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相続財産調査を依頼する費用は?専門家に依頼するメリットも紹介

最終更新日: 2023年09月21日

相続財産調査を専門家に依頼するなら、費用相場を事前に把握しておきましょう。依頼先によって費用相場は異なるため、相続財産調査以外に何を依頼したいのか考えることが大切です。相続財産調査を専門家に依頼するメリットや、調査を行う理由を解説します。

【専門家別】相続財産調査を依頼する費用

専門家に相続財産調査を依頼する場合の費用相場は、依頼先により大きく異なります。対応できる領域が専門家ごとに異なるため、状況に応じて依頼先を選ぶことが重要です。相続財産調査を依頼できる専門家と、それぞれの対応業務範囲や費用相場を紹介します。

行政書士

行政書士は公的書類を作成する専門家です。相続財産調査を行政書士に依頼する場合、費用相場は数万円~と考えましょう

相続財産調査以外の業務としては、自動車・有価証券の名義変更や預貯金の解約払い戻し手続き、遺産分割協議書の作成が例として挙げられます。

他の専門家に比べて費用が低めに提示されるケースが多いため、相続手続きについて最初に相談する専門家としておすすめです。ただし行政書士が対応できない業務は、他の専門家に依頼する必要があるため、依頼内容次第では割高になる可能性があるでしょう。

税理士

税理士に相続財産調査を依頼する場合の費用相場は、遺産総額の約0.5~1.0%です。税の専門家である税理士には、相続税の申告代行という独占業務があります。

相続税の計算・申告を代行してほしい人や、相続税の節税についてアドバイスを受けたい人は、税理士に相続財産調査を依頼するといいでしょう。

一方で遺産分割協議や名義変更など、専門領域以外の業務の代行はできません。確実に相続税の申告が発生すると考えられるケース以外は、他の専門家に依頼した方がよいでしょう。

司法書士

司法書士は登記の専門家です。不動産の登記手続きをはじめ、相続手続きを幅広く代行してくれます。司法書士に相続財産調査を依頼する場合の費用相場は、約10万~30万円です

司法書士は登記手続きの一環として、相続財産調査以外に戸籍調査や遺産分割協議書の作成も代行できます。相続放棄に必要な手続きを依頼することも可能です。

弁護士以外の専門家の中では、司法書士が最も幅広い領域の相続手続きを行えます。他の相続人とトラブルになっていないのであれば、司法書士に依頼するといいでしょう。

弁護士

弁護士には相続手続きのほぼ全てを依頼できます。行政書士・税理士・司法書士の専門業務を、弁護士であれば一括でまかなえるためです。相続財産調査を弁護士に依頼する費用相場は、約10万~30万円と考えましょう

相続手続き代行における弁護士の大きな特徴は、遺産分割協議の代理人になれる点です。他の相続人とのトラブルが予想されるケースで、弁護士は代理人として相手と交渉したり、遺産分割調停や裁判で代理人になったりできます。

相続手続き全般を専門家に一括で任せたい場合や、相続人同士の意見が合わない場合は、弁護士に依頼するのが適しているでしょう。

銀行

相続財産調査は銀行に依頼することも可能です。銀行なら相続手続きの全てを代行してくれるほか、相続に伴う金融機関内での手続きも、スムーズに進みます

ただし相続手続きを銀行に依頼する場合、実際に業務を行うのは銀行から依頼された各専門家です。専門家への報酬に加えて銀行への仲介手数料が発生するため、費用相場は約100万円~と高額になります。

相続手続きにお金をかけたくない人や、手続きを選んで代行を依頼したい人は、銀行ではなく各専門家に依頼するとよいでしょう。

相続財産調査を専門家に依頼するメリット

相続財産調査は自分で行うのではなく、専門家に依頼するのがおすすめです。調査を専門家に代行してもらうメリットを確認しましょう。

相続手続きに要する手間を省ける

相続財産調査ではさまざまな書類を集める必要があります。必要書類を一括で取得できる場所はなく、場合によっては全ての書類を集めるのに、数カ月かかるケースもあるでしょう。

仕事をしている人が書類を集める場合、仕事の合間に手間をかけて関係各所から取り寄せなければなりません。しかし相続財産調査を専門家に依頼すれば、手間がかかる資料収集を専門家に丸投げできます

相続財産調査の手続きのやり方が分からない場合も、専門家に任せれば、自分でやり方を調べる手間を省くことが可能です。

期限内に正確な手続きを行える

相続手続きは複雑かつ専門性が高いため、自分で行うとミスが発生しかねません。期限に間に合わなかった場合、相続税を余計に納めなければならなくなる可能性もあります。

相続放棄を検討しているケースでも、手続きに時間をかけていると、相続放棄の期限である3カ月に間に合わない恐れもあるでしょう。

一方で相続財産調査を専門家に依頼すれば、期限内に正確に手続きを進めてくれます。一定期間内に調査が必要な場合も、確実に業務を進めてもらえる専門家に依頼すれば安心です。

相続財産調査を行うべき理由

そもそもなぜ相続財産について調査する必要があるのでしょうか。相続財産調査を行うべき主な理由について解説します。

税金を滞納してしまう恐れがあるから

相続財産の内容次第では、相続人が相続税を支払わなければならなくなるケースがあります。正しい相続税額を申告するためには、調査による正確な財産の把握が不可欠です。

相続税の申告を誤ると、ペナルティを支払う必要が生じる可能性があります。税額の申告が少なければ過少申告課税、期限内に申告できなければ無申告加算税を納めなければなりません

税金を滞納してしまうリスクを回避するためにも、きちんと相続財産調査を行う必要があるのです。

故人の借金を背負うリスクがあるから

故人が遺した財産はプラスの財産だけとは限りません。相続人の誰も把握できていない、マイナスの財産が存在する可能性もあります。

マイナスの財産を把握できていなければ、借金を背負う事態にもなりかねません。相続放棄をすれば借金を引き継がずに済みますが、期限を過ぎると相続放棄もできなくなります。

相続財産調査で故人の借金について正確に把握することで、相続放棄の判断をしやすくなるのです。

他の相続人とトラブルになりかねないから

複数の相続人で遺産分割協議を行う場合、協議後に新たな遺産の存在が発覚すると、相続人同士の信頼関係が損なわれてトラブルに発展する恐れがあります

また遺産分割協議においては、相続人全員が遺産を正確に把握することが重要です。遺産の内容を知らない相続人がいると、不公平感を抱かれてしまいかねません。

相続財産調査を行っておけば、これらのリスクにも対処できます。調査により財産目録が作られると、相続人全員に財産が周知される点もポイントです。

【財産の種類別】相続財産調査の方法

故人の財産をまったく把握できていない場合は、地道な調査が必要です。相続財産調査の方法を財産別に紹介します。

預貯金

故人の預貯金があるかどうかを調べる場合、まずは利用していた金融機関の特定を行います。通帳・キャッシュカード・郵便物などから、手がかりを見つけなければなりません。

故人が利用していた金融機関を特定できたら、次に金融機関で残高証明書を発行してもらいます。金融機関の窓口に行けない場合は、郵送での発行依頼も可能です。

金融機関に口座があることが分かった場合は、通帳の記帳も行いましょう。故人が生前に取引していた相手を把握できるため、他の財産を調査する際に役立ちます。

不動産

故人が不動産を所有していた場合、故人宛に何らかの書類が届いているはずです。固定資産税の納税通知書や、登記識別情報通知などがないか調査します

固定資産税の納税通知書が見つかったら、地番や家屋番号を確認し、法務局で登記簿謄本を取得します。課税対象になっていない不動産は、登記識別情報通知で確認が可能です。

不動産関連の書類が見つからないケースでは、市区町村役場で名寄帳を申請すれば、不動産の存在が分かる可能性もあります。名寄帳では課税・非課税不動産を把握できるほか、複数で所有している不動産の確認も可能です。

有価証券

株式や債券などの有価証券について調査する際は、残高通知や取引案内が届いていないか確認します。書類が見つからない場合は、証券保管振替機構に問い合わせれば、口座の開設先を把握することが可能です。

有価証券に関する手がかりが見つかったら、取引があった機関で残高証明書を発行してもらうことで財産を把握できます。

ネット証券を利用していた場合、書類が届かないケースがある点に注意が必要です。故人の生前の行動から調査する範囲を考慮し、機関を特定する必要があります。

借金

故人の借金は信用情報機関に情報開示を求めることで、把握できます。借入先ごとに信用情報の登録先が異なるため、開示手続きが可能な全ての機関で、情報を開示してもらうのがポイントです。

個人間の貸し借りや保証債務については、信用情報機関に情報が登録されるわけではないため、確実な調査方法がありません。書類や人間関係を手がかりに、地道な作業を行う必要があります。

故人の借金が見つかったら、借入先に残高を開示してもらい、借入額を確認しましょう。相続放棄を行う可能性があるため、借入先に返済の約束をしないようにすることが重要です。

なお住宅ローンの残債がある場合、団体信用生命保険に相談すれば、残債を完済できる可能性があります。

専門家別の相続財産調査費用を把握しよう

相続財産調査を依頼する費用は、専門家ごとに異なります。相続財産調査以外に何を依頼したいのかを考えることが重要です

相続財産調査を行っておけば、税金を滞納するリスクを回避できます。故人の借金を把握できる点や、他の相続人とのトラブルを防げる点も、相続財産調査を行うべき理由です。

相続財産調査を専門家に依頼すれば、相続手続きの手間を省けるほか、期限内に正確な手続きを進められます。専門家別の相続財産調査費用を把握し、状況に合わせて依頼しましょう。

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