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外壁塗装に使うラジカル塗料とは?仕組みやメリット・デメリットを徹底解説

最終更新日: 2024年06月28日

外壁塗装を検討中に「ラジカル塗料」という言葉を耳にしたものの、「それってどんなもの?」とハテナマークが浮かんだ方が多いのではないでしょうか。ラジカル塗料がどんな塗料なのか、特徴やメリット・デメリットを解説していきます。

ラジカル塗料とは?

塗装 塗料 道具

ラジカル塗料とは、「ラジカル制御型の酸化チタン」を使用している塗料のことです。簡単に説明すると、「チョーキング現象」という劣化が発生しにくいというメリットがあります。

ちなみに「アクリル塗料」「ウレタン塗料」「シリコン塗料」「フッ素塗料」はそれぞれ樹脂の名前ですが、ラジカルは樹脂ではありません

そもそも「ラジカル」とは?

ラジカル塗料の正式名称は「ラジカル制御型塗料」です。そもそも「ラジカル」の意味が分かりにくいので、どういう塗料なのか分かりにくいですよね。

ラジカルとは、塗膜を劣化させる原因になる反応・エネルギーのことです。ラジカルが発生すると、壁が粉をふく「チョーキング現象」を起こしてしまいます。

なぜラジカルが発生するかというと、白色の顔料(着色料)に含まれる「酸化チタン」が紫外線などに反応するからです。

「ラジカル制御」って何をしているの?

ラジカル制御型塗料には、ラジカルの放出を防ぐ「高耐候酸化チタン」と、発生したラジカルを不活性化させる「光安定剤(HALS)」が含まれています

高耐候酸化チタンが「ラジカルバリア」という層を形成するので、その中にラジカルを閉じ込めます。

もしラジカルがバリア層から漏れ出ても、光安定剤が不活性化してくれるのです。

この2段階の働きによって、ラジカルが樹脂や顔料にダメージを与えることを防ぎます。その結果、塗膜の劣化を防ぐことにつながるのです。

チョーキング現象ってそんなに影響が大きいの?

チョーキング現象

ラジカルの発生を制御することで、おもに「チョーキング現象」という劣化を防ぐことができます。

チョーキング現象とは、塗膜表面を触ったときにチョーク(粉)が手に付くこと。「粉が浮くだけじゃん」と思いがちですが、甘く見てはいけません。

チョーキングでふき出す粉は、塗装表面の樹脂が分解されて防護機能を失うことで、塗膜中の材料が現れたものです。

つまり塗膜自体が粉になってふき出してきているので、塗装本来の防水性・耐候性などが著しく下がってしまいます。そしてこれらの機能が下がることで、さらなる劣化を招くという悪循環に。

チョーキング現象は、防げるなら防いでおくに越したことはないのです。

関連記事:チョーキング現象、原因と対策を徹底解説!放置せずに外壁塗装で補修しよう | ミツモア

【ちなみに】ラジカル塗料を開発したのは日本ペイント

ラジカル制御型の塗料は、2012年に日本ペイントが世界で初めて販売しました。

その後はエスケー化研や関西ペイントなど、日本の代表的な塗料メーカーも販売しています。

日本ペイントの代表的なラジカル塗料は「パーフェクトトップ」です。関西ペイントは「アレスダイナミックTOP」、エスケー化研は「エスケープレミアムシリコン」などの製品を販売しています。

参考:「ニッペ パーフェクトトップ」を新発売(2012年の記事)  | 日本ペイント

ラジカル塗料のメリット

外壁塗装 業者

ラジカル塗料を使用すると耐久性が高いだけでなくさまざまなメリットがあります。ラジカル塗料が外壁塗装にもたらす長所を紹介しましょう。

チョーキングが起こりにくい

ラジカル塗料を使用すると、塗料の経年劣化で起こりやすい「チョーキング現象」が抑えられます。

チョーキング現象の原理は、「塗膜が分解されて粉になっている」ということなので、そのまま放置すると耐久性が下がってしまいます。

劣化はどんどん進んでしまうので、早めの対処が必要です。ラジカル塗料はこの劣化を抑えてくれるので、塗装が長持ちします。

高機能ながら低価格

樹脂塗料のなかで最も耐久性に優れているのは、フッ素樹脂を使った塗料です。しかしフッ素塗料は高性能がゆえに、4,000~5,000円/㎡前後と、単価が高いというデメリットがあります。

ラジカル塗料は耐久性が高いながらも、およそ3,000~3,500円/㎡前後で施工できます。

通常のシリコン塗料よりは若干高価ですが、ほかの高機能塗料と比べると安価、という相場です。

汚れにくく、カビが発生しにくい

ラジカル塗料は美しい光沢が出るタイプです。キレイなツヤが外観を華やかにしてくれるでしょう。

汚れが付着しづらいため、塗りたてのような状態を長く保てます。ツヤなしタイプもありますが、メリットである汚れにくさはツヤありタイプに劣ってしまいます。

また防カビ・防藻性能を備えており、カビの発生や藻の付着を抑えてくれるでしょう。

ラジカル塗料のデメリット

悩む女の人

ラジカル塗料のデメリットはおもに、まだ歴史が浅いので製品や施工例が少ないという点が挙げられます。

まだ施工例や製品が少ない

ラジカル塗料が初めて販売されたのは、2012年のこと。他の塗料と比べて歴史が浅いので、ラジカル塗料を施工した事例も当然すくないのです。

もちろんメーカーによるテストには一定の信頼がおけます。しかしメーカーも全く想定していなかった事象が、数年後に報告される可能性はゼロではありません。

またラジカル制御型の製品自体が少ないので、選択の幅もおのずとせまくなってしまいます。

濃い色には対応していない

ラジカルの原因となる酸化チタンは、そもそも白色顔料に含まれています。

ラジカル塗料に含まれている「高耐候酸化チタン」もまた白色顔料なので、黒っぽい濃い色には対応していません。

というより、そもそも酸化チタンを使用していない濃色の塗料であれば、ラジカルの発生自体が起こらないのです。

ただし長期間の日射や雨が原因になって、チョーキング現象などの経年劣化は起こり得ます。そのため濃色の塗料を選ぶときは、耐候性が高い製品を選びましょう。

ラジカル塗料の種類・選び方

様々な塗料

ラジカル制御型の塗料には、どんな種類があるのでしょうか。基本的な塗料の仕組みを知っておけば、イメージがつかめるでしょう。

樹脂による違い

塗料は「樹脂」「顔料(着色料)」「その他の添加物」が合わさったものです。

この3つに分けたとき、ラジカル制御に必要な成分は「その他の添加物」にあたります。

通常であれば塗料の耐久性や性能は、樹脂の種類に依存しているので、どの樹脂を選ぶかがポイントになります。

基本的に「アクリル<ウレタン<シリコン<フッ素」の順でグレードが高くなり、耐久性が高くなります。

しかしラジカル塗料の場合、日本ペイントの代表的な製品「パーフェクトトップ」はアクリル系の樹脂を使っているのです。

ラジカル制御をすることで、通常より樹脂の影響度は低いのかもしれません。ですが、もし少しでも高耐久にしたいなら、フッ素配合のラジカル塗料を探してみてはいかがでしょうか。

参考:パーフェクトトップ | 日本ペイント

樹脂が主原料ではない「無機系」

近年は、樹脂ではなく石やレンガなどを主原料とした「無機系塗料」が採用されはじめています。

樹脂が全く使われていないわけではありませんが、あくまで無機物に樹脂を添加する形です。

無機系の塗料ならそもそも耐用年数が長く、樹脂成分が少ないので劣化しにくいのが特徴です。

この無機系塗料に、ラジカル制御技術を融合した製品があります。日本ペイントの「ニッペ パーフェクトセラミトップG」という製品です。

外壁・屋根の劣化を防ぐという意味では、ラジカル塗料と並べて検討してみてもよいでしょう。

参考:ニッペ パーフェクトセラミックトップG | 日本ペイント

油性と水性、1液型と2液型の違い

塗料の種類 油性塗料 水性塗料

ラジカル塗料に限ったことではありませんが、塗料は「油性と水性」「1液型と2液型」の違いがあります。

  • 油性:シンナーなどの有機溶剤で塗料を希釈する
  • 水性:水で塗料を希釈する
  • 1液型:塗料と希釈剤だけで使用する
  • 2液型:塗料と希釈剤のほかに、硬化剤が必要

カンタンに違いをまとめると、扱いが難しいのが油性と2液型、比較的施工しやすく安価なのが水性と1液型です。

ただしどの種類を選ぶかは、下地の素材に影響されます。モルタル外壁と金属外壁とでは、相性のいい塗料も異なるのです。

基本的には油性の2液型であれば、どこにでも施工でき、耐久性も高い傾向があります。

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この記事では、ラジカル塗料について仕組みや性能、メリット・デメリットなどを解説してきました。

チョーキング現象を防ぐことは、樹脂の分解を防ぐことと同義です。ラジカル塗料を使えば、塗膜が分解されるリスクを抑えることにつながり、外壁・屋根を長持ちさせることができます。

とはいえラジカル塗料にも種類があり、どの塗料を選ぶべきかは下地素材などによって異なります。

ラジカル塗料を使った施工事例はまだ少ないので、実績がある業者と相談しながら、自宅に最適な塗装を施しましょう。

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