サイディングの反り・浮きは末期症状!早めに補修しよう
あらかじめ工場で製造された「サイディングボード」という板のサイズを調整し、つなぎ合わせてコーキング(シーリング)で埋めるのがサイディング外壁です。
既製品のサイディングボードを使用するので簡単に施工が進められ、費用を安く抑えられる点が大きな特徴。
材質はさまざまで、主に4種類のサイディングがあります。
メンテナンス時期 | |
窯業系サイディング | 7~10年 |
金属系サイディング | 10〜15年 |
木質系サイディング | 8~10年 |
樹脂系サイディング | 10〜20年 |
いずれのサイディング外壁も、適切な時期にメンテナンスすれば30~40年は長持ちすると言われています。
しかし当然、建材は時間の経過とともに劣化していきます。なかでもサイディングが反る・浮くという現象は末期症状に近く、早急な対処が必要です。
反り・浮きは見栄えが悪いだけでなく、雨漏りの原因にもなります。雨漏りは必ずしも屋根だけから起こるものではありません。
家屋内部の木材が腐食することで、様々な経路から水滴が流れてしまいます。また被害が拡大すればシロアリの温床にもなりかねません。
そのためサイディング外壁を耐用年数めいっぱいまで維持するには、「反り」「浮き」を放置できません。
そこで反り・浮きの症状の原因をおさえつつ、補修方法や、補修にかかる費用相場を紹介していきます。
※サイディングの反り・浮き以外の劣化も気になる方は、以下の記事を参考にしてください。
サイディングに反り・浮きが起こる原因は?
サイディング外壁で反り・浮きが起こる原因は、おもに2つです。
- 防水性が落ちることで吸水する
- コーキング・シーリングが劣化する
いずれにせよ、水分を吸収してしまい、膨張することが反り・浮きの原因になりやすいと言えます。
とくにかつて主流だった厚さ12mmのサイディングは気をつけましょう。現在は厚さ14mmが主流なので、新築であれば反り・浮きは起こりづらくなっています。
それぞれの現象について、もう少し詳しく見ていきましょう。
おもな原因は防水性が落ちること
サイディングが反り・浮きを起こすおもな原因は、「吸水による膨張」です。
とくに普及率の高い「窯業系(ようぎょうけい)サイディング」に使われるの材料「セメント」は、吸水しやすいという特性があります。
そのため外壁表面の塗装・塗膜が弱まって防水性がなくなると、サイディングボードが雨水や湿気などを吸水して膨れあがるのです。
そのあと、晴れの日には日光・気温によって表面側から乾いてしまい、水分が蒸発して縮みあがってしまいます。
このときの収縮によってサイディングボードの両端が反り、外壁から浮いてしまうのです。
【側面・裏面からも吸水する】
サイディング外壁の表面には、塗装によって防水性の高いコーティング層が出来ています。
しかしボードの側面や裏面は、素材そのままの状態になっているのです。
そのため湿度の高い地域や、梅雨の季節などには、内部で発生した湿気や水分を吸水してしまう可能性があります。
また次に紹介するコーキング剤の劣化によって、側面・裏面に雨水などが侵入しやすくなってしまうので注意しましょう。
目地のコーキング(シーリング)が劣化すること
サイディングボード同士の目地(継ぎ目のこと)は、コーキング(シーリング)という、接着剤のようなもので埋めてあります。
実はサイディング外壁のなかで最も早く劣化がはじまるのは、このコーキング部分なのです。
コーキングがひび割れなどを起こすと、その隙間から雨水・湿気などが侵入していきます。
そのため結果的に、サイディングボードが吸水してしまい、膨張と収縮によって反り・浮きを起こすのです。
サイディングの反り・浮き、補修方法と費用相場
サイディングが反り・浮きの症状を起こしているとき、補修方法としてはおもに2種類あります。
- 軽度の反り→ビス・クギによる固定
- 重度の反り→部分張り替え、全面張り替え
サイディングの反りは見た目以上に外側へ大きな力が加わっているため、完全に元の状態に戻すのは困難です。
「手で押しておさまる程度」の軽度な反りなら、ビスやクギなどを打ち込んで固定する方法があります。しかしこれはあくまで応急処置だと思いましょう。
また重度の反りであれば、外壁材の張り替えが必要です。同じ種類のサイディングの在庫がある、または製造中であれば「部分張り替え」が可能です。
ただサイディングは10年程度のスパンで製品がリニューアルされるので、違うデザインのボードを使用するほかない可能性もあります。
ビス・クギによる固定
サイディングの反り・浮きが軽度であれば、ビスやクギで固定する補修方法が選べます。費用相場は1~2万円です。
施工内容は、対象のサイディングボードの端部分に、ビスやクギを打ち付けるだけ。
ただし固定するだけでは、「サイディングの吸水を止める」という根本的な解決はできないので、あくまで応急処置です。
ビス打ちなどで補修するときには、耐水性を上げるために「コーキング詰めなおし」や「表面の塗装」もあわせておこないましょう。
部分張り替え
ビスやクギでは対処できない場合は、サイディングを張り替えることになります。部分張り替えの費用は「5~10万円/1枚」が相場です。
施工内容は、まず反りがあるサイディングボードを剥がします。その後、対象部分に新しいボードをはめ込み、目地(継ぎ目)にコーキング剤を埋めて完了。
このとき、対象の部分だけでなく外壁全体・コーキング全体が劣化している可能性があるので、ほかの場所も点検してもらいましょう。
もし反り・浮きが起きそうな箇所があれば、早めに対処することができます。
全面張り替え
部分張り替えだとデザインに統一感がなくなる、またはすでに新築から30年以上経っている場合には、全面張り替えをおすすめします。
サイディングの全面張り替え工事は、足場代なども含め「200~250万円程度」が費用相場です。
このときに別の外壁材や、より耐久性に優れている塗料を検討して、次の外壁の寿命を長持ちさせることを意識しましょう。
サイディングの反り・浮きを予防するには?
サイディングの反り・浮きを防ぐには、外壁の防水性を高めることが重要です。
そのため予防方法としては「定期的な塗装メンテナンス」と「コーキング剤のメンテナンス」が挙げられます。
定期的な塗装メンテナンス
サイディング外壁の表面の防水性を高めるため、定期的に塗装メンテナンスをしましょう。
窯業系サイディング なら7~10年、金属系サイディングなら10〜15年など、種類によって差異はありますが大体10年に1回程度が目安です。
また費用相場は、一般的な30坪2階建ての家屋で60~100万円程度。全面張り替えになると倍以上の費用がかかるので、塗装の費用をケチらないほうが賢明と言えます。
目立つ症状がなかったとしても、経年劣化は免れません。見えないところで耐久性が落ちています。
そのため適切な時期に塗装をすることで、耐久性・防水性を保持することが大切なのです。
コーキング(シーリング)のメンテナンス
サイディング外壁のなかで、もっとも早く劣化症状があらわれるのは目地(継ぎ目)にあるコーキング・シーリングの部分です。
コーキングが劣化してひび割れなどが起こると、隙間から水分が侵入するので、サイディングの反りや浮きの原因になってしまうのです。
コーキングのメンテナンス方法として「打ち替え」と「増し打ち」の2種類があります。
- 打ち替え:既存のコーキング剤を撤去
- 打ち増し:既存のコーキング剤の上から重ねる
費用相場は、「打ち替えなら900~1,200円/m」「増し打ちなら500~900円/m」ほど。
ただし足場代で20万円前後、また打ち替えの場合は既存コーキング撤去費として2~3万円がかかります。
費用は上がるものの、基本的には打ち替えのほうがおすすめです。
上から重ねて詰めるコーキングは、古いコーキング自体を修復するわけではありません。そのため、内部で劣化が進んでしまうことも、しばしば起こるのです。
なので古いコーキングをすべて撤去したうえで新しいコーキングに打ち替えて、防水性や柔軟性を確保するのがよいと言えます。
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この記事ではサイディングの反り・浮きについて、原因や補修方法、また予防のためのメンテナンス方法などを解説してきました。
サイディングは耐久性に優れている反面、防水性を失うと吸水し、反ったり浮いたりしてしまうリスクがあります。
反りが少ない場合はビスを打ち込んだり、シーリングの打ち替えなどの修繕でも対処可能です。
ただこれらの補修は応急処置に過ぎないので、いずれはサイディング外壁の張り替えが必要になります。
外壁の専門業者に依頼して、納得いくように張り替え工事をしてもらいましょう。
そこで重要なのが、相見積(あいみつもり)です。複数の業者から提示された見積額を比較検討し、納得できる費用で依頼をしましょう。
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