エアコンの吹き出し口の周辺に黒い粉や塊が落ちているのを見たことはありませんか?
エアコンから出る黒い粉や塊、粒は放置しておくと思わぬトラブルを引き起こす可能性があります。
本記事ではエアコンから出る黒い粉の正体や対処法について、プロの知見を交えて解説します。
世界一謙虚なおそうじ屋さん - 東京都世田谷区喜多見
※記事全体の監修ではありません。
エアコンから出る黒い粉・塊の正体とは?
エアコンの吹き出し口に黒い粉が付着していたり、エアコンの下に黒い塊が落ちていたりすると正体が気になりますよね。
エアコンの周辺に発生する黒い物体の形状は、粉、塊、粒の3種類に分けられます。
形状によって正体や発生する原因、必要な対処法が異なるのでご注意ください。
黒い粉や塊の正体:カビとホコリ
エアコンから出る黒い粉や塊の正体は内部に溜まった黒カビとホコリです。
エアコン内部はカビが繁殖するうえで理想的な環境です。
内部で繁殖した黒カビが水分を吸ったホコリを絡まって黒い粉や塊状のゴミになります。
黒い粉や塊を出さないようにするには、カビを生やさないようにすることが重要です。
エアコン内部のカビ防止に効果的な対策は以下の3つです。
- エアコン内部を乾燥させる
- こまめにフィルターを掃除する
- 定期的にエアコンクリーニングを依頼する
詳細は「エアコンから黒い粉を出さないようにする予防策」で解説します。
黒い粒の正体:ゴキブリのフン
エアコン周辺に1~4mmほどの大きさの小さな黒い粒が落ちている場合、内部にゴキブリが住んでいる可能性が高いです。
エアコン内部は暗く、湿度が高く、さらにホコリなどの栄養が豊富です。
カビだけではなくゴキブリにとっても魅力的な環境なので、エアコン内部にゴキブリが住むことはそれほど珍しくありません。
エアコン内部にゴキブリが住んでいるからといって、吹き出し口に直接殺虫剤を噴射してはいけません。
水濡れ厳禁パーツに薬剤がかかり故障の原因になります。
ひとまずエアコンからゴキブリを追い出すにはバルサンなどの燻煙剤が効果的です。
吹き出し口を開いておくとエアコン内部にバルサンの成分が侵入しやすくなり、ゴキブリにとって不快な環境に変化します。
バルサンを焚き終わったあとに吹き出し口やフィルターを拭いて殺虫成分を落とすことを忘れないでください。
エアコンから黒い粉が出たときの対処法
エアコンから黒い粉や塊が出たときの対処法は3つあります。
まずは自分でできる掃除を行い、それでも改善しない場合はエアコンクリーニングを依頼することをおすすめします。
エアコンについたカビの掃除方法や掃除道具、予防に適したアイテムについて関連記事で解説しています。あわせてご覧ください。
① 吹き出し口やルーバーの掃除をする
エアコンから黒い粉や塊が出ている場合、吹き出し口やルーバーにポツポツと黒い斑点状のシミがついていることが多いです。
黒いシミはカビやカビの色素が沈着したものなので、掃除をして取り除きましょう。
吹き出し口とルーバーの掃除手順は以下の通りです。所要時間は約10分です。
- 運転を停止し電源プラグを抜く
- 手で風向きルーバーを開く
- 濡れ雑巾などで吹き出し口とルーバーを拭く
- 乾拭きをして水分を飛ばす
- 十分に乾燥してから消毒用アルコールで拭く
余裕があれば消毒用アルコールで吹き出し口とルーバーを拭きましょう。
消毒用アルコールは殺菌能力が高いので、カビの胞子を不活化が期待できます。
アルコールウェットティシュを使うと手軽に拭き掃除ができるのでおすすめです。
② フィルターの黒カビを取る
吹き出し口やルーバーにカビが付着している場合、フィルターでもカビが繁殖している可能性が高いです。
フィルター掃除は以下の手順で行います。所要時間は約25分です。
- 運転を停止し電源プラグを抜く
- カバーを外しフィルターを取り外す
- フィルター表面のホコリを掃除機で吸い取る
- フィルター裏面からシャワーを当てホコリを落とす
- 細かいホコリやカビ・ゴミを古歯ブラシでこすり落とす
- タオルで水気を取り乾燥させる
フィルターをエアコンに取り付けるときは、水気が残っていないかよく確認しましょう。
取り付け後に内部クリーン運転または送風運転でエアコン内部を乾燥させると、フィルターに水気が残っていても内部の湿度が極端に高くなることを避けられます。
③ エアコン内部のカビはエアコンクリーニングを依頼する
吹き出し口やルーバー、フィルターを掃除してもエアコンから黒い粉が出たり、カビ臭さを感じたりするのであれば、エアコン内部でカビが大繁殖していると考えられます。
エアコン内部の洗浄はエアコンクリーニングを依頼しましょう。
市販の洗浄スプレーや自力で分解することは故障や火災などの重大な事故を引き起こす原因になります。
エアコンから出る黒い粉を放置する3つのリスク
エアコンから黒い粉が出るのを放置することには3つのリスクがあります。
金銭と健康の両面に大きな悪影響を与えてしまうので、エアコンから黒い粉が出てきたらすぐに対処をしましょう。
① 運転効率が下がり電気代が上がる
エアコンから黒い粉が出るということは、内部にカビやホコリ、汚れが溜まっているということです。
エアコンは空気を循環させる家電なので、内部にホコリや汚れが溜まっていると運転効率が下がるので部屋が冷えるのに時間がかかるようになります。
また運転効率が下がるということは設定温度まで室温を調整するのにより時間がかかることを意味します。
消費電力量が増え、電気代が増加する原因になるので、エアコンから黒い粉が出たら放置せずに掃除をすることをおすすめします。
② アレルギー発症など健康被害を受ける
エアコンから出る黒い粉や塊にはカビの胞子が大量に含まれています。
カビの胞子を吸い込んでしまうとアレルギーや肺炎など様々な疾患を発症するリスクがあります。
プロが対応したお客様の中にも、目のかゆみやくしゃみなどのアレルギー症状がきっかけでエアコンクリーニングを依頼する人が多くいます。
エアコンクリーニングを依頼されるお客様の中で多いのは、「カビによる咳やくしゃみ、目のかゆみなどのアレルギー症状が出た」「臭いが気になるようになった」という理由です。体調不良や不快感など、緊急性の高い状況になって初めてエアコンの汚れに気づくケースが多いのです。
ある日突然、皮膚の赤みや咳などのひどいアレルギー症状に見舞われ、病院を受診したら医師から「すぐにエアコンクリーニングを頼んでください」と言われたというお客様もいらっしゃいました。エアコン内部のカビを放置していると、気づかないうちに繁殖し、体調に重大な影響を及ぼしてしまうおそれがあります。
またカビの胞子を吸い込み続けることで、肺炎などの気管支系の疾患に発展することが少なくありません。
エアコンから黒い粉が出るなど、カビが繁殖しているサインを見つけたらすぐに対処が必要です。
③ エアコンの風がカビ臭くなる
エアコン内部で繁殖したカビをそのままにしておくとエアコンの風がカビ臭くなります。
ニオイだけなら我慢すればいい、と考える人もいますが、カビ臭いということはエアコンの風にも多くのカビ胞子やニオイのもとが含まれていると推測できます。
家具やカーテン、衣類など身の回りのものにカビの胞子をまき散らしてしまい、家中が不衛生な環境になる危険性があります。
エアコンに黒カビが繁殖しやすい理由
エアコン内部に黒カビが繁殖しやすい理由は3つあります。
ただし使い方を変えるだけでカビの繁殖スピードは大幅に遅くできます。
① カビが繁殖しやすい3条件を満たしやすい
エアコン内部はカビが繁殖するための、温度・湿度・栄養の3条件を満たしやすいです。
温度に関しては、カビが繁殖しやすい温度と人間が快適に感じる室温が似ているため環境を変えることは難しいです。
しかし湿度と栄養はある程度コントロール可能です。
カビの繁殖スピードを抑制するには湿度と栄養を奪うことが効果的です。
② 部屋の空気とともにカビの胞子やホコリを吸い込んでしまう
エアコンは部屋の空気を循環させて室温の調整を行います。
エアコンは冷たい(あたたかい)空気を吐き出す家電というイメージが強いですが、実は排出する空気と同じ量の空気を吸い込んでいます。つまり、部屋の空気中に含まれるホコリやペットの毛、汗、油汚れなどはエアコン内部に吸い込まれ、混ざり合って汚れになっているのです。
頭髪やペットの毛、調理で揮発した油など、室内の空気にはさまざまな汚れが含まれています。
汚れがエアコン内部に吸い込まれるとカビが繁殖するための栄養になります。
③ 排水不良が起こるとさらに湿度が上がる
エアコン内部に水が残ると、カビの温床になってしまう可能性があります。
冷房運転時、室内の空気中の水分が熱交換器(冷却フィン)で冷やされて結露します。
結露で発生した水はドレンパンにたまってドレンホースから排出されます。
しかし排水経路が詰まっていると、水がエアコン内部に溜まったままになります。
すると湿度が高い状態が長時間続き、カビが繁殖しやすくなります。
自宅で使っているエアコンの排水がきちんと行われているか不安になったら、専門家に点検してもらいましょう。
エアコンを長持ちさせ、カビや汚れである黒い粉や塊の発生を防ぐためにも排水経路のメンテナンスが重要です。
エアコンから黒い粉を出さないようにする予防策
エアコンから黒い粉を出さないようにするためには、以下5つの予防策を習慣づけましょう。
簡単にできるものから習慣にしておくことをおすすめします。
エアコンクリーニングで隅々まで洗浄してからカビ予防対策を行うと、カビ予防の効果が高まります。
① 冷房や除湿運転後は内部クリーン運転をする
冷房や除湿運転をしたあとのエアコン内部は湿度がとても高い状態になっています。
そのまま放置するとカビが繁殖しやすい環境になるので、内部クリーン運転を行ってエアコン内部の湿度を下げましょう。
この方法はエアコンクリーニングのプロも推奨しています。
カビは水気の多い場所で繁殖力を高めるので、冷房運転を切った後にエアコン内部を乾かす習慣をつけましょう。内部クリーン機能がついているエアコンであれば、自動的に作動するように設定しておくと便利です。内部クリーン機能がない場合は、冷房を切った後に1時間ほど送風か暖房運転をつけておきます。
② エアコンを毎日使う時期は2週間に1度フィルターを掃除する
夏場など毎日エアコンを使う時期は、使用時間が長いため内部が汚れやすくなります。
エアコンを毎日使うオンシーズンは2週間1度、フィルター表面のホコリを吸い取って掃除をしましょう。
完璧に掃除をしようとすると、フィルターを外して水洗いをし、乾燥するまで待つ必要があります。
この方法では半日ほどエアコンが使えない時間が発生するので、夏場に行うのは現実的ではありません。
フィルター表面のホコリを掃除機で吸い込む簡易的な掃除であれば、1回5分ほどで完了します。
夏の間は5分のかんたん掃除を行い、夏が終わったら水洗いをするしっかり掃除をしましょう。
③ 1日5分の換気をして黒カビを屋外へ排出する
夏の暑い日や冬の寒い日であっても、必ず1日1回換気をしましょう。
5分程度の換気であっても室内の空気中に漂う黒カビの胞子が屋外に排出されます。
近年の住宅は気密性が高い高気密住宅がほとんどで、屋内外の空気の入れ替わりはほとんどありません。
そのため閉めきった家の中にいると知らず知らずのうちに酸欠状態に陥ってしまうリスクがあります。
頭がぼうっとしたり、あくびが止まらなくなったりなどの症状が現れたら、酸欠状態に陥っている可能性があります。
酸欠状態を解消するためにも換気は忘れないようにしてください。
④ 吹き出し口やルーバーを消毒用アルコールで拭く
吹き出し口やルーバーはエアコン内部で繁殖したカビが付着しやすい場所です。
消毒用アルコールでこまめに拭くようにすると、カビを不活化できカビの繁殖や色素沈着を抑えられます。
⑤ 年に1回エアコンクリーニングを依頼する
エアコンの設置場所にもよるものの、年に1回エアコンクリーニングを依頼するとエアコン内部がきれいな状態を保てます。
どこまで汚れている状態を許容できるかにもよりますが、清潔でほとんど汚れのない状態を保ちたい場合、リビングのエアコンなら1年に1回はクリーニングするのがおすすめです。多少汚れていても構わないので、2~3年に1回のペースで依頼するというお客様もいらっしゃいます。
室内のエアコン設置場所別におすすめのクリーニング頻度は以下の通りです。
エアコンの設置場所 | 理想的な頻度 |
---|---|
キッチン | 1年に1回 |
リビングルーム | 1年に1回 |
寝室 | 2年に1回 |
客間 | 3年に1回 |
エアコンクリーニングを依頼する頻度は使い方によって変化します。
エアコンが汚れやすくなる条件
- 冷房の使用時間が長い
- 冷房の設定温度が低い
- 揚げ物調理をよく行う
- 犬や猫など毛の生えたペットを飼っている
- 室内でタバコを吸っている
エアコン内部に水が多く発生する使い方や、空気中に汚れが多いとエアコンが汚れやすくなるので注意してください。
黒い粉が出たらエアコンクリーニングを依頼しよう
エアコンから黒い粉が出てくるようになったら、内部はカビだらけですぐにエアコンクリーニングを依頼することをおすすめします。
エアコンクリーニングを依頼するにあたって気になるのはコストパフォーマンスではありませんか?
コストパフォーマンスが高いエアコンクリーニングの依頼方法について、プロは以下のようにコメントしてくださいました。
分解するパーツが多くなるほど、故障や破損のリスクは高くなります。
何年も放置してからまとめて大掛かりな分解洗浄を依頼するのではなく、1~2年に1回のペースで一般的な分解洗浄をしておけば、故障のリスクを最小限におさえ、常にきれいな状態でエアコンを使えるのでおすすめです。
購入してからはじめてエアコンクリーニングを依頼するのであれば、エアコンの室内機を壁から外す「完全分解洗浄」になるケースが多いです。
完全分解洗浄は高額ですが、エアコンの隅々まで洗浄されます。
エアコンクリーニングを受けてきれいになったら「エアコンから黒い粉を出さないようにする予防策」で紹介したカビ予防対策を行いましょう。
するとエアコン内部が汚れづらくなり、エアコンクリーニングの頻度も1~2年に1回程度にしても問題なくなります。
エアコンが壊れてしまうと、数万~数十万円もの出費が発生する可能性があります。
汚れにくくする予防策をしたうえで年に1回など、こまめにエアコンクリーニングを依頼すると比較的安価にきれいな状態を保てます。
エアコン内部のファンにカビが厚くこびりついていると、ファンが空回りしてしまって空気をうまく送り出せず、部屋が冷えるのに時間がかかることがあります。