外壁・屋根塗装について調べていると、「光触媒(ひかりしょくばい)」という言葉が出てくることがあります。
また2020年以降のコロナ禍において、ウイルスに対する効果などが認知されはじめました。
この記事では光触媒コーティングについて、「普通の塗料とはどう違うの?」「光触媒で塗装するとどんなメリットがあるの?」という疑問を解消していきます。
光触媒(ひかりしょくばい)コーティングとは?
光触媒コーティングの基本的な特徴や性能、また光触媒作用の原理などを解説していきます。
光触媒コーティングの基本的な特徴
光触媒(ひかりしょくばい)コーティングの基本的な特徴を、以下にまとめます。ちなみに内装用と外装用では、塗料の性能が異なる場合もあるので、それぞれ分けています。
外装用 | 内装用 |
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外壁・屋根を塗装したうえから光触媒コーティングをすると、「超低汚染性」によって汚れが付きにくくなります。
また汚れが付いたとしても「光」を触媒することで汚れを分解し、雨水で流れるセルフクリーニング効果もあるのです。
また耐用年数が15~20年ほどあるのも特徴。同じく20年前後まで長持ちするフッ素塗料の上にコーティングすると、ほぼ「メンテナンスフリー」と言っていいほど高耐久な外壁になります。
ただし屋根用の光触媒コーティング剤は販売されていません。そのため外壁に光触媒コーティングをするときは、耐用年数がズレないように屋根にも高耐久な塗料を使うのがオススメです。
そもそも光触媒って?
これだけ高機能だと「嘘じゃないの?」と疑ってしまいたくなりますよね。そもそも「光触媒」とは、どういう作用を指すのでしょうか。
「触媒」とは、そのもの自身は変化せず、他の物質の反応を促す物質のこと。そして「光(紫外線)」を受けることで他の物質に対して触媒作用が働くものを「光触媒」といいます。
圧倒的に高い光触媒作用を発揮するのが「酸化チタン(TiO2)」(二酸化チタン)です。酸化チタンは光が当たることによって触媒作用を発揮して、さまざまな分子の結合を分解するという性質があります。
光触媒コーティングは、この酸化チタンを液化させて、塗膜の表面に塗装する施工方法です。そこへ光が当たると触媒作用がはたらき、汚れなどを分解してくれます。
普通の塗料にも酸化チタンは含まれている
塗料に使われる白色の顔料(着色料)には、酸化チタンが含まれています。
しかし普通の塗膜の中に含まれる酸化チタンは、樹脂も分解してしまうため劣化の原因に。分解された塗膜が粉となって現れ、「チョーキング現象」が起こります。
酸化チタンをコーティング剤として使うときには、樹脂を含めないので塗装表面は傷めず、汚れや有害物質だけを分解してくれるのです。
ちなみに、普通の酸化チタンの代わりに「高耐候酸化チタン」を使った「ラジカル塗料」という種類もあります。チョーキングを防ぐことで外壁を長持ちさせることができ、コストも低めです。
光触媒コーティングとあわせて、検討してみてはいかがでしょうか。
ウイルスへの効果って、どうなの?
内装用の光触媒コーティングは、抗ウイルス効果、除菌効果、消臭効果などが期待できます。そのため新型コロナウイルス対策として有名になりました。
しかし、たとえば「光触媒スプレー」の広告表示に「マスクや服に吹きつけてもOK」など記載されていても、これは誇大表現なので注意してください。実際に、消費者庁によって不当表示とされています。
ただし光触媒作用によって、新型コロナウイルスの不活性化が確認されている実験そのものは存在します。
たとえばカルテックという会社が開発した除菌機は、実用実験の結果から、光触媒によるウイルスの不活性化を確認済みです。
また東京工業大学をはじめとする研究グループの実験でも、光触媒による新型コロナウイルスの不活性化が、学問的に示されています。
外壁に光触媒コーティングをするメリット・デメリット
外壁に塗装した場合の、光触媒コーティングのメリット・デメリットを紹介していきます。
メリット1.外壁の機能が長持ちする
光触媒コーティングを施工すると、外壁に汚れがついても、光(紫外線)が当たることで分解できます。分解された汚れは、勝手に雨水で流れてくれるのです。
道路に面している家で排気ガス汚れを防いだり、湿地帯の家でカビなどの発生を防いだりしてくれるでしょう。
外壁が汚れないということは、外壁や塗膜が劣化するのを防ぐことにつながります。そのため防水性などの機能を、長く維持することが可能です。
また耐用年数が15~20年ほどあるので、小まめに塗膜を張り直す必要がなく、メンテナンスコストを抑えることができます。
ただしせっかくコーティングしても、塗膜の方が先に劣化してしまうと、結局は塗り替えが必要です。そのため、同じくらい耐久性があるフッ素塗料などを塗装しておくと、長期的にみてお得になります。
メリット2.手入れの手間が減る
外壁に光触媒コーティングを施しておけば、セルフクリーニング機能により自動的に汚れが洗い流されます。小まめな手入れの手間を軽減できることがメリットです。
太陽光を受け雨水が当たる環境であれば、ある程度の汚れなら雨水が流してくれます。セルフクリーニングでも落とせない汚れだけを気にするだけでよいため、清掃する時間がない人におすすめです。
汚れが付きやすい場所に建っている家なら、より大きなメリットとして実感できるでしょう。外壁の掃除を面倒に感じている人にも向いています。
デメリット1.料金が高い
光触媒コーティングは、普通に塗装したうえから施工します。その分だけ普通より料金が増えてしまうのです。
他の塗料に比べ耐用年数は長くなると考えられるため、長期的には得になることも多いでしょう。
デメリット2.屋根用の塗料がない
光触媒コーティングは、屋根用の製品がありません。
屋根は気候による影響を受けやすい場所なので、外壁よりも早く劣化します。そのため光触媒コーティングを外壁に塗装するときは、屋根の耐用年数とバランスがよくなるように施工する必要があります。
基本的には屋根と外壁とを同時に塗装したほうが、足場仮設や養生など、共通する施工料金を浮かせることができてお得です。
シリコン塗料 |
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フッ素塗料 |
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上の表を見ながら考えてみましょう。
たとえば外壁にフッ素塗料と光触媒コーティングをすると、20年以上の耐用年数になります。しかし屋根にシリコン塗料を使っていると、12年ほどで劣化してしまうので、そのタイミングで屋根だけ再塗装することに。
外壁が15~20年くらい耐久するなら、屋根はフッ素塗料以上のグレードで塗装するのがオススメです。およそ15~20年ほどで、屋根と外壁とをあわせて施工するタイミングがやってきます。
また屋根に遮熱塗料などを塗って、熱によるダメージを防ぐのも検討してみましょう。
デメリット3.施工場所を選ぶ
光触媒コーティングのセルフクリーニング効果は、外壁に太陽光や雨が当たらなければ発揮されません。条件を満たさない壁に塗装しても意味がないことに注意が必要です。
効果にムラが出る可能性があることも意識しましょう。日当たり具合や雨の量に差がある場合は、汚れが落ちにくい壁ができてしまうこともあります。
室内に光触媒コーティングをするメリットは?
光触媒コーティングが持つ「空気清浄」「抗菌」「抗ウイルス」などの機能は、とくに室内において効果的です。
菌やウイルスを分解し、空気清浄
居住空間での空気清浄機能を発揮できることが、光触媒コーティングの特徴のひとつです。
空気中に存在するさまざまな雑菌やウイルスが、酸化チタンの光触媒作用により不活性化します。
空気中に雑菌やウイルスが存在しやすいトイレや浴室に施工すれば、光触媒コーティングの恩恵をより強く受けられるでしょう。
雑菌やウイルスが少ない環境で過ごしたい人にとって、メリットが大きい塗料です。
消臭性が高い
臭いを消す力があることも、光触媒コーティングの魅力です。臭いの原因物質を分解してくれます。
玄関・浴室・洗面所・トイレなど、臭いが気になるスペースで消臭効果のメリットを受けられるでしょう。
施工できる場所
壁や天井
近年の光触媒はあらゆる光に反応するため、室内でも照明さえつけておけば、浄化作用の効果を得ることが特徴です。
リビングや寝室などの壁にコーティングを施工して、空気をきれいな状態に保ち続けることができます。
壁や天井には人や物が接触する機会が少ないため、コーティングが剥がれにくいこともポイントです。
浴室やトイレ
カビや汚れが発生しやすい浴室やトイレも、光触媒コーティングが適した場所です。防菌・消臭効果のメリットも受けられます。
湿気が多く皮脂汚れも付きやすい浴室は、室内でも特にカビが発生しやすい場所です。天井や壁に塗膜を作ることで、体に害を与えやすいカビ菌の増殖を抑えられるでしょう。
洗面台やシンクなど水回りの防汚・防カビにも、光触媒コーティングは高い効果を発揮します。
家具やカーテン
光触媒はあらゆる場所にコーティングできることが特徴です。毎日触れる家具類やカーテンなどの布類にも、除菌・防汚・消臭などの効果を発揮させられます。
リビングならソファーやテーブルに、子ども部屋なら勉強机やおもちゃにもコーティング可能です。車内のシートや天井に吹き付けておけば、外部から菌やウイルスを持ち込みにくい環境を作れます。
二酸化チタンはチョコレート・歯磨き粉・口紅などにも使われている物質です。人体に入り込んでも害を与えないため、子どもやペットがなめてしまうような場所にも安心して使用できます。
無光触媒にも注目!どんな塗料?
近年、無光触媒コーティングというものも登場しています。
光触媒が「光(紫外線)」を当てることで作用するのと違い、無光触媒コーティングは「光がない環境でも、光触媒コーティングと同じ効果を得ることができる」というものです。
光を触媒とするのではなく、空気中の水によって触媒反応を起こすとされています。
とくに室内向けとして、壁紙の汚れや日焼けを防止してくれるほか、暗い場所でも空気清浄機能を発揮してくれます。
とくにトイレやキッチンなどは、つねに蛍光灯をつけている場所ではありませんが、ニオイが気になる場所ですよね。
こういった場所に無光触媒コーティングをしておけば、昼夜問わず24時間、空気清浄や抗菌効果を発揮してくれるのです。
無光触媒コーティングは、「エコキメラ」という製品が代表的です。二酸化チタンに代わって「リン酸チタニア」を主成分としています。
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光触媒コーティングはさまざまなメリットがある塗料です。壁や天井に塗膜を施すだけで、除菌・防汚・消臭などの効果を発揮します。
室内なら壁・天井・浴室・トイレなどでの塗装がおすすめです。外壁塗装の塗料として選べば、セルフクリーニング効果により手入れの手間が省けます。
メリットとデメリットをよく理解した上で、人気の光触媒コーティングを検討してみましょう。
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