「いくらトイレ掃除をしても汚れが落ちない」このようなときは、洗剤の選び方を間違えているのかもしれません。汚れと相性のよい成分を把握し、掃除を楽にする洗剤を見つけましょう。使い勝手のよいおすすめ洗剤や、汚れ防止用洗剤も紹介します。
トイレ掃除用洗剤の選び方
トイレ掃除用洗剤は「成分」「使いやすさ」の2点に注目して選ぶことが大切です。このポイントを外してしまうと「汚れ落ちが悪い」「掃除するのが面倒……」といった問題が起きる原因となってしまいます。
まずは、その理由についてくわしく解説します。
洗剤の成分で選ぶ
汚れを効率的に落とすには、有効な成分が配合された洗剤が欠かせません。有効な成分は汚れのタイプによって異なります。
トイレの掃除用に市販されている洗剤は、次の4つのタイプです。
- 中性洗剤
- 酸性洗剤
- アルカリ性洗剤
- 塩素系洗剤
中性洗剤は刺激が少なく、便器や床をあまり傷めずに洗浄できます。こびり付いた汚れには弱いものの、普段の掃除には十分です。
酸性洗剤はアルカリ性の汚れに力を発揮します。アルカリ性洗剤や塩素系洗剤は酸性の汚れを落とすのに重宝するでしょう。
使いやすさで選ぶ
「使いやすい洗剤」は、使うシーンによって変わります。「汚れをピンポイントで落としたい」「手間を限りなく減らしたい」といった要求に応じた洗剤を選ぶことが重要です。
トイレ用洗剤の形態には、次のようなものがあります。
- スプレー
- 液体
- ブラシ
- 置き型
- スタンプ
「スプレー洗剤」は、洗浄剤を便座に噴射するタイプです。泡が広範囲に広がるため、まんべんなく掃除したいときに重宝します。
便器内の汚れを徹底的に落としたいときは、洗浄力の強い「液体タイプ」が便利です。
使い捨てできる「ブラシ一体型の洗剤」は、衛生的かつ省スペースに役立ちます。「置き型洗剤」「スタンプ洗剤」は、トイレに装着するだけの手軽さが最大の魅力といえるでしょう。
汚れの種類で選ぶ洗剤成分
トイレ用洗剤には中性・酸性・塩素系の3種類があり、それぞれ異なるタイプの汚れに効果を発揮します。
ここでは、相性のよい洗剤と汚れの組み合わせについて見ていきましょう。
黒ずみにはアルカリ性
トイレにたまった封水表面と便器の境目は、黒ずみ汚れができやすい場所です。「さぼったリング」と呼ばれるこの黒ずみには「アルカリ性洗剤」が適しています。
黒ずみの原因は、カビや水あかです。トイレのタンク内でカビが発生すると、水を流すたびに胞子や菌が便器内に流れ込んで黒ずみ汚れになります。
放置した水あかが水道水の鉄分と反応して酸化し、しつこい汚れとなってしまうことも少なくありません。
黒ずみ汚れは酸性ですから、アルカリ性洗剤が効果的です。こびり付きがひどい場合は、洗剤を付けたあと、数分放置してから掃除するとよいでしょう。
水あかには酸性
水あかとは、水回りによく見られるざら付いた白っぽい汚れです。水あかはアルカリ性の汚れとなるため「酸性洗剤」が最適といえるでしょう。
黒ずみや黄ばみに比べるとインパクトは少ないものの、水あか汚れは便器をくもらせる原因になります。
目立つ汚れがないにもかかわらず「トイレがなんとなく古ぼけている」という場合は、水あかのせいで美観を損なっているのかもしれません。
全体に酸性洗剤をかけたあと2~3分なじませ、ブラシで軽くこすり洗いすると便器がピカピカになるでしょう。
黄ばんだ尿石にも酸性が効果あり
黄ばみ汚れは、トイレ特有の汚れです。ちょっとこすったくらいでは落ちないため、掃除に困っている人も多いでしょう。この黄ばみにも「酸性洗剤」が活躍します。
黄ばみの原因は、便器に付着した尿石です。便器が黄色く染まっているのではなく、黄色い尿石が表面に付いているために黄ばんで見えます。
トイレの悪臭も、こびり付いた尿石が原因であることが多いです。尿石の付いたトイレは雑菌が繁殖しやすい環境となるため、汚れが付着しやすくなってしまうかもしれません。
アルカリ性の性質を帯びた黄ばみ汚れは、酸性成分で効率的に分解できます。酸性洗剤でも黄ばみが取れないときは、放置時間と洗剤の量を少し増やして様子を見ましょう。
除菌効果が高い塩素系
カビが原因である黒ずみ汚れには「塩素系洗剤」もおすすめです。塩素系洗剤は強アルカリ性で、主成分である次亜塩素酸ナトリウムにとても強いパワーがあります。
次亜塩素酸ナトリウムは、塩素系漂白剤などにも配合されている成分です。除菌効果が高いため、洗濯物のシミ抜きや消臭、まな板の除菌などに使用している人も多いのではないでしょうか。
トイレの黒ずみ汚れもカビや雑菌が原因なので、塩素系洗剤との相性は抜群です。念入りに掃除したいとき用の洗剤として、常備しておいてもよいかもしれません。
トイレ用洗剤はここに注意!
洗剤は汚れ落としの必須アイテムではありますが、人体にとっては有害な物質でもあります。うっかり誤った使い方をしてしまうと、取り返しのつかない事態に陥りかねません。
効果的な洗剤を安全に使えるよう、トイレ用洗剤の特性と注意点を頭に入れておきましょう。
混ぜると危険な組合せを理解しておく
トイレに付着するあらゆる汚れを落とすため、酸性・塩素系のどちらも使用したいときもあるでしょう。しかし、酸性洗剤と塩素系洗剤を混ぜるのは厳禁です。
酸性と塩素系の洗剤を一緒に使用すると、有害な塩素ガスが発生する危険があります。塩素系洗剤に含まれる次亜塩素酸ナトリウムが、酸性物質の作用で急速に分解されてしまうためです。
塩素ガスを吸ってしまうと「めまい・頭痛・呼吸困難・吐き気」といった症状が表れます。大量に吸い込んだために、命を落とさないとも限りません。
洗剤を使い分ける場合は「水洗いをしてからもう一方を使う」「窓を開けておく」といった対策を取り、十分に注意しましょう。
皮膚に付かないように注意する
アルカリ性洗剤や強アルカリ性の塩素系洗剤を使用するときは、直接触れないように注意が必要です。
皮膚に付着した場合、洗剤が肌の深部へ入り込んでしまうにもかかわらず、触れた瞬間の刺激が少ないことから、付着したことに気づかずに、処置が遅れるケースも少なくありません。
万が一を考え、洗剤を使用するときは手袋や靴下を着けて、皮膚の露出を避けた方が賢明です。
温水洗浄便座の掃除方法
温水洗浄便座は、便座以外にも次の3カ所の掃除が必要です。
- シャワーノズル
- 便座と便器の隙間
- 脱臭フィルター
シャワーノズルには自動洗浄機能が搭載されている機種も多いですが、除菌までできるわけではありません。週に1度のペースで、中性洗剤を含ませたシートで拭き取り掃除をしましょう。
便座と便器の隙間は、はねた汚水による汚れがたまりやすい場所です。半年に1度は便座を取り外して掃除するとよいでしょう。
「用を足しているときの臭いが強くなった」と感じる場合は、脱臭フィルターが詰まっているのかもしれません。月に1度のほこり取りがおすすめです。
なお、温水洗浄便座は精密機器でもあるため、パネル部分は洗剤を使わず固く絞った雑巾で拭き掃除をしましょう。
日々のお手入れに使える中性洗剤
飛び散り汚れや除菌には、トイレの素材にも肌にも刺激の少ない中性洗剤がぴったりです。
「小まめに掃除したいけど、便器や床を傷めたくない」という人におすすめの3点を紹介します。
花王「トイレマジックリン 消臭・洗浄スプレー」
便器はこすり洗い後に水で流し、便座や床は拭き取り掃除をします。除菌したいときは、洗剤を吹きかけたあと2~3分放置しましょう。
なお、レバーの引きが甘いと泡にならず液だれしてしまいます。レバーが止まるまでしっかり引ききることが、きれいにスプレーするコツです。
全体を掃除したあとは、トイレ空間が爽やかなミントの香りに包まれます。
ミマスクリーンケア 「緑の魔女 トイレ」
洗浄後に水で流された洗剤成分は、微生物に栄養を与えて活性化させます。繁殖した微生物はパイプの汚れを食べるため、トイレを洗浄しつつパイプの中もきれいにできるというわけです。
「汚れは落としたいけど、環境汚染も気になる」という人にはもってこいの洗剤といえるでしょう。
ライオン「まめピカ トイレのふき取りクリーナー」
ライオンの「まめピカ トイレのふき取りクリーナー」なら、シートの代わりにトイレットペーパーが使えます。洗剤でぬれてもボロボロにならないため、広い範囲を一気に拭き取れるでしょう。
「まめボトル」の見た目もコンパクトでかわいらしく、棚に置いてあっても気になりません。手に取りやすいため、汚れたらすぐ拭く習慣が付けやすくなるでしょう。
頑固な汚れに効くおすすめ酸性トイレ用洗剤
こびり付いた汚れは中性洗剤だけでは落としきれないかもしれません。続いて、水あかや黄ばみ汚れ落としに定評ある酸性洗剤を紹介します。
キンチョー「サンポール」
側面に飛び出す形になった「スミズミノズル」のおかげで、「狙った場所に洗剤をかけにくい」という液体洗剤の難点もクリアしました。
粘性のある濃いグリーンの洗剤はよく目立ち、洗剤のかかっていない部分をすぐに見分けられます。
原液を水で5~6倍に薄めれば、トイレタイルへの使用も可能です。
コスリ掃除不要!かけるだけでOKの洗剤
こすり洗いは汚れを落とすと同時に、便器のコーティングを剥がしてしまう可能性もあります。心配な場合は、次のようなこすり洗い不要の洗剤を選びましょう。
ライオン「トイレのルック 除菌消臭EX」
これでは、隙間部分に洗剤がかかっていないため、汚れが落ちません。
ライオンの「トイレのルック 除菌消臭EX」は粘度が高く、隙間を作らずに便器表面を覆うように張り付き、黄ばみや尿石汚れを溶かします。
酸性洗剤のため、汚れが気になったときに使うとよいでしょう。
ジョンソン「スクラビングバブル 超強力トイレ クリーナー」
透明ジェルが便器に密着し、黒ずみ汚れを効果的に分解します。
汚れ落ちの高さからリピーターが多いのも特徴です。少々掃除をさぼっても数分で汚れが落とせるため、手持ちのトイレブラシが不要になってしまうかもしれません。
汚れ防止効果があるスタンプタイプ洗剤
スタンプタイプの洗剤なら「掃除は面倒だけど、便器内は毎日きれいにしたい」というわがままもかなえてくれます。おすすめの洗剤は次の2点です。
ジョンソン「スクラビングバブル トイレスタンプ漂白成分プラス」
1回分のスタンプで120回流せるということですから、4人家族がそれぞれ5回ずつトイレを使用しても6日間は洗剤の効果が続くでしょう。
水流に乗って便器全体に行き渡った洗剤には、汚れを防ぐ効果も期待できます。
小林製薬「ブルーレットデコラル アロマピンクローズの香り」
花の形にスタンプされるため、便器をデコレーションするような気分も楽しめます。
アロマの香りとクマのボトルデザインに引かれてリピートする人も多いようです。1回1ボトル使い切りで、衛生的に使えます。
おすすめの置くだけトイレ用洗剤
手洗い場付きタンクがあれば、タンクの水から洗浄成分を届ける置き型の洗剤も使用できます。
掃除したてのピカピカの状態を、なるべく長くキープしたいときに使える洗剤が次の3点です。
小林製薬「液体ブルーレットおくだけ除菌EX」
除菌成分も配合されており、カビや雑菌の繁殖を抑える効果も期待できます。
トイレの悪臭に困っているという場合は、掃除にプラスして使用するとよいかもしれません。
花王「トイレマジックリン 流すだけで勝手にキレイ ライトブーケの香り」
トイレマジックリンの場合は、容器内の洗浄液が水はね防止カバーと同じ色になったときが交換の目安です。
アース製薬「セボンタンクにおくだけ 容器付き フレッシュソープ&ムスク」
洗浄成分が汚れを浮き上がらせて流します。同時に抗菌バリア成分が便器の表面をコーティングするため、流すたびにトイレがきれいになるでしょう。
ほんのり香る爽やかなせっけんの香りも、トイレの清潔感を後押ししてくれます。
自然派におすすめのトイレ掃除アイテム
トイレ掃除には必ずしも専用洗剤を使う必要はありません。汚れのタイプに合う洗浄成分さえあれば、トイレを清潔な状態に保てます。
ここでは、洗剤以外の掃除アイテムを見ていきましょう。
アルカリ性の汚れにはクエン酸
クエン酸は酸性ですから、アルカリ性の汚れを中和する力があります。つまり、アルカリ性の汚れである、トイレの黄ばみ・水あか・尿石に効くということです。
野菜の下ごしらえに使える上、疲労回復や美肌効果も期待できるため、クエン酸を常備している人も多いのではないでしょうか。
普段は中性か塩素系の洗剤でトイレ掃除を行い、たまに黄ばみを集中的に落としたいときには、ストックしているクエン酸が使えます。
ただし、洗剤でなくともクエン酸は酸性成分を含んでいるため、「塩素系洗剤と混ぜない」ということだけは心に留めておきましょう。
酸性の汚れには重曹
クエン酸と同様に、キッチンに重曹がある家は少なくありません。掃除用の重曹を常備していることもあるでしょう。
重曹は「炭酸水素ナトリウム」や「重炭酸ソーダ」とも呼ばれます。水に溶かすと弱アルカリ性になるため、酸性の汚れ落としに便利なアイテムです。
もちろん、カビや雑菌による黒ずみ汚れにも効果を発揮します。塩素系洗剤よりもパワーは劣りますが、頑固にこびり付く前なら十分といえるでしょう。
強力な洗剤による素材の痛みが気になる場合にも、重曹ならばほぼダメージなしで黒ずみを取り除けます。
しつこい汚れはプロにおまかせ
「どんな洗剤を使っても落ちない」というところまで来てしまったら、トイレを知り尽くしたプロの手を借りるのがおすすめです。
プロに依頼するメリットについて確認しておきましょう。
頑固な汚れを落とすのは困難
料理や洗濯など日常的な家事や待ったのきかない仕事に忙しく、トイレ掃除を後回しにしてしまうこともあるでしょう。
放置されたトイレの汚れは、すでに頑固なこびり付きへと変化しているかもしれません。
むやみなこすり洗いは細かな傷の原因となるため、きれいにするどころか汚れやすい便器となってしまいます。
そこで登場するのがプロの技術です。トイレクリーニングのプロは、一般の人が扱いきれない強力な洗剤を使えます。
便器を傷つけずに汚れを効果的に取り除くスキルがあるため、自分で掃除するよりもはるかに美しい仕上がりになるのです。
つまり解消や細かい部分も綺麗になる
プロのスキルとは、洗剤の扱い方や便器の洗い方だけにとどまりません。
自分では思いつきもしないような細かな部分や、見て確認できない内部の汚れまで徹底洗浄してくれます。
ウォシュレット内部や配水管といった、素人では手の出せない部分まできれいにできるのは、プロならではの技といえるでしょう。
汚れは新たな汚れを呼びます。つまり、汚れにくいトイレにしたいのならば、すみずみまで汚れを取り除く必要があるのです。
「見た目もきれいで悪臭もないトイレにしたい」という人は、一度プロのクリーニングを体験してみるとよいかもしれません。
トイレクリーニングの費用相場
トイレクリーニングの費用は、通常のコースでだいたい8,000~15,000円が相場となっています。汚れ防止コートやタンク内の除菌、換気扇の洗浄まで依頼する場合は、さらにオプション料金が加算されることが多いでしょう。
クリーニング業者を選ぶ際は、料金システムが明確なところを選ぶことが大切です。安さだけで選んでしまうと、あとからオプション料金を上乗せされかねません。
くれぐれも、最低価格だけに目を奪われないよう注意しましょう。
トイレ掃除を楽にするコツ
トイレがいつもきれいな家と、日によってトイレの汚れが目立つ家があります。
実は、このふたつに大きな差はありません。ほんの少しの工夫でトイレのきれいはキープできるのです。
毎日かんたんな掃除をする
日に何度も使うトイレは、家の中でも汚れやすい場所のひとつです。便器の汚れに洗剤をなじませて黒ずみ対策をして、床や壁を拭き上げることも必要でしょう。
とはいえ、毎日ここまでの掃除をする必要はありません。きれいなトイレをキープするコツは、できるだけ毎日かんたんな掃除をすることです。
拭き上げ用のシートや洗剤を使って、肌に触れる場所やほこりのたまりやすい場所をサっと拭きます。やることはこれだけです。
便器内は、洗剤を付けるだけ・置いておくだけといった便利な洗剤で対応します。便器周り・床・換気扇と、部位別に分けて掃除をしてもよいでしょう。
汚れたらすぐに綺麗にする
汚れがこびり付くと、トイレ掃除のハードルはどんどん上がっていきます。ならば、こびり付く前に汚れを落としてしまいましょう。
目に付いたときにすぐ対処しておけば、かんたんな手順だけでトイレの輝きを取り戻せます。
ただし、それ相応の準備は必要です。すぐに汚れを落とせるよう、自分が「使いやすい」と思うトイレ掃除グッズを用意しておきましょう。
日々の掃除でトイレ掃除を楽に
毎日せっせと便器を磨いていても、汚れと相性の悪い洗剤では効果も半減です。落としたい汚れのタイプから、選ぶべき洗剤を見極めましょう。
今まで決まった洗剤しか使っていなかったという人は、洗剤を変えただけで劇的に掃除が楽になるかもしれません。
また、日常的なトイレ掃除用洗剤に求めるものは人それぞれです。「手軽さ」「洗浄力」「香り」など、総合的に見て自分に合うものを選ぶとよいでしょう。