サイディングが雨水や湿気を吸収すると、形がゆがんだり反り返ったりしてしまいます。サイディングの反りは雨漏りにまで発展することもありますので、早めの対策が欠かせません。こちらの記事ではサイディングの反りの原因や対処方法を中心にご紹介します。

サイディングとは
色や柄が豊富なサイディングは、丈夫でありながら工事費を抑えられる板材として知られています。まずはサイディングの特徴を見ていきましょう。
外壁の板材
あらかじめ工場で製造された板を壁のサイズに合わせて切り出し、貼り合わせるようにして使う建材がサイディングです。外壁を意味する「siding」が名前の由来になっており、「サイディングボード」とも呼ばれています。
従来の外壁工事よりも簡単に施工が進められ、費用を安く抑えられる点がサイディングの大きな特徴です。また、色や柄が豊富な点も見逃せません。さまざまなデザインを凝らした住宅がサイディングボードで実現できるため、一般的な板材として使われています。
材質はさまざま
一口にサイディングと言っても、その材質はさまざまです。日本では主に以下4種類が使われており、メリットやデメリットも異なります。
- 釜業(ようぎょう)
- 金属
- 木質
- 樹脂
セメントと木質繊維を高温処理して製造した釜業のサイディングは、8割以上の新築戸建てに使われている板材です。選べる色や柄が豊富にあり、他の材質よりも安価なのもシェアを伸ばした大きな要因になっています。
しかし劣化による張り替え交換などのメンテナンス費用が割高になる傾向にあります。他の材質と比べて重量があり、工期が長くなるためです。
片や金属のサイディングは軽いうえに、耐久性にも優れているためメンテナンス費用を安く抑えられる特徴を持っています。イニシャルコストが割高な点がデメリットですが、維持費を考えれば決して高くはありません。
頑丈で長寿命
サイディングは外壁材の中でも頑丈で長寿命なため、一般住宅によく使われています。材質によって耐久性が異なりますが、耐用年数は以下の通りです。
種類 | 耐用年数 |
釜業 | 20〜30年 |
金属 | 20〜30年 |
木質 | 15〜25年 |
樹脂 | 20〜30年 |
ただし、耐用年数はあくまでも目安に過ぎません。定期的に細かなメンテナンスを施せば、何十年も住宅として快適に暮らせます。
反対につなぎ目となるシーリングの補修や防水塗装を怠れば、徐々に劣化してしまうでしょう。塗装の防水機能は数年~十数年で低下するため、塗り直しをせずにサイディングを放置していれば寿命も短くなってしまいます。
反りが起こる原因をチェック
サイディングは外壁を覆う板材のため、いくら耐久性に優れているとはいえ「反り」といった問題が発生する可能性はゼロではありません。ここではサイディング特有の問題点である、反りが起きる原因を解説します。
経年劣化が大半
快適な住環境を守ってくれる外壁のサイディングは常に、雨水・気温変化・湿気・紫外線などさまざまな影響を受けており、徐々に経年劣化が進んでいきます。
反りは経年劣化が原因で発生するため、もしも外壁の一箇所が反っていた場合、他の場所でも起きている可能性があります。そのため自宅の外壁で反りを見つけた方は、別の箇所でも発生していないか、外壁全体をひと通り確認しておきましょう。
防水性の低下が多い
反りの発生を助長されるのが「防水性の低下」です。雨水や湿気を含んで膨張したサイディングが日光により表面が乾いて収縮することで、反りは発生します。
サイディングの防水性が低下してしまえば水を含んでしまうので、防水塗装といった定期的なメンテナンスが必要です。
また板材の継ぎ目を埋めてくれているシーリングの劣化にも要注意です。シーリングも経年劣化によって亀裂が出来てしまい、その隙間から水が侵入する場合があります。
反りを放置するのは危険
サイディング特有のトラブルである反りは、思わぬ危険性を孕んでいます。長期間にわたって放ってしまえば、快適な住環境は奪われ、大規模な改修工事が必要になってしまうでしょう。
そこでここでは、反りが引き起こす2次被害と予防策を紹介していきます。
雨漏りの原因に
反りを放置しまうと剥離している箇所にさらに雨水が侵入し、内側の木材が腐ってしまいます。住宅上部の木材が腐食してしまえば雨漏りの原因になりますし、被害が拡大すればシロアリの温床にもなりかねません。
また軽度な被害でも反りによってシーリングまで引き剥がされたり、外壁がひび割れたりします。わずかな反りをきっかけにさまざまな問題が起こるため、防水をはじめとした予防が必要です。
適切なメンテナンスで予防可能
反りが発生する主な原因は、サイディングの防水性の低下です。そのため、防水性が落ちる前に適切なメンテナンスを施せば、反りの予防は難しくありません。
例えば、釜業・木質のサイディングの表面には防水塗装がされています。色褪せやカビ、コケが見受けられる場合は、塗装の劣化が進行している証拠です。反りが起きる前に、塗り直しを行って予防を施しておきましょう。
反ったサイディングの修理方法
サイディングに反りが起きてしまった場合は、現状よりも被害が拡大しないよう早めの対処が必要になってきます。雨漏りやシロアリの被害に遭わないよう、これからご紹介する内容を参考にしてみましょう。
元に戻すことは難しい
サイディングの反りは見た目以上に外側へ大きな力が加わっているため、完全に元の状態に戻すのは困難です。
わずかな反りならビスを打ち込むことで、現状復帰も難しくありません。しかし反りの状態次第では、ビス周辺に亀裂が入ってしまい被害が拡大する恐れがあります。
また少しの反りならシーリングに亀裂が入る程度なので、暫定的な対処としてシーリングの「打ち増し」が効果です。
ただ反りの進行自体を止められるわけではないため、反りを発見した際は無理な補修は行わずに外壁工事の専門業者に相談するのが無難です。
張り替えが基本
反り返ってしまったサイディングは元に戻せないため、新しい板材への張り替えが基本的な補修となります。業者によっては全面だけではなく、部分的な張り替え工事を受け付けていますので、費用面に気にしている方は検討してみましょう。
ただサイディングの色や柄などのデザインは数年もすれば一新されるため、同じ種類は製造されていない可能性があります。
経年劣化を完全に防ぐのは難しく、部分的に張り替えをしても翌年には別の箇所で反りが起きる可能性もありますので、全面張り替えが最適解です。
シーリングや塗り替えで対応できることも
サイディングは水を含み、表面が乾燥することで徐々に反り返ってきます。そのため反り具合によっては、シーリングの打ち替え・防水塗装の塗り替えなども効果的な対策です。
シーリングもサイディングと同様に直射日光や気温変化によって経年劣化していき、ひび割れや破裂のリスクが高まってしまいます。シーリングは板と板の間に雨水が侵入するのを防ぐ役割を持っているため、打ち替えで防水性を高めれば雨漏りを予防できるでしょう。
またサイディング表面を雨水から守る塗装も、数年で効果が薄れるので、定期的に塗り直すことで反りの進行を遅めてくれます。
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サイディングは耐久性に優れている反面、定期的なメンテナンスを怠ってしまうと反り返ってしまうリスクがあります。反りが少ない場合はビスを打ち込んだり、シーリングの打ち替えなどの修繕でも対処可能です。
状況によっては全面張り替えになってしまいますし、雨漏りやシロアリの原因になります。反りを見つけた際は、今回ご紹介した内容を参考に、なるべく早めに対処を打ちましょう。
そこで重要なのが、相見積(あいみつもり)です。複数の業者から提示された見積額を比較検討し、納得できる費用で依頼をしましょう。
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