自宅の外壁塗装を検討しているとき、「ジョリパット」という名前を見かけたことはありませんか?
ジョリパットとは、アイカ工業が販売している外壁塗装の仕上げ剤のことです。工法やパターンの種類が豊富なのでデザイン性が高く、天候や汚れなどの影響を受けにくいのが特徴です。
この記事では、ジョリパットについての基本知識をまるっと解説。自宅の外壁にジョリパットを採用するメリット、施工方法、施工費用など気になるポイントを押さえておきましょう。
外壁に使われるジョリパットとは
ジョリパットとはモルタル外壁用の塗料で、顔料(着色成分)と砂などを混ぜて作られています。もともとはフランスで生まれた素材ですが、日本では1975年にアイカ工業が販売しはじめました。
40年以上のあいだ、機能性やカラーバリエーションなどをどんどん改良してきた製品なので「180以上のカラーと100 以上のデザイン」を売りにしています。
外観のよさだけでなく機能面でも優れているので、多くの塗装業者が取り入れている塗材です。また外装だけでなく、内装にも使用できるジョリパットも販売されています。
下地は基本的にモルタル
ジョリパットを使うときは、基本的にモルタルを下地に使います。サイディング外壁のリフォームでジョリパットを使いたい場合は注意しましょう。
既存の外壁がサイディングボードでも、施工自体は不可能ではありません。業者によってはジョリパットの塗装リフォームを請け負ってくれます。ただしサイディングボードは伸縮が大きいので、上から塗ったジョリパットがひび割れしやすく、リスクは高め。
また既存の外壁材の上にモルタル下地を塗り、さらにその上からジョリパットを塗布することになると、かなりの重量です。住宅の建材が重いと、耐震性や耐久性に悪影響が出てしまうので、あまりオススメできる方法ではありません。
リフォームの際には、サイディングボードごと張り替えることも検討しなくてはいけないかもしれません。詳しくは施工業者に相談してみましょう。
ジョリパットは手作業で施工する
外壁は「塗り壁」と「パネル」との2種類に大きく分かれます。
パネルの外壁は、サイディングボードやガルバリウム鋼板などの板を敷き詰めて作る方法です。既製品のパネルを使うので、シンプルで均一性のあるデザインになります。
一方でジョリパットは、塗り壁に使用する塗装です。モルタルなどのような塗り壁のうえから仕上げるのが特徴。職人がローラー、ハケ、コテ、吹きつけ(スプレー)などを使って仕上げるので、独特の味わい深い風合いになります。
外壁にジョリパットを使うメリット
外壁にジョリパットを使うメリットは、デザイン性の向上から耐久性のアップまでさまざまです。4つの項目に分けて詳しく解説します。
耐久性・対候性が高い
ジョリパットは、耐用年数が15~20年と言われています。樹脂塗料と比べても、フッ素塗料などの高機能な塗料に匹敵する耐久性です。
塗り壁に使われる塗料は、リシン仕上げなどの工法だととくにひび割れを起こしやすいもの。しかしジョリパットは粘性が高めなので、外壁の負荷・伸縮にも追従することができます。
また太陽光の力で汚れを自浄してくれる「光触媒タイプ」や、不燃材料認定を取得している「不燃性タイプ」など、さまざまな機能を揃えています。土地の気候に合った機能のジョリパットを選ぶことが可能です。
デザイン性が高く、色の種類も豊富
ジョリパットのなかにも種類が様々ありますが、すべて合わせると「180以上のカラー、100以上のデザイン」があります。
たとえばスタンダードタイプの「JP-100」は、141色のカラーと91のパターンに対応可能です。施工方法も、ローラー・コテ・吹付けなどから選択できます。
パターンを使って模様を作るとき、おもに以下のような種類があるので参考にしてみてください。
ボーダー | ボーダー柄のデザイン |
クリフ | 砂、岩のようなざらっとした質感 |
スクラッチ | 引っかき傷のような模様に仕上がる |
ラフ | あえて粗めの模様をつけ、造形味のある装いに仕上がる |
凹凸のついたローラーで塗布することで指定した柄に仕上がったり、コテを使って独自の模様を作ったりすることができます。
そのほか、通常のパターンに消臭・抗菌機能を追加できたり、「ゼロ」というパターンではラメなどの素材を使ったりすることも可能。
以下のページで、ジョリパットのパターンと色をシミュレーションできるので、ぜひ試してみてください。
人体・環境に優しい
ジョリパットは、JIS工業規格による最高等級である「F☆☆☆☆(フォースター)」を獲得しています。
シックハウス症候群の原因となる「ホルムアルデヒド」の放散量が少なく、人体や地球環境に優しいので、安心して利用できる仕上げ材です。
寒冷地の冬でも施工できる
外壁塗装に使用する塗料は低温時に劣化します。
そのため基本的にどの塗料でも、気温が5度未満の状況で塗装することはありません。やむを得ない場合には希釈濃度を変えたり、養生をするときに採暖・換気などの仕組みを取り入れたりする必要があります。
しかしジョリパットにはマイナス6度までの施工に対応できる「ノンフリーズタイプ」があるのです。
東北や北海道などの寒冷地で、冬に建築工事・塗装リフォームを実施する際も対応可能です。
外壁にジョリパットを使うデメリット・注意点
ジョリパットには多くのメリットがある反面、いくつかの注意点もあります。価格など費用面の問題に加えて、メンテナンスに関わる注意点も含まれるため、業者に施工を依頼する前に以下の5点をチェックしておきましょう。
職人の腕次第で仕上がりが変わる
職人の手作業によって、暖かい風合いが増すことがジョリパットの魅力です。しかし逆に言えば、未熟な職人によって施工すると仕上がりが悪くなるというリスクがあります。
ジョリパット独自の工法や、専用の塗り替え材が必要になる場面も多いので注意しましょう。
業者を選ぶときには、ジョリパットの施工実績を確認し、念のためアフターケアが付いているプロを選ぶのがオススメです。
汚れやすい
ジョリパットは、ザラザラとした質感に仕上げたり、凹凸の多い質感に仕上げたりすることができます。
このようなパターンデザインにすると、溝や隙間にホコリなどの汚れが溜まってしまうので注意が必要です。汚れを放置していると、耐久性が落ちたりカビが生えたりする原因になってしまいます。
この場合、定期的な洗浄メンテナンスをして、外壁の機能を保ちましょう。
施工費用が高くなりやすい
ジョリパットは、塗装のプロが手作業で施工するので、どうしても人件費や施工費が高くなってしまいます。耐久性などの機能が充実していることもあり、費用は約4,000円~/1㎡と高めです。フッ素塗料とおおよそ同じような相場感だと覚えておきましょう。
基本的に高圧洗浄できない
ジョリパットに高圧洗浄機を使うことは、基本的に避けた方が無難です。
凹凸の多いデザインだと、凸部に高圧の負荷がかかることで、欠けたり削れてしまうことも。
またジョリパットの凹凸部分に水が溜まりやすかったり、高圧の水が内部に吸水されやすかったり、というリスクもあります。
外壁の塗り替えをする際には高圧洗浄が必要なので、ジョリパットの上から別の塗料を塗るときには、とくに注意が必要です。
ジョリパットの上から塗り替えるときの注意点
ジョリパットの上から別の塗装をするときには、アイカ工業から販売されている専用の「フレッシュシリーズ」を使うのがオススメです。
フレッシュシリーズを使って塗装すれば、ジョリパットの質感や風合いをそのまま生かしながら塗り替えできます。
もし専用塗料を使わない場合は、透湿性の高い塗料を選ぶ必要があります。高圧洗浄の見出しでも触れたとおり、ジョリパットは吸水性が高いのが特徴。
透湿性の低い塗料を使うと、塗膜とジョリパットのあいだで湿気が溜まり、膨れなどの施工不良が起こる可能性があります。
ジョリパットを使った外壁の施工費用
ジョリパットを施工するとき、パターンや工法によって値段に差が出ます。
デザインパターン | 単価(1㎡あたり) | 施工費用の相場 |
ボーダー(細流) | 4,180円 | 334,400円 |
クリフ(しっくい調) | 4,400円 | 352,000円 |
スクラッチ(ミーティア) | 5,170円 | 413,600円 |
ラフ(ビードロ) | 4,620円 | 369,600円 |
ジョリパットの施工費用は塗装業者やパターンによって異なります。
上記は一例ですが、アイカ工業株式会社が公表しているデザインパターン別の工事価格をいくつかピックアップして、80㎡(約24坪)に換算した相場です。
ジョリパットの耐用年数・メンテナンス方法は?
ジョリパットの耐用年数は15~20年が目安です。耐用年数以外にも下記のような劣化が目立ち始めたら、メンテナンスのタイミングと言えます。
- 色褪せ
- ひび割れ
- 汚れ
- カビ
それでは、ジョリパットはどのようにメンテナンスするのか、2つの方法をご紹介します。
普段の掃除は、やさしくブラシ洗い
ジョリパットに汚れがたまり始めたり、築年数がかさんできたりしたタイミングで、定期的に掃除しましょう。
前述したように、ジョリパットは高圧の水を吸水しやすいのが特徴。そのため高圧洗浄は避けましょう。
デザイン部分の凹凸が欠けないよう、力を入れずにやさしくブラシ洗いをするのがオススメです。
塗装でメンテナンス
15~20年程度で、ジョリパットは耐用年数を過ぎてしまいます。そのタイミングで塗り替えが必要です。
ジョリパットを塗り直す際は、ジョリパットに適した施工方法・塗料を選ぶ必要があります。業者に依頼する際は必ず「ジョリパットを使用している」という旨を伝えましょう。
また、市販されている塗料を使ったDIYは厳禁です。下地処理から中塗り・上塗りといった専門的な技術まで必要なので、小さな範囲の塗装であっても専門業者に依頼しましょう。
また既存の外壁を剥がして、塗装を最初からやり直すことで、今までとは違ったデザインパターンへの変更も可能です。その分、費用は高くなってしまいますが、ガラッと外観を替えたいときにはオススメです。
なかなか汚れが落ちない場合は、中性洗剤を少し薄めて使ってもOKです。この場合、外壁に洗剤が残留しているとジョリパットを傷めるため、より丁寧に水洗いして汚れと洗剤を落としきりましょう。
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ジョリパットで塗装した外壁は、温かみのある風合い、種類豊富なパターンデザインが特徴。耐久性・耐候性も高いというメリットがあります。
しかし施工する職人の腕前によって出来栄えが左右されやすい点には注意が必要です。ジョリパットを使用した実績などを確認し、アフターケアについても問い合わせておきましょう。
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