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軒天の塗装が必要なサインとは?劣化のレベル・補修方法・費用相場

最終更新日: 2023年03月31日

軒天は建物の見栄えを改善し、外壁や屋根裏を紫外線や雨水・湿気から、保護する大切な役割を持ちます。

軒天塗装で使う塗料の違いや塗装方法、DIYできる劣化のレベルを詳しく解説します。費用の相場や見積もりの見方について把握しましょう。

軒天とは?

軒天

軒天は目立たない存在ではあるものの、重要な役割を持っています。まずは軒天の意味と役割を確認しましょう。

軒天は軒の裏側のこと

軒天とは家屋や建物の屋根のうち、外壁から外側に飛び出た部分の裏側を指します。たとえば家屋の外側に張り出している屋根の裏側や、戸建て住宅、集合住宅のベランダの下から見える部分などです。

建築用語の「軒(のき)」は、建物から外側に張り出した屋根のことですが、この軒を見上げたときに見える部分ということで、「軒天」の名が付いたとされます。軒天という呼び方のほかに「軒裏天井」「上裏」「軒天ボード」という名称で呼ばれることも、知っておきましょう。

中にはテラスの屋根代わりになるほどの奥行きを持つ、軒天もあります。屋根のふちと軒天の間には、破風板や鼻隠し、雨どいが付いており、外壁とは別に塗装するのが一般的です。

軒天の役割

軒天には主に以下の4つの役割があります。

  • 建物の美観を保つ
  • 外壁を雨や日差しから守る
  • 建物の延焼を防止する
  • 屋根裏の換気

軒天には建物の美観を保ち、見栄えをよくするという重要な役割があります。そのため軒天の色により建物の印象が大きく変わるケースも少なくありません。

軒天は外壁の保護効果も担います。軒天が帽子のひさしのように、雨や直射日光を遮ることで、外壁の劣化を遅らせることが可能です。

炎は上に向かって燃え上がるため、窓から外へ炎が上がった場合に軒天が炎を遮り、屋根への延焼を防ぎます。そのため軒天の多くは、耐火性の高いケイカル板を使用しています。軒天に小さな穴が開いた有孔ボードを使ったり、軒裏換気口を取り付けたりすることで、屋根裏の換気が可能です。

軒天に変化が見られたら

劣化した軒天

軒天は風雨や日差しから建物を守るため、着実に劣化していきます。見逃したくない劣化のサインと、放置した場合のリスクについて見ていきましょう。

軒天が劣化している兆候

軒天の劣化は建物のプロでなくても、比較的簡単に劣化のサインを見つけられます。主に以下のような特徴があげられます。

  • シミ
  • 剥がれ
  • 藻・カビ

雨風の影響により軒天に水が溜まる状態が続くと、黒ずんだシミが現われます。シミがさらに進行すると、カビや藻が発生する場合もあるでしょう。

軒天の塗膜や軒天材の表面が剥がれているのも、全体的に劣化が進んでいる証拠です。これらの症状を見つけた場合は、軒天が劣化し雨漏りを起こす可能性が高いので、早急に手当てする必要があります。

軒天の劣化を放置するリスク

軒天は屋根の内部とつながっているため、劣化のサインを見逃すと、思わぬ結果を招く可能性があります。

軒天内部の湿気や水溜まりによって発生した、シミやカビ、藻の発生は、屋根の内部にも同様の症状を発生させ、室内や外壁内部への雨漏りにつながります。

軒天材が剥がれてしまうと、屋根裏へ通じる隙間ができて、鳥や小動物、虫などの侵入経路となり、巣を作られる可能性があるのです。ダニやノミ、糞尿による悪臭の原因になりかねません。

軒天の劣化は建物全体に大きな悪影響を及ぼします。これらのトラブルを防ぐには、定期的なチェックと早めのメンテナンスが有効です。

軒天のメンテナンスと塗装のDIY

軒天塗装

軒天の劣化サインを見つけた場合、DIYで補修できるのでしょうか。DIYで対処できる劣化のレベルと、DIY補修に必要な道具類を紹介します。

DIYでも大丈夫な劣化レベルと注意点

軒天は高所にあるため安全な足場が必要ですが、劣化のレベルによっては、自分で補修することも可能です。表面のメンテナンスだけであれば、DIYでも対応できるでしょう。

  • 色あせ
  • チョーキング
  • 塗膜の剥がれ

チョーキングは手のひらで直接軒天を触った際に、チョークのような白い粉が付く現象を指します。

塗膜の剥がれは早めの再塗装が必要な状態で、放っておくと軒天材が雨水を吸い込み、カビや藻が発生しやすくなります。

部分的にこれらの症状の場合には、塗り替えを行って軒全体への傷みの拡大を防ぎましょう。

あくまでもDIYでの軒天塗装は応急処置です。DIYを行っても最終的には業者へ補修を依頼しましょう。また高度な技術が必要となる作業のため、DIYに不慣れな場合は業者へ依頼することをおすすめします。

用意するもの

軽微な劣化を補修方法するための、軒天の再塗装には、以下のような道具が必要です。

  • 足場(脚立)
  • ヘルメット・軍手
  • ケレン(サンドペーパー)
  • 補修パテ・へら
  • さび止め塗料
  • 塗装用具(刷毛・ローラー・塗料)

外壁塗装の下地を整える前に、高圧洗浄で汚れを取り除く方法がありますが、軒天材は水に弱い材質もあるのでおすすめできません。ケレンとはワイヤーブラシやスクレーパー、サンドペーパーのことです。また高所作業は危険を伴うので、必ず2人以上で行いましょう

作業の流れ

簡単な補修の流れは以下の通りです。

  1. ケレンで古い塗装を落とす
  2. 凹凸をパテで埋める
  3. 釘や金属部にさび止め塗料を塗る
  4. 刷毛・ローラーで塗装する

傷んだ下地はしっかり落とさないと、再塗装しても早期に剥がれが生じます。念入りに下地を整えることが補修作業では重要です。

釘や金属部はサビの原因になるため、塗装する前にさび止め塗料を塗っておきましょう。このとき軒天材の継ぎ目や、釘穴の凹凸をパテで埋め、表面を平滑にします。最後に重ね塗りして完成です。

軒天の塗装作業は長時間上を向いて作業しなければなりません。傷みが広範囲に及ぶ場合や、深刻な劣化を見つけた場合は、業者による本格的なメンテナンスをおすすめします。

軒天の張替えの材料と塗料

軒天の補修をする人

軒天は機能上の重要性もさることながら、家屋の外観を左右する重要な箇所です。使われるケースが多い軒天材と、塗料や色の選び方を紹介します。

軒天の素材

軒天材には以下のようにいくつかの種類があり、それぞれ機能や外観が異なります。

べニア板 築年数の古い住宅に使われていることが多い

3~5mmほどの厚さで軽量

シリコン・ウレタン塗料で塗装する

有孔べニア板 小さな穴が全体的に規則正しく並んでいる

天井裏の通気口を高める

部分的に使用されることが多い

プリント合板 べニア板にプリントシートを貼ったもの

木目柄のデザインが多い

ケイカル板 不燃性・耐水性に優れている

軒天以外の箇所にも使用されるケースが多い建材

スラグ石膏版 不燃性の高い建材

耐水性が低いため表面の塗装が必須

軒天の塗料の種類

軒天を塗装する際に使う塗料として、EP(エマルションペイント)・AEP(アクリルエマルションペイント)とNAD塗料(アクリル樹脂系非水分散形塗料)が挙げられます

EPとAEPはどちらもアクリルエマルション系のため、ほぼ同じ意味で扱われています。EP・AEPは水で薄められるため扱いが簡単で、NAD塗料よりも比較的安価ですが接着性は弱い塗料です。

軒天の塗装は従来エマルションペイントが主流でしたが、ケイカル板やベニヤ板と好相性の、NAD塗料を使用するケースが増えています。

NAD塗料はEP・AEPに比べ、接着性や耐水性が高い点が特徴です。軒天塗装によく使われる「ケンエースG-Ⅱ」はNAD塗料です。NAD塗料はヤニ止めに優れ、長期的に塗膜保護する効果も期待できます。

軒天の色はどう選ぶ?

住宅地を見て回ると実にさまざまな色の軒天が確認できます。中でも白・ベージュ・クリームといった「白系」の軒天は、陰になる軒天と外壁との相性を高め、建物全体を明るく見せます。

黒や茶、赤など、濃い色の外壁との相性もよいことから、多くの家屋で選ばれている色です。

外壁と同じ色にしたり、明るい外壁とのコントラストで引き締めたりと、スタイリッシュなイメージの組み合わせが楽しめます。軒天の木目を活かしたい場合は、色を変えずに軒天を保護する、クリアー塗装がおすすめです。

軒天の補修費用の相場と見積もり

マイホームの外壁塗装工事の費用イメージ

軒天は定期的なメンテナンスを必要とするため、1回ごとの費用をできるだけ抑える必要があります。軒天の工費相場と、見積書の見方を確認しましょう。

軒天塗装の費用相場

軒天のメンテナンス費用は工法によって異なります。一般的な2階建て住宅の大きさを例に挙げ、軒天の奥行きはおよそ35cm、家全体で30㎡とすると、費用相場は以下の通りです。

  • 塗装のみ:2.5万~4.5万円
  • 張替え:18万~25万円
  • 重ね張り(カバー工法):3万~20万円
  • 足場設置:5万~20万円

塗装のみの工法は、軒天の塗料が剥がれている場合に限られます。張替えは軒天の劣化が深刻な場合に行われる、新しく張替える工法です。一部だけを張替えるケースも考えられますが、部分的に色が異なると、美観を損ねる可能性があります。

軒天材を張替えない重ね張り(カバー工法)は、廃材が出ないため張替えよりも安価です。重ね張りは軒天の状態によっては、プロによる屋根裏や外壁の診断が必要と考えましょう。

平屋の軒天塗装は足場なしで行われるケースもありますが、施工場所が高さ2mを超える場合は、足場の使用が法律で義務付けられています。

参考:労働安全衛生規則第二編第九章第一節 墜落等による危険の防止
関連記事:外壁塗装の「足場」費用、単価や相場は?トラブルを避けるための注意点まで徹底解説|ミツモア

見積書の確認すべきポイント

見積書の見方がわかると適切な費用が把握でき、節約すべきポイントも見えてきます見積もりで注目すべき点は以下の通りです。

  • 塗料のメーカー名・品名が書かれている
  • 塗りの回数が明記されている
  • 下地処理の方法が記されている
  • 工程ごとに明記されている
  • 足場費用が別途書かれている
  • 塗料のランクが統一されている
  • 一式という言葉がない
  • 保証期間が明記されている

塗料のメーカーや商品名がわかれば、ホームセンターやウェブサイトなどで価格を確認できます。工事中も見積書通りの塗料が使われているか、確認しましょう。塗料を何回塗るかは、施工後の軒天の耐久性にも関係する、重要なポイントです。

施工に対する保証期間の記載がない場合は、保証について明記した書類を依頼しましょう。

補修費用には火災保険が使えるケースもある

軒天のメンテナンス費用は火災保険でカバーできるケースもあります。経年劣化による破損は、火災保険の補償の対象ではありませんが、落雷や強風、大雪などによる損害は補償の対象です。

火災保険を利用する際は、業者から見積もりをとったのちに保険会社に申請しましょう。

家にとって大切な軒天は業者に任せよう

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