終わった直後の剪定は行わないようにしましょう。
花が咲き終わったばかりの時期は、次の年の花芽を形成する重要な時期です。
この時期に剪定してしまうと、次の年の花芽の発育を阻害する可能性があるので剪定はしないでください。
サザンカのお手入れ方法
サザンカのキレイな花を咲かせるためには剪定以外の日々のお手入れも重要になってきます。
水やり
サザンカは基本的には水やりは必要ありませんが、以下のポイントに注意してください。
- 空梅雨や日照りが続いた時期は水やりを行う
- 夏場は特に注意深く水分管理を行う
- 土の中まで十分に水が届くようたっぷりと与える
- 過剰な水やりは根腐れの原因となるため注意する
- 水やりは午前中に行う
肥料
サザンカの健康的な成長のためには、適切な肥料が必要です。
- 春と秋の年2回、緩効性の肥料を施す
- 窒素、リン酸、カリウムをバランス良く含む肥料を選ぶ
- 肥料は根元に均等に与え、土に軽く混ぜる
花がらを摘む
サザンカの花びらが落ちた直後から数週間の間に花がらを優しく摘み取りましょう。
花が終わった後、花びらや花がらをそのままにしておくと、植物は種子の生産や古い花の維持に不必要なエネルギーを費やしてしまいます。
花がらを適切に摘むことで栄養と光合成で得たエネルギーを、新しい枝の成長や次年度の花芽形成に集中させることができます。
花がら摘みのポイント
- 花びらが完全に落ちた後、花柄を根元から優しく摘み取る
- 摘み取るときは周囲の新芽や枝を傷つけないようにする
- 剪定ばさみを使用する場合は、清潔で鋭利な道具を選ぶ
- 花柄は根元から垂直に切り取るか、軽くねじって取り除く
サザンカの病気・害虫対策
サザンカは病害虫にかかる可能性があります。
特にチャドクガという害虫に注意する必要がありますが、他にも注意すべき病害虫がいます。
害虫:チャドクガ
チャドクガは、サザンカにとって最も脅威となる害虫の1つで、年に2回発生します。
この毛虫は、独特の生態と有毒な毛を持つことで知られています。
外観と生態
- 体長は約3〜4cm
- 黒や茶色の体に、白や黄色の斑点がある
- 群れをなして活動し、集団で葉を食べる
危険性
- 体に毒毛が生えている
- 毛は人間や動物の皮膚に触れると、深刻なかゆみや炎症を引き起こす
- 植物の葉を大量に食べ、短期間で樹木を枯らす
予防策
- 毛虫専用の薬剤を撒いておく
- 定期的に観察し、早期発見する
- 卵のうちに発見する
駆除方法
- 発見したら、専用の防護服と手袋を着用する
- 可能な限り、毛虫を手作業で取り除く(十分な注意が必要)
- プロに駆除してもらう
害虫:カイガラムシ
5月下旬~9月下旬に発生しやすい害虫です。
外観と生体
- 体長は1〜5mm程度
- 固い殻(カイガラ)に覆われている
- 茶色、白、灰色など、様々な色彩がある
- 主に枝や葉の表面に付着して生活している
カイガラムシによる被害
- 樹液を吸収し、植物を栄養不足にする
- 葉の黄変や枝の枯れを引き起こす
- 植物の成長を著しく阻害する
- すす病の発生を誘発する可能性がある
予防と対策
- 定期的に植物の点検を行う
- 健康的な植物環境を維持する
- 過度の窒素肥料の使用を避ける
- 適切な剪定で通気性を確保する
駆除方法
- 軽い感染の場合アルコールを含ませた綿棒で直接拭き取る
- 感染した枝の剪定と適切な処分をする
- 成虫を見つけたら「カイガラムシエアゾール」を使う
害虫:ゾウムシ
葉や枝に穴を開ける害虫で年に3~4回発生します。
外観と生態
- 体長は3〜10mm程度
- 黒や茶色の体色
- 特徴的な長い吻を持つ
- 主に夜間に活動する
ゾウムシによる被害
- 葉に不規則な穴を開ける
- 枝や幹に食害を与える
- 植物の成長を著しく阻害する
- 植物を枯らす可能性がある
予防と対策
- 定期的な植物の点検を行う
- 健康的な植物環境を維持する
- フェロモントラップを設置する
- 被害のある部分は剪定する
病気:すす病
春から秋にかけて発生する病気でアブラムシの分泌物が原因。
黒いすす状の病斑が葉の表面を中心に発生し、光合成を阻害することで、見た目の悪化と共に生長を阻害します。
アブラムシを駆除すること、殺菌剤をかけておくことで予防ができます。
サザンカがすす病にかかってしまった場合は、早めにすす病の症状が出ている葉を取り除きましょう。
病気:もち病
もち病は深刻な真菌性の病気で、葉に白い粉状のカビを発生して葉の変形や変色を起こし光合成を阻害します。
高湿度の環境や風通しの悪い場所で発生しやすいので、木々の内部の風通しを良くするのが大事です。
サザンカがもち病にかかってしまった場合は、早めにもち病の症状が出ている葉を取り除きましょう。
業者にサザンカの剪定を依頼する場合の費用相場
サザンカの剪定を業者に依頼する場合、費用の算出方法は主に2つのパターンがあります。
樹木の状態や規模、地域によって大きく異なるため、事前に複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。
樹木のサイズによる料金
樹木の大きさを基準に費用が決定されます。
一般的には樹高や枝の広がり、幹の太さなどが考慮されます。
剪定金額の目安は、以下の通りです。
剪定金額の目安料金
高さ | 料金 |
---|---|
3m未満 | 3,000~5,000円 |
3m~5m未満 | 5,000~15,000円 |
5m以上 | 16,000円~ |
作業時間別の目安料金
剪定に要する時間を基準に費用が決定されます。
時間 | 料金 |
---|---|
30分未満 | 5,000円〜8,000円 |
1時間程度 | 8,000円〜15,000円 |
半日(4時間) | 15,000円〜30,000円 |
剪定料金の詳細はこちらの記事を参考にしてください。
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