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【税理士監修】休眠会社のメリットや注意点を解説!税金はどうなる?

最終更新日: 2019年12月24日

会社の経営が悪化し、税金の支払が苦しくなってしまった時、廃業という選択肢を考えられる方も多いことでしょう。しかし廃業することにも、コストや手間がかかるのが実情です。そこで会社を一時的に休業させる、休眠会社にするのはいかがでしょうか?今回は休眠会社にするメリットや注意点についてお伝えしていきます!

この記事を監修した税理士

風間公認会計士事務所 - 東京都品川区南品川

 
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休眠会社とは

休眠会社とは
休眠会社と廃業の違いを理解しよう!

休眠会社は会社を休眠状態にさせ事業を停止させるための手続きで、いずれ事業を再開させようと思われている経営者の方であれば、検討してみる余地はあるはずです。ここではその違いや、休眠会社にするための手続きを見ていくことにしましょう。

休眠会社とは

休眠会社とは会社を一時的に「休眠」させ、会社の経営活動を停止させた状態のことを指します。休眠会社にしておくことで、一定期間を過ぎた後に再び経営を再開させることも可能です。また税務上の義務が一部免除されることもあり、一時的に税金の負担を減らすことが可能になります。

休眠会社と廃業の違い

休眠会社は廃業とは異なり、登記は残るため会社が完全になくなるわけではありません。一方廃業は会社の清算手続きを行うことで、登記を抹消させるため、会社が消滅することになります。今後会社の経営を再開させるつもりならば、廃業ではなく休眠会社にすることを検討してみましょう。

休眠会社にするための手続き

会社を廃業させるためには、登記の抹消などにかかる一定の費用が発生しますが、費用は基本的に無料で行えるのです。

休眠会社にするには「異動届出書」に必要事項に記入し、所轄の税務署に提出する必要があります。

参考:国税庁 異動事項に関する届出

休眠会社にすることのメリット

休眠会社にするメリット
休眠会社にはこんなメリットがある!

休眠会社は廃業に比べ、税金面などでいくつかのメリットが存在します。経営が悪化した時は、廃業だけに限らず休眠会社にすることで、いくつかのメリットを享受することが可能なのです。以下で休眠会社にするメリットを確認しましょう。

手間や費用がかからない

会社を廃業するためには取引先や株主に対し、廃業することを伝える必要があります。特に株主に対しては、株主総会を開催し株主の3分の2以上の賛成を得なければならず、同時に清算人を立てることが必要です。

株主総会の後、2週間以内に法務局に解散登記清算人登記、税務署には異動届出書を提出するなど、様々な手続きを経なければ廃業させることができません。

また手続きの際には以下のような費用がかかります。

解散登記 30,000円
清算人登記 9,000円
清算決了登記 2,000円
官報公告費用 33,000円
公的保険の廃止 50,000円

その他事務所や店舗などの引き払い、登記の手続きなどを税理士や司法書士に依頼する際の費用など、合計30~40万円ほどの費用が発生します。ところが休眠会社にすることで、上述した届け出だけで費用も抑えられるのです。

法人住民税の均等割が免除される

住民税は所得割と均等割の合計金額で決定しますが、休眠会社にすることで自治体に届け出ることで均等割が免除される場合があります。均等割の免除を受けるには、税務署に異動届出書を提出するだけでなく、都道府県税事務所や市区町村役場に休業届を提出しなければなりません。

なお手続きについては、地域によって異なるため、必ず所轄の都道府県税事務所と市区町村役場に確認するようにしましょう。

再開の手続きがとてもカンタン

休眠会社を再開させるための手続きは、再開した年に確定申告を行うだけで完結します。また市区町村役場に対しては、休業届の提出時同様に異動届出書を提出することで経営を再開することが可能です。

このため事業を再開させるつもりであれば、再開の手続きがカンタンであることから、休眠会社にすることも検討してみましょう。

社会保険の負担を減らせる

会社経営にとって社会保険料の負担は大きいものですが、休眠会社にして社会保険から国民健康保険と国民年金に切り替えることで負担を軽減することができます。なお国民健康保険と国民年金に切り替える場合は、年金事務所に対し健康保険・厚生年金保険適用事務所全喪届を提出しなければなりません。

休眠会社にするときの注意点

休眠会社にするときの注意点
休眠会社にする時の注意点を理解しよう!

休眠会社にすることで税金や社会保険の負担を軽減することはできますが、納付義務が完全になくなるわけではありません。また休眠会社を放置していると、みなし解散になる恐れがあり、自動的に廃業になってしまう可能性があるのです。以下で休眠会社にする時の注意点を確認していきましょう。

納税義務はなくならない

休眠会社は法人登記は残したままであるため、納税義務がなくなることはありません。納税義務をなくすためには、法人登記を抹消する必要があるのです。滞納すると延滞税などが課せられる可能性もあるため、休眠会社であっても納税義務がある場合は必ず納税を行いましょう。

休眠会社には「法人税」、「法人住民税」、「固定資産税」の大きく3つの税金が課せられます。

法人税 法人住民税 固定資産税
税金の説明 ある事業年度において、法人が得た所得から課せられる税金 自治体の公共サービスを受けるため、法人の事業所が自治体に納める税金 法人が所有する土地、建物、機械、商標権などの資産に課せられる税金
納税義務者 基本的に非課税

しかし家賃収入などがある場合は法人税の納税義務が発生

都道府県または市区町村内に事務所または事業所を有する法人

ただし都道府県税事務所と市区町村税役場に異動届出書を提出することで均等割の部分に限り免除することが可能

 固定資産がある法人
税額 ・年間所得800万円未満

⇒(所得-経費)×19%

・年間所得800万円以上

⇒(所得-経費)×23.2%

資本金、従業員数によって異なる。 固定資産評価額×1.4%

税務申告の義務は残る

休眠会社にした場合でも会社自体は存在するため、決算で税務申告を行う必要があります。

しかし、事業を停止する休業状態であるため、売上や経費は発生せず利益も当然ゼロです。特に法人税は法人の利益に対し課税されるため、利益がゼロであれば課税されず、税務署へ税務申告をしなくても、指摘される可能性は低いでしょう。

また、休眠会社では事業を行わず売上もゼロであることから、経費計上は認められません。経費とはあくまで売上に貢献した費用、という考え方であるため休眠中は経費計上できないので注意が必要です。

みなし解散とされてしまう場合がある

休眠会社を放置していると、みなし解散とされてしまい、自動的に廃業になる可能性があります。みなし解散とは、休眠会社のうち12年間登記をしていない株式会社や、5年間登記をしていない一般社団法人または一般財団法人は解散したものとみなす手続きのことです。

令和元年10月10日に法務大臣より公告が行われ、該当する会社に通知書が発行され、公告後2か月以内(12月10日まで)に、まだ事業を廃止していない旨の届け出を行わなければみなし解散登記が行われます。なお、みなし解散の整理対象は株式会社で、特例有限会社は対象外です。

登記変更手続きが必要

休眠会社で事業を休業していても、登記内容に変更があった場合には変更手続きが必要になります。具体的には任期満了による役員の交代や、会社の住所変更あった場合などです。

その場合法務局に対し、役員変更登記申請手続きが必要です。その際登録免許税が発生し、2週間以内に手続きを行わなければ制裁金が課せられる可能性があります。

休眠会社を復活させる方法

休眠会社を復活させる方法
休眠会社を復活させよう!

休眠会社にするメリットは、休眠後再び事業を再開することができる点です。しかし休眠会社を再開させるには、いくつかの手続きを行わなければなりません。

「異動届出書」で休眠状態を解除する

休眠状態を解除するには、休眠会社にする時に提出した「異動届出書」を再び税務署や都道府県税事務所、市区町村役場へ提出する必要があります。異動届出書には、「異動事項等」の欄に「休眠解除」と「異動年月日」の欄に休眠を解除する日を記載しましょう。

なお異動届出書は、休眠会社にした時同様、下記の国税庁のHPからダウンロード可能です。

参考:国税庁 異動事項に関する届け出

過去の会計処理と確定申告をする

休眠会社を再開させるためには、異動届出書を提出するだけでは終わりません。休眠期間中に動きのあったお金のやり取りなどがなかったかを確認し、あった場合はまとめて確定申告をしましょう。

事業を休眠状態にしていても、売掛金の回収や減価償却などの費用が発生している場合があるため、そのようなお金の動きがなかったか必ず確認しておく必要があります。

過去に滞納した税金があるかチェックする

休眠会社でも滞納した税金は増えていき、必ずどこかで清算しなければなりません。滞納した税金は延滞税が加わるため、気づいた時点ですぐに支払うようにしましょう。

特に今後金融機関などから借入れをし、事業を拡大していくためには、税金を滞納していることで信頼を失うことに繋がるため注意が必要です。

青色申告の取消通知がなかったかをチェックする

青色申告を行っていた場合は、取り消しがされていないか確認しましょう。実は休眠中でも2期連続で確定申告をしていないと、青色申告が取り消されてしまい、その後青色申告の特典が受けられなくなり、税負担が増してしまいます。

法人登記申請書を提出する

異動届出書以外の提出書類として法人登記申請書があります。

そして会社継続登記を、事業を再開させると決めてから2週間以内に手続きをしなければいけません。

また休眠会社買取で役員の変更があった場合も、同時に手続きが必要です。

費用 期限
会社継続登記 資本金1億円以下:4万円 事業を再開させると決めてから2週間以内
資本金1億円超:6万円
役員変更の登記 約35,000円 休眠中でも2年に1回は変更登記が必要

法人登記申請書は下記の法務局のHPからダウンロードすることが可能です。

参考:法務局 商業・法人登記の申請書様式

定款の変更をする

休眠会社の買い取りなどで事業内容が変わった場合、定款変更の手続きが必要です。なお定款の変更には登録免許税として、3万円の費用が発生します。

定款には商号、事業目的、本店地、公告の方法、発行株式数、株式譲渡の制限など会社運営においてとても重要です。仮に実態と異なる経営がされていた場合、思わぬトラブルの元となりますので、必ず定款の変更を行いましょう。

なお定款の変更も上記の「法務局 商業・法人登記の申請書様式」でダウンロードできます。

休眠会社を売買するメリット・デメリット

休眠会社を買収するメリット・デメリット
休眠会社を買収するメリット・デメリットを知っておこう!

ここまでは会社を休眠会社にする方法や、メリット・デメリットについて経営者目線でお伝えしてきました。

このパートでは休眠会社を買い取り、開業しようとしている人のために、休眠会社を買収するメリット・デメリットをお伝えしていきます!

休眠会社を買い取るメリット

休眠会社を買い取ることは、以下のような「会社歴・許認可」の面でメリットがあります。

  • 会社歴が長いと取引先などへの信用度が上がる
  • 新規で開業するよりも、許認可を得る手間が省ける

一般的に会社は、社歴が長ければ長いほど信用度が増します。中でも有限会社は2006年5月1日の会社法施行に伴い、有限会社法が廃止されたため、新たに有限会社の新設ができなくなりました。そのため有限会社そのものが社歴の長さを証明できるといえるのです。

また休眠会社が許認可所持している場合、その会社を買収することで新たに許認可を得る手続きを省くことができます。士業を行っている場合は、免許を取得するまでに長い時間がかかることもあり、その手間が省けることは大きなメリットといえるでしょう。

休眠会社を買い取るデメリット

休眠会社を買い取るデメリットは以下の通りです。

  • 隠れた債務や、金融機関のブラックリストに載っている可能性がある
  • 青色申告ができずに、多額の税負担を強いられる可能性がある

休眠会社を買い取るデメリットとして、その会社の裏事情などが把握できないことや、青色申告ができない可能性があるのです。会社の買い取り自体は安価ですがそのほかに、登録免許税や定款の変更などに20万円ほど費用がかかります。

最悪な状況は、買収後に過去に会社が踏み倒した借金があるなどが原因で、金融機関のブラックリストに載ってしまっている場合です。その場合社会的信用が低いため、新たに融資を受けづらくなる可能性があります。

また休眠会社は休眠中に確定申告を行っていない場合が多く、一定期間を過ぎてしまうと、青色申告が取り消されてしまっている可能性もあります。青色申告を取り消されてしまうと経費算入などの面で不利になってしまい多額の税金を支払わなければなりません。

休眠会社の買取はおすすめしません

会社を買収するために、費用や新規開業の手間を踏まえると、休眠会社の買収はメリットがあるように思えます。ところが休眠会社に隠れた債務があった場合や、ブラックリストに載ってしまっている可能性もあり、思わぬトラブルに巻き込まれるかもしれないのです。

もちろん全ての休眠会社が危険ではありませんが、休眠会社のオーナーがどのような人なのか、なぜ休眠状態にしたのかなど、調べておく必要があります。休眠会社を買収することはリスクも高く、専門的な知識も必要なため、おすすめはしません。

監修税理士のコメント

風間公認会計士事務所 - 東京都品川区南品川

休眠会社にすると決めた場合には、都道府県税事務所や市区町村役場に休業届を早めに提出し、法人住民税の均等割りについて免除をしてもらうように申し出ましょう。一度納付をしてしまった後では、返還を求めることは非常に難しいかと思います。手続き面等で不明な点があれば、お近くの税理士にご相談いただけますと幸いです。
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この記事を監修した税理士

風間公認会計士事務所 - 東京都品川区南品川

風間優作(かざまゆうさく) 1985年千葉県銚子市出身。兵庫県立大学大院卒業。 上場会社経理部にて一般経理実務を経験した後、Big4監査法人及び税理士法人にて、公認会計士・税理士としての実務を経験し独立開業を果たす。現在は会計監査やIPO実務だけではなく、個人・法人税務からM&Aや事業承継に係る税務業務まで幅広く対応している。
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