ウツギは放っておいても成長しやすい木です。しかしそのままでは樹形が乱れ、手がつけられなくなります。
生け垣や庭木に使われているウツギは、剪定をして美しい樹形を保ちましょう。ウツギの剪定方法や上手に栽培するポイントを紹介します。
ウツギの剪定時期はいつ?
ばっさりと切る切り戻し剪定は、冬の12~2月に行います。花後すぐの6~7月には、樹形を整えるための微調整をしてあげます。
ウツギの花が咲くように剪定するコツは?
ウツギは、今年伸びた枝に翌年花を付けます。花芽が付く8月頃よりも後に剪定してしまうと、翌年花が咲かなくなってしまいます。剪定時期に気をつけましょう。
ウツギの剪定時期
ウツギの剪定時期は年に2回あります。
1度目は6~7月の間引き剪定、2度目は12~2月の切り戻し剪定です。
2回の剪定は翌年の開花に大きく影響するため、適した時期に正しい剪定方法で行いましょう。
花芽がつく前に剪定することが大切!
ウツギの剪定は主に年2回行う必要があり、それぞれ目的と切り方が違います。
冬に行う剪定は、成長のしすぎを防いだり樹形を整えるために強めにし、花が終わった直後の初夏に行う剪定は、翌年の花付きをよくするために軽めに行います。
特に初夏に行う剪定は、花芽がつく前に行うことが大切です。ウツギは7月中旬頃から翌年の花芽をつけ始めます。うっかり花芽を切ってしまうと、翌年花が咲かなくなってしまうのです。
冬の剪定も怠ってはいけません。ウツギは手がかからず放っておいても成長する木ですが、手入れを怠ると葉や枝が茂り、病気が発生してしまう可能性があります。花の開花にも大きく影響するため、庭木や生け垣として植えている場合には、剪定によって管理することが大切です。
翌年の花を我慢できるなら7月中旬以降に剪定しても大丈夫
ウツギは生長が早くどんどん枝を伸ばしてしまうため、剪定し損ねるとあっという間に枝葉が多い茂ってしまうこともあります。「剪定の時期を過ぎてしまったけど、見た目がうっとおしいから枝を切りたい」という人もいるのではないでしょうか。
さきほど述べたように、7月中旬を過ぎてしまうと花芽がつくため、剪定すれば花芽を落としてしまいます。しかし「来年の花は我慢するから樹木の見た目をスッキリさせたい」という場合には、剪定時期以外に枝を切っても大丈夫です。
ウツギの剪定方法
6~7月の「間引き剪定」
花が散り始める6〜7月頃に行う「間引き剪定」は、夏の間に伸びた枝を整える程度の剪定方法です。
水分をたっぷり吸収した春から夏にかけてウツギの木は急成長するため、枝が伸び重なり合っている箇所がいくつか出てきます。
日当たりや風通しを考え、伸びてきた枝を整えていく比較的簡単な剪定ですが、花が散った後に付き始める花芽のためにはかかせません。
新しく出てきた花芽を間違って切り落とさないよう、日当たりや風通しを考えて軽めに剪定するのがポイントです。
12~2月の「切り戻し剪定」
木全体の樹形を整える「切り戻し剪定」は、12月〜2月の寒い季節に行います。
冬の寒い時期はウツギが休眠状態に入るため、剪定で起きるダメージを軽減できるのです。
切り戻し剪定では、伸びている不要な枝を全て切り落とし、幹の根元から生えてくる若芽(ひこばえ)なども取り除きます。
暖かくなり葉が出てきたときを想像し、日当たりや風通しを意識しながら枝同士が交わらないように剪定しましょう。間引き剪定とは違い、不要な枝をどんどん切り落としてしまってOKです。
ここで剪定すべき不要な枝は、以下の図を参考にしてくださいね。
樹形をあまり大きくしたくない場合は、3〜4年に1回、2月の剪定で株元まで切り戻しをします。
ウツギを上手に栽培するポイント
ここでは栽培環境や気をつけたい病害虫など、ウツギを育てる際に知っておくとよいポイントを見ていきましょう。
挿し木にすればウツギを増やせる
剪定の際に切り落とした枝を「挿し木」にすることでウツギを増やせます。挿し木は新芽が付いている枝や若い枝をあえて切り落とし、鉢などで育て発根させていくことです。
挿し木を行うのに適した時期は、ウツギの剪定が終わった3月、6〜7月です。
ウツギの栽培に適した環境
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日当たり
日当たりが良い場所で育てるに越したことはありませんが、極端に暗い場所でなければ、日当たりにそこまで気をつかう必要はありません。
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水やり
地植えなら基本的に水やりは不要です。鉢植えの場合は、春から秋にかけては土が乾いたら水やりをし、冬は乾燥気味にしましょう。
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用土
水はけ・通気性のよい土を好みますが、ウツギの木は丈夫なので多少粘土質な土でも大丈夫です。またウツギは腐葉土の混ざった土を好むので、地植えの場合には腐葉土や堆肥をたっぷり混ぜてあげましょう。鉢植えの場合は市販の培養を使うと便利です。
鉢植えなら2年に1度植え替えを
地植えの場合は一度植え付ければ、植え替えは不要です。
鉢植えの場合は2年に1回ほどを目安に植え替えをしましょう。新しい用土を用意し、一回り大きな鉢に植え替えます。植え替えに適した時期は12~2月頃です。
注意したい害虫や病気
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害虫
ウツギの葉や枝を好んでつく害虫はアブラムシです。
アブラムシは新芽が好物なのでウツギの芽を食い荒らしてしまいます。春先から秋まで付いていることが多く、アブラムシが媒介することで木自体が病気にかかることもあります。
害虫は防虫剤や防虫ネットで予防するのがおすすめです。
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病気
ウツギがかかりやすい病気には、白っぽい粉が葉や枝を覆う「うどんこ病」や、葉にイボ状の斑点ができる「さび病」が挙げられます。
どちらも広がりやすく、葉だけでなく木自体が枯れてしまう危険があります。
葉だけで病気が収まっているのであれば、摘み取って捨ててしまいましょう。広めに発生した場合は薬剤を散布する必要が出てきます。
いろいろ知りたいときは業者を頼る
剪定に自信がないときやウツギの栽培で困ったときは、業者を頼ってみることもおすすめです。専門業者ならウツギの性質や剪定方法だけでなく、害虫対策や病気の相談もできます。
大切な庭木について相談するのであれば、豊富な専門知識を持った業者を選びたいものです。「ミツモア」なら口コミや評価を閲覧でき、必要な資格を有する専門業者とのマッチングが可能です。
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挿し木にすればウツギを増やせる
剪定の際に切り落とした枝を「挿し木」にすることでウツギを増やせます。挿し木は新芽が付いている枝や若い枝をあえて切り落とし、鉢などで育て発根させていくことです。
挿し木を行うのに適した時期は、ウツギの剪定が終わった3月、6〜7月です。
挿し木は以下のような手順で行います。
挿し木の手順 |
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ウツギの生態と開花時期
そもそもウツギとはどんな植物なのでしょうか?
昔から日本で親しまれているウツギの特徴や名前の由来、花の開花時期について解説していきます。
ウツギの基本情報
ウツギはアジサイ科ウツギ属で、成長しても樹高2〜3mほどの落葉低木です。
幹や枝の中が空洞になっていることから「空木(ウツギ)」とも書きます。
季節によっては小さな白い花や実を楽しむことができます。枝は横へと伸びていく性質を持っており、成木は横に広がる扇状の樹形です。
原産地は日本と中国で、アジアを中心に暖かい場所に自生しています。日本では沖縄や奄美大島など、暖かい地域の土手など多くで見られるでしょう。植木としては畑の境界木や庭木に使用されています。
品種は10種類以上ありますが、日本でよく見るのは5〜6品種です。暑さにも寒さにも強く、状態がよくない土の上でも成長できるため、崖の上や山間部にもよく見られます。少ない栄養でも木全体が育つタフな樹木です。
開花時期は5~7月中旬頃
ウツギの開花時期は5月から7月中旬頃にかけてです。
1cmほどの小さな白い花が集まって咲きます。香りはほとんどなく、枝の先端に白い5枚の細長い花弁を円錐状に付けるのが特徴です。園芸種によっては、花びらの外側が紅色になる八重咲きの品種もあります。
花が散った後には小さな実がなり、その実が落ちた後に花芽をつけます。花芽は翌年咲く花のもとで、ウツギに適した時期にしっかり剪定を行うことで翌年にきれいな花が咲くようになるのです。
ウツギの種類
「ウツギ」と名のつく花にはノリウツギ、サクラウツギ、ヒメウツギなど、たくさんの種類があります。
またウツギと一口に言っても、ユキノシタ科ウツギ属、ユキノシタ科アジサイ属、タニウツギ属スイカズラ科など、分類もさまざま。
多いのはユキノシタ科とスイカズラ科の品種です。ここでは、そんな多種多様のウツギの種類を特徴とともに紹介していきます。
ノリウツギ
分類:アジサイ科アジサイ属/落葉低木 |
花の色:白色、黄緑色 |
特徴:花の見た目はアジサイに似ているが、アジサイよりも遅く咲く。 |
園芸品種は円錐状のこんもりとした花房をつけます。品種によっては、花の色がだんだん変化するものもあります。
オオベニウツギ
分類:スイカズラ科タニウツギ属/落葉低木 |
花の色:濃いピンクのもの、桃色~白色に変化するものなど |
特徴:成長が早いので樹形を整える剪定は必至。多くの花をつけてくれる。 |
オオベニウツギは低木なのでそれほど大きくならず、初心者におすすめの品種です。花は枝先が見えなくなるほどたくさん咲いてくれます。
サクラウツギ
分類:アジサイ科ウツギ属/落葉低木 |
花の色:桜色。花びらの絞り模様が美しい。 |
剪定のポイント:枝がよく伸びるため、6月中旬頃までに剪定する。 |
樹高は1.5mほどです。桜に似た5弁の花をたくさんつけ、枝はアーチ状に伸びて下に垂れます。
サラサウツギ
分類:アジサイ科ウツギ属/落葉中木 |
花の色:ピンク色、白色 |
剪定のポイント:枝がよく伸びるので、冬の切り戻し剪定で樹形を整えることが大切。 |
株立ち状に育ち、放っておくと2ⅿを超える高さに育ちます。花弁の外側は、きれいな紅紫色をしています。
バイカウツギ
分類:アジサイ科バイカウツギ属/落葉低木 |
花の色:白色 |
特徴:名前の通り、梅に似た花を咲かせる。品種改良が盛んで香りのよいもの、八重咲きのものなどがある。 |
株元や主幹の下方からいくつもの細かい枝が生えて茂みのようにこんもりとする、ブッシュ状の樹形に育ちます。
爽やかな見た目や香りから、花は切り花としても楽しまれます。
ハコネウツギ
分類:スイカズラ科タニウツギ属/落葉低木 |
花の色:白色~ピンク色~濃いピンクへと変化 |
特徴:昔から人気の品種。成長が早すぎるため鉢植えには向かない。 |
名前に「ハコネ」とありますが、箱根に自生しているわけではありません。よく似た花を咲かせるニシキウツギと間違えたものだとされています。
主に海岸沿いに自生している品種です。
ヒメウツギ
分類:アジサイ科ウツギ属/落葉低木 |
花の色:白色 |
特徴:枝がよく伸びるが、樹形は自然にまとまる。 |
ヒメウツギは、成長しても樹高が60cmほどにしかなりません。
そのため、盆栽にもよく使われます。
盆栽にする場合は、花が終わったら1~2節を残して剪定します。この時、芽が外側に残るように気をつけながら切り詰めましょう。株立ちになりやすいため、不要な枝はできるだけ早めに切っておくことがポイントです。
適切な剪定でウツギの成長を調整しよう
手入れをしなくても成長するウツギですが、美しい花を毎年咲かせたり樹形を保ったりするためには年2回の剪定が大切です。
日当たりや風通しを計算して、新しく付いた芽が健康的に育つように適正な剪定を行いましょう。
枝が伸びすぎて剪定の仕方が分からない人は、業者への依頼がおすすめです。専門業者であれば剪定を任せても安心でしょう。
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