ケイカル板とは外壁や内壁、軒天などの部分によく使われる建材です。修理のタイミングや軒天をDIYで塗装するときのコツなどについて詳しく説明します。
ケイカル板とは?塗装でメンテナンスしよう
ケイカル板とは、軒天(のきてん/屋根の裏側部分で、外壁から外に出ている部分)や室内天井、外壁などに使われる建材のこと。
「ケイ酸カルシウムケイカル板」の略で、耐火性に優れている、湿気に強いなどの特徴があります。
しかしいくら湿気に強い素材とはいえ、年数とともに水を吸って劣化していくため、塗装によるメンテナンスが必要になります。
今回は、ケイカル板を塗装する時期の目安、DIYのコツ、費用の目安などについて紹介していきます。
軒天(のきてん)の役割
ケイカル板は軒天によく使用される建材です。軒天の役割は主に以下の3つ。
- 雨や紫外線を遮り、外壁の劣化や雨漏りを防ぐ
- 屋根裏の内部結露を防ぐ
- 火災の際に延焼を防止する
外気にさらされる部分であるうえ、意外と見られている部分でもあるため、定期的な塗装と修理は欠かせません。
軒天にケイカル板がよく使われる理由は、耐火性だけでなく耐水性にも優れていて、丈夫で腐りにくいためです。
ケイカル板のメリット
- 耐水性があり湿気に強い
- 腐食せず変形もしにくい
- 耐火性が高い
- 耐久性がある
建材にケイカル板を使用するメリットは大きく分けて上記4つ。雨が当たる場所でも使え、延焼防止にも役立つのが大きなメリットです。
ケイカル板のデメリット
- 汚れが目立ちやすい
- ひび割れしやすい
- やや重量がある
ケイカル板は屋外で使われることが多いため、経年劣化や雨風による汚れや色あせが起こりやすいです。
屋内で使われる場合でも、油汚れやほこりで汚れや色あせなど劣化が目立つようになるので、塗装・修繕する必要があります。
ケイカル板を修理・再塗装するタイミングは?
ケイカル板の劣化原因
ケイカル板の劣化原因となるのは、主に以下のようなものがあります。
- 紫外線
- 熱
- 雨や雪、湿気などの水分
- ほこり
- 水分の融解と凍結
軒天に使われる場合、照り返しによる紫外線の影響や雨や雪などの湿気の影響などがケイカル板の劣化につながります。
室内の利用ではコンロからの熱やほこりなどが影響します。
修理・再塗装が必要な状態は?
緊急度低:汚れや色褪せが見られる
紫外線や熱、ほこりなどによりまずケイカル板の汚れや色褪せが起こります。
軒天部分のケイカル板は直接紫外線が当たるわけではありませんが、照り返しにより徐々にダメージを受け色が褪せてきます。
またほこりや砂埃により汚れも徐々に蓄積。触ったときに粉がつく「チョーキング」という現象も起こります。
すぐに不具合が起こる段階ではありませんが、放置しておくと深刻な劣化につながります。
緊急度中:表面が浮いている
長年雨風にさらされた場合や、寒冷地で利用していた場合、ケイカル板の表面が浮いてきてしまいます。
そのまま放置すると塗装の剥がれにつながり、雨漏りの原因にも。内部に雨水がたまっている可能性も高いため、なるべく早く塗装、修理しなければなりません。
緊急度高:カビやシミがある
ケイカル板にカビやシミが発生した場合、内部に水が浸入している可能性が考えられます。
なお、雨漏りまで発生している場合は塗装だけでは対応できません。根本的な修理が必要となるため、プロに依頼しましょう。
ケイカル板塗装の費用は?【DIYの場合】
ケイカル板塗装をDIYで行う場合、費用がかさむのは主に道具代です。
面積によっても変動しますが、だいたい15,000~35,000円ほどはかかると見ておきましょう。
高圧洗浄機 | 10,000~25,000円 |
ケレン | 200円 |
マスカー | 400円 |
マスキングテープ | 200~300円 |
ブルーシート | 400~1,000円 |
下塗り用塗料(1L) | 1,000~2,000円 |
上塗り用塗料(1L) | 2,000~4,000円 |
ローラー | 300~400円 |
ハケ | 100~200円 |
下げ缶 | 100~200円 |
ザっと上記のような道具が必要となります。そのほか汚れてもよい服や、ゴーグル、雑巾なども含めると、たくさん集める必要がありますね。
ここで注意すべきことは、軒天は換気をするために穴や隙間を設けてあることが多いこと。その場合には高圧洗浄できないことが多いので、高圧洗浄機が必要かどうかは事前に調べておきましょう。
また軒天のケイカル板塗装にかかる期間は3~7日ほどが一般的です。
ケイカル板塗装の費用は?【業者に依頼する場合】
ケイカル板の塗装を業者に依頼する場合、費用はどのくらいかかるのでしょうか。
30坪2階建てを例に挙げると、おおよそ25~30万円ほどの費用がかかります。
軒天の場合は900~1,600円/m、天井の場合は2,000~3,000円/㎡ほどが相場です。塗装する箇所によっては足場費用などもプラスとなるため、足場が必要な作業はまとめて発注するとお得です。
ケイカル板をDIYで塗装する5ステップ
①清掃、高圧洗浄
まずは塗装する前に、対象部分を綺麗にしましょう。
室内の場合は、濡れ雑巾などで汚れをふき取ります。タバコのヤニのような強い汚れがない場合は、ほうきでホコリを払う程度でも大丈夫です。
屋外の場合は、室内よりも汚れがついているので、高圧洗浄機を使って綺麗にします。ただし隙間が多いタイプの軒天だと雨漏りの原因になることも多いので、事前に調べておきましょう。
②ケレン
ケレンとは、表面を削って滑らかにする作業です。汚れを落とし表面を平らにすることで、塗料がつきやすくなります。
ケイカル板表面の汚れをサンドペーパーなどで落とします。もし釘の跡などへこんでいる部分があればパテで埋め、でこぼこ面を平らにしておきましょう。
③養生(ようじょう)
塗料が他の部分に飛散しないように養生(ようじょう)を行います。養生には以下のような道具を使います。
- 養生用ポリシート:養生専門の透明なポリシート
- マスキングテープ:剥がしやすく跡が残りにくいテープ
- マスカー:養生用ポリシートとマスキングテープの機能が一体化したもの
- ブルーシート:床に塗料が飛散するのを防ぐ
また修復部分によっては、室外機や車に塗料がかかってしまう恐れも。そんなときには、以下のような便利な専用グッズがあります。
特に室内では、家具などを汚してしまわないように、細心の注意を払いましょう。
- テーププライマー:密着性を高めるために使用する粘着剤
- 室外機専用シート:室外機専用の通気性がある養生シート
- カーカバー:車を覆うカバー
④下塗り
続いては下塗り。専用の塗料を使用する点に注意しましょう。
壁際などの部分はハケを、平面の部分はローラーを使って塗ると効率的です。規定の乾燥時間に注意して作業しましょう。
下塗り塗料を塗っておかないと、密着性や耐久性が下がり剥がれの原因になってしまいます。
⑤上塗り
下塗りが十分に乾いたら、上塗り塗料を塗ります。
上塗りは2回に分けて塗るのが一般的で、1回だけで仕上げるよりもきれいに整います。
ケイカル板は平らなものが多いので、なるべく均一に濡れるよう細かい部分は先に刷毛で塗り、平面部分はローラーを使うのがおすすめ。
また、1度目と2度目それぞれで、規定の乾燥時間をとりましょう。
すべての工程が終わったら、養生を外します。塗料が乾ききる前に外すと塗料が剥がれずきれいに。
ケイカル板の塗装を成功させるコツ
塗装場所に適した塗料選びが肝心
塗料にはそれぞれ適した塗装場所があります。例えば軒天に使う場合には浸透性の高い塗料、室内天井なら抗菌作用がある塗料、などなど。
室内の場合は、においが強い油性を避けるようにしましょう。
軒天 | 浸透性の高さ | 水性塗料 |
破風ケイカル板・外壁 | 耐久性の高さ | 水性or油性塗料 |
天井・室内 | 抗菌作用・消臭効果 | 水性塗料 |
また軒天の塗装で使用される主な塗料は、以下の3つがあります。
- EP(エマルションペイント)
- AEP(アクリルエマルションペイント)
- NAD(アクリル樹脂系非水分散形塗料)
ケイカル板やベニヤ板に塗る際にはNADを選びましょう。EP、AEPに比べて耐水性が高く、ヤニ止めの効果もあります。
乾燥時間は厳守すること
ケイカル板を塗装するときには下塗り塗料、上塗り塗料ともに、きちんと乾燥させることが重要です。
外気温によって乾燥時間は変わり、気温が低いほど乾燥時間は長くなります。
乾燥前に上塗りや重ね塗りをしてしまうと膨れや縮みなどが生じてしまい、仕上がりの効果や外観を大きく損ねることがあるのです。
また塗装後に時間がたちすぎてもうまくいかないため、塗料カタログに記載されている乾燥時間を厳守して塗るようにしましょう。
ケイカル板以外にも軒天修理に使える材料はある?
木材(合板、ベニヤ板)
ベニヤ板のメリットは主に以下の3つ。
- 軽量
- 加工しやすくデザイン性が高い
- 塗装しやすい
一方以下のようなデメリットもあります。
- 耐火性、耐水性ともに低い
- 劣化しやすい
木製ならではの扱いやすさが大きなメリットですが、全体的に耐久性が低いのがデメリットです。
エクセルボード(スラグ石膏板)
エクセルボードのメリットは以下の3つ。
- 不燃材であり耐火性、断熱性が高い
- 扱いやすく加工がしやすい
- 単価が安い
メリットも多いのですが水に弱いのが大きなデメリットです。水回りにはケイカル板の方が向いています。
フレキシブルボード
フレキシブルボードは、セメントと繊維を主原料として強度と弾力性を持たせた材料です。
フレキシブルボードのメリットは以下の3つ。
- 不燃材であり耐火性が高い
- ケイカル板より耐久性が高い
- 品質が安定しており変形しにくい
ケイカル板と比べても非常に優秀な建材ですが、他の建材と比べて重いのがデメリットです。
ただ強度と耐久性が非常に高いため高層ビルなどでよく使われています。
金属板
金属板のメリットは以下の3つです。
- 軽量
- 耐火性がある
- 耐食・耐候性があり劣化しにくい
金属板のデメリットは錆びやすい点です。
錆びにくい材質を使っていても、錆びないわけではないため塗装の際は注意が必要です。
ケイカル板の「張り替え」はDIYできる?
ケイカル板の張り替えは業者に依頼しよう
ケイカル板の劣化が進んでしまったときには、張り替えという選択肢が出てきます。雨漏りしている場合には内部で劣化が進行しているので、塗装だけではどうにもなりません。
ケイカル板の塗装だけならば素人でも可能ですが、ケイカル板の張り替えはほぼ不可能。
張り替えの際には、作業する足場の設置やケイカル板自体の加工など、素人には難しく危険な作業が多いためです。
中途半端にDIYを試みて、あとから業者に頼むことになると通常より高額な費用が掛かる可能性も。
リスクも大きく難しい作業のため、ケイカル板を張り替えるならプロに依頼したほうがよいでしょう。
ちなみに工事を依頼する場合は、1mあたり5,000~10,000円くらいが相場です。
ミツモアでケイカル板塗装の見積もりを依頼しよう!
ケイカル板は10年に1回くらいの頻度で、メンテナンスが必要です。しかし今回紹介したように、DIYで塗装すると他種多数の道具をそろえる必要性があり、意外と面倒ですよね。
またよく分からないまま塗装して失敗すると、結果的に必要以上のお金がかかってしまうことも。
ミツモアでは豊富な経験と知識を持ったプロに外壁塗装の見積もりの依頼ができます。まずはプロに相談をしてみてはいかがでしょうか?