「外壁塗装は10年で塗り替えが必要」と聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。しかし外壁や塗料によって塗装の寿命は変化するため、一概に10年とは言い切れません。
この記事では外壁塗装の寿命と劣化の症状の見分け方について解説します。
外壁塗装の寿命は何年?
一般的な外壁塗装の寿命は10年~20年です。しかし使用している塗料の種類や環境によって変化するため、必ずしも10年~20年で塗り替えが必要とは言い切れません。
塗り替えの時期はどうやって見きわめればいいの?
塗料などの耐用年数に限らず、外壁に「チョーキング現象」「ひび割れ・ふくれ・はがれ」「サビ・カビ・コケの発生」の劣化症状が見られたら塗り替えまたは補修を行いましょう。
外壁塗装の寿命はどれくらい?
一般的に外壁塗装の寿命は約10~20年と言われています。
しかし使用した塗料の種類や気候など条件によって寿命は変化するため、必ずしも10年~20年で塗り替えが必要になるとは言い切れません。
また塗装の下に張られた外壁材にも寿命があるため、塗装がまだ大丈夫でも外壁材が寿命を迎えたら張り替えが必要になる場合もあります。
塗料の耐用年数
まずは外壁塗装で、主に使用されている塗料の種類と耐用年数の目安や特徴を見てみましょう。
塗料の種類 | 耐用年数 | 特徴 |
アクリル | 5~7年 |
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ウレタン | 8~10年 |
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シリコン | 7~15年 |
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フッ素 | 10~15年 |
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ラジカル | 10~15年 |
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無機 | 15~20年 |
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光触媒 | 15~20年 |
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ピュアアクリル | 12~15年 |
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このように表は目安の数値ではありますが、塗料はそれぞれ異なる耐用年数や特性を持ち合わせているのです。
また「外壁塗装の寿命が10年」と言われるのは、近年外壁塗装で最も多く使用されているウレタン・シリコン塗料の耐用年数を基準にしているからでしょう。
外壁材の耐用年数
前述した通り塗料だけでなく、外壁材にも寿命はあります。近年よく使用されている外壁材の耐用年数を見ていきましょう。
外壁材 | 耐用年数 |
モルタル | 30年 |
窯業系サイディングボード | 40年 |
金属系サイディングボード | 40年 |
特に窯業系サイディングは国内の住宅の8割に使用される外壁材です。外壁材が寿命を迎えている場合は塗装ではなく、外壁の張替えまたは重ね張りを行う必要になるかもしれません。
コーキングの耐用年数
外壁塗装工事を行う前にコーキング(シーリング)の打ち替え工事も行います。
コーキングの耐用年数は5~10年です。打ち替えの時期としては10年が一般的でしょう。
コーキングは外壁材のつなぎ目やサッシ周りから雨水の侵入を防ぎ、様々なダメージから外壁材を守るクッション材の役割を果たしています。
そのため塗料や外壁材よりも劣化しやすい部分なのです。
シーリング工事も足場が必要になるため、外壁塗装工事と一緒に行うことでコストダウンにつながりますよ。
塗装の寿命を左右する要素
塗料の種類によって寿命が異なる外壁塗装ですが、寿命に影響を与える要素はそれだけではありません。
建物の立地・環境
外壁塗装の寿命は建物が建っている場所によっても変化します。海に囲まれている日本で多いのは塩害です。海水に含まれる塩分が風で運ばれ外壁に付着し、劣化を早めてしまうのです。
塩害の影響は海に近いほど受けやすくなります。
海から5km圏内に住んでいる場合は対策をしておかなければ、通常よりも劣化が早くなり塗装の塗り替え時期も早く訪れるでしょう。
しかし海から遠くなれば劣化しにくいというわけでもありません。
風向きによっては、海から離れた場所でも潮のにおいがしたり、周辺の建物にさびている部分があったりする場合は塩害の影響を受けやすい可能性があります。
日々の手入れ
定期的に手入れをしているかも、外壁塗装の寿命にかかわるポイントです。
外壁塗装に使用される塗料は防汚性・遮熱性・防水性など様々な機能を持ち、外壁の劣化が進むのを抑えています。
汚れがたまってしまうと、本来塗料が持っている性能を発揮できなくなってしまいます。外壁塗装を長持ちさせるためにも、外壁の手入れは大事なのです。
きれいな状態を保つことで、塗料の機能性が発揮され劣化を抑えるだけでなく、不具合が生じたときにも早く発見することもできます。
自力で手入れを行う場合は、やわらかいモップやスポンジを使って外壁を傷つけないよう作業することを心がけてください。
外壁塗装の劣化症状4つとセルフチェック方法
それぞれの耐用年数や劣化につながる要因を見てきましたが、次は塗装の塗り直しを行うべき劣化症状と自分で判断できる方法をご紹介します。
塗装塗り直しのサイン4つ
塗装の塗り直しが必要な劣化症状は主に4つあげられます。それぞれ症状の特徴と危険性を見てみましょう。
劣化症状 | 緊急度 |
チョーキング現象 | 中 |
ひび割れ・ふくれ・はがれ | 高 |
サビの発生 | 高 |
カビ・コケの発生 | 高 |
ほかにも日当たりが良すぎると、紫外線の影響を強く受け塗料がはがれやすくなり、交通量が多い場所だと汚れやすくなり劣化を早めてしまうといった要因が考えられます。
周辺の環境によっても外壁塗装の劣化速度は変化するため、年数の目安だけでなく外壁の状態も把握して判断しましょう。
【チョーキング現象】
チョーキング現象とは外壁に触ったときに白い粉が手に付く劣化現象のことです。
塗料の成分は色付けのための「顔料」、外壁保護剤である「合成樹脂」、塗りやすくするための「添加剤」で構成されています。
塗膜の劣化が進むと「合成樹脂」が分解され「顔料」が下から出てしまうため、チョーキング現象が発生するのです。
外壁の保護力や防水性が低下し、外壁材そのものの劣化にもつながっていきます。チョーキング現象が発生したら、塗装工事を検討するタイミングだと考えましょう。
【ひび割れ・ふくれ・はがれ】
外壁にひび割れやふくれ、はがれなどの症状が起きている場合は早急に塗装または補修を行う必要があります。
ひび割れの場合、ヘアークラックと呼ばれる幅0.3㎜以下のひび割れであれば、それほど心配ありませんが、それ以上のひび割れは雨水が侵入してくるリスクが高く危険です。
外壁塗装が浮いてふくらむ現象は、劣化で外壁材と塗装の密着性が失われることで発生します。ふくれを放置することで塗装のはがれにもつながるため、早急に対応しましょう。
【サビの発生】
金属製の外壁や外壁以外の金属部分を塗装している場合、時間の経過とともにサビが発生します。
アルミや亜鉛でコーティングされ、耐久性が確保されているガルバリウム鋼板の金属サイディングでも、経年劣化で皮膜が少しずつはがれていきます。
そのまま雨風にさらされてサビが発生してしまうのです。
モルタル壁など金属製以外の外壁でもサビは発生します。
モルタル壁の場合、内側に施工されている「ラス」と呼ばれる金網に水分が付着すると、サビの原因になり「もらいサビ」が発生します。
金属製の外壁はもちろん、モルタル壁などの金属製以外の外壁であってもサビの発生には注意しましょう。
【カビ・コケの発生】
外壁が黒ずんだり、緑っぽくなっている場合はカビやコケが発生している可能性が高いでしょう。
カビやコケは日光がほとんど当たっていない外壁に発生しやすく、柄のある外壁や表面に凹凸がある外壁にも発生しやすくなります。
外壁の凹凸によって太陽光の当たり具合が変化したり、雨水がたまりやすくなることでカビやコケが生息しやすい場所を作ってしまうのです。
カビやコケが発生しやすい外壁材は以下の通りです。
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これらの外壁材は表面にざらつきや凹凸があるという共通点を持っています。デザイン性の高さが魅力ではありますが、コケが発生しやすい地域にお住いの場合は使用する外壁材に注意したほうがよいかもしれません。
セルフチェックの方法
上記の塗り直しのサインに気づくためには、外壁の様子も実際に見たり触れたりすることが必要になります。
- 外観をチェック
まずは外観をよく見て、汚れや色あせ、カビやコケが生えていないかなど確認しましょう。これらの症状は、外壁塗装が傷み始めているサインです。防水性・防藻性・防カビ性などの塗料の機能性低下が考えられます。
- 手で触れてみる
外壁に実際に触れることで、チョーキング現象が起きているか確認できます。
外壁に触って白い粉が手についたら、チョーキング現象が起きていると考えてよいでしょう。塗装の防水性が失われると発生するため、放置しておくとひび割れなどを引き起こします。
- セルフチェックでは不具合に気づけない可能性もある
表面部分はセルフチェックで不具合を見つけることができますが、死角になる部分や内部に及ぶ不具合は自分で見つけることが非常に難しくなります。
見た目に問題がなければ塗り替えは必要ないと感じるかもしれません。しかし外壁材や建物の構造部分で痛みや腐食が進んでいる可能性もあるため、塗り替えや修理が必要になるケースもあるのです。
セルフチェックだけで判断せず、専門業者にも依頼することで適切な対応ができます。
外壁塗装を長持ちさせるメンテナンス方法
外壁塗装の寿命は塗料の性質や周辺の気候に左右される面も大きいですが、少しでも長持ちさせるために自分でもできることがあります。
外壁塗装を長持ちさせるために自分でできる方法をご紹介します。
風通しを良くする
風通しをよくすることで、湿気がたまりカビやコケの生息地を作りにくくします。
建物の日光が当たりにくい場所や植え込みに面する部分などは湿気がたまりやすいです。植え込みをこまめに刈り込むことで風通しが確保できます。
また外壁のすぐそばに大きな物置などを設置することで湿気がたまりやすくなります。できるだけ湿気をため込まないよう、日当たりや風通しを考えて物の配置を決めましょう。
カビやコケは外壁の内部にまで広がることがあるため、風通しを確保し発生を抑えるようにしましょう。
カビやコケを定期的に洗い流す
外壁にカビやコケが発生したら、こまめに洗い流しましょう。放置しておくとカビやコケの範囲はどんどん広くなり、次第に外壁の内部にまで繁殖していきます。
水をかけながらスポンジなどで軽くこすりましょう。落ちにくい場合はカビ取り剤などを利用してください。
塗装を傷めないよう、金属タワシなどの硬い素材の使用は控えてください。
定期点検を受ける
こういったメンテナンスやセルフチェックだけで外壁塗装の良い状態を保つのは非常に難しいです。発見できない不具合もあるでしょう。
そこでメンテナンスとして行っておきたいのは、定期点検です。
時間も費用もかかる定期点検は面倒に感じるかもしれませんが、不具合を早期発見することで簡単な補修で済む可能性が高くなるのです。
塗装の塗り直しよりも格段に安く早く工事ができますよ。
長持ちさせるための塗装工事のポイント
塗装の塗り替えを行っても、すぐに塗り直しが必要になってしまっては困りますよね。できるだけ塗装を長持ちさせたいと考えている人も多いのではないでしょうか。
外壁塗装の寿命を延ばすための、塗装工事の際に押さえておきたいポイントを紹介します。
耐久性の高い塗料を選ぶ
まず塗装を行う前に確認しておきたいのは、「耐久性の高い塗料を選ぶ」ということです。
たとえ安くても10年持たない塗料を使用すれば、すぐに塗り替えが必要になります。安くて耐久性の低い塗料を使用することで、頻繁に塗装工事を行う必要が出てきます。
耐久性に優れており、耐用年数が長いものであれば20年持つ塗料もあります。例えばフッ素塗料・無機系塗料・遮熱性塗料は頑丈で機能性も高く、長持ちしやすい塗料でしょう。
頑丈で持ちの良い塗料を使えば、塗り替えの回数を減らし、費用を抑えることにもつながるのです。
3回塗りで施工してもらう
外壁塗装は3回重ねて塗ることで、塗料の機能性を最大限に発揮できます。
1回目(下塗り) | 中塗りの塗料をより密着させる |
2回目(中塗り) | 塗装に厚みを持たせ、塗膜をしっかりと形成する |
3回目(上塗り) | 表面をキレイに仕上げる |
もし塗装業者に2回塗りで施工すると言われた場合は、手抜き工事を疑いましょう。
塗装の長持ちのためはもちろん、手抜き工事をされないためにも見積もり書で工事の工程は確認しておいてください。
コーキング補修を行う
外壁塗装の工事の際に、コーキング部分などの補修を行うことで家全体を長持ちさせることができます。
コーキング部分は劣化しやすいため、10年に1回のペースで補修が必要となります。外壁塗装と一緒に補修を行えば、二度手間にならずに済みますよ。
また外壁にひび割れやはがれが生じている場合は、部分的に補修をしてから全体の塗装をすることをおすすめします。
劣化部分を補修してから塗装を行うことで、ひび割れやはがれが目立ちにくくなり仕上がりもよく長持ちする塗装になります。
外壁塗装の寿命を延ばすには業者選びが肝心
外壁塗装を長持ちさせる方法を紹介してきましたが、何よりも大切なのは工事の質の高さです。塗装工事にはたくさんの工程がありますが、そのひとつひとつの作業を丁寧に正確に行うことで、塗料の性能を引き出すことができるのです。
塗装工事を依頼する際には、たくさんの情報を比較し信頼できる業者を見つけましょう。
優良な業者を探すポイントは3つです。
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これらの点に注意しながら、自分にあった業者を探してみてください。
塗装工事の費用相場
業者に塗装工事を依頼すれば、30坪~40坪ほどの一戸建てで「80万~120万円」ほどかかるでしょう。しかし塗料の種類や塗装する面積によって費用は変化します。
相場より高いと感じても、長期的に考えて費用を抑えられている可能性もあるため、工事内容や使用する塗料について理解を深めておくことが大切です。
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