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婚約破棄の慰謝料の請求はできる?相場や請求手続き方法をチェック

最終更新日: 2024年06月28日

婚約していた相手から一方的に婚約を破棄され、慰謝料を請求したいと考えている人もいるかもしれません。特に、金銭的な損害が生じているならなおさらです。婚約破棄の慰謝料請求や金額相場、具体的な方法を解説していきます。

婚約の意義をおさらい

婚約指輪

まずは婚約についての、正しい知識をおさらいしましょう。婚約の意義と婚約破棄の法的責任を解説します。

婚約とは

婚約とは2人が将来夫婦になることを約束することです。ただし婚約について法律上の定義は存在しません。そのため「結婚しよう」と口約束をしただけでも、婚約をしたといえます。

しかし時には、婚約破棄のようなトラブルが発生した際は、婚約の事実があったことを証明する必要に、迫られることがあります。

その場合は結婚指輪や婚姻届などの物的証拠が、重要な証拠になるでしょう。加えて婚約したことを第三者が知っているか、一緒に生活するための準備がなされていたかなどの事実を、総合的に加味して、婚約の事実があったかどうかが判断されます。

婚約破棄の法的責任とは

婚約破棄とはどちらかが一方的に、婚約を取り消すことを指します。似た言葉に「婚約解消」がありますが、こちらは双方合意の上で、婚約を取り消すことです。

婚約をしても婚姻をする義務は発生しないので、婚約後に夫婦として生活できないと判断した場合は、取り消すことができます。一番望ましいのはお互いに合意して、婚約を解消することですが、中には相手が応じないケースもあるでしょう。その場合は婚約破棄の形を取ることになります。

その際に正当な理由がなく、一方的な都合で婚約を破棄された場合は、相手に慰謝料を請求できる可能性があります。逆に相手に重大な過失があり、婚約を破棄することに正当な理由が認められる場合は、破棄した側から慰謝料を請求することも可能です。

婚約破棄の慰謝料請求

話し合うカップル

婚約には法的な定めがないものの、場合によっては慰謝料を請求できるケースがあります。婚約破棄によって慰謝料を請求できるケースや、払わなくてもよいケースなどを解説します。

慰謝料を請求できるケース

婚約破棄によって慰謝料を請求できるのは、正当な理由がなく、相手の都合で一方的に婚約を破棄された場合です。具体的には、以下のケースが挙げられます。

  • 相手が不貞行為を働き、その相手との交際を望んでいる
  • 結婚する気がなくなった
  • 親に結婚を反対された

ただし「結婚する気がなくなった」など、一見勝手な都合に見える場合でも、深堀りすると実は正当な理由であるケースも、あります。例えば相手に精神的に苦痛を与えられ、好きという気持ちがなくなった場合です。

そのため相手が婚約破棄を申し出た場合には、詳細な理由を聞くことが重要でしょう。

請求されても払わなくてよいケース

婚約破棄をした側が慰謝料を請求されても、払わなくてよいケースがあります。具体的には以下の場合です。

  • 婚約した事実が確認できない
  • 婚約破棄をする正当な理由がある

婚約は口約束でも成立します。しかしその事実を証明するには、実態が伴っている必要があります。具体的には婚約指輪を買っていることや妊娠していること、寿退社が決まっている場合などです。

これらの事実がなければ、客観的に婚約をしていたとはいえず、それゆえ慰謝料を請求されても払う義務は生じません

また相手に重大な過失があった場合も、婚約破棄をしても慰謝料を払わなくてよいとされています。具体的にはDVやモラハラ、不貞行為などが挙げられます。

悪質な経歴詐称や性的不能も、正当な理由として認められるでしょう。このような場合、婚約を破棄することが妥当と判断され、慰謝料を払う必要がありません。

慰謝料請求に時効はある?

婚約破棄に限らず、慰謝料の請求には時効があります。婚約破棄の場合は、基本的に3年か5年で請求権が消滅します。慰謝料の請求を考えている場合は、早めに行動することが重要です。

時効が3年と5年で分かれているのは、婚約破棄の理由が不法行為なのか、債務不履行なのかによって解釈が分かれるためです。一般的には婚約破棄の慰謝料の請求は、5年間有効とされていますが、確実に権利を行使するなら、3年以内に請求することが望ましいでしょう。

参考:民法第百六十六条|e-Gov法令検索

婚約破棄の慰謝料相場

札束

婚約破棄の慰謝料をいくら請求できるのか、気になっている人は多いでしょう。婚約破棄の慰謝料相場を解説します。

数10万から数100万円と幅広い

婚約破棄の慰謝料の相場は、数10万~数100万円と幅広くなっています。これは婚約の破棄によるダメージが、人によって異なるためです。

例えば寿退社をしていたり、妊娠していたりする場合は、婚約破棄によるダメージが大きいでしょう。その場合、慰謝料が100万円を超えるケースも珍しくありません。

慰謝料の金額は、その人の精神的苦痛をお金で表したものであるため、一律で定めるのは難しくなっています。

慰謝料が高額になるケース

慰謝料が高額になるケースには、以下が挙げられます。

  • 婚約期間が長く、これから新しい相手を見つけるのが困難
  • 妊娠・出産をすでにしている
  • 寿退社済みでキャリアを失った
  • 不貞行為を働かれた

上記はいずれも悪質な行為であり、相手への精神的ダメージが大きいと考えられます。特に妊娠・出産、寿退社済みの婚約破棄は、これからの人生にも大きな影響を与えるでしょう。それゆえ慰謝料も高くなる傾向にあるのです。

婚約破棄の慰謝料を請求する方法

ポイント

不当な理由で婚約破棄をされた場合に、慰謝料を請求する方法を解説します。慰謝料の請求を検討している人は、ぜひ参考にしましょう。

婚約破棄の証拠を集める

慰謝料を請求するには、第一に婚約があった事実を、客観的に証明する証拠が必要です。まずは結婚指輪や婚姻届けなど、物的証拠を集めましょう。

加えて結婚式の予約履歴や第三者の証言、物件の問い合わせ履歴など、二人暮らしをする準備をしていたことを証明する事実が、有効です。

次に婚約破棄をする理由を、相手に確認しましょう。相手が話したがらない可能性も考えられますが、できるだけ聞き出すことが重要です。

婚約破棄をする理由に正当性がないと確認が取れた場合は、集めた証拠とともに、慰謝料の請求に向けて動き出しましょう。

相手へ慰謝料請求の意思を伝える

慰謝料を請求するには、相手にその旨を伝える必要があります。一番早くて穏便な方法は、口頭または書面で相手に慰謝料を請求する方法です。感情的にならないよう、両親を交えて話し合うのもよいでしょう。

しかし上記のように解決するケースはまれです。相手が慰謝料の支払いに応じない場合は、弁護士を通じて、調停や訴訟を起こすという方法もあります。

行政書士などプロに依頼する方法も

書面で慰謝料を請求するには、内容証明郵便を作成する必要があります。法律の観点から、婚約破棄について整理できる点がメリットですが、素人が作るのは難しいでしょう。

そのような場合は、行政書士など書類作成のプロに依頼する方法があります。費用はかかりますが、行政書士であれば、比較的安い費用で依頼できるケースが多くなっています。

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新しい出会いを探す前のけじめにしよう

悩む女性

婚約に法律上の定義はないものの、悪質な婚約破棄が発生した場合は、慰謝料を請求できることがあります。金額は精神的なダメージの大きさによって異なり、相場は数10万~数100万円になるケースとさまざまです。

慰謝料を請求するには相手に告知をする必要がありますが、内容証明郵便の作成は行政書士などの、プロに任せるのがおすすめです。まずはミツモアで、情報収集をしてみましょう。

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