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マンションの外壁塗装をするタイミングは?塗装の種類や助成金も解説

最終更新日: 2023年03月31日

マンションの外壁塗装は、何のために行うものなのでしょうか?外壁塗装の必要性やタイミング、修繕の目安となる劣化症状について解説します。塗料の種類や、外壁塗装工事にかかる期間や費用も確認しましょう。工事前の注意点と業者の選び方も紹介します。

マンションの外壁塗装の必要性とは

マンション

マンションを含む不動産には定期的な修繕工事が必要です。なぜ外壁塗装を含む修繕が必要とされるのか、目的や塗装の寿命を解説します。分譲マンション・不動産経営を問わず、建物の劣化が見られる場合には塗装を検討しましょう。

建物の美観と保護のため

外壁塗装は防水機能の維持やひび割れを修繕し、建物を保護するために行われます。コンクリートや鉄筋に防水機能はないため、塗装によって水の侵入を防ぐ必要があるためです。外壁のひび割れの広がりや水漏れなどは、建物の安全性の低下につながるため、早期の対処が求められます。

また、建物の美観の維持も外壁塗装の重要な目的です。所有しているのが分譲か1棟かを問わず、外観・内装の美しさは入居率に大きく影響するでしょう。高い入居率を維持するためにも、定期的なメンテナンスが必要です。

塗装には寿命がある

建設当初は美しい外観を維持していても、年数がたつと塗装がはがれていきます。塗料によって異なるものの、7~10年程度で劣化し始め、10~15年が平均的な寿命の目安です

紫外線・雨などの外的な要因で塗装が劣化すると、美観の維持や安全性の確保が難しくなります。外壁に汚れ以外の問題が出ている場合には、時期を問わず塗装と修繕の検討が必要です。放っておくとひび割れや劣化が進み、修繕の際に余計な費用がかかる事態にもなり得ます。

マンション自体の寿命は塗装よりも長く、数十年です。マンションを所有している場合、メンテナンスのために数回は外壁塗装を行う機会があるということです。

外壁塗装をするタイミング

塗装工事をする業者

多くのマンションでは長期の修繕計画に基づいて、あらかじめ塗装や修繕の時期を決めています。しかし、予期せぬトラブルや早期の劣化により、修繕のタイミングに迷うケースもあるでしょう。まずは一般的な目安とされる、大規模な修繕工事のタイミングについて解説します。

塗り替えのタイミングは12年前後

国土交通省のガイドラインでは、一般的に12~15年の周期で、外壁塗装を含む建物の大規模な修繕工事が必要だと説明されています。建物の環境や塗料の寿命などに合わせて、10~15年程度で修繕工事を考える必要があるでしょう。

ただしあくまでも長期計画は事前の目安であり、災害や環境要因によって劣化が早まった場合には、すぐに修繕が必要になることもあります。特にひび割れや水漏れ、塗装のはがれなどが目立つ場合には、業者に状態の確認を依頼しましょう。

国土交通省では建物を安全に管理できるように、「標準管理規約」をモデルとして作成しています。第32条では「管理組合が管理する敷地及び共用部分等の保安、保全、保守、清掃、消毒及びごみ処理」が管理組合の業務とされており、修繕工事も業務の一環になるでしょう。

参考:長期修繕計画ガイドライン|国土交通省

タイル張りの外壁もメンテナンスは必要

タイルは耐水性があり、衝撃や傷にも強い素材です。マンションの外壁として使用する際には、コンクリート面に貼って仕上げます。

タイルは耐久性の高い素材ではあるものの、ほかの素材と同様にメンテナンスの目安は10~15年です。タイル本体に傷がつかなくても、下地のモルタルや隙間部分のコーキングが劣化し、割れや傷みの原因になります。

浴室内のタイルでも目地の部分にカビや傷みが発生し、腐食するケースがあるでしょう。マンションの外壁も同様で、定期的なメンテナンスが必要です。

特にタイルがはがれて落下すると危険が伴うため、国土交通省告示282号に基づき、施工から10年経過後に全面打診調査が義務づけられています。

参考:告示第282号|国土交通省

外壁塗装の目安となる劣化症状

外壁に劣化症状が現れた場合には、時期を問わず塗装や修繕工事を行う必要があります。チョーキング現象・雨漏り・外壁のひび割れが主な症状です。

チョーキング現象は外壁を触ったときに、チョークのような白い粉がつく現象で、塗料内の物質が粉になって表面に出ている状態を指します。はっきりと目に見える症状だけでなく、ちょっとした変化を見逃さないことが大事です。

また、塗装の経年劣化だけでなく、風災や地震などの影響によって、雨漏りやひび割れが起こるケースもあります。いずれの場合でも、早めに細かい修繕を行っておけば、大規模修繕時の費用を抑えられるでしょう。

関連記事:外壁塗装は必要ない?しないとどうなる?緊急度別の劣化症状・今すぐ塗装すべき家の見分け方|ミツモア

マンションの外壁塗装の種類と工事期間

マンションの工期

マンションの外壁塗装に使う塗料は、種類によって特徴があります。主な塗料の耐用年数を確認しましょう。外壁塗装にかかる一般的な工事期間についても解説します。

塗装の種類と耐用年数の目安

塗料にはいくつかの種類があります。それぞれ耐用年数と価格が異なるため、慎重に検討しましょう。

一般的にアクリル・ウレタンの耐用年数は短く、5~10年程度とされます。シリコンには保証期間が定められている場合が多く、寿命は10~15年です。保証期間を定めている場合、7~8年が目安です。フッ素や光触媒は寿命が長く、10~20年程度持つとされます。

耐用年数が短い塗料は価格がリーズナブルですが、予算と次回の修繕工事をいつ頃にするかを考えた上で、最もコストパフォーマンスの高いものを選択することが大事です

ただし、塗料の耐用年数はあくまでも目安です。マンションの環境や状態によっても変わるため、専門業者に相談してみましょう。

関連記事:外壁塗装の塗料一覧!全種類(グレード)の耐用年数・費用の違い比較!選び方まで徹底解説します|ミツモア

おおよその工事期間

外壁塗装にかかる期間はマンションの規模によって異なります。小規模なマンションでは工事が1~3カ月程度で終わるケースもありますが、100戸以上の物件では4~6カ月以上かかることも珍しくありません。

外壁塗装には足場の設置に始まり、洗浄・修繕・塗装といった工程があります。塗装は重ね塗りが基本のため、乾燥させている期間中は作業ができません。天気との兼ね合いもあり、工期が延びる可能性もあるでしょう。

基本的には数カ月程度にわたり足場が設置され、洗浄や作業の期間中は、ベランダの使用に制限が出る可能性もあります。居住者がいる場合は事前に通知し、理解を求めておきましょう。

マンションの外壁塗装の相場は?

見積書

マンションの外壁塗装にかかる費用は、依頼する業者によって異なりますが、大体の相場を知っておくことが大事です。マンション全体の改修費用とともに、外壁塗装の費用相場を確認しておきましょう。

建物全体の大規模改修をするケースがほとんど

マンションの外壁塗装をする場合、建物全体の大規模改修を伴うケースが多いです

国土交通省によれば、外壁塗装に加えて屋根や床の防水工事、シーリング工事などを含め、マンションの大規模修繕工事にかかる費用は、1回目は4,000万~6,000万円程度です。

さらに、2回目以降は6,000万~8,000万円の割合が多くなり、回を重ねるごとに費用が大きくなる傾向にあります。建物の経年劣化が進むにつれて、徐々に改修費用が高くなることが分かります。なお、これらの工事金額に加え、さらに仮設費用がかかるので注意が必要です。

また、一戸あたりの工事金額は100万~125万円の割合が多く、次いで75万~100万円、125万~150万円の順に多くなっています。

出典:令和3年度 マンション大規模修繕工事に関する実態調査|国土交通省

外壁塗装にかかる費用

上記の国土交通省の資料において、マンションの大規模修繕工事の工事金額の割合をみると、外壁塗装は1回目が21.6%で、2回目が23.4%です。これをもとに外壁塗装の相場を大まかに計算してみると、1回目の修繕工事では864万~1,296万円、2回目は1,404万~1,872万円となります。

当然、マンションの規模や環境、経年劣化の状況によって費用が大きく変わるので注意しましょう。なお、戸あたりの工事金額をもとに外壁塗装にかかる費用を計算すると、戸あたり17万~29万円程度です。

これらの金額は、あくまでも特定の調査を参考にして大まかに算出したものです。具体的な費用に関しては、工事を依頼する業者から見積りを取って確認しましょう。

外壁塗装をする場合の注意点

注意点

外壁塗装の工事前に、管理側がしておかなくてはならない作業があります。まずは工事を始める前、塗装中に起こりやすいトラブルについて、業者に必ず確認しておきましょう。必要があれば入居者への掲示や、通知をしなければいけません。

においや騒音

外壁塗装の工事には、塗料のにおいや工事の騒音が発生します。近隣の住宅にも工事の内容・期間を伝え、理解を得る必要があるでしょう。

近隣へのお知らせは、施工を担当する業者が対応してくれる場合が多いですが、塗料のにおいや騒音は、マンションの入居者にも迷惑がかかります。事前に必ず理解を得ておきましょう。においが発生する期間を掲示し、換気を控えてもらうのも効果的です。

また、事前に工期や状況を掲示したり各戸に配布したりするなど、管理側の配慮も必要になります。

洗濯物を外に干せない期間がある

外壁塗装では足場を組んで洗浄や塗装をします。洗浄や塗装の間はベランダの使用が、どうしても制限されてしまうでしょう。ベランダの使用を含め、建物の利用に関しては居住者に対して掲示や通知を行うとともに、特に洗濯物の扱いに関して注意を促す必要があります。

無理に外干しをすると、外壁の洗浄・塗装が原因で洗濯物が汚れてしまうだけでなく、作業員の邪魔になり、工事が遅れる可能性もあります。また、作業員がベランダに入る必要がある場合、カーテンや窓の施錠、荷物をどかすよう、アナウンスがあるかもしれません。

敷地が広く工事が長期に及ぶ集合住宅では、代わりの乾燥機を設置することもありますが、塗装の工程は数日~半月程度で終わることが多いため、基本的には近場のコインランドリーや部屋干しになるでしょう。

外壁塗装に対する助成金はある?

電卓と人

外壁塗装工事には助成金が利用できる可能性があり、うまく活用すれば工事費を節約できるかもしれません。ただし、すべての外壁塗装に利用できる助成金は、数が少ないので注意が必要です。よくある助成金の対象および内容について解説します。

対象は省エネ対策のための外壁塗装が基本

外壁塗装の助成金は、基本的に国や自治体により提供されています。マンションの外壁塗装で利用できる助成金は、省エネ対策向けのものが基本です。

一般住宅とは利用できる助成金が異なる場合も多いため、対象を確認した上で業者と相談しましょう。外壁塗装で省エネ対策の対象となる工事には、断熱性能・遮熱性能の高い塗料を使い、室内を快適に保つものがあります。

助成金を利用するには、申し込みの期間や対象となる工事内容などを確認しなければなりません。助成金の仕組みに詳しい業者であれば、施工内容を提案してもらえる可能性もあります。

助成金の内容は自治体による

外壁塗装に関する助成金は自治体による提供が多く、当該の自治体が管轄する地域で修繕工事をするマンションが対象です。金額や内容は助成金の制度によって異なるため、工事前に確認しておきましょう。

自治体による助成金では、工事の内容だけでなく、業者も指定されているケースが大半です。例えば、自治体内の協力企業・中小企業といった指定があり、対象外の業者では助成金制度は利用できません。

また、マンションでは専用部のリフォームと、共用部の修繕工事では対象が異なるため、申し込みの条件をしっかりと確認しておきましょう。

優良塗装業者に依頼しよう

塗装をする業者

外壁塗装をする際には専門の塗装業者に依頼します。適正な料金で確実に工事をしてもらうために、信頼できる業者を選びましょう。優良な塗装業者を選ぶポイントや、探し方のコツを解説します。

外壁塗装業者を選ぶポイント

外壁塗装業者を選ぶ際には、まず資格や許可書の有無を確認しましょう。塗装技能士の資格や、都道府県知事の許可書を有している業者は、信頼性が高いといえます。

塗装業は資格や許可が必須の業種ではないため、基本的には誰でも開業が可能です。一定のスキルや知識、塗装業者としての経験の有無を判断するには、資格と許可の確認が大事です。

都道府県知事の許可書があると、5年以上の塗装実績を持っていることが分かります。ほかにも営業担当者の対応を確認したり、複数の業者を比較したりして、優良業者を見極めましょう。

塗装業者の探し方

塗装業者を探すには、インターネットや周囲の口コミなどが役立ちます。新聞の折込チラシでも業者を見つけられるので、新聞を定期購読している人は確認してみるとよいでしょう。

インターネットで業者を探すなら、相見積もりが最適です。予算や希望する条件を入力し、対象エリアの塗装業者を探せます。「ミツモア」では外壁・屋根塗装の専門業者の相見積もりが可能で、最大5社の見積もりが比較でき、料金や事業者の特徴をチェックできます。インターネットで見積もりが完了し、チャットでの相談も可能です。

塗装業者に依頼したことがなく、相場や選ぶポイントが分からない場合でも、評価や特徴を見ながら自分に合った業者に巡り会えるはずです。この機会に利用してみましょう。

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外壁塗装で長く住めるマンションに

マンション

定期的な外壁の塗装や修繕を心掛けると、マンションの基礎部分を守れます。外壁に劣化症状が見られる場合や、塗装の寿命が近づいている場合は、専門業者に相談してみましょう

業者を選ぶ際には、インターネットで相見積もりを行い、相場や評価をチェックするのがおすすめです。予算と目的に合う業者を見つけられます。ミツモアの相見積もりも活用してみましょう。

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