ネコノミは、猫だけでなく犬や人間にも寄生し、吸血します。ネコノミに刺されると、激しいかゆみだけでなく、腫れや水ぶくれなどの重いアレルギー症状を引き起こすことも。
この記事では、ネコノミについての基本知識から、予防方法、そして刺されてしまったときの対処方法を解説していきます。
ネコノミに刺されたらどうなる?
人間がネコノミに吸血されると、アレルギー反応が起こり、強いかゆみや腫れ、水ぶくれなどの症状がみられます。最長で1か月程度かゆみが続く場合もあるでしょう。
ペットにネコノミがついている場合の対処法は?
ペットの身体にネコノミを発見した場合は、ノミ取り用のクシやノミ取りグッズを使ったり、病院で駆虫薬を処方してもらったりしましょう。
ネコノミとは?
「ネコノミ」は、動物の体毛や、表皮に寄生して血を吸うノミです。名前のとおり、猫に寄生しやすい種類ではありますが、吸血する相手を選ばず、犬や人間も刺します。
日本には、ネコノミを含めたノミ目の昆虫が80種類ほどいます。しかし近年では「人間のノミ刺されは、ほとんどがネコノミによるもの」と言われるほど、被害の割合が高いのです。
かつては「イヌノミ」「ヒトノミ」といった種類も、人間に寄生するノミとして知られていました。しかし現在では、野良犬の減少や、衛生環境の向上などに起因して、これらのノミ被害はほとんどありません。
ネコノミの特徴、発生時期など
体長 |
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寿命 |
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好む環境 |
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産卵 |
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エサ |
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跳躍力 |
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ネコノミは2~3mm程度の大きさがあるので、ダニなどと違い、肉眼で目視することができます。
18℃以上の暖かい環境を好むため、繁殖が活発になるのは春~夏頃にの時期。7~8月頃になると、ネコノミに人間が刺される事例が増え始めます。
室内にネコノミが発生するときは、猫や犬などのペットを外に出したときに付いて、帰宅のときに侵入するという経路が多いようです。
草むらなどに隠れていたネコノミが、二酸化炭素や体温を察知し、15cm以上ジャンプしてくっつきます。
そのまま家の中へ侵入してしまうと、2~4カ月という短い寿命のなかで300個以上の卵を産むため、大量に発生してしまうことに。ネコノミを防ぐには、外出から帰ったときの対策が重要です。
ネコノミはどこに潜んでいる?
ネコノミが室内に侵入すると、以下のような場所に潜みます。
- 猫や犬がよく寝転ぶ場所
- 天井裏
- カーペット
- 畳
- 床下
とくにネコノミの幼虫は、ホコリが溜まりやすい場所に隠れて生息している可能性が高いです。
またペットを飼っていない家庭でも、庭の物置やガレージなどを寝床にした野良猫によって、ネコノミが運ばれてくるケースも。
ネコノミが人間に与える被害
前述のとおり、ネコノミは猫や犬だけでなく、人間を刺して吸血します。刺されやすい場所や時期は以下。
- ヒザより下の足元
- まとめて複数個所を刺される
- 7~8月頃の被害が多い
人間がネコノミから受ける被害は2通り。ひとつはネコノミへのアレルギー反応、もうひとつは媒介された菌で感染症を起こすというケースです。
ちなみに腫れやかゆみなどの症状から、ダニや蚊に刺された場合と区別するのは難しいので、基本的には早めに皮膚科へ行くことオススメします。
吸血によるアレルギー反応
人間がネコノミに吸血されると、咬まれた場所からネコノミの唾液が入ります。この唾液が原因となってアレルギー反応が起こり、強いかゆみや腫れ、水ぶくれなどの症状に。
蚊であれば半日から1日、ダニであれば7~10日くらいにわたってかゆみが続きますが、ノミの場合はなんと最長1カ月も症状が引きません。
かきむしることで細菌などの二次感染や、色素沈着により跡が残るというリスクも。
これらのリスクを抑えるためには、刺された箇所をかかずに、早期治療することが大切です。軽い症状であれば保冷剤や氷で冷やすことでかゆみを軽減できるので、まずは応急処置をしておきましょう。
市販の塗り薬は、ノミ刺されに対して効果が出にくいとされているため、早めに皮膚科を受診することをオススメします。
猫ひっかき病などの感染症
猫ひっかき病とは、「バルトネラ菌」という細菌によって感染する病気です。
ネコノミが媒介して、猫や犬に移していきます。そのため犬や猫とってバルトネラ菌は常在菌ですが、人間にとっては重篤な症状を起こす病原に。
人間に感染すると、傷口の化膿や発熱、リンパ節の痛み・腫れなどが起こります。おもに猫のひっかき傷で感染すると考えられますが、ノミの刺咬による感染も否定できない事例も多いそう。
猫ひっかき病が多く発生するのは、ノミが活発になる7月から、寒くなってきて猫に触れる時間が増える12月頃までのあいだです。
ちなみに猫ひっかき病のように、動物の体内に潜む細菌によって人体の健康に害を与える感染症は、「ズーノーシス」と呼ばれています。
ペットの排泄物をそのままにしていたり、よくペットと一緒に寝ていたりすると、ズーノーシスに感染してしまう可能性が高まります。 ペットの爪を常に短く保っておくなど、予防対策が必要です。 |
ネコノミがペットに与える被害
猫の病気の中には、ネコノミが原因で引き起こされる以下のようなものがあります。
- 貧血症状、ストレスなど
- ノミアレルギー性皮膚炎
- 瓜実条虫症(サナダムシ)
- 細菌などの二次感染
それぞれ詳しく紹介していきます。ノミの危険性を知ることで、ペットの病気リスクをしっかり予防管理しましょう!
貧血症状、ストレスなど
ネコノミは、1匹あたりが吸血できる量は限られています。
しかし大量発生して、たくさんのネコノミに吸血されると、そのぶんたくさんの血液を失ってしまうことに。
とくに子猫や小型の品種は、貧血症状を起こしてしまう場合があるのです。
また人間が刺されたときと同様に、激しいかゆみが起こるため、猫にとってかなりのストレスが溜まります。すると体だけではなく心にも負担がかかり、ストレス症状を招いてしまうことに。
ほかにも、猫の毛のツヤが失われるというケースもあるそう。逆に言えば「なんだか最近、猫の毛がガサガサする」というポイントはノミの早期発見につながります。
ノミアレルギー性皮膚炎
ノミアレルギー性皮膚炎は、ネコノミの唾液によって引き起こされるアレルギー反応が原因で、皮膚に炎症が起こるものです。
強烈なかゆみに襲われるだけでなく、ひどい脱毛につながってしまう危険も。
また一度この病気を発症すると、アレルギー反応が大きくなるため、わずかなノミ寄生でも強い症状をぶり返してしまう恐れがあります。
瓜実条虫症(サナダムシ)
瓜実条虫症(うりざねじょうちゅうしょう)とは、猫を飼っている人なら1回は耳にする、「サナダムシ」の病気です。
- ノミの幼虫が、サナダムシの卵を食べる
- この幼虫が成虫になり、ペットの体へ
- グルーミング(毛づくろい)によって、ペットの体内へ
- サナダムシがペットの腸内に寄生
このようなサイクルで、ネコノミを媒介としてサナダムシに寄生されてしまいます。
また、人の手でノミをつぶした時に、サナダムシの卵が付いてしまうというケースも。
サナダムシに寄生された猫には、下痢や嘔吐などの腸管感染症が見られることもありますが、無症状というケースも多いようです。
細菌などの二次感染
人間と違って、猫に「かゆいけど、かくのは我慢して」と聞かせるのは無理な話です。
ノミに刺された部分をかきむしってしまうため、その傷口から細菌が入り、二次感染が起こることがあります。おもな症状としては、皮膚の化膿など。
また野良猫とのケンカなどによって、ダニ感染症の「猫ヘモバルトネラ症」などが移ってしまうリスクも上がります。この病気は、黄疸や貧血、食欲不振、発熱、脱水などの症状が起こり得るため、早期受診が必要です。
ペットにネコノミが付いたときの対策方法
多くの場合、ペットについたノミが繁殖することで、室内で人間が刺されるケースにつながります。ペットの体に付いたネコノミを早めに対処することで、被害を最小限に抑えましょう。
- ノミ取り用のクシを使う
- その他のノミ取りグッズを使う
- 病院で駆虫薬を処方してもらう
ちなみに、ペットの体にノミを見つぶけても、手でつぶすのはNGです。つぶしたノミの卵や、サナダムシの卵などが産卵して、状況の悪化を招きます。
ノミ取り用のクシを使う
ただしブラッシングだけでノミが死ぬわけではないので、使い方には注意しましょう。
クシについたノミは、すぐに粘着テープで捕獲。そのまま水の中に入れて、ノミを溺死させてから処分しましょう。
その他のノミ取りグッズを使う
ペット用のノミ取りグッズは、クシのほかにも、シャンプーや首輪などがあります。
ノミ取りシャンプー
ただし1回のシャンプーだけで、卵や蛹まですべて駆除しきるのは難しいという点に注意しましょう。
また、猫は根本的に水が嫌いな動物なので、シャワーをすることでストレス値が上がってしまいます。シャワーをする頻度は年に1~2回がちょうどいいとされているのです。
そのため、根本的にノミを駆除するなら、動物病院へ行くほうがオススメ。あくまで、定期的なシャンプーのタイミングでノミ取りシャンプーを使う、ということを意識しましょう。
電子ノミ取りホイホイ
光や熱によって誘引した後は、粘着シートで捕獲。殺虫成分のある薬剤を使用しないので、安全です。
ノミ取り首輪
画像の商品の場合は、万が一にも首輪が引っかかったとき猫の首を絞めないよう、切込みが入っていて切れやすくなっている安全設計。また、蚊よけの効果もあります。
病院で駆虫薬を処方してもらう
ネコノミを根本的に解決したいときは、すみやかに動物病院に行くことをオススメします。
ノミの駆除作業を、1,000~2,000円くらいで処置してもらえます。毛に付いた卵の孵化を阻害するところまで施術してくれるので、再発も最小限に抑えられるでしょう。
また、ペットに合わせた予防策も一緒におこなってもらうと、より効果的です。とくに4~11月くらいは、月1回程度からできる定期健診がオススメ。
おもに内服薬でノミへの殺虫効果を得る「駆虫薬」と、猫の首元に薬剤を垂らす「スポットタイプ」で、ノミを予防できます。
室内のネコノミを駆除する方法
室内にネコノミが発生したとき、以下の順で対策をしましょう。
- 室内の掃除
- ペットに付いたノミの駆除
- 殺虫剤の散布
- ノミの死骸を掃除
- ノミ予防
まずは室内の掃除をします。卵や幼虫を、できるだけ先に退治しておくためです。またホコリなどのゴミが溜まっていると、殺虫剤がネコノミまで届かず、十分な効果が得られない可能性があります。
猫などのペットの体にノミが発生しているようであれば、あらかじめ動物病院などで対処してもらいましょう。
殺虫剤を使用するときには、部屋にペットがいない状態にしておくのが大切です。また殺虫剤の散布が終わったら、ノミの死骸を吸い取るために、もう一度掃除をします。
ここまでの駆除作業が終わったら、再発を防ぐために、ノミの予防方法を徹底しましょう。
ノミに効果がある殺虫剤
殺虫剤を購入するときには、ノミへの効果が明記されているものを選びましょう。とくに有機リン剤という成分が含まれていると、効果的だと言われています。
スミスリン粉剤「SES」
ノミ以外にも、ナンキンムシやダニ、ゴキブリなどに効果があるため、常備しておいて損はありません。
畳やカーペットなどに散布して、ネコノミを駆除しましょう。散布後は2週間~1カ月の予防効果もあるそうです。
バルサン プロEX
スプレーと違って、勝手に部屋の隅々まで行きわたるので、ネコノミの発生源が分からないときにはオススメです。
ネコノミを予防する方法
外出時には虫除けスプレーをかける
ノミだけでなく、ブユ(ブヨ)やダニなどが寄ってくるのを防ぐことができます。とくにダニ・ノミは、吸血しながら家までついてきてしまうので、自分の体に寄せ付けないための予防が大切です。
またペットをよく外で遊ばせるご家庭なら、ノミ除け首輪や定期健診など、ペットのノミ予防もあわせておこないましょう。
外出から帰宅した時のノミチェック
ペットのお散歩などを終えて帰ってきたとき、ノミが付いていないかこまめに確認しましょう。
人間なら足元やズボン、ペットならノミ取りグシなどでチェックしてあげてください。ネコノミだけでなく、マダニなどの危険な害虫を防ぐのにも有効です。
ペットの定期健診
猫や犬などのペットにノミ対策をするなら、定期的な検診がオススメです。とくに4~11月は、ネコノミが繁殖しやすくなるため、忘れずに受診しましょう。
猫を含めたペットのノミ予防は少なくとも3カ月は必要とされており、1回だけ使用すればよいわけではありません。
1ヶ月に1回のプログラム錠や、6ヶ月効果がある注射を1回打つ方法などがあります。
また前述した「サイクリスポット」という、首に薬剤を垂らすタイプの薬であれば、3ヶ月に1回の定期的な処置をおこないます。
このように薬によってサイクルが異なるため、そのあたりに注意しながら予防薬を使用しましょう。
普段からのチェックで、ネコノミの被害を防ごう
ネコノミの基本情報や駆除方法などについて解説しました。ネコノミは人間にも害があるので、発生したら徹底的に駆除しておく必要があります。
ノミの繁殖力は非常に強いため、掃除や殺虫剤の散布を継続して、清潔な環境を保ち続けることも重要です。
ネコノミが発生してから2〜3週間は、とくに徹底的な清掃を続けるとより効果的です。
またペットがいる家庭ではとくに、定期的なクシ入れなどでノミチェックをしましょう。早期解決できる可能性が高まります。動物病院で予防対策をしてもらうのも効果的です。
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