ホームセンターなどで販売されているエアコン掃除スプレーは手軽にエアコン内部の掃除ができます。
しかし使い方を間違えると故障や火災などの重大なトラブルの原因になります。
エアコン掃除スプレーの使用がおすすめできない理由と使うときの注意点、業者に頼むべき理由を解説します。
エアコン掃除スプレーがおすすめできない4つの理由
エアコン掃除スプレーは指示通りに使えば手軽に内部の掃除ができる便利なツールです。
しかしエアコンメーカーは掃除スプレーの使用を推奨していません。
それには4つの理由があります。
エアコン内部を自分で掃除するのはリスクが高い行為であるとまずはご認識ください。
内部に洗浄液が残り健康被害を受けるリスクがある
最も起こりやすいトラブルがエアコン内部に洗浄液が残ってしまうことです。
洗浄液が内部に留まってしまうと、液体が乾燥するにしたがって高濃度の洗浄成分が空気中に漂いアレルギー反応などの原因になるので注意が必要です。
また洗浄液がカビの温床となることもあります。
カビも人体に悪影響を与えるのでエアコン洗浄スプレーの使用はリスクが高いと言えます。
パーツの破損・電気部品の故障につながりやすい
エアコン内部のパーツには水濡れ厳禁のものもあります。
プロがエアコンクリーニングを行うときは水濡れ厳禁のパーツはしっかりと養生を施し、濡れないようにしてから作業を行います。
しかしエアコンに関する知識を持たない人ではどのパーツが水濡れ厳禁で、どのように養生すればよいか分からないでしょう。
結果、濡らしてはいけないパーツにスプレーを噴霧し故障させてしまうなどのリスクがあります。
内部の目詰まりを起こし水漏れ等トラブルが発生する
エアコン内部に洗浄液が残ってしまうと、ホコリが水分を吸って粘性の高い汚れになります。
水分を吸った汚れが内部に詰まってしまうと、結露水をうまく排出できなくなり水漏れの原因になります。
また流しきれなかった汚れやホコリはカビの栄養源になるので、カビをきれいにするはずがかえって繁殖させてしまい逆効果です。
内部にアルコール成分が残ることによる火災リスク
エアコン洗浄スプレーの中にはアルコール成分が含まれていることがあります。
手指の消毒などにも使われる身近な成分ですが、誤った使い方をすると簡単に引火するのが特徴です。
またアルコール成分を含む洗浄液がエアコン内部の部品を溶かして劣化させると、ホコリと通電部分が接触して火災が発生するトラッキング現象を引き起こします。
エアコン掃除スプレーの選び方
エアコン掃除スプレーを選ぶときは以下に挙げるポイントに注意してください。
使用目的にあったスプレーを選ばないと故障などのトラブルが発生する可能性があります。
購入する前に必ずチェックしましょう。
掃除したいパーツに適したスプレーを選ぶ
エアコン掃除スプレーとひとことで言っても、掃除したいパーツによって適している製品は異なります。
たとえばフィルターの掃除をしたいのに、冷却フィン用のスプレーを買っても効果が薄くなるのは当然のことです。
同じシリーズ名でフィルター用、ファン用と別れていることもあるので購入時には自分が掃除したいパーツ向けの製品かをよく確認しましょう。
選ぶ基準①:中性かアルカリ性か
中性 | アルカリ性 | |
---|---|---|
洗浄力 | おだやか | 強い |
効果的な使い方 | どんな掃除にも使える | カビ取り |
肌荒れのリスク | 低い | 高い |
エアコン洗浄スプレーを選ぶときに判断基準となるのが、洗浄液が中性かアルカリ性かという点です。
中性の洗浄液は洗浄力が控えめですが、万が一肌に触れたときにも肌荒れが起きづらいです。
アルカリ性は特にカビの除去に優れますが、肌荒れなどのリスクがあります。
使用上の注意をよく読んで、適切な保護道具を用意してから使用するようにしましょう。
選ぶ基準②:消臭成分が配合されているか
エアコンフィルターへの生活臭の付着を予防したいのであれば消臭成分入りのものを選びましょう。
消臭成分として有名なものが銀イオン(Ag+)です。
銀イオンでの消臭メカニズムは、臭いのもととなる微生物からマイナスイオンを奪って無害化するというものです。
アルコールや塩素系の除菌・消臭とは異なり効果が優しく、人体への危険性が低いという特徴があります。
選ぶ基準③:防カビ成分が配合されているか
エアコン内部は高温多湿で栄養があるのでカビが繁殖しやすい環境です。
防カビ成分が配合されているエアコン掃除スプレーを利用すれば、カビの繁殖抑制が期待できます。
様々な種類の防カビ成分配合スプレーが販売されているので、防カビ成分だけでなくスプレーの使いやすさなどを鑑みて自分にあったものを購入しましょう。
おすすめのエアコン掃除スプレー4選
部位別におすすめのエアコン洗浄スプレーをご紹介します。
使いやすく購入しやすい価格のものを中心にチョイスしました。
実際に使うときの参考になれば幸いです。
フィルター用クリーナー「アミライト」
泡で汚れを浮かすのでこすり洗いをしなくても汚れが取れます。
除菌やカビ除去効果があるほか、フィルターについた花粉も取り除けるので使用後はさわやかな気分でエアコンを使えるでしょう。
冷却フィン(熱交換器)クリーナー「エアコンクリーナー Ag消臭プラス」
掃除をするならカビ臭さへの対策が必須といえるでしょう。
おすすめはコパ・コーポレーションの「エアコンクリーナー Ag消臭プラス」です。
pH12.5の電解アルカリ水に消臭成分の銀コロイドが配合されています。
界面活性剤や酸、リンなどを使っていないので幅広く使えます。
冷却フィン(熱交換器)クリーナー「らくハピ エアコン洗浄スプレー Nextplus」
無香性のほか、フレッシュフォレストの香り、エアリーフローラルの香りがあるので好みに合ったものを使えます。
液性は中性なのでエアコン本体を痛めにくいのが嬉しいポイントです。
ファンクリーナー「くうきれい エアコンファン洗浄剤」
ムース剤とリンス剤の2液を使い、洗浄力が高いのが特徴です。
1セットで6~8畳モデルのエアコン1台を洗浄できます。
エアコン掃除スプレーを使って自分で内部を掃除する手順
エアコン掃除スプレーを使って内部清掃をする手順を確認しましょう。
スムーズに掃除をするためには手順を知っておくことが重要です。
掃除に着手する前に全体の流れを確認し、使う予定のエアコン掃除スプレーの使い方や注意事項をチェックしておきましょう。
窓を開けて換気をする
エアコン洗浄スプレーには可燃性のガスが使われています。
閉め切った室内で作業をすると気分が悪くなる可能性があるので、必ず窓を開けてから掃除をしましょう。
アレルギー発症などを防止するために、マスクやゴーグル、ゴム手袋を用意しておくと安心です。
エアコンの電源を切りプラグを抜く
エアコンの電源をオフにし、電源プラグを抜いてください。
掃除をしている間に誤って運転が始まってしまうと大けがや事故の原因になります。
面倒なように思えても必ずコンセントを抜き、エアコンに電気が流れないようにしましょう。
本体カバーを外す
冷却フィンにまんべんなくスプレーをするためには本体カバーを外しましょう。
機種によって細かいやり方は異なるものの、おおむね以下の手順でカバーは外せます。
- 本体カバーを固定するネジを外す
- 冷却フィンにひっかかっているツメを外す
- 本体カバーを手前に引く
本体カバーを外すと冷却フィンがあらわになります。
繊細な部品なので指で押したり、掃除道具をぶつけたりしないよう注意してください。
エアコンの周辺を養生する
洗浄液や汚れがエアコン周辺を汚さないように養生をしましょう。
本体カバーを外して掃除をする場合は、エアコン右側の電線などが通っている電装部分が濡れないようにしっかりと養生してください。
万が一汚水が漏れてしまったときのために、エアコンの下に新聞紙やビニールシートを敷いておくと安心して作業できます。
エアコンフィルターを掃除する
はじめにエアコンフィルターを掃除します。以下の手順で行いましょう。
- フィルターを外す前に掃除機で表面のホコリを吸う
- 浴室やベランダなどでフィルター用スプレーを吹きかける
- スプレーの泡が消えるまで置く
- 洗浄液を洗い流す
- 古タオルなどで優しく抑えるようにして水気を取り除き風通しの良い日陰で半日~1日ほど干す
- 完全に乾燥したらエアコンに取りつける
エアコンフィルターのお手入れ方法については関連記事もご確認ください。
冷却フィン(熱交換器)を掃除する
冷却フィンの掃除はフィルターを外した状態で行います。以下の手順で行ってください。
- ブラシノズルをつけた掃除機やハンディモップでフィンについているホコリを払う
- 表面のホコリを取り除いたらフィン用掃除スプレーを噴霧する
- スプレーが完了したら汚れなどは自然と排出される
ここでの注意点は3つです。
フィンは非常に変形しやすいので、道具を押し当てたり力を込めたりしないよう注意してください。
スプレーを噴射するときはフィンの目に沿って上下に動かしましょう。
冷却フィンから5cmほど離れた位置から、スプレーを使い切るまでまんべんなく噴射します。
スプレーが終わったら洗浄液や汚れはドレンホースから自然と屋外に排出されるのでやることはありません。
送風ファンを掃除する
送風ファンは以下の手順で掃除します。
- 汚水受けの養生をする
- 送風ルーバーを手で開き吹き出し口からスプレーを噴射する
- ファンを5~6回回転させながらスプレーをする
- 洗剤を浸透させるため30分ほどつけ置きする
- リンス剤(中和剤)で洗浄剤を洗い流す
- リンス剤が養生のビニールに垂れなくなるまで1~2時間ほど待つ
- 送風運転で内部の水分を乾燥させる
手順4のときは洗剤を浸透させている間も何回かファンを回すことでより効率よく洗浄できます。
またリンス剤がないタイプの洗浄剤を使う場合は、霧吹きなどをつかって水洗いで流し出しても問題ありません。
ドレンホースを掃除する
エアコン本体(室内機)ほどまめに手入れをする必要はありませんが、半年に1度ほどは掃除しておくと良いでしょう。
ドレンホースは専用のクリーナーを使うと簡単に掃除ができます。
つまりが深刻でなければ吸い込み口に手ぬぐいやガーゼをつけた掃除機で吸い出すことでも掃除できます。
エアコン掃除スプレーを使うときの注意点
エアコン掃除スプレーを使って自力でエアコン掃除をするときには5つの注意点があります。
注意点を理解したうえで掃除を行いましょう。
故障しても自己責任である認識を持つ
エアコンメーカーは故障リスクが高いとして、エアコン掃除スプレーの使用を推奨していません。
フィンや送風ファンなどエアコン内部にあるパーツの洗浄をするには分解しなければなりません。
分解はできても元に戻せなかったり、電装パーツにスプレーをかけてしまったりなどトラブルが多いです。
エアコン掃除スプレーを使って掃除をするのであれば、故障しても自己責任であることを強く意識してください。
電装部分に薬剤がかからないようにする
配線などが通っている電装パーツは水濡れ厳禁のパーツです。
もし電装部にスプレーがかかってしまったら故障だけでなくショートによる異常発熱や発火などのリスクもあります。
安全に掃除をするためには電装部分に液体がかからないよう、適切に養生を施さなくてはなりません。
スプレーの成分を確認する
スプレーの成分や液性によってはエアコンパーツを破損させてしまうことがあります。
たとえばエコ洗剤として有名な重曹やセスキ炭酸ソーダはアルミなどの金属を腐食させてしまいます。
冷却フィンはアルミ製なのでフィンの掃除に重曹などのアルカリ性の洗剤は使わないようにしましょう。
使用量を守って使う
エアコン掃除スプレーは取扱説明書通りに使ったときに最も高い効果を発揮します。
より多くの汚れを落としたいからといって、たくさんの洗浄液を吹きかけてもエアコン内部でつまりを起こす結果になることがほとんどです。
指示書に書いてある通り、使用量を守って使うことが大切です。
洗浄後は十分に乾燥させる
カビが繁殖する条件の1つが湿度です。
エアコンを洗浄したあとは十分に乾燥させて、湿度が高くなりすぎないように注意しましょう。
特に注意が必要なのはフィルターです。
フィルターは風通しの良い日陰で乾かし、装着後には15分ほど送風運転をおすすめします。
エアコン掃除をプロに依頼するべき理由
エアコンの掃除を市販のスプレーではなく、エアコンクリーニング業者に頼むべき理由をご紹介します。
エアコン掃除を市販のスプレーで行うときは、洗浄スプレーだけでなく養生資材も必要です。
養生資材の例
- ゴミ袋(45リットル以上)
- 養生テープ
- 新聞紙
これらの資材のほか、薬剤から手肌を保護するゴム手袋やマスク、ゴーグルなど細々とした必要なものがあります。
自分でエアコンの内部掃除をするときに必要なものと金額をまとめると以下の通りです。
アイテム名 | 金額の目安 |
---|---|
フィルター用洗浄スプレー | 980円/本 |
フィン用洗浄スプレー | 668円/本 |
ファンクリーナー | 2,145円/1セット |
ゴミ袋 | 470円/50枚 |
養生テープ | 284円 |
新聞紙 | 0~160円/1部 |
ゴム手袋 | 999円/50枚 |
マスク | 650円/52枚 |
ゴーグル | 998円/個 |
合計金額 | 7,354円 |
エアコン掃除スプレーを使って掃除するときの費用目安が出たところで、エアコンクリーニング業者に依頼したときとの違いを確認しましょう。
エアコン掃除スプレー | エアコンクリーニング業者 | |
---|---|---|
費用 | 7,354円~ | 7,000円~ |
作業時間 | 2~3時間ほど | 60~90分ほど |
洗浄力 | 市販品のため低い | 強力で隅々まできれいになる |
費用や作業時間、洗浄力と複数の観点から見てもエアコンクリーニング業者に依頼してエアコン内部を洗浄してもらった方がコストパフォーマンスが高いと分かります。
業者に依頼すれば洗浄時の故障リスクも低く、万が一壊れてしまっても損害補償サービスで修理費用を補填してもらえることもあります。
プロのエアコンクリーニングを受けるとエアコンの隅々まできれいになるので、その状態からカビ予防策を行うときれいな状態を保てます。
プロのエアコンクリーニングを受ける頻度や料金相場については関連記事をご覧ください。
エアコンクリーニング業者選びは相見積もりで比較を
エアコンクリーニング業者を探すときは必ず相見積もりをとって、サービスと料金を比較しましょう。
同じエアコンクリーニング業者というくくりであっても、特定のメーカーに特化して技術を磨いている業者もいればオールマイティに対応できる業者もいます。
地域のエアコンクリーニング業者を簡単に探せるミツモアで相見積もりを取り、自分に合ったプロを見つけましょう。